ここだけレグルスに姉がいて幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線 作:ねえ、おなまえは?
しばらくレグルスと2人での生活をしていたが、幾許か経ったころ、満足した様子で、自信に満ちた顔をして僕の新しい妻たちだと、可愛らしい顔をした女性を何人か紹介してきた。
前髪が短く切り揃えられた、綺麗な子たちだった。
番号で呼ばれた彼女たちは、表情の変化を禁止されているという。
いくらかわいくても、笑うとブスになるのは嫌だからと、笑ったりする事が許せないというレグルスらしい一方的な内容だった。
でも、きっと本当は、最高の笑顔は幼馴染のあの子が持って行ったから、そもそもそれ未満でしかない表情の変化というもの自体を許せないんだろうなと、遠くで考えていた。
私は、私が居なくてももう大丈夫なのではないかと思った。
レグルスにとって、それが幸せな時間ならば私は居なくても良いだろう。
1ヶ月ほど一緒に居たが(もちろん、別の場所に宿をとってそこからレグルスの家へ行っていた。レグルスは一緒に住まないことに反対したが、何人もの人とずっと一緒にいるのはあまり得意ではなかったため、レグルスが折れたのだ)また、ひとりで自由気ままに何ものにも縛られず、強欲らしく、魔法を収集していく自由に旅に出ようと思った。
まだ見たことのない魔導書や魔法を収集したいし、新しいお嫁さんたちがレグルスの事を支えてくれるから、私がそこに居る理由がなくなったと思う。と、書き置きをして、彼が居ない間に空を飛んで領地の外へと出た。
あてもなくフラフラと旅をした。
何ヶ月か経って、気まぐれにレグルスの様子を見に行ってみるとそこには驚くほど沢山の妻がそばにいた。
でも、最初に紹介してくれた彼女たちのうち、何人かが見当たらなかったので質問したところ私が前回、書き置きだけ残して出て行ったのを、止めなかったから、機嫌を損ねたレグルスに殺されてしまったとの事だった。
私のせいで、命が消えてしまったのだ。
番号で呼ばれる彼女たちは表情ひとつ変えずに過ごしていた。
レグルスの為に、レグルスの顔をたたせる為に、完璧で満たされたレグルスの為だけに存在しているのだという。
レグルスは大きな広間に彼女たちを集めて、手をパン、パンと打った後、「僕の大切な姉さんだ。粗相がないように」と告げた。
レグルスに、魔導書の整理のために少しだけ屋敷に滞在することになると伝えると、世話係として何人かの妻をつけてくれた。
私は基本的に権能を解いて過ごしているので、睡眠や食事もとる。
美味しいものは食べたいし、ぐっすり昼まで眠るあの幸福感を味わいたいからだ。
朝起こしてもらったり、髪をとかしてもらったり、読み漁って散らかった本を集めてくれたりと甲斐甲斐しく世話をしてくれる彼女たちと、なんとなく話をしたくなった。
ねえ、よければ貴女たちの話を聴きたいんだけど、と言うと、旦那さまのお許しがないと……と、口を閉ざすので、姉である私が大丈夫と言ったら、平気だよと伝えた。
少しためらった後、ぽつぽつと答えてくれる様になった。
聞けば、妻にする際に要らないから、気に食わないからという理不尽な理由で同じ村に住む人や、家族が殺されたのだそうだ。
それも、妻全員が同じ様な境遇で娶られていると。
私は何となく、自分の村での惨状を思い出した。
同情、したのかも知れない。
それから、気紛れにレグルスが見ていないところで彼女たちの話を聴くことにした。
もちろんあのレグルスの姉ということで、表情に出さずとも皆に非常に警戒され、怖がられ、憎悪の感情を感じた。
でも、暫くすると私が危害を与えるつもりはないと分かったのか少しだけ心を開いてくれる子もいた。