ここだけレグルスに姉がいて幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線   作:ねえ、おなまえは?

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おかしな方向に進もう!そうしよう!


7話 どうして、こうなった?

 

 

 

 

……レグルスや幼馴染のあの子に会いに行こう。

 

剥がれた爪を治癒魔法で治しながら、福音書を鞄にしまう。

 

空を飛ぶ魔法で領地の方へ向かう。

 

 

あちこちで立ち上る煙から、すでに事は済んでいるらしい。

 

レグルスの居場所を、権能を使って探す。

 

 

彼らは中央の広場にいた。

 

フードをめくり、元のエルフの姿に戻って近づく。

 

レグルスと、幼馴染の彼女、あぁ今はもうお嫁さんなんだったか、が驚いた表情を見せる。

 

レグルスが口を開くが私が遮る様に喋る。

「姉さ「悪かった。本当に申し訳ないと思っている。私がいれば、なんて自惚だと思うが、何かが変わっていたかもしれない。もう少し早く、村のことを気にかけていれば。もう少し早く、魔法の収集を一旦、辞めていれば。もっとレグルス、君の鬱積した気持ちに目を向けていれば、こんなことにはならなかったかもしれない。だから、許して欲しいなんて言わない。見て見ぬ振りをしていただけなんだ。君のことをもっと知っておこうとしなかったんだろう。なんで今頃気づいたんだろう。ただただ、自分の愚かさに辟易している。愚かな奴だ、私は。あの村人たちとなんらかわりない。君たちにこんな顔をさせたくなかった。こんなことをさせたくなかった。本当にごめん、ごめんなさい」

 

立て続けに君と同じく強欲の権能を授かってしまった、と吐露する。

 

ぼたぼたと涙があふれ出てくる。

 

この子たちには、別の未来があったのかもしれないのに。

 

 

そう思っていると、あの惨劇を引き起こしたとは思えないほど、いつもの調子で、変わらないあの調子で、驚くほど軽い口調でレグルスは喋り始めた。

 

 

「あのさぁ、姉さん。久々の再会で気持ちが昂っているのはよく分かるよ?でも、僕が喋ろうとしているのを遮って、あまつさえ自分が悪かった、だって?勘違いも甚だしい、僕らと姉さんで認識が違いすぎて話にならないね。それは僕らに対する一方的な考え方の押し付けだ。僕らの権利の明確な侵害だ。僕らには僕らなりの考えを伝える義務がある。姉さんにはそれを聴く義務がある。そうだろう?じゃあ、あらためて聴いてもらうけれど、まずあれもこれもやったのは僕だ。選ばれたんだ。完璧で、完全で、満たされた存在になった僕だ。散々馬鹿にして来た馬鹿な連中も、僕のことや姉さんのことを陰で嗤っていた唾棄すべき家族も、みんな僕がやってやったんだ。光栄に思うべきだ。完璧なこの僕に殺されたんだからね。彼女の家族も、気味が悪いエルフの家のガキとは結婚させられないとかなんとか言ってごちゃごちゃと煩いから殺して黙らせたよ。僕は基本的に平和主義者なんだ。そんな僕でも、黙って聞いていられないほど酷い言い方だったんだ。だから当然の結果さ。今ここを攻め落としたのは、僕らの住んでいた貧相な村を気にする素振りすらなく、自分達の私腹を肥やす事しか考えずにいる馬鹿どもに誰が上に立つべきか、僕らを蔑ろにして来た報いをどう受ければ良いのかわざわざ教えてあげに来たのさ。まあ、あっさり終わったけれどね。それより、姉さんも強欲の権能を手に入れたことにはこの僕も流石に驚いたよ。いや、魔法の収集や探求にのめり込む姿は今は亡きエキドナの話と重なるところがある。魔法を収集して、それを活用する姉さんは建設的だ。だから姉さんにはぴったりだったんだろうね。でも、少し嬉しいよ。奇しくも同じ強欲の権能を授かるなんてね!」

 

 

 

呆然とする私の事など、見向きもせず両手を広げて、自信たっぷりという表情で、つらつらと話を進めている。

 

 

ふと、レグルスの隣の幼馴染に目をやると、俯き、肩を振るわせ、喜んでいるようには、到底見えなかった。

 

ぽたり、ぽたりと涙が頬をつたい、地面に染みを作っていっている。

 

 

それは、そうだろう。

 

 

自身の村を、あまつさえ家族を残酷に、残虐に、悪虐に蹂躙し殺されてしまったのだから。

 

花畑を出す魔法に喜んで、花冠を作ってニコニコとしていた彼女は、もう居ないのだろう。

 

 

 

 

 

そう思っていた時だった。

 

不意に彼女が顔を上げた。

 

 

笑っていた。

 

 

笑顔だった、今まで見た中で、1番の、歪んだ、かわいい笑顔だった。

 

「あぁ、お姉さま、お姉さま、お姉さま。お姉さまが気に病む必要なんて、これっぽっちもないんですよ。あの村は、私の家族も含めて下衆の集まりだったんです。だって私のお姉さまのことをあんなに酷く言ったんですもの。報いを受けて、当然です。私は、やっとお姉さまの本当の家族になれてうれしくて、うれしくて、死んでしまいそうになるくらいです。だから、そんなお顔、しないでください。今度は私たちが3人で楽しく暮らせるようにいたしましょう。そうと決まれば、まずは家探しからですね。お揃いの物もほしいです。お姉さまの美味しい料理も食べたい。お菓子も!私もこんなに強欲なのに、やっぱり本当の家族じゃないから、きっと権能はいただけないけれど、それでも良いんです。私は満足しています」

 

 

あぁ、もしも、もどれるのなら、あの時の花畑に戻りたい。

 

どうして、こうなった。




にっこり。
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