機動戦士ガンダムSEED DESTINY REBIRTH 運命の再生――運命に抗う少年と、崩れゆく世界――   作:屠龍

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第二話 襲撃

 第二話 襲撃

 

 ステラの歌声が湖面のコテージに響きわたる。

 研究所から開放された子供たちがステラに群がって、もっと歌ってとリクエストする。

 ステラは子供たちの頭をなでながら困ったようにシンを見る。

 今日はこの後、シン、ステラ、ニコル、マユの四人で商業施設でダブルデートの予定が入っている。

 シンが微笑みながら頷くと、ステラはリクエストに応えて歌い出した。

 

 ステラの持ち歌『希望の鈴音』

 

 優しく心地よい歌声を聞きながらコーヒーを飲む。

 子供たちに歌を歌い教える事はステラの喜び。

 その為なら何時間でも待とうとシンは思う。

 シンは普段ジャンク屋に雇われて、作業用MSの操縦を行っている。

 戦争ではなく平和の為にMSを動かす仕事はとてもやりがいがある。

 同僚のロウ・ギュールと知り合いなので仕事もやりやすい。

 

 「ステラさん綺麗ですね」

 

 隣に立つニコルがそう言うとシンは頷いた。

 マユの機嫌が悪くならないかと不安になって見ると、予想通りマユは不機嫌そうな顔でニコルを見つめていた。

 ニコルの気持ちが動くわけではないが、やはり面白くないらしい。

 正妻の余裕はまだ無いようだ。

 マユはまだ子供だから仕方がない。

 堂々と構えていればいいのにとシンは苦笑する。

 ニコルが慌ててマユに謝っている。

 シンは苦笑しながら二人を眺めた。

 こんな日常がいつまでも続けばいい――そう思った。

 

 「ニコルの浮気者」

 

 「浮気なんてしないよ。僕の一番はいつでもマユですよ」

 

 ザフトの赤服も妻には弱いらしい。

 いや流石に十歳で妻は無いか。

 ニコルとは六歳違いなのをマユは気にしている。

 当のニコルはあと八年たてば、マユが十八歳でニコルが二十四歳になるので気にしなくていいと思っているのだが、子供の八年は大きい。

 十八歳のマユはきっと美しく成長しているだろうなとシンは思う。

 その頃シンは二十三歳。

 ステラは何歳だろう?

 ステラは年齢の記録が無いからシンより年下なのはほぼ間違いない。

 ───発育がいいから年上の可能性もあるが。

 

 「どうでもいいか」

 

 ステラが年下でも年上でもシンの気持ちは変わらない。

 シンにとってステラは宇宙で一番大切な女の子なのだから。

 ついこの間までマユが一番のシスコンだったのだが。

 

 ───そんな幸せは突然終わりを告げた。

 最初は軽い振動と、湖面の小さな波の変化。

 それが突然激しい振動に変わった!!

 人工の空にひびが入り、暖かな陽光が遮られ、閃光が走る。

 数秒後、爆音とともに天井からガラス片が降ってきた。

 子供たちの悲鳴。風圧。重力が狂う。

 

 「危ない!!ステラ!!」

 

 慌ててステラに駆け寄るシン。

 反射的にマユを抱きしめ庇うニコル。

 何が起こったのかわからない。

 そしてシンの目の前で巨大な刺し身包丁のような鋭利なガラス片が、子供たちを庇ったステラの背中を貫いた!!

 

 「ステラァァァ!!」

 

 ───ハーバーコロニーの外延部ではザフトのローレシア級MS搭載艦と地球連合のドレイク級宇宙護衛艦が激しい砲撃戦を行っていた。

 ザフト軍は精鋭だが、地球連合の艦船は十倍。

 普通に戦って勝てる相手ではない。

 訓練中だったルナマリア・ホークとレイ・ザ・バレルにも出撃命令が下った。

 練習生でさえ投入しなくてはならないほどの苦戦だ。

 ルナマリアが激しい振動で床に叩きつけられそうになる。

 

 「いきなり実戦!?訓練課程も終わってないのに!!」

 

 「いくぞルナマリア」

 

 状況の変化に驚き、慌ててパイロットスーツを着るルナマリアと落ち着いた様子のレイは対照的だ。

 格納庫で実習中だったヴィーノ・デュプレとヨウラン・ケントも大慌てでカタパルトハッチから退避する。

 

 「何だ何だなんなんだよ!!」

 

 「演習じゃないのは確かだよ!!」

 

 『コンディション・レッド発令!!コンディション・レッド発令!!当艦隊は地球連合艦隊の攻撃を受けました!!コンディション・レッド発令!!繰り返します!!コンディション・レッド発令!!オール・ウェポン・フリー!!練習生も全員配置について!!これは訓練ではありません!!繰り返します!!これは訓練ではありません!!』

 

 パニックになったメイリン・ホークの艦内放送の響きにヴィーノとヨウランは慌てて宇宙服を着る。

 その横をパイロットスーツに着替えたルナマリアとレイが駆け抜けた。

 

 「敵はネルソン級宇宙戦艦四隻、ドレイク級───二十四隻!!こんなのもう駄目!!」

 

 通信管制訓練生だったメイリンの叫びに、艦橋の空気が凍る。

 訓練生たちの顔が青ざめた。

 その姿を見てタリア艦長が声を荒げた。

 

 「落ち着きなさい!!機関最大船速!!ピッチ角四十!!ハーバーコロニーから引き剥がします!!アマルフィ隊長は今どこ!?」

 

 「ハーバーコロニー内です!!」

 

 その報告にタリアはコンソールを手にした。

 実戦経験者でザフトレッドのニコルが帰艦すれば持ちこたえられる。

 そう考えたタリア艦長は防御に徹する事にした。

 

 「アークエンジェルとドミニオンはどこ!?」

 

 「予定ではあと一日でこちらに到着予定です!!」

 

 「すぐに救援要請!!早くしなさい!!」

 

 「は、はい!!」

 

 副長のアーサー・トラインの返事にタリア艦長は唇を噛んだ。

 こちらはローラシア級が三隻、MSは訓練生を入れても十二機しか出せない。

 相手は戦艦四隻、巡洋艦二十四隻、MSは最低でも六十機はいるだろう。

 

 「アークエンジェルとドミニオンがくれば互角、いえ勝てるわ。アーサー、全MSに厳命。可能な限り防御に徹するのよ。未来のザフトの至宝、みすみす死なせるわけにはいかないわ」

 

 「間に合いますかね」

 

 「間に合わなかったらハーバーコロニーを死守するまでよ」

 

 ───ハーバーコロニーはナチュラルとコーディネーターの理想郷。

 何があっても守り抜けとの命令を受けている。

 遠くプラントにいる想い人を思い出してタリア艦長は歯を噛みしめた。




さあ物騒になってまいりました。
CEに平穏?平和?そんなのある訳ないじゃないですか。
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