ここだけレグルスに姉がいて幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線 作:ねえ、おなまえは?
巨大な氷塊が突如現れたことにレグルスは動揺を隠せなかった。
そしてその真意を理解し激怒した。
僕の愛する妻たちは、かわいくて、なんの非もない、無抵抗の彼女たちはあの尻軽女に殺されてしまったのだ!
エミリアがスバルに合流し、攻撃を放つ。
しかし、どうだろう。
レグルスに変わりはない。権能は健在だ。
完全で完璧で無欲で、満たされた存在である僕はまだ保たれている。
「本当に笑っちゃえるくらい不遜で、どうしようもなく低俗で、呆れるくらい無能で、信じられないくらい厚顔で、救いようがないぐらい下等。で、色々やってくれたみたいだけどさあ。残ったのが盛大な犠牲だけ?それってどんな笑い話なわけ?どう挽回するのかなあ?」
そんな訳ねえ!権能の効果はお前がベラベラと、とスバルは狼狽えながら反論する。
そこへ、エミリアの声が響く。
「53人。53人よ。それが、あなたが無理やり押さえつけていた女の人の数。私は、命の数を数え間違えたりしないわ」
で、それで?
だから?
数を数えられて偉いねって?
余裕たっぷりにレグルスが煽る。
怒りに震える手を握りしめながら、エミリアは続ける。
「私、すごーく怒っているから。もう許してなんてあげない」
「スバル、レグルスの心臓はここ。いま、私の胸の中にあるわ」
レグルスは、嘲笑する。
馬鹿らしい、何を言っているのか分かっていないのか、こいつらは。
そんなことを言って、自分たちで自分たちの首を、ぎりぎりと絞めてるんだってことを理解していないか、する気も無いのか。
「あっ、試してみれば?他に僕の心臓が宿る場所があるかどうか。簡単だよ。今、目の前にいるその女を殺せばいいんだ。できる?できるわけないよねえ?」
狂気的に笑いながら、首を絞める身振り手振りを交えて揶揄うようにスバルたちに言う。
レグルスは大いに油断していた。
慢心していた。
エミリアはスバルを信じている。
そして、身を任せる。
スバルが覚悟をきめ、叫ぶ。
「来いよ、見えざる手!!!」
インビジブル・プロヴィデンスが、エミリアに入っていく。
捕まえた!寄生したレグルスの擬似心臓を引き剥がし、そして、握りつぶす。
スバルとエミリアが安心しているなか、1人置いてきぼりをくらって蚊帳の外にされたレグルスはくだらない茶番や三文芝居の説明をしろよ、と憤りを隠せない。
スバルが、冷静に言う。
「お前、気づいていないのか?」
「足元、濡れているぞ」
え?
――ありえない、ありえないことだった。
足元が水に、浸っていた。
それに気づいた時にはもう遅かった。
スバルたちは逆転のチャンスを掴んだのだった。