ここだけレグルスに姉がいて幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線   作:ねえ、おなまえは?

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12話 そんな私でも

 

そんな自分から、他者から逃げ続けた私でも。

 

旅をするにつれて、人と関わる事が増え、優しい人たちにたくさん出会った。

 

あんたが居てくれて助かったよ、とあちこちで感謝の言葉をたくさんかけてもらった。

 

お姉ちゃんは、不器用だけどさ、優しい人なんだねと言ってもらえた。

 

こんな私でも、子供たちは構わず無邪気にお姉ちゃん魔法見せて!遊ぼう、遊ぼう!と誘ってくれた。

 

もう行ってしまうの?あなたが村から居なくなると、寂しくなるわねと言ってもらえた。

 

 

 

私は、周りの環境によって少しずつ変わって行った。

おそらく、良い方に。

 

 

人との関わりによって、感情の変化は殆ど無かった頃よりもほんの少しだけ増え、他の人に関心が向けられるように、関心を向けて良いのだと思える様になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

人を知ろうと、思った。

 

 

今更かも知れない。

 

 

 

私にはそんな資格がないのかも知れない。

 

 

 

でも、そう思う様になったのだ。

 

 

私は自分自身と、他者へと向き合う覚悟ができた。

 

きちんとみんなのことを知りたい。

 

これも知識欲という名の、一種の強欲なのかな。

 

 

 

 

それからは、屋敷に帰る頻度が前より少し多くなった。

 

レグルスの見えないところで、再びお嫁さんたちと交流を深めることにした。

 

この気持ちには私なりの贖罪も入っている。

 

 

 

 

レグルスが歪んで育ってしまった原因の一つに、きっと私が入るからだ。

 

 

肯定しすぎたのか、甘い言葉をかけすぎたのかもしれない。

 

それとも、もっと関わりを無くしていればよかったのだろうか。

 

 

あの時、あぁしていれば、こうしていればと考える事ばかりだった。

 

今だって、こんな状況はおかしいと思いながらも、たった1人の家族である弟を大切に思う気持ちの方が大きくて、弟を罰し、彼女たちを解放することすらできない駄目な姉だ。

 

 

だから、せめてもの償いの気持ちも込めて彼女たちには優しく接した。

 

不器用だから、伝わるか分からないけれど、それでもしないよりましだと思ったのだ。

 

 

 

レグルスの姉という特殊な立場を利用させてもらうことにした。

 

幸い、物覚えはいい方だったから、それを活用する。

 

 

なるべく彼女たちの名前や好きなことを覚えて、名前で呼んで、好きなことや好きなものをできる限りさせてあげたりプレゼントしたりした。

 

世話係のお嫁さんだけでなく、屋敷に居るなるべくたくさんの子とお話した。

 

 

「3ヶ月ぶりだね、リプシィ。君は花が好きだったでしょ。これは珍しい花らしくてね、この前立ち寄った村の特産品だそうだよ、時間と共に色が変わるんだって。花が好きな君のことを思い出して思わず買ったんだ。部屋の花瓶に入れて飾ってくれるかな?ありがとう。

ラランもずいぶん久しぶりだね。君の作るリンガのパイがまた食べたいな、今度一緒に作っても良い?ありがとう。あれ、おいしいんだよね。

サラルサ、相変わらず素敵な髪の毛の色をしているよね。もし良かったら、髪型を変えてみても良い?三つ編みの、編み込みなんてピッタリ似合うんじゃないかな。

あぁでも、レグルスは髪型が変わるのを嫌がるかもしれないから、すぐに元に戻さなくてはいけないけれど、それでも少しくらいなら平気でしょ。

モデルラ、そんな隅にいないで、こっちへ来れば良いのに。ん、頭を撫でて欲しいって?いいよ、ほら。よしよし。

アルル、どうしたの。何で泣きそうなの?

とても不安そうな顔をしてる。何があったか、誰か知っている?割れた陶器で指先を切った、だって?すぐに見せて、治してあげる。よし、これで元通りの綺麗な指になったね。

一安心だ。割れてしまった陶器も直しておこう。

貴女は新顔だね、はじめまして。緊張しないでいいいよ。私は貴女にとって害あることは何もしないと誓おう。

もしよければ名前を教えてもらっても良いかな?

シルフィか。素敵な名前だね。よろしくね。

話したい気分になった時で良いから、好きなものや、好きな事を教えて欲しいな。

さて、今回の旅でまた新しい魔法を習得してきたんだよ。ふふん、小さな花火をあげる魔法だ。くだらないだろう?でも、みんなと見たいんだ。みんなが良ければ、夜にこっそり、一緒に見よう」

 

 

 

毎日の様に精神を削って生きている彼女たちは、ほんのささいな優しさにすら飢えていたのかもしれない。

 

 

それに、彼女がいるとこっそり傷を治してくれたり、レグルスの興味関心は彼女に向くから、彼女がいる間は誰も殺されることがなかったことも大きい。

 

 

 

本当の愛を受け取れない彼女たちにとっては、この僅かな時間が心の支えになっていた。

 

 

何ヶ月後にふらっと帰ってくるかも分からない、何日滞在するかも分からない、不器用で、それでもレグルスとは違って優しい存在にみんな少しずつ依存していっていた。

 

 

 

次にお姉さまに会うために生きる。

 

 

 

 

こうして、レグルスも、私自身すらも、知らない所で妻たちからの私への信頼は思ってもいないほどに着実に積み上げられていっていた。

 

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