ここだけレグルスに姉がいて幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線   作:ねえ、おなまえは?

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2話 バッドライフがデフォらしい

―― 目が覚める。

死んで、目が覚めるとはどういうことかと戸惑ったが、あぁ、これがいわゆる転生というものか、考えを巡らせる。

 

けして豊かとは言えない村に生まれた。

 

村では私が生まれてから大騒ぎだった。

私が、エルフだったことが原因だった。

 

この世界では、銀髪で紫紺の瞳を持つハーフエルフの魔女が人々の間で大変恐れられているらしい。

あれ、なんか、聞いたことあるような……?

 

私は、エルフらしく耳が横に尖った形をしていたが、白髪だ。それと、目は両親と同じ黄色だ。

伝承の中の魔女とは全然違うということは明白なのに、なぜそれでも恐れるのか。

 

 

白髪が銀に見えるから?特徴的な耳だから?だから、それで、それだけでこうも邪険にされるとは。

 

それに輪をかけて状況を悪くしたのは、私の両親が、ただの人間だったことだ。

 

人間同士の夫婦の間にエルフが生まれたと、小さな村だったのであっという間に噂が広がり、それが魔女に似ているとなると、まるで悍ましいものを見るような、恐れられているような視線、嘲笑、罵倒を毎日のように浴びせられた。

 

確かにありえない者が急に現れたら異物だろうなぁ。

 

 

流石に目の色が違うと言う分かりやすい差異があったから、魔女だ、魔女だとは言われなかった。かわりに気味の悪いバケモノ、悍ましいバケモノと。

 

毎日毎日。よく飽きないものだ。慣れないものを、ありえない事象を厭忌する気持ちは分かるが、大人から子供まで揃いも揃って、なかなかに幼稚で、稚拙で酷かった。

 

 

馬鹿らしい。

 

黙殺した。

 

無視できた。

 

静観できた。

 

感情は平坦化していった。転生していなければこの理不尽な扱いに、もっと辛く苦しい思いをしていたと思うが、すべてが他人事のように思えて、何を言われようとも、石を投げつけられようとも、どうでも良かった。

 

 

私は転生の影響か、生まれた時から自分はエルフなのだと理解していたが、ハーフエルフの魔女の件から、母はエルフとの不貞を疑われ、一時期卑しい者として見られてしまっていた。

 

しかし、風見の加護を持つ者がたまたま村を訪れた時に嘘をついていないと言われ、救われたそうだ。

 

私が生まれなければ、そんな思いをさせなかったのにな、と思った。

 

 

そんな生活にも慣れはくる。

 

ある程度成長したある日、顔を洗おうと、ふと、水盆を覗いた時だった。

周りが私の容姿について騒ぎすぎていたからこそ、なのかもしれないが、今まで自分の見た目に頓着してこなかった。

 

だが、なんということだろうか。改めてじっくり見てみると、目の色こそ違えど、まさにその顔は生前にアニメで見ていた魔法使い、フリーレンそのものだった。

 

まだそんなに長さがなく、かなりの癖っ毛ではあるが、白とも、銀とも、薄紫ともとれる髪色は両親のどちらとも異なり村でも悪目立ちしていた。

 

なんとまぁ、フリーレンだったとは。 

ならば髪色や種族も納得がいく。

 

いや、待てよ、と思い返す。彼女の生まれはエルフの集落ではなかっただろうか。

エルフが忌諱されるような世界だっただろうか?いや、違う。

 

それに、たしかエルフの集落が壊滅させられて、フランメにであって……。

 

ということは、あれだ、ここは葬送のフリーレンの世界では無いのか。

 

つまり、私はフリーレン擬きだ。

 

ヒンメル達と冒険できないのは残念ではあったが、魔王討伐をしなくていいのは少し気が楽でよかった。

 

この世界にも魔法は存在している。

 

しかし、葬送のフリーレンの世界のものとは少し毛色が違うようだった。氷の塊を作り出したり、火炎球を放ったり。もっと実用的だったり、くだらないと思えるようなものがあってもいいと思うのにな、とひとりごちる。

 

 

考え方も結構フリーレンに引っ張られているのかもしれない。

 

試してみたところ、私が使える魔法は、フリーレンの世界の魔法と、この世界の魔法、その両方だった。

女神の加護がある僧侶でなくても、治癒魔法が使えることには便利だな、と思う。

 

 

さて、フリーレンといえばあの杖だろう。

 

杖が無くとも魔法は使えるが、やはりあった方がしっくりくる。

そうと決まればさっそく、木を厳選して、魔力の強い鉱石を掘りに鉱脈へと一人出かけ、宝玉を磨き上げ、結構な時間を費やして身の丈ほどの杖を作りあげた。

 

それからは毎日のように森に入って魔法の鍛錬をした。

見たこともない、誰も教えていない魔法を練習し始めると余計に気味が悪いと言われたが、魔法の練習や探求は止めなかった。

 

何年かして、弟が生まれた。その後も、続けてまた弟が生まれた。

弟たちは私と違っていたって普通だった為、両親はほっとしただろう。

 

真ん中の弟はレグルスといった。

 

 

 

 

……レグルス?

 

うちの家名はたしか、コルニアスだったはずだ。

 

わぉ、ここリゼロの世界だ、と心の中で思う。家名がコルニアスの時点で何かひっかかりがあったけれど、まさかレグルスの家族になったとは。

 

うぅん。リゼロかぁ。リゼロ、リゼロ……。

前世の記憶が朧げだからしっかり思い出せない。

 

たしか彼、魔女教の大罪司教になるんだっけ……?

 

慣性無視の動きで橋に激突してなっさけない叫び声をあげて吹っ飛んでいることくらいしか覚えていないぞ…。

 

でも、いつ大罪司教になるのかなんて分からないし、確か結構性格が捻じ曲がってたよね。

 

私は普段からほとんど感情を外に出さず、あまり笑わず、冷たいような印象を受けると周りから言われてきた。

あまり関わらないようにすれば、大丈夫かなぁ。

 

関わりすぎないのもきっとよくない、かといって関わらない様にすると無視するなんて僕のことを軽視している、権利の侵害だ、とか思われるんだろうか。

難しいな。

 

でも今は、今だけは、弟たちが楽しそうにきゃらきゃらと笑う姿を見て、これがずっと続くといいんだけどな、きっとそれが"普通"なのだろうなと思った。

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