ここだけレグルスに姉がいて幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線   作:ねえ、おなまえは?

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魔女の茶会って条件さえ合えば誰でもどこからでも行けるのか分からないけれど、書きたくなったので書きます。よろしくお願いします。


短編 魔女の茶会

 

草原に立っていた。

 

 

おかしいな、さっきまで、空を駆けていたはずだ。

 

綺麗な空に青々とした芝生。

のんびりできる空間だな、なんて思っていると後ろから声をかけられた。

 

 

 

「座らないのかい?お茶をしようよ」

 

 

白い髪に理知的な瞳。

 

喪服の様な黒の衣裳の服装に身を包んだ女性が優雅にお茶を飲んでいる。

 

「ボクはエキドナ。強欲の魔女、と言った方が分かりやすいかな?」

 

これは、魔女の茶会に招かれた、ということか。さて、どうしようかな。

 

「私は魔女教大罪司教"強欲"担当のひとり、レグルス・コルニアスの姉です。強欲の魔女の名を冠する貴女にお会いできて光栄です」

 

 

目上の彼女に敬意を払って胸に手を当て、礼をして、とりあえず、席に着く。

 

 

 

 

ほら、飲みなよと差し出された紅茶に見えるそれに、これがかの有名なドナ茶か、気になるところだと思いながら、感謝を告げて手を伸ばす。

 

 

音を立てずにティーカップを持ち上げて、味わう。

 

うん、美味しいともまずいとも言えないなんとも絶妙な味だ。

 

「魔女に出されたお茶を躊躇せず飲むなんて、君も大概だね。おおかた、どんなものか試してみたくなったという知識欲を満たしたかったのだろう。それで、味の感想は?君はどう思った?教えて欲しい」

 

「美味しいとも、まずいとも言えない普通のお茶でした。ある意味期待通り、と言えます」

 

ふぅん?と興味ありげにこちらを見つめてくる。

 

「堅苦しい言葉遣いはしなくていいよ。君はボクと似ているね、知識欲を満たすために、ありとあらゆるものを貪っていると言っていい。強欲らしくていいじゃないか。気に入ったよ。魔導書や魔法をたくさん収集しているね、そんなに魔法は好きかい?」

 

「ほどほどに。魔法は集めている時が1番楽しいからね。貴女は「ボクの事はエキドナ、と呼んでいいよ」

……エキドナは、生前数多の魔法を収集していたよね。話には聞いているよ。知識欲を満たしたい、知らないものを知りたい、何でもは知らないけれど知っているものは知っている、では満足できない。似た様な考え方で、少しうれしいよ」

 

 

お茶を飲みながら、話を続ける。

 

どうにも、彼女は話したがりの性格の様だ。

 

 

「君はエルフだろう。寿命が尽きるまで、長い長い悠久の時間がある。羨ましい限りだ。その分だけ、知識の収集に使えるからね。新しい魔法もいくつも生み出しているだろう。それに、この世界にはなかった様な魔法も使っているみたいじゃないか。見てみたいな、知りたい、感じたい、実感したい、体感したい、経験したい、知見したくて仕方がないよ!とても興味深い!」

 

興奮した様子で、こちらに身を乗り出してくる。

 

「スバルたちはそれを間近で体感できるんだろう?ボクも死んでいなければ、君とは魔法を集め合う、高めあう、良い友人になれたかもしれないのに。残念で仕方ないよ」

 

「で、そうだ。ボクに何か聞きたいことがあって来たんじゃないかな?何でも教えてあげよう。さあほら、聞くと良い」

 

 

そうか、私は確かにここにくる前に空を駆けながらあることを知りたいと強く願っていた。

 

 

「じゃあ、お言葉に甘えて。私が知りたいのは、身体の汚れをさっぱり無くす魔法だ。環境に影響を与えない石鹸を出す魔法、と言っても良いね。旅の途中は野営することも多い。水浴びだけじゃ気になってね。石鹸があればすっきりするから」

 

 

 

私がそういうと、エキドナは目を見開いて、数秒固まってからいやいやいや、と変な動きをうごうごとしながらツッコミを入れてきた。

 

 

「数多の魔法を収集していたボクに聞くことが、石鹸を出す魔法だって!?そんなくだらない魔法を知りたくて、魔女の茶会に参加できたの!?いやいや、前代未聞すぎるよ!もっと他にさぁ、あるでしょ!?星を落とす魔法とか、そういうやつがさ!」

 

 

「くだらない魔法が好きなんだよ。いま私が欲しているのは石鹸を出す魔法なのだから、しょうがないじゃないか。さぁ、教えてほしい」

 

 

エキドナはえ〜、とか、う〜んとか、なんだか釈然としないなぁと言いつつ、結局教えてくれた。

 

「助かったよ、エキドナ。ありがとう。これで野営でも気にせず過ごせる。そうだ、対価を支払わなくちゃいけないね。何がいいかな?」

 

う〜、と唸りながらテーブルに突っ伏す彼女は、対価と聞いて跳ね上がった。

 

 

「そうだね、対価をもらおう。それじゃあ、君が1番好きな魔法を見せてもらおうかな。それが今回の対価だ」

 

 

 

 

打って変わって、子供の様な目でニコニコと笑いながら、狂気すら感じる眼差しでこちらを見つめる。

 

 

 

「1番好きな魔法か。分かった。エキドナ、私が1番好きな魔法は、綺麗な花畑を出す魔法だ」

 

草原に色とりどりの花が、私たちを中心にぶわりと広がって花びらが舞う。

 

どこからともなく、蝶々が飛んできて、楽しそうに飛び交っている。

 

「くだらない魔法だろう。でも、これが1番好きなんだ」

 

「あぁ、くだらないね。でも、とても美しい魔法だ。気に入ったよ」

 

満足げに笑うエキドナの姿が、ジジッとブレる。

 

「今回はここまでの様だね。本当はもっと魔法について熱く語りたかったところだけど、時間だ。次回があるといい、次はもっと強く知りたいと願うことがあれば、再会は叶うだろう。それじゃあ、また会おう」

 

 

手を振るエキドナに、ちょっと子供みたいだなと思いながら、こちらも手を振る。

 

 

 

急に空に戻る。

 

 

 

 

 

「ほっぽり出さなくたっていいじゃんーーー!」

 

 

 

 

慌てて権能を使い、空中に止まる。

 

私は魔法の発動が僅かに遅いから、咄嗟の時には、魔法より権能を使った方が瞬時に対応できるのはありがたいものだ。

 

フェルンに比べて魔法の発動が遅いところまでフリーレンに似なくて良いのにな、と独り言を言いながら目的地に向かう。

 

そんな、ある日のお話。

 

 

 

 




なんで新しい魔法作ったりこの世界になかった様な魔法を使っているか知っているのはエキドナパワーという事で…!
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