機動戦士ガンダムSEED DESTINY REBIRTH 運命の再生――運命に抗う少年と、崩れゆく世界―― 作:屠龍
第七話 暁の光
宇宙に閃光が走った。
コロニー外壁に次々とビームとミサイルが叩き込まれる。
それを、ザフトのローレシア級ウルージが防御層を張って必死に受け止めていた。
艦橋ではタリア艦長が歯を食いしばり、前方スクリーンを睨みつける。
既に僚艦のネメスとグルーゼンとは通信が途絶しており、撃沈されたか大破で動けないかのどちらかだろう。
残存MSはニコルとレイの二機。
ルナマリアを含め、生存パイロットは三名のみだった。
レイ・ザ・バレルは生き残ったザフトのエース、ニコル・アマルフィと共に絶望的な戦場を駆ける。
ビームが何度もコロニーをかすめ、居住区が光の帯に飲み込まれていく。
悲鳴すら聞こえない無音の地獄。
「……俺は、まだ死ねない」
レイの手が震えていた。
何のために、この操縦桿を握っているのか。
答えはまだ見つからない。
ニコルが先陣を切り、ストライクダガーを二機同時に撃破した。
ニコルは自分を拾ったラウ・ル・クルーゼを倒し、仲間と協力してコロニーを守っている。
なら自分はなぜ、何のために戦っているのだろう。
「……俺は、何のためにここにいる」
戦場のただなかでレイは迷う。
迷う、いったい何に?
レイの乗ったゲイツの右腕が吹き飛び死を覚悟したが、ニコルのザクがレイを庇った。
「まだ諦めるな、レイ。君にも……守りたい誰かがいるはずだ!」
「了解!」
ニコルはリジェネレイトをオーブに引き渡した時、ザフトの後始末とピアニストとしての復帰を考えた。
静かで平和な世界でマユと穏やかに暮らす夢。
「───マユ」
恋人を最後に泣かせた事に後悔しながらニコルは引き金を引き続けた。
───ウルージの艦橋でタリア艦長が叫ぶ。
「生き残っている機体はこれ以上散開しないで!!ハーバーコロニーを落させる訳にはいかないのよ!!」
通信を通してタリア艦長の言葉が響く。
守るために戦う。
ウルージはすでに満身創痍だった。
ストライクダガーの群れが光の雨となってウルージに襲いかかる。
無数のビームが宇宙を焼き、ウルージの装甲を赤く染めた。
戦場はもはや戦術ではなく、執念のぶつかり合いだった。
ウルージは激しく揺れ、艦橋は立っていられない程だ。
ストライクダガーの群れがウルージに止めを刺そうと襲い掛かる。
メイリンが恐怖に目を見開き、アーサーが震えながら前方を見据えた。
「───ここまでね」
タリアが最後の命令、特攻命令を出そうとした時、オレンジ色のアストレイがMMI-M8A3 76mm重突撃機銃を手にストライクダガーの群れに突っ込んでいく。
陣形を乱したストライクダガーにシンは射撃を繰り返し、弾丸がストライクダガーを一機、また一機と撃ち落としていく。
「まだ諦めるか!!俺はステラを!!みんなを守るんだ!!」
敵機が火花を散らして爆発した。
だがストライクダガーが放ったビームがアストレイの右足を吹っ飛ばし、機体制御できなくなる。
しかしシンは諦めなかった。
コロニーの中にはマユとステラがいる。
今も生死の境で必死に生きようと戦っているんだ。
平和の歌を歌っていた少女が理不尽な暴力に抗っている。
そんな力に負けるわけにはいかない。
スラスターを吹かし、残った推力で敵の真ん中に飛び込み弾丸を放ちながら戦い続ける。
死ぬためではなく生きる為に、シンは死のDestinyに抗った。
───その時。
宇宙の闇を、眩い閃光が切り裂いた。
次の瞬間、ストライクダガーの群れが連鎖爆発を起こす。
シンがビームの方角を見ると、そこには白いMSと共に数機のMSが続いてくる。
「こちらアークエンジェル隊、ムウ・ラ・フラガ。待たせたな」
「おっさん!?」
「おっさんじゃない!なんだシン、民間機で戦ってたのか」
「おっさんたちが遅いからだ!!」
ムウと軽口を叩いていると、カラミティ、レイダー、フォビドゥンが突っ込んできた。
「ドミニオン騎兵隊参上ってな」
「調子に乗るなば~か。誰のおかげでここまで来れたと思ってんだ」
「うるせえぞてめえら。よくも俺たちのガキ達に手を出してくれたなぁ!!」
シャニのフォビドゥンガンダムがストライクダガーの放つビームを歪曲させて突撃し、巨大な鎌でストライクダガーを真っ二つに切り裂いた。
ハーバーコロニーにはシャニがいた研究所の子供たちも保護されている。
普段憎まれ口しか叩かないシャニの怒りに火がついた。
オルガのカラミティとクロトのレイダーがシャニの切り裂いた空間に突入し、ビームを撃ち続ける。
オルガとクロトも、同じ境遇の子供たちを傷つけたブルーコスモスへの怒りをぶつける。
「うひーくわばらくわばら」
「あたし達も負けられないわよ」
「間違えて撃たれなきゃいいけどね」
アサギ、ジュリ、マユラのアストレイ三人娘がアストレイMK-2を駆りオルガ達の後に続いた。
ハイパービームバズーカをブルーコスモスのドレイク級宇宙護衛艦に叩きこみ撃沈していく。
「最近の若い子は怒りっぽいねえ。カルシウムが足りてないんじゃないの?」
ムウのストライクガンダムがシャニ達を援護し、陣形を乱したストライクダガーを撃ち落としていく。
ブルーコスモス優位に進んでいた戦況は一気に傾いた。
「アークエンジェル!!ドミニオン!!来てくれました!!」
メイリンの歓喜の叫びを聞いたウルージ艦内は歓声につつまれた。
ヨウランとヴィーノが抱きしめあう。
「た、たすかったぁ~」
アーサーは緊張が解けて腰を抜かし床にへたれこんだ。
「なんとか守りきれたわね」
アーサーの様子を咎める事無くタリア艦長は微笑みながら呟いた。
陣形を乱して退却するブルーコスモス艦隊のネルソン級宇宙戦艦の艦橋に、マユラの放ったハイパービームバズーカが直撃し、ブルーコスモスの指揮官が艦橋ごと吹き飛ばされる。
指揮官を失ったブルーコスモス艦隊は敗走したが、マリューとアリスは黙って見過ごしてはくれない。
数時間後、アークエンジェルとドミニオンが戦場に到着した。
───アークエンジェルとドミニオンは陽電子破城砲「ローエングリン」のチャージを始めていた。
マリューが烈火のごとく叫ぶ。
「ゴッドフリート照準!!目標ブルーコスモス艦隊!!」
アリスがいつもの冷静な声で命令する。
「ゴッドフリート照準、目標ブルーコスモス艦隊。外したら、わたし怒りますからね」
マリューとアリスは同時に発射命令を出した。
「うてえーーっ!!!」
「撃て」
アークエンジェルとドミニオンの合計四門のローエングリンが宇宙を引き裂く
マリューの苛烈さとアリスの冷静さ。
二人の相性は抜群だった。
攻撃のアークエンジェルと防御のドミニオンのバランスが取れた連携攻撃。
光の奔流が敵艦隊を飲み込み、ブルーコスモスの影は蒸発した。
その光は、まるで夜明けのように――暁を告げる輝きだった。
ブルーコスモス艦隊との戦い決着です。
しかし二次創作とはいえ、ザフトとアークエンジェルの共闘は書いてて楽しいです。
ザフトにも地球連合にも、いい奴は沢山いたはずなんですよ。
戦争って本当にバカバカしい。