僕のヒーローアーカイブ   作:アニメヒロアカ、最終シーズン!

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 この作品は、僕のヒーローアカデミア No.429話までのネタバレを含みます。原作はとても面白いしアニメも始まったので、そのどちらかを見てから読むことを強くオススメします!


DEKU : RISING

夢を見た。

 

「⋯⋯⋯⋯」

 

 正面には、女性がいた。光が差し込んでいて、どんな表情を浮かべているのかは分からない。

 

「私のミスでした」

 

 女性が、語り出す。

 

「私の選択、それによって招かれたこの状況」

「結局、この結果にたどり着いて初めて、あの人の方が正しかったことを知りました」

 

 後悔が滲む声だった。

 思わず声をかけようとして⋯⋯瞬間、口が動かない事に気づく。しかも、口だけじゃない。腕や足、頭や首、全身が全く動かせない。

 

「⋯⋯図々しいですが、お願いします」

「⋯⋯デクさん」

 

 僕のヒーローネームを呼んで、女性は続ける。

 

「何も知らなくても、あなたはきっとヒーローとして、大勢の人を救ってくれるでしょうから」

「⋯⋯ですから、デクさん」

「先生と同じ理想を持つあなたなら、この破壊されて歪んだ先の終着点とはまた別の結果を⋯⋯そこへ繋がる選択肢を選ぶ先生を、きっと支えてくれるはずです」

 

 その時、差し込んでいた光が一瞬消えて、女性の表情が見えた。

 

「(⋯⋯待って!)」

 

 その顔を見た僕は、咄嗟に動かない口で喋ろうとして。

 

「ですから、どうか⋯⋯」

 

 瞬間、意識が暗転した。

 

 

 

 

 

 

「⋯⋯さん、緑谷イズクさん!」

 

 誰かに体を揺さぶられて、緑谷出久は目を覚ました。

 目を開けて最初に飛び込んできたのは自身の顔をのぞき込む、二人の見覚えのない女性の顔。

 黒く長い髪の眼鏡をかけた女性と、長い茶髪でスーツに身を包んだ女性だ。

 

「あ、良かった。寝てただけみたいだね」 

「⋯⋯はぁ、キヴォトスの命運を握る重要人物二人が揃いも揃って寝ていたなんて⋯⋯」

 

 目覚めた出久を見て、安堵した様子の二人。

 

 その綺麗な顔は彼の様子を見るためか至近距離にあり、それはクソナードたる緑谷出久にとって刺激の強すぎるものであった。

 彼は幼馴染の爆豪勝己にも負けずとも劣らぬ反応速度を見せて、思いっきり後方へと飛んだ。

 

「ど、どうかしましたか?」

「すごいね、まるで体操選手だ」

 

 出久の行動に困惑する眼鏡の女性と、出久の身のこなしに拍手をする女性。

 

「す、すいません!顔が近くにあったから驚いてしまって⋯⋯ところで、お二人は一体……」

 

 出久は落ち着かない呼吸を整えながら、自身の見覚えのない女性たちに問いかけた。

 

「私は七神リン、連邦生徒会所属の幹部です。そして、私の隣にいらっしゃるのはこれから連邦捜査部シャーレの顧問をなさる先生です」

「初めまして、先生です。よろしくね」

 

 二人の女性──リンと先生の自己紹介を受けて、自分も挨拶をするべきだと緊張しつつも自己紹介をした。

 

「は、初めまして。雄英高校ヒーロー科二年、緑谷出久といいます」

「良かった。どうやら、私たちがお呼びした緑谷イズクさんで間違いないようですね」

 

 経歴を知っているのか、出久の自己紹介を聞いて安堵の息を吐くリン。

 

 それから少しして、呼吸が落ち着いて冷静さを取り戻した出久は、自分のいた部屋を見渡す。

 壁の全面は大きなガラスで、そこからは遠くまでの景色が一望できる。ビルの高層階といったところだろう。

 

 次に、自分の姿を見る。

 服装は雄英高校の制服になっていた。ネクタイがしっかりと結べていることから、出久が自分で着たのではないことは確かだ。

 

 見覚えのない場所、誰かに着せられた雄英高校の制服。リンが言っていた『連邦生徒会』や『連邦捜査部シャーレ』という聞き覚えのない単語。

 

「……七神さん。ここは何処なのか、そして僕がここにいる理由を教えてもらえませんか?状況を把握したいんです」

「リン、私もお願いしていい?」

 

 事情を知っている様子のリンに出久が問いかけ、先生もそれに同調した。

 

「分かりました。お二人に説明します」

 

 そして始まったリンの説明は驚きのものだった。

 

 今いる場所は学園都市キヴォトス、銃の使用に規制がない銃社会であること。

 出久たちを呼び出したのは現在行方不明の連邦生徒会長であり、詳しい経緯を知らないこと。

 先生は『連邦捜査部シャーレ』の担当顧問、出久はシャーレの部長として呼び出されたこと。

 個性がなく、ヒーローのいないということ。

 

(学園都市キヴォトス、連邦捜査部シャーレ……僕と先生を呼び出した行方不明の連邦生徒会長。そして、個性とヒーローが存在しない世界⋯⋯)

 

 リンに告げられた様々な情報から、出久は確信する。

 自分は全く別の世界にいるのだと。

 

「混乱されてますよね。分かります」

 

 出久たちの様子から混乱していることを察したリンが、謝罪の言葉を口にする。

 

「詳しい説明ができず混乱させてしまっていること、申し訳なく思います。ですが今は、私たちに協力してはくれませんか?」

 

 そう言って、頭を下げるリン。

 

「顔を上げて、リン」

 

 それを見た先生が、すぐさま彼女の顔を上げさせる。

 

「もちろん、協力するよ。子どもが生きていく世界を守るのは、大人としての責任だからね」

 

 そして、自身の答えを彼女に告げた。

 安堵した様子のリンの顔が、出久にも向けられる。

 

 少し沈黙の後、出久も答えを告げた。

 

「僕も協力させてください」

 

 正直な話、出久は未だに状況を把握しきれずにいる。

 それでも、リンから学園都市キヴォトスについての説明を聞いて思ったことがあった。

 

(ヒーローがいない世界……なら、僕はヒーローになりたい。この世界での初めてのヒーローに)

 

 そうすれば緑谷出久の、ヒーローの意志を紡ぐ者が必ず現れる。緑谷出久がオールマイトに憧れ、理想を受け継いだように。

 

(意志は必ず、誰かに受け継がれるものだから。オールマイトが僕にしてくれたように、今度は僕がヒーローとしての意志を次に繋ぎたい)

 

 これは、始まりの物語。

 緑谷出久が、学園都市キヴォトスで始まりのヒーローになるまでの物語だ。




 アニメがあまりにも良すぎて、衝動的に書きました。次も楽しんでいただけるよう、頑張ります。
 
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