便利屋68:3 テラーズ・オブ・ザ・スペクトル 作:まーろう
「……ここがいいかしら?いや、それとも……」
「アルちゃーん、いつまで悩んでるの?机じゃ駄目なの?」
「ハイソサエティなお客を迎えるのに、机はきれいにしておきたいの。でも他に良い場所がなかなか決まらなくて」
「じゃーさー、神棚でも作る?それで部屋の上の方に飾っておくとか」
「それは、怪しい宗教みたいになりそうだから却下。社長の気持ちは分かるけど、大切なものならしまっておくのが良いんじゃない?」
「それも考えたけど……できれば目に見える場所に置いておきたいの。あの子を忘れないためにも」
「くっふふ、やっぱり優しいねアルちゃん!」
「そうじゃないわよ。ただ私達が忘れてしまったら、きっと悲しむわ。約束したもの。それを破るわけにはいかない」
「もしそうなったら、夢に出てきそーだよね」
「ううっ、やめてちょうだいムツキ。現在進行形で出てきてるんだから」
「まあ、社長ならそうなるか。亡霊の遺志──平和なキヴォトスは私達には縁遠いし、先生がやってくれるのを見てるしかないかな」
「……いや、私達にもできることはあるわ。あの子たちのためにもただ覚えているだけじゃだめ。やるからには最善を尽くすのが、生きるってことでしょ?」
「ど、どうすれば良いんでしょうか……」
「私たちが託された願い、想いを語り伝えること。それらを伝えるために、先生だけでなく私たちも生きなければいけない。でも私たちの人生は、それだけじゃないわ。この人生を目一杯に生きなきゃいけない。あの子たちの分も……そして最高のアウトローになる。それが生きるってことだと思うの。未来を知るのではなく、この手で創ること──それが時として、先人の遺志を語り伝えることにもなるのよ」
「あ……あのっ、アル様。それではその弾は、飾りにするのはどうでしょうか、ストラップをつければ場所を取らないですし、携帯もできます」
「人の想いを身に着ける──名案だわ、ハルカ!それに銃弾のネックレスをかけた狙撃手……まさしくアウトローの姿よ!」
「いいね!それじゃ皆で買いに行こっか、善は急げってね!」
「お供しますっ。荷物持ちでもなんでも任せてください」
「そういえば、このところ忙し続きだったわね……分かったわ。社員たちの慰労も兼ねて、皆でぱーっと行くわよ!」
「そうだね──っと、社長。電話来たよ」
「なになに?もしかして新しい依頼?」
「……はい、こちら便利屋68、陸八魔です。はい……ええ、もちろんです……はい……フフッ、分かりました」
「その依頼、便利屋68にお任せください!」