ここだけレグルスに姉がいて幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線 作:ねえ、おなまえは?
流石にもう呆れたのか、必ず帰ってくると分かったからなのか私が気まぐれに家を離れてもレグルスは何も言わなくなった。
いや、正確には「姉さんの魔法に関する知識欲にはほとほと呆れるよ。でもまぁ?集めた魔法をそのままにしておくんじゃなくて、色々な人や、僕や妻たちや町のために色々としてくれているのも知らないわけじゃない。だから止めはしない、それは姉さんの、姉さんによる、姉さんのための権利だからね。でもさぁ、流石にこの僕に何にも言わないで書き置きだけして出ていくのは常識的に考えてどうかと思うな。家族なんだから、いってきます、とか、おかえりなさいとかそういう当たり前の事を、僕が、僕だけが聞いたり言ったりする権利は僕にはあるし、そんな簡単なことなんて子供だってわかる事だ。姉さんももう良い大人なんだから、常識ってものを少しは身につけたほうがいい。急に思い立って出ていくのは、寛大な僕が百歩譲って許そう。だから、姉さんは行く前にきちんと僕に連絡して、行ってきます、行ってらっしゃいって、言い合ってから出ていくようにする事。こんな簡単な事、本当は言わなくても分かってくれていたと思っていたよ。まったく。分かった?」とお説教をくらったのできちんと、行ってきます、行ってらっしゃいを言い合って出発する事が通例となった。
気ままに、何ヶ月か、何年か経過してからレグルスの元に様子を見に行くと、知り合いの彼女たちが減っていたり、新しい子が増えたりしていた。
ほとんどの妻たちが入れ替わっていた時もある。
レグルスに聞くと、「彼女たちが悪いんだ。表情変化は禁止、美しさを保つ為に怪我をしないように、口答えしないようにって約束したのに彼女たちはそれすらまともに守れなかったんだ。それって僕のことを軽視しているってことだよねぇ?だから、僕にとって当たり前のことを当たり前に権利行使しただけだよ。それすらも守れないような用無しにはそれ相応の報いを受けてもらう義務があるよね」と笑って言っていた。
私と時々話をしていた彼女たちも殺されてしまったそうだ。
聞くと、私に関する話題が出た際に、つい、ほんの少し笑顔を出してしまったらしい。
やり場のない、どうしようもない気持ちでいっぱいになった。
だから、今度はなるべく彼女たちと関わらないようにした。
何かを知ろうとしてしまえば、きっと知ってしまった後に後悔する。
人はすぐに死んでしまう。
もっと言うと、彼女たちの命はさらに短いだろう。
私にとっては瞬きするのと同じ位の感覚の間に、次々に入れ替わるし、知るだけ、辛い事が増えるだろう。
時間の無駄だと、それが彼女たちの為なのだと、自分に言い聞かせ続けた。