もしも35話の決戦でマジアベーゼが死亡していたら   作:黄鶯

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堅氷の意志を蝕む者は

 

 

マゼンタとロコ&ルベルの戦闘が始まった頃。

 

「油断したわ……」

 

先が見えない程長く続いた廊下。

綺麗な装飾が施された壁を触り、アズールは呟く。

 

「はあっ!!」

 

その壁に向かって、羽衣・白藍を変化させた剣で切りつけるが、まるで手応えを感じられない。

 

ここはネロアリスのドールハウスの中。

閉じ込められた今、脱出するのは容易ではなさそうだ。

 

「外との連絡は……取れない。厄介だわ。私一人でアリスを何とかするしかないようね……と、噂をすれば……!」

 

廊下の奥からゆっくりと、ネロアリスが姿を現した。

 

「…………」

「街の人々を脅かす行為、到底見逃すことは出来ないわ。覚悟しなさい!」

 

アズールは、白藍でアリスに斬りかかる。

その小さな身体を捉えたと感じた瞬間、鋭い金属音が響き、攻撃が止められる。

チェシャ猫のぬいぐるみの爪が、白藍の攻撃を受け止めていた。

 

「やはり、そう簡単には行かないわね……ッ!?」

 

チェシャ猫が、攻撃を受けていない方の爪でアズールの側面から襲いかかる。

アズールはその攻撃をモロに受け、廊下の壁に叩きつけられる。

 

「くっ……でも、まだまだ。貴女の愛はそんなものではないはずよ」

 

早速趣旨がズレる発言をするアズール。しかし、アリスはそれには取り合わず追撃を仕掛ける。

アリスが右手を上げると、廊下の前後からガチャガチャとした音が鳴り響いた。

 

「何の音?何かが大量に迫ってくるような……!」

「…………」

 

アリスが右手を下げると、兵隊風の人形が、ガチャガチャと音を立てながら大量にアズールを取り囲んだ。その高さは約2,3m程もあり、元は中学生のアズールからするとかなり巨大に感じられた。

そのままアリスは廊下の奥へと消える。

 

「これは……!くっ、待ちなさい!!」

 

白藍を片手に、人形の一体に斬りかかる。人形はあっさりと胴と頭が離れるが、すぐに次の人形が襲い来る。

人形の腕を刀で防ぎ、廊下の壁を背に次々を斬り落としていく。

どんどんとその場に人形の残骸が増えていくが、一向に減る気配が無い。

 

「いくら相手してもきりが……なっ!?」

 

瞬間、足元に転がる頭部の無い人形の残骸が立ち上がり、両手でアズールを掴み上げた。人形の手に力が籠められ、そのまま握り締められる。

 

「ぐっ、あああっ!切断されようが関係ない……?なら……!」

 

白藍を一閃。人形の手首を切り落とし脱出する。そのまま天井近くまで飛び上がり、羽衣に戻した白藍で空気を一撫でする。

 

「まとめて凍らせてあげるわ!!」

 

アズールを中心に魔力が展開され、白いオーラとなって人形たちを包み込む。

アズールは真化により、大気中の水分を操る能力を応用して敵を凍らせることができるようになるのである。

ピシッ……という音と共に、人形が一斉に凍り付く。

更に空気をもう一撫ですると、たちまち人形の氷像は砕け散った。

 

地面に着地したアズールは、思わず膝をついてしまう。

 

「はぁ……なんとか、なったわね。急いでアリスを追わないと……」

 

すぐに立ち上がり、アリスの消えた方向へと歩を進める。

アリスに辿り着きもしない内から消耗してしまったことを悔やむ。

未だ真化して日が浅く、溢れ出る魔力の制御に慣れていないのだ。あまり長い時間をかけると変身が解けてしまう可能性があった。

 

近くのドアを開くと、中にアリスはおらず、代わりに数体の動物のぬいぐるみが転がっていた。

それらは突然立ち上がり、アズールの姿を認めると一斉に走り出す。

 

「くっ、今は力を温存しないと……!」

 

アズールはすぐさまその部屋から距離を取り、ぬいぐるみ達から逃げつつ廊下に立ち並ぶ部屋のドアを手あたり次第蹴破っていく。

ぬいぐるみ達の大きな腕を掻い潜り更に奥へと急ぐ。

 

「もう一度!」

 

アズールは再び羽衣をはためかせ、追るおもちゃの大軍を廊下ごと氷結させる。

安心はできない。素早く身を翻し、次々にドアを破壊していく。

しかし廊下は全く終わりが見えなかった。

 

「どこまで行けば……」

 

時間と共にアズールを追いかけるおもちゃの数は増え続ける。

永遠と錯覚する程長い廊下に、けたたましい足音が鳴り響いた。

 

どれだけの時間か、おもちゃとの死闘を繰り広げるアズールは、突如立ち止まった。

 

 

 

「はぁ…はぁ…行き止まり……?」

 

アズールは、永遠に続くかと思われた廊下の終着点に辿り着いた。そこはひと際装飾が施された扉が鎮座していた。

 

「もしここに居なければ、あの廊下をもう一度戻らなければならないわね」

 

アズールは意を決して扉を開く。

 

そこは大広間であった。

しかし、全体的な色合いや装飾が禍々しく、さながら魔王の城の如き様相であった。

 

そしてその一面に様々な種類のおもちゃが散乱しており、部屋の雰囲気とは明らかに不釣り合いだった。

 

「ネロアリス!!」

 

その部屋の奥に人影を見つける。

扉の正反対、部屋の奥にある椅子に座りながらこちらを見つめていた。

 

「なっ……」

 

しかし、その姿にアズールは衝撃を受けた。

現れたのはアリスモチーフの服装ではなかった。

 

腰に白のパレオを巻き、上半身は真っ黒なコルセットとニプレス。エナメルの手袋。

「服装」とは形用し難い面積のそれを身に纏い、その手に握られているのは、先端に星型を誂えた短鞭。

そして頭部には、漆黒の髪と対比する様に生えた金色の角が二本。

 

果たしてそこにいたのは、ネロアリスではなかった。

 

「そんな……どうして……!?」

「おやぁ、どうされました……?まるでもう逢えない運命の人に巡り合ったかのような顔じゃないですかぁ……マジアアズール……」

 

その姿は、まごう事なき()()()()()()であった。

 

 

□ ■ □ ■ □

 

 

対峙するマジアアズールとマジアベーゼ。

氷山のような不動の精神を持ち合わせたアズールも、ベーゼの登場には激しく動揺してしまった。しかし、ギリギリのところで表情に出すのを留める。

 

(落ち着きなさいアズール、恐らくアリスの何らかの能力……)

 

「あなた、何者?」

「おやおやぁ、しばらくご無沙汰だからって、忘れるなんてひどいですねぇ。私は私ですよ。あなた達の悪。マジアベーゼですよ……」

「いいえ、そんなはずは無いわ。マジアベーゼはあの日、確かに私たちが倒したんだもの」

 

一瞬、マジアベーゼの表情が固まる。

しかしそれはすぐに獰猛な笑みへと切り替わった。

 

「しかし、私は現にここにいますよ?それが全てです。とにかく……余計なお喋りは無しにして、早く始めましょう?」

「……ええ、そうね。また現れたのなら、何度でも打ち倒すだけだわ」

「クク……貴女にできますかね」

 

ベーゼのはぐらかす様な返答に、アズールは思考を切り替えた。今はただ、正義の魔法少女として悪を打ち倒すだけである。

真化を果たしてからは、ベーゼとの1vs1で敗北した事はない。仮に本物のベーゼであるならば、勝てるという確信があった。

 

ベーゼの手元から、乾いた衝撃音が響いた。

戦闘開始の合図は、彼女の持つ支配の鞭(フルスタ・ドミネイト)が打たれる音だった。

打たれた4体のぬいぐるみは巨大化する。

爪や牙がみるみるうちに鋭くなり、アズールに襲いかかった。

 

アズールは白藍で応戦する。

一体を縦に、一体を横に斬り伏せる。

背後から迫りくる一体は足元を氷結させ足止め、残る一体とまとめて胴体を切断した。

 

「さすがアズール。私の見込んだ魔法少女です……」

「……ッ!いつの間に!!」

 

ぬいぐるみに気を取られ、ベーゼの接近に気付くのに遅れてしまった。

アズールは短鞭の一撃を既所(すんでのところ)で防ぎ、そのまま2合、3合と打ち合う。

 

「はあっ!」

 

アズールは次も打ち合うと見せかけて、白藍を羽衣の状態に戻し、ベーゼの攻撃を受け流す。

そのままベーゼの足を絡めとり、壁に向かって投げ飛ばす。

ベーゼは壁に叩きつけられる直前、空中で身体を回転させ、壁に着地した。

 

「フフ、なるほど……ではこれは?」

 

ベーゼが近くのロケットと吸盤弓矢を鞭つと、その鏃が鋭く変化しアズールに目掛けて発射された。

それに対しアズールは氷から小さな剣を無数に生成し迎撃する。

そしてアズールは先の経験から、この後のベーゼの行動も予測出来ていた。

 

「そこよっ!!」

「!!」

 

矢の攻撃に乗じて背後に回り込んだベーゼに、アズールは振り向きざまに剣を振るう。

そこには確かな手ごたえがあった。

ベーゼの方に向き直ると、斜めに破れた服に血が滲むベーゼの姿が確認できた。

好機と見たアズールは更に追撃を仕掛ける。ベーゼはそれに反応し、剣と鞭が鍔競り合いの状態になる。

 

「うふふ、楽しいですねぇ……!ですが……私と戦っている最中も油断はいけませんよ?」

「!?しまっ……きゃあっ!!」

 

ベーゼが顔の模様をギラギラと瞬かせながらそう呟くと同時、アズールは気配を感じる。

背後から、実物大に巨大化したおもちゃの車が猛スピードで突っ込んできた。

アズールは回避に間に合わずモロに衝突し、吹き飛ばされる。そのまま地面を転がり、壁に激突した。

 

「がっ……!!」

(そんな……鞭は使っていなかったはず!)

 

「ああ……そこ、危ないですよ」

「なっ!?」

 

アズールの頭上から、巨大な2体のクマのぬいぐるみの腕が振り下ろされる。

アズールはその場から更に転がり辛くも回避する。先程までアズールが立っていた場所に轟音が響く。

そこで、痛みに身体が強張るアズール。

その隙をベーゼは見逃さなかった。

 

「隙ありです♡」

「あ˝あ˝あ˝っ!!」

 

ベーゼの振りかぶった一撃はアズールの右肩を強かに打ち付けた。

そのまま胸倉を掴まれ、壁に押し当てられる。

それを外そうとベーゼの手を掴み返す、全く動かすことができなかった。

 

「うふふ……大ピンチですねアズール」

 

(何なの……ベーゼのこのパワーは……!)

 

アズールは高速で思考を巡らせる。

 

(ベーゼの能力が明らかに発動してない状態で玩具が起動している。ベーゼの新たな能力?それとも別の場所にアリスが?)

 

いや、それ以前に。

真化した状態の1対1でベーゼに圧倒されている事が、今までではあり得ない事だった。

 

「ぐうっ……!」

「あはぁ♡」

 

ベーゼは片手に掴んだアズールを力任せに地面に叩きつける。

愉悦に歪んだベーゼの表情と苦悶に顰めたアズールの表情は、いつかの対決を彷彿とさせた。

 

(強い……でも!)

 

しかしアズールはあの時とは違う。このマジアベーゼの歪んだ、しかしその中に潜んだ()()()()を受け止められるだけの成長を遂げたのだ。

 

アズールは立ち上がり、白藍を広げながら合掌する。

 

「アリスから、その人形から、そしてあなたから受け取った愛……確かに感じたわ」

 

アズールの周りに魔力が集まっていく。ベーゼ達から受けた痛み()の大きさが、アズールの魔力を何倍にも増幅する。

目標はマジアベーゼ、そしてこの部屋そのもの。

全てまとめて吹き飛ばす!

 

「ならばあなた達にも返してあげる。受け止めなさい」

 

 

『愛のアヴァランチ』

 

 

強大な魔力の奔流。

白藍から解き放たれた激しい光は、その部屋の一切を飲み込み、白く染め上げる。

 

 

 

 

ドゴォォォォォォォォォォン!!!!!

 

 

 

 

 

衝撃の後、アズールは目を見開く。と同時に膝をついてしまう。

魔力の限界が近づいている。

真化を維持するのもかなり辛くなってきていた。

 

目を開いた先にあったのは、玩具の残骸。攻撃を食らい倒れたマジアベーゼ、そして……

 

「……!?そんな……!」

 

無傷のドールハウスであった。その壁面は傷1つ付かず、禍々しい装飾が怪しく光っていた。

アズールは動揺しながらも、即座に倒れているマジアベーゼの喉元に刃を突き付ける。

 

「これまでよマジアベーゼ、観念しなさい」

「ふ、ふふ……見事ですね、アズール……」

「今すぐこの空間を解除しなさい」

「私を殺していけば良いじゃないですか……」

「…………」

 

ベーゼは、口の端から血を流しながらも、その表情は依然薄い笑みを浮かべ、アズールを見据えている。

 

アズールは、その刃をそれ以上前に進める事が出来ずにいた。

どれだけ自分に言い聞かせても、目を合わせている彼女と、うてなの顔を無意識に重ねてしまう。

バカバカしい事だと何度自らに言い聞かせるが、それでもその可能性を捨て切れずにいたのだ。

 

「……あなたの正体を教えなさい。あなたの正体が人間であることはわかっているわ」

「ククク……教えるわけにはいきませんねぇ。私は悪の総帥ですから……正義の魔法少女と戦うのであれば、悪の総帥として散るのが道理というもの。それに、どちらにせよ私を殺せば正体がわかるでしょう?」

「ふざけたことを……!」

「私はいつだって大真面目ですよ……さあ、さあさあ!私は最後まで私の悪を貫き通しますよ!貴女も貴女の正義を貫き通してください!あの夜の決戦の様に……!!貴女の!!マジアアズールの矜持を見せてくださいよぉ!!!」

「……っ!」

 

おかしな感覚だった。追い詰められているのは間違いなくマジアベーゼのはずなのに、気付けば自分の方がマジアベーゼの言葉に気圧されていた。

夜の決戦で躊躇いなく振り下ろせたはずの刃が、今は果てしなく重く感じられた。

 

自身の矜持。

弱きを助け、悪しきをくじくという事。人々を、そしてこの街の平和を守るという事。

かつてはるかに救われ魔法少女を始めて以来、それを疑ったことはなかった。

 

「私、私はっ……」

 

だが今になって、その矜持が揺らぎ始めていた。

魔法少女としての自身の根底が、アズール自身は無自覚の内に失われつつあった。可能性の一つに留まっていた、マジアベーゼ=柊うてなという最悪の等式が、アズールの脳内を急速に蝕んでいく。

 

街の平和を守らなくてはならない。

だがその為に友達を殺す事は出来ない。

 

無自覚なエゴと視野狭窄を自覚し、その上で割り切った決断を自らに下すには、彼女は未だ幼すぎた。

その動揺は今や、誰にでも見て取れるほどにはっきりと現れていた。

 

当然、目の前の敵にもそれは伝わっていた。

 

 

「……はぁ……そうですか。もう結構です」

 

 

突如、マジアベーゼの身体が膨大な闇の魔力に包まれる。

 

「!?」

「私はがっかりしましたよ、アズール……」

 

その闇はスライムのようにぐちゃぐちゃと変容し、部屋一体に急速に侵食していく。

天井にまで伸びるように形を変えた()()に引っ張られるように、マジアベーゼの上半身は起き上がる。

更に闇が触手のように象られ、素早くアズールの腰と腹を打ち据えた。

 

「痛……!?」

(“愛”に……変換できない!?)

 

「貴女は、何があってもひとつ決めた信念を貫こうという意志が感じられない。目の前の困難を正面から乗り越えるだけの意志が。

自身の弱さと向き合い、乗り越えられないから被虐趣味に逃げる。強大な敵と対峙し、乗り越えられないから悪堕ちに逃げる。

そしてまた、今度は適当な御託を並べて決着を付ける事から逃げようとしている……一度自らの手で決着を付けたにも関わらずです。

その程度の気持ち……その程度の覚悟……」

 

アズールと目が合ったその顔から読み取れるのは、落胆、嘲り、怒り、そして失望。

 

()()()()()()()()()()()でさえ、その程度の想いだったんですねぇ……」

 

ベーゼの言葉がアズールの心を深く抉る。

必死に自ら覆い隠してきた感情を無理矢理暴かれ、突き付けられる。

閉塞したこの空間で、己の弱さを否応なしに思い知らされる心地がした。

 

「何を……何を言ってるのよ!私はあの時から、自分に向き合って……覚悟を持って……」

 

この場にマゼンタとサルファが居ない事を感謝し、また恨んだ。

まくし立てるベーゼからは、いつの間にか傷がほとんど無くなっていたが、今のアズールがそれに気づく由もなかった。

 

「貴女達を倒し、街に平和を取り戻す為に……!!私は……私はぁぁぁぁぁっ!!!」

 

アズールは、聞き入れたくない事実を淡々と曝けるその口を閉ざすべく、半ば衝動的に地面を蹴る。白藍を剣に変形させ、ベーゼに斬りかかる。しかし―――

 

「な……」

「ですから、貴女はもう結構ですよ、マジアアズール」

 

その剣撃は、支配の鞭すら使われず、ベーゼの右手によって止められていた。刃先を握り締めているため、その右手からは血が流れる。

しかしベーゼは気にも留めず、剣ごとアズールを無理矢理引き寄せ、その首根っこを掴み、絞め上げる。

 

「貴女にはもはや、魔法少女である資格すらない」

「かっ……は……」

 

首絞めによる酸欠症状で、軋る歯の隙間から涎が流れる。

ベーゼの手を外そうと藻掻くが、万力の如き力で絞められているその手は外すことは出来なかった。

ベーゼが口を開く。

 

「どうして……?」

「がっ……!!」

 

しかしその口調は、ベーゼのものではなかった。

 

「どうしてマジアベーゼが死ななければならなかったのですか……!!私はまだ……まだまだベーゼと遊びたかったのに……!もう……もう話す事さえ出来ないなんて……!!」

 

不自然な言動。そして視界の端に映る彼女は、あらゆる感情が抜け落ちた、さながら能面の如き様相であった。

アズールにはもはやそれが、人の形をした化け物の様にさえ感じられた。

 

「あぐっ……!」

 

腹部に鈍い痛みが走る。ベーゼの拳がアズールの鳩尾に突き刺さる。

振り抜かれた拳はアズールを楽々吹き飛ばし、壁へと叩き付ける。愛への変換は……成し得なかった。

そこでアズールの真化が解除される。愛のアヴァランチの発動と度重なる攻撃で、残存する魔力は既に尽きかけていたのだ。

 

倒れるアズールの背中に、ベーゼのヒールがめり込む。

 

「ああっ……!!」

 

ピシッ

 

アズールの変身(トランス)アイテムにヒビが入る。

 

(こんなの……勝てるわけ……)

 

パキン

 

 

 

 

 

 

 

 

ドールハウスが解除される。

 

「…………」

 

残ったのは、倒れ伏す青髪の少女と、人形を大事そうに手に抱えた金髪の少女であった。

 

金髪の少女は、しばらく時間が止まったようにじっとしていたが、やがてある方向を振り返ると、召喚したチェシャ猫に跨り、走り去っていった。




戦闘描写を書くのが難しいです。こうした方が見やすいなど、アドバイスをいただければ、参考にさせていただくかもしれません。
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