ここだけレグルスに姉がいて幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線   作:ねえ、おなまえは?

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短編 死に戻り

 

スバルに内緒で、ずっと死に戻りの解析を続けている。

 

難解だ、複雑で強固すぎる。がんじがらめと言っていいほどだ、魂に直接的な影響を及ぼしているからなのだろうか。

 

 

せめて死に戻る感覚を掴めたらな、イメージできれば魔法に組み込めるのに、と模索して……

いや、まてよ?死に"戻り"はしていないが、私だって一度死んでいる。

 

だから転生したんじゃないか。

 

 

 

 

あの時の感覚を思い出す。

 

 

 

苦痛に喘ぐ一方で、楽になっていく、意識が遠のくあの感覚。

そして、急にハッと目が覚める、覚めさせられる様なあの感じ。

 

 

核心を掴んだ感じがした。

 

なんてことはない、灯台下暗しとはこのことか。とんだお笑い種だね。

 

 

術式を構築していく。

多分、スバルの様に死に戻りのセーブポイントが分からない様式のものになるだろう。

その制約がある代わりにやり直しの回数制限はなし、彼のイメージがあってよかった。

あとは自分が死んでいくあの時の感覚を組み込んでいく。

パズルのピースがはまっていく様に、魔力を編み込んでいって……2、3日かけてできた、と思う。魔導書に書き込む。

 

 

これは、死んで戻る魔法、と言うには少しお粗末すぎる魔法だ。

戻れる期間がかなり限られている。

おそらく、半日以内、長くて1日だろう。

戻ったら死ぬ数秒前でした、なんてこともありえる。

 

それでも十分だった。

 

私が死んだ時に発動する様に、そうだな、イヤリングに術式を組み込んで魔道具にする。

 

 

実験してみよう。

 

試さずにはいられない。

 

うずうずする。

 

我ながら、うまく構築できていなければそのまま死んでしまう魔法を試さずにはいられないなんて、強欲すぎて笑ってしまう。

 

死んだらその時はその時だ。レグルスは怒るだろうな、と思った。

 

 

 

 

 

 

 

じゃ、試そうか。

 

 

誰かに殺してもらうのは流石に気が引けた。

成功確率が分からない勝負に乗ってもらうほど、私は非人道的ではない。

特にスバルはなるべく死に戻りをしない様に、自分が死んだ後の、そんな世界線がないように心がけているだろうから、私の気持ちとは相反するものだ。

 

 

 

 

 

 

竜車に揺られて、スバルとレグルスがくだらない内容で言い争っている。

 

 

 

ちょうどいいタイミングだ、この先に魔獣の群れが居るではないか。

 

「この先に魔獣の群れが居るから狩ってくるよ」と、空を踏み締めて、おい待て待て!と言うスバルの声を置きざりにする。

 

さあ、やろう。私を殺してみろ。

 

無抵抗な私を魔獣が爪で切り裂き、歯で砕いていく。

 

久しぶりの痛みだ。

 

あぁ、試せる!痛みよりもうれしさがまさり、思わず笑顔が溢れる。

 

 

 

 

スバルたちの声が遠くから聞こえてきた。

 

むせかえる様な血の匂いが辺りにひどく立ちこめる。

 

思考が鈍っていく、この感覚。

 

 

視界が血に染まる。眼前に大きく口を開けた魔獣が見えた。

そして、一瞬の間の後、意識がぷつりと途絶えて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

起きているのに目が覚める感覚がした。

 

 

 

竜車の中だ。スバルとレグルスがくだらないことで言い争っている。

 

 

少し先には魔獣の群れの気配がする。

 

 

戻ってきた。戻って来れた。完成だ。

 

 

スバルは何か違和感を感じている様だった。

死に戻りの時の様な時間が巻き戻る感覚だけがあって、でも死んだ記憶がないから不思議だったのだろう。

 

 

死に戻りは彼に授けられた特別な権能の力なので、これは、そうだな、回帰する魔法としよう。

竜車に合わせてイヤリングが揺れる。

 

新しい魔法の誕生に思わずふふん、と笑顔になる。

それを見たスバルたちが驚いた表情を浮かべる。

そうか、側から見たら急に満足げに笑う変人じゃないか。

 

「なんだ、お姉さん、そんな顔で笑えたんだな」

 

「今まで見た中でもとっても可愛い笑顔だったわ!」

 

スバルとエミリアが言う。

 

「待て待て待て待て!!お前らは見るな!見る権利がない!僕の姉さんだぞ!姉さんも、僕にだけ笑顔を向けてくれるなら分かるけれど、こいつらにまで見せる必要ないよね!?それって僕だけに与えられた権利をずかずかと土足で踏み入らせる常識のない行為だってこと分かってるかなぁ!」とレグルスが騒ぎ立てるが、まあいつもの調子なので気にしない。

 

「とてもいい経験ができたんだ」と、いつもの表情に戻って言う。

 

あぁ、気分がいい。

 

「この先に魔獣の群れがいるから狩ってくるよ」と告げ、スバルの静止を聞き流して空を踏み締めて進む。

ゾルトラークで魔獣の群れを一掃する。

 

 

いつかこの話をしようかな、と思う。

 

いや、それとも内緒にしておいた方がいいか?

 

スバルには話してもいいかも、と思った。

少しでも彼の気持ちに寄り添えられ……るのかは分からないけれど、というかスバルの考えとは真反対だから怒られるかもしれないけれど、使えるものが増えるのはいいことだろう。

 

レグルスには絶対に黙っておこう。

 

そう決めた、ある日のお話。

 

 

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