『武偵』…凶悪化する犯罪に対抗すべく新設された国家資格。
武偵免許を持つ者は武装が許され、逮捕権を有する警察に準ずる活動が可能になる。
だが武偵は警察と違い金で動く、法律内ならばどんなことでもやる「何でも屋」と思ってもらって差し支えない。
そんな武偵になるための学校が「武偵校」である。
俺はそんな武偵校に在席している諜報科(レザド)2年の百地 五朗(ももち ごろう)と言う、武偵ランクCの弱い部類の武偵だ。
諜報科の学習内容は犯罪組織に対する諜報、工作、破壊活動を学んだり学内での異変をレポートにしてあることないこと教師たちに吹き込む簡単な仕事だ、これで単位を貰えるんだからとても楽だ。
さて、説明はここまでにして現状を説明しよう。
「テメェか?諜報科の百地とか言う奴は」
「オメーのせいで教務科(マスターズ)に睨まれっぱなしなんだよォ~」
「お前のせいで俺達の計画がオジャンになっちまいそうなんだわァ…チョイと遊ぼうぜぇ?」
強襲科(アサルト)の三人に絡まれていた…何て名前だったっけか、たしか外国製の滅茶苦茶強い媚薬を女子硬式テニス部のスポーツドリンクに入れようとしていたって言う俺の書いたレポートの主犯であるバカ三人なのだが、如何せん興味ないことには振り向かない性質で名前がはっきり思い出せない。
「オイ!!なんか言えや!!」
ダンッ!!
リーダー各のデカイスキンヘッドが自動拳銃…トカレフTT33を引き抜いて俺の足元に向かって発砲した。乾いた発砲音は辺りの生徒達の興味を引いたらしく辺りを囲み始めた。
「…はははっ」
「なにが可笑しい!」
「お前強襲科に居て、携行銃がトカレフって…自殺候補者かなんかか?」
「ァんだと!?」
「安全装置(セーフティ)も付いてないような危険な銃をアンタみたいなのが持ってたら蘭豹に殺されるって思わないのか?観た所買いたてホヤホヤの触り馴れていない銃だろ?」
「な、なんで知ってんだ!」
諜報科お得意の「観察」だ、一年の初めは銃の使用年数が日にち単位で分かるまで徹底的に観察眼を磨かなくてはならない。。
因にトカレフTT33は好きな銃だぞ?頑丈、それでいて命中精度が高いからな。
スキンヘッドが頭も顔も真っ赤にしながらこちらを睨んでトカレフTT33を構える。
「野郎死にてぇかァァあ!!」
ダンッ!!ダンッ!!と、トカレフを単発(セミオート)で撃つスキンヘッドの射線上から抜け出して手下の茶髪に向かってタックルする、すると茶髪がよろめきながら自身の銃を構えようとする…が、そこには茶髪が愛用していたであろうM1911A1の遊底(スライド)が抜き取られている。
「お探しものはコレかな?」
まぁスライドぐらい返しておくか、マガジンも抜き取っておいたし。トカレフスキンヘッドとロン毛がこちらに銃口を向けているので、近くにいるトカレフスキンヘッドに向けて予め掠め取っていたトカレフの弾倉を顔面に叩き付けてロン毛のベレッタM8000の射線上にスキンヘッドを持ってくる。
ダンッ!!
と共にスキンヘッドの脇腹にM8000の9パラ弾が直撃する。
「いっでぇ!!」
痛みでトカレフが手から離れ、地面に落ちる。
スキンヘッドの首筋に手刀を入れて意識を落とし、ヒョロいロン毛に投げ渡す。
押し潰されたロン毛を確認して相手さんの無力化に成功した。
野次馬達は一連の流れを見て大いに盛り上がっている、そのなかでも「それでも強襲科か!!」とか「面汚し!!」と、強襲科3人を罵倒する声が一番多く感じる、まぁこの武偵校は敗者が悪だから仕方ないと言えば仕方ないんだが…。
と、その時だった。
ドゥンッ!!
と重音が鳴り響き、騒ぎを鎮圧した。
「なんやこの喧嘩はァ!!」
ドスの効いたの喧声にその場にいた全員が怯む、声場に目を向けると何処からどう見ても堅気の人間じゃない女が立っていた。
強襲科主任教師の蘭豹、東京武偵校三大ヤバイ教師の一人で煙草“のようなもの”を吸っている中国系マフィアの娘だ。
生徒なら誰でも知っている暴力性と理不尽力、そして女を捨てたとしか思えないズボラさは何十回男にフラれた事か知れない。
…因に出会い系サイトに「らんらん」と言う名前で登録していたりする、好きなタイプ強面とは流石は蘭豹女史だ恐れ入ります。
そんな彼女の手にはM500…通称「象殺し」が握られコチラに銃口が向けられている…?なんでだ。
「柴崎ィ…レザドに負けるたァ情けネェよなァ?いっぺん特別補習をしてやろか?」
「ひ…ひぃ…」
バラしたM1911A1を必死に組み立てていた茶髪がガクガク震えながら膝を付く、可哀想に…漏らしてやがるぞ。
「今日7時までに佐藤と三俣を叩き起こして強襲科に来い!」
ドゥンッ!!ドゥンッ!!ドゥンッ!!
と反動の強い「象殺し」を器用に操り柴崎の足元に撃ち込んだ。
「百地ィ!!オマエもハジキ位抜けや!!つまらん戦いかたしやがって」
「はぁ…すいません」
触らぬ神に祟りなし、怒れた豹を挑発する程命知らずじゃない。
☆☆☆
「あははは、それは災難だったのだー」
「全くだ、諜報科と強襲科じゃあ戦いの流儀が違うってのに…」
ここは武偵校構内にあるカフェテリア、本来の用事はこの目の前にいる見た目小学生の人物にある。
平賀 文、彼女は装備科(アムド)が誇る天才で改造魔にある。
「御注文の品なのだ~」
「おう、ありがとさん」
差し出された木箱の封を解き中身を確認する、ソコには俺専用の弾丸がズラリと用意されていた。
「百地くんの考えは面白いから好きなのだ~、この専用弾の案を是非とも譲渡願いたいのだ!!」
「やめておけ、コレは俺の銃だから出来るんだぞ?」
そう言って脇の下に吊り下げている愛銃を引き抜いてみせる。
「おー!44口径オートマグなのだ!!クリント・イーストウッドなのだ!!」
「ダーティハリー4 でハリー・キャラハン警部が使用した自動拳銃だ…まぁモデルは違うがな」
「スゴいレア銃なのだ!!…でも、よくジャムるって聞き及んでるのだ」
「改良はしたが…コツを掴めてないとジャムる、まぁこんなデカブツを扱えるのって俺か噂の“遠山キンジ”って奴位じゃねぇかな?」
「流石は諜報科の百地くんなのだ、お耳が早い!」
噂の探偵科(インケスタ)、遠山キンジ…。
“武偵殺し”のハイジャック事件で一躍有名になった元強襲科の奇才。
有名人“神埼・H・アリア”の相棒。
そして平賀に預けた大口径拳銃“デザートイーグル”のフルオート改造。
「バッカじゃないの?」
アレをフルオート改造とか正気の沙汰じゃないな、腕がイカれてしまう。
制御を効かせられたとしても、狙いが定まるまい。
「…はぁ、うらやまし」
「何がなのだ?」
「いや、気にするな」
そう言って店を立ち去る、うん千万円入ったジュラルミンケースは果たして彼女一人で運べるのだろうか?今となっては気にしちゃいない。
批評感想、よろしくお願い致します。