機動戦士ガンダムSEED DESTINY REBIRTH 運命の再生――運命に抗う少年と、崩れゆく世界―― 作:屠龍
ニコルは自室で珈琲を飲みながら端末で今までの事を思い出す。
……この記録を、誰が読むのだろう。
もし未来に、もう一度“運命”が動き出す日が来るのなら――
そのとき、この言葉が誰かの心に届けばいい。
僕たちはあの“静寂の楽園”から始まった。
ミラージュ・コロイドに包まれた平和なコロニー。
そこではシンが笑い、ステラが歌い、マユが未来の夢を語っていた。
僕もその中で、ただ音楽を奏でる一人だった。
けれど……その平和は、いつまでも続くものじゃなかった。
ブルーコスモスの襲撃。
あの日、穏やかな時間は無惨に砕け散った。
炎の中で、僕らはそれぞれの“選択”をした。
シンは再び剣を取り、戦場へ。
僕もまた、マユとコロニーを守るために艦へ戻った。
ルナマリア、レイ、アグネス。
訓練の日々の中で笑い合い、ときにぶつかり、
誰もが“自分の戦う理由”を探していた。
優しさも、怒りも、恋も――戦場ではすべてが試される。
それでも、絆だけは確かだった。
やがて訪れた“ユニウスセブン落下”。
世界を震わせた災厄の中で、僕たちは見つけたんだ。
――それでも、生きるという意志を。
戦場で響いた音楽。
歌とピアノ、それは小さな希望の灯だった。
ルナが笑い、アグネスが歌い、シンが空を見上げた。
誰もが心のどこかで信じていた。
この世界に、まだ“未来”があるのだと。
オーブでの休息。
カガリ代表とアスランの言葉が、僕らに道を示してくれた。
真実を見失った世界で、嘘が火種を生み、
再び憎しみが風を呼ぶ。
それでも、真実を求めて手を取り合う人たちがいた。
キラ、ラクス、カガリ、そしてアスラン。
その中に僕がいたことを、誇りに思う。
オーブの空を離れたあの日、
潮の香りがした。
風は穏やかで、朝陽は優しかった。
それでも僕たちは、感じていた。
――もう同じ空の下では笑えないかもしれない、と。
それでも進む。
信じるものを守るために。
仲間と共に、まだ見ぬ明日を掴むために。
シンは空を見上げ、ルナはその隣で微笑んだ。
レイは静かに前を見据え、アグネスは唇を噛みしめていた。
誰もが戦いを恐れていた。
けれど、誰一人として逃げようとはしなかった。
その始まりを、僕はこの目で見た。
静かな港を離れ、炎の空へと向かうミネルバ。
僕はそっと呟いた。
「どうか、また笑って会えますように」
祈りにも似たその言葉を、
潮風が優しくさらっていった。
次回予告
――別れの風が吹いた朝。
それは、再び戦場へ向かう者たちの旅立ちの風でもあった。
守るために戦う者。信じるために刃を取る者。
そして――運命に抗う者たち。
炎は再び、世界を包む。
次回、機動戦士ガンダムSEED DESTINY REBIRTH
「第五十一話 嵐の海 ─雷鳴の下で─」
戦場に散る火花が、未来への道を照らす――!
いつもご愛読ありがとうございます。
この作品が50話までこれたのはみなさまのおかげです。
前半のシンが旅立ち、ザフトに入隊する経緯を長くとったので本編に入るまで時間がかかりました。
前話【完結】僕のピアノよCEに響け。逆行したニコルが絶望と悲しみの世界をやりなおします。
https://syosetu.org/novel/362073/
外伝を含む全151話、492096文字で完結しています。完結していますので安心してお読みいただけます。
前話で世界は一旦平和になり、オーブも生き残り、ステラもマユも生き残ったので一般人のシンを軍人にする理由に悩んだ結果です。
この世界のシンはオーブも焼かれず家族も生き残ったので劇場版に近いキャラになっています。
まだまだ原作小説一巻の終わりに来た所ですので、よろしければ読んでいってください。