便利屋68:3 テラーズ・オブ・ザ・スペクトル 作:まーろう
何年も時間が止まっていた傭兵たちの居城は、埃と湿気の陰気な臭いがする。風化した煉瓦の表面ははげ落ちたりして、火災に見舞われたような焦げ付きがあちこちにある。だがこういう古ぼけた建物には付き物の蜘蛛の巣や鼠の巣穴といった、生命の痕跡は全くない。動物的な本能が亡霊を忌避して近づかないのだろう。
レイはエルトセプスに腕を掴まれたまま廊下を連れられていたが、奴の目が一つの扉で止まるとその中へ無理やり押し込まれた。石造りの部屋の中央に炭化した木の板が崩れ落ちている。壁には黒板みたいなものが一面に取り付けられていて、昔は作戦室として使われていたらしい。真ん中の大きな机に地図を広げて、皆でそれを見下ろしてあれこれ言い合いながら作戦を練ったりしていたのだろうか。部屋の隅には鉄パイプと木の板で作られた簡素な椅子があって、エルトセプスは懐かしそうにそれを引き出した。
「座らせろ」エルトセプスに指示されてるまま、ゲンゲツは先生からシッテムの箱を奪い取ると椅子に座らせた。先生の腕は背もたれの裏で組んで押さえたままだった。
「前連邦生徒会長の置き土産か。箱を寄こせ。バリヤーがそいつを保護するからな」
ゲンゲツは指示通りに端末をエルトセプスへ投げ渡した。左手でキャッチすると、エルトセプスの拳銃が先生の頭に向いた。先生は何も言わずに黒い口を凝視する。顔に冷汗を浮かべて、高ぶる緊張を押さえようと鼻で深呼吸していた。
「お前は先生という立場にありながら、生徒たちの愚かしい行動を止めようともせず、自ら指揮まで取って加担していたな。お前こそ世界を堕落させる戦犯だ。あの世で顛末を見届けて、思い知るがいい」
エルトセプスが今にもトリガーを引き絞らんとする。レイは自分に彼の処刑を止める義理はないと頭では理解していた。だが亡霊部隊を止めた時の便利屋が先生と和やかに話している姿を見て、それまでの自分の固定観念ががらがらと崩れていくように感じた。連邦生徒会で自分を心から気遣ってくれたアル。そして彼女とその仲間たちが信頼をよせる先生。信頼しきったアルの横顔が、昔の自分と重なった気がした。
銃声が轟くより早く、レイはゲンゲツに思い切り体当たりした。二人は横にもたれて、倒れ込んだ。先生の驚く声が耳に入った。
レイは無我夢中でゲンゲツの手からナイフをひったくろうとした。自分が神秘無力化の対象にならなかったのは幸運だった。例えここで撃たれようと、DAを使われない限りはかすり傷だ。
「先生、逃げて!」目をつむって必死に叫んだ。途端にゲンゲツの膝が鳩尾に入って、レイはむせ返った。腕の力が緩むと、覆いかぶさっていた体勢が崩れた。すぐにでも引きはがされてしまう。レイは先生が意図を汲んで逃げだしてくれているよう願った。だがエルトセプスが反射的にすぐさま撃ち殺してしまうかもしれない。あまりに無謀な賭けだったんじゃないかと、レイは内省した。
だが銃声はいつまで経っても鳴らなかった。ふとエルトセプスを見上げた時、レイは奇跡を目の当たりにした。
先生は部屋の出口に向かって一目散に走っていた。当然エルトセプスは拳銃を先生の背中へ向けていた。だがまばゆい光の球がエルトセプスを包むと、撃ちだされた弾丸は光の壁にはじかれて先生には届かなかった。弾頭は床にぽろぽろと落ちて、虚ろな金属音をたてる。エルトセプスは困惑して、トリガーを繰り返し引いていた。だがそのたびに弾丸の進行は邪魔されて、とうとう先生の姿は見えなくなった。
エルトセプスが持っていたシッテムの箱が勝手に起動して、画面が青く光っている。所有者の先生を防衛するためのバリヤーが、エルトセプス自身を包み込んで脅威から遠ざけたのだ。つかの間レイは安心したが、ゲンゲツが立ちあがって悪態とともにローキックを浴びせてきた。痛みを堪えていると、エルトセプスは忌々し気にシッテムの箱を部屋の隅に投げて、床に落ちたところを腹いせに銃撃した。だがシッテムの箱に弾丸は通らず、やはり光のバリヤーが端末を包んで保護した。
一か八かの作戦が成功して、レイは内心にやりとした。これでアル達は人質を躊躇せずに戦える。無論それでも戦力差は圧倒的だが、いくらか戦局は良くなるはずだ。レイはもう死んでもいいと満足げに、地面に身体を横たえたままだった。殺したければ殺せ。もう何も失うものはないし、自分が死んだことで悲しむ人もいない。こちらを見下すゲンゲツはナイフを握りしめて、今にも喉元を掻き切られそうだった。
部屋の外から大声がこちらまで聞こえてきた。「先生!無事だったの」アルの声だ。エルトセプスとゲンゲツも声の主に気づいたようだった。
「ゲンゲツ、奴らを殺せ。私はこいつに聞かねばならないことがある」鋭く命令すると、ゲンゲツはナイフを持って先生の後を追う。部屋はレイとエルトセプスの二人だけになった。エルトセプスはレイの胸倉を掴んで、顔を引き上げた。
「手短に済ませよう。お前がERTCEPSに仕組んだ呪いはなんだ。あの晩に便利屋と戦ってから、二人の様子はずっとおかしいままだ。どうやら二人をお前に任せすぎたようだな」
レイは首を横に振った。エルトセプスはそれを見て、語気を強めた。「私にたてつく気か?それなら別の考えがある。お前のような死んでも構わないなんて考えている気違いは、尋常な手段じゃ口を割らない事は承知済みだ。よく思い出せよ、お前個人の大切なものを私は握っている。返事次第ではそいつを強く締め上げてやるぞ」
非情な言葉だった。レイの決心が揺らぎ、声が喉元まで出かかった。だが、この亡霊に魂まで売るのは御免だ。レイは口を固く閉ざしたまま、馬鹿にしたようにエルトセプスを見つめた。どうせ亡霊なんだ。既に一度死んだ身で、それが元いた場所へ還るに過ぎない。自分にそう言い聞かせた。
「それが答えか。ならば──」
「エルトセプス!」張り上げた声が部屋に響いた。
拳銃を構えたアルが出口で立っていた。エルトセプスと同時にアルの姿が目に入ると、自然と名前が口をついて出た。「アル」
アルはカヨコと二人で、古ぼけた赤煉瓦の廃墟の正面入口へ近づいた。アスとゲンゲツが逃げ込んだ場所だった。中でこちらが入ってくるのを待ち構えていてもおかしくない。アルは両開きの重厚な扉がついていたであろう正面入口の、すぐ脇の壁に体を押し付けた。カヨコも同じように入口脇に背を預けて、少し覗き込む。中は吹き抜けの倉庫のようだった。だだっ広い空間のあちこちに箱が散乱していて、遮蔽にはなりそうだ。しかし奥には螺旋階段が設置されて、二階と三階の通路が壁に沿って伸びている。あそこから見下ろされては、こちらは丸見えだ。幸い天井が抜けているおかげで、洞窟みたいに暗く見通しが悪いわけではない。用心深く、壁に伸びた通路に人影がない事を確認してから、二人は中へ入った。
アルは入口から一番近い荷箱に走った。足を止めて、耳をすまして、また別の荷箱へ走る。一撃でも命取りになる状況で、アルとカヨコは普段の何倍も慎重に進んでいた。荷箱から荷箱へ走って、ちょうど半分まで進んだ時に通路を駆けてくる音を聞いた。アルとカヨコは荷箱に身を潜めて、じっと様子を伺う。二階の通路に人影が出てきた。自分たちよりもずっと身長が高く、よく見知った人物だった。
「先生!無事だったの」アルは思わず荷箱から身を乗り出した。
二階通路の人物もそれに気づいたみたいだった。二人の名を呼ぶと、急いで螺旋階段まで走って駆け降りてくる。
アルとカヨコも階段へ向かおうとしたが、二階通路にもう一人の影がぱっと現れた。手元に黒光りする短機関銃が見えると、アルははっとして叫んだ。「先生逃げて!」
雷鳴のような掃射音が室内に響き渡った。先生は反射的に身を屈めると、階段を転げ落ちるようにして手すりにぶつかった。アルとカヨコは屈んで、荷箱の影に入るように体を丸めた。アルの荷箱に弾丸の雨がばらばらと当たると、木片と埃を頭に被った。
喚き散らしていた短機関銃が沈黙した。アルはその瞬間を逃さず身を乗り出して、二階通路の人影に向けて撃った。ゲンゲツは通路の床を遮蔽にして、伏せたまま地上階の二人を短機関銃で狙い撃つ。アルは隙を見ては撃ち、さらに飛び込むようにして別の荷箱へと移動する。だが二階通路に近づくほど銃撃は激しさを増していき、膠着状態になってしまった。先生は螺旋階段の手すりから階下へと飛び降りたが、銃撃が激しくて思うように動けていない。
アルよりも拳銃の扱いに長けたカヨコが動いた。六発続けてゲンゲツの近くに撃ちこみながら、射撃が止んだ隙に螺旋階段下へと滑り込んだ。アルも触発されて、二階通路を射撃しながら階段へ走る。ゲンゲツが顔を出して、短機関銃の火を立て続けに噴かせた。アルは首の横を通り過ぎる弾丸の熱を感じた。あと数センチずれていたら、首に穴を開けられていたかもしれない。だが決して歩を緩めなかった。ここでは停滞こそ死に直結する。アルはぎりぎりでカヨコと先生の下へ飛び込み、階段の影に姿を隠した。
先生は戦々恐々としていた。身を守るためのタブレット端末を、奪われたせいか持っていない。文字通りの丸腰で戦場に放り込まれたも同然だ。
「先生、良かった。あのタブレットはどうしたの?」アルは尋ねた。
「エルトセプスに奪われた……レイが私を逃がすために囮になってくれたんだ」
「レイが?」
上階から短機関銃の弾を込め直す音が聞こえてきた。ここに長居するのは危険と分かるや、カヨコが冷静な声で提案した。「私がゲンゲツを食い止める。先生はその隙に脱出して、連邦生徒会か風紀委員会に守ってもらっていて。社長はエルトセプスをお願い」
「カヨコ、一人で大丈夫?」アルは聞いた。
「なんとかする。お互いに気を付けよう」カヨコはアルを見て、先生を見つめた。
先生は心配そうな表情をしたが、すぐに真剣な声で言った。「ありがとう。二人とも、ちゃんと命だけは持って帰るんだよ」
アルとカヨコは頷くと、階段を警戒して登り始めた。カヨコが先頭に立って、じりじりと二階通路へ迫る。ゲンゲツの方から物音はしなかった。
二階の壁沿いの通路を姿勢を低くして様子を伺った瞬間、こちらに向いた銃口とトリガーを引く指が目に入った。反射的に首をすくめると、凄まじい勢いで弾が通り過ぎていく。地面に跳ね返ると、小石をカヨコへ飛ばした。カヨコは階段にうずくまり、猛然と反撃をした。
短機関銃の唸りが少しずつ大きくなると、こちらに足音が近づくのを耳にした。ちくしょう!相手は神秘を持ったままだから、数発の銃弾なんか針で刺されたようなものに違いない。有利な条件にものを言わせて、ゲンゲツは弾丸をまき散らしながら接近してくる。もう数メートルもない!カヨコは精一杯姿勢を低くして、一秒でも自分へ弾が当たるのを遅らせようとした。アルは打開策を脳内に巡らせて、少し壁から覗き込んだ時ゲンゲツの頭上に割れた電球がはまっているのを見つけた。一か八かで拳銃を壁に沿わせて、ゲンゲツの頭上を撃ちまくった。
三発目でがしゃんという音がして、透明な破片がゲンゲツの頭に降りかかった。突然の事でゲンゲツは頭を覆い、破片が入らないように目元を手で守る。カヨコはすかさず階段から躍り出て、短機関銃を持つ手を両手で掴んだ。二人は肉薄して互いを掴み合うと、カヨコは精一杯の力でゲンゲツの足を払って重心を崩した。いくら神秘を持っていても、体重や骨格まで変わるわけではない。二人はもつれ合ったまま、手すりにぶつかると上半身が外に飛び出した。手すりを軸にして全身が回って、投げ出された二人は地上階の荷箱の上へ落下した。
二階通路に出ると、下からカヨコが叫んだ。「社長、行って!早く!」
アルは下を見ずに走った。視界の端で、正面口から外へ走る先生の姿がちらっと見えた。それでいいわ。先生も自分が足手まといになることを自覚して、すぐにその場を離れてくれた。扉のない部屋からエルトセプスの声が聞こえる。拳銃のスライドが後退しているのを見ると、アルはマガジンを入れ替えた。それから一息入れて、拳銃を向けて部屋の中を見た。
がらんとした古い室内に人影が二つあった。上永レイが床に倒れている。その上で胸倉を掴んでいるのは下尊アス──エルトセプスだった。
アルは声を張り上げた。「エルトセプス!」
こちらに気づいたエルトセプスは無表情だった。アルが拳銃を向けているにも関わらず、右手の拳銃をアルに向ける。先生のタブレット端末は部屋の隅に転がっていた。
床に仰向けに倒れていたレイがつぶやいた。「アル……」
「そうとも、お前を助けにのこのこと出てきたぞ。この状況で次にどう出るのか見ものだな」
アルは次にどうでるべきか、先ほどのカヨコの姿から理解していた。互いに銃を突きつけ合っているが、実際にはこちらは丸腰みたいなものだ。ゲンゲツと同様にエルトセプスにはワルサーPPKの直撃は意味を為さない。本当に狙うべきは右手に収まった拳銃だ。後はこちらの肉をどの程度切らせるかの問題だった。
黒い目玉が互いを睨み合ったまま、沈黙が続く。ふいにレイの手が飛び上がって、エルトセプスの右手を思い切り叩いた。渾身の一撃で銃の狙いが僅かにずれると、アルはすかさず部屋の中へ飛び込んだ。再びエルトセプスの拳銃がこちらに向けられて、二人の拳銃が同時に鳴り響いた。アルは頬を弾で切りつけられたが、撃ちだした銃弾は正確にエルトセプスの右手から拳銃を跳ね飛ばした。宙を舞う拳銃を見た途端、アルは猛然とエルトセプスに掴みかかった。金物の落ちるカチンという音。拳銃を失った右手が突き出されると、その腕にしがみついて床に押し倒す。
必至に押さえつけるが、空いた左手の拳がアルの脇腹に鋭くめり込んだ。今ので勢いがつくと、床を半回転して今度はアルが下に組み伏せられる。生傷のついた頬に固い拳がぶつけられると、一瞬耳鳴りがした。次にエルトセプスの両腕がアルの喉元にきた。息をあえがせて押し戻そうとするが、万力みたいな力で徐々に動脈が圧迫されていく。もし気を失ったら、二度と目覚めることはない。アルはかつてないほどに力を込めて腕を引き離そうとした。
急に喉から手が離れて呼吸が楽になると、けたたましい銃声が響く。レイが落ちた拳銃を拾って、エルトセプス目掛けて撃った。エルトセプスはすかさず身を翻すと、シッテムの箱を拾い上げて壁に思い切りタックルをした。老朽化した煉瓦の壁は簡単に崩れて、エルトセプスはそこから地上へと姿を消した。
エルトセプスは自分が使っていた拳銃に過剰とも思える反応を示した。自分にとって明確な脅威であることを認めたようなものだ。アルはレイの握る拳銃を見た。
「貸して!」半ばひったくる形でレイの手から拳銃を奪い取ると、壁に開いた穴から地面を見下ろした。エルトセプスの姿を視野の端で捉えると、そちらに向けて撃ったが影は建物の角へと消えて、銃弾も地面にめり込むだけだった。
アルは深いため息をつくと、跪いていたが、やがて立ち上がった。「大丈夫?怪我はないかしら」
肩を貸して立たせて、服の埃を払ってやるとレイは静かに頷いた。頬の切り傷がじんじんと痛んだが、この痛みが返ってまだ生きている事を実感させてくれた。まだ五体はどこも無事だ。ひとしきりの銃撃戦の後で命があって体がなんともない事が、こんなにありがたく思えたのは初めてだった。アルはエルトセプスの持っていた拳銃にもう弾が残ってないのを確認すると、簡単な分解をしてから投げ捨てた。
「話は後よ、まずはここを出ましょう」アルが先頭に立って部屋を出ようとすると、レイが引き留めた。
「待って、私は神秘が残ってる。もし撃たれても、私なら平気だから前に立つよ」
「駄目よ」アルはこつ然とした態度だった。「神秘はあなたの身体は守っても、心までは守れない。それに誰かを盾にして進むなんて、私の主義に反するわ」
レイがぽかんとする間に、アルは部屋の出口から辺りを窺った。地上階へと落下したカヨコとゲンゲツの姿は見えない。心配だが、カヨコを信じてまずはレイを連れ出すことに集中しよう。通路を渡る間、絶えず地上階と階段に注意を向けて、螺旋階段をゆっくりと降りていく。聞こえるのは外で騒ぎ立てている大勢の声だけで、廃墟内は静まり返っている。地上へ降りると、アルは正面口と上階通路を警戒しながら、次第に外へと近づいて行った。
妨害に遭わずに、無事に正面口から外へと出られると、連邦生徒会と風紀委員会の内戦は収束しつつあった。洗脳されていた生徒たちは、皆ほとんどが拘束されている。あちこちに銃器が転がっていて危なっかしく、アルもこれまで見た事のない光景だった。
先生はリンと他の職員たちに守られて無事だった。ムツキとハルカも、こちらに気づくと笑顔で手を振っている。
「良かった、アルちゃん無事だったんだね!」
「アル様、ご無事で何よりです!」
ムツキとハルカに熱烈に迎えられると、急に生きている事がとても素晴らしく感じられた。何かが違えば、二度と顔を見ることも、声を聞くことも叶わなかったはずだ。そう思うと自然とこみ上げてくるものがあった。
アルは辺りを見て、ふとカヨコがまだいない事に気づいた。「ところでカヨコは、まだ戻って来てないの?」
「カヨコちゃんからも、さっき無事だって連絡があったよ。すこし遅れるってさ」
「カヨコ課長、無事だと良いのですが……あっいえ、決して課長を疑っているわけではなくて」
二人とも心配していた。だがアルは何となくカヨコは大丈夫だという確信があった。
「大丈夫よ、カヨコを信じましょう。すぐ戻ってくるわ」
ゲンゲツとカヨコ以外にも、懸念点はまだあった。エルトセプスは姿を消したままの上、ガリバーも出現したが一向に動いてない。妙だった。とにかく神秘を取り戻さない事には、エルトセプスには勝てない。
「レイ、あいつをぶっ倒すのに力を取り戻さなくちゃいけないの。何か方法はあるかしら?」
振り返ると、レイは顔色が悪くなっていた。アルは思わず大丈夫かと尋ねたが、まだ問題ないという含みのある回答だった。
「便利屋68」レイは深刻な表情で話した。「私にはもう時間がない。神秘の取り戻し方も含めて、あなた達に話さなければならない事があるの」