月に一度の全校集会。E組の生徒達にとっては気が重くなるイベントのひとつだ。
山の上にある校舎からわざわざ下山して、どのクラスよりも早く整列しなければならない。差別待遇はここでも変わらず、彼らはこの状況に長々と耐えなければならない……のだが。
「おっ、渡辺!」
「渡辺ちゃん!」
「朝陽ちゃん、大変だったでしょ。怪我とかしてない?」
朝陽は現在、元クラスメイト達に囲まれ和気藹々としていた。渚達にかけられたわざとらしい言葉とは違い、彼らは至って普通に、心から朝陽を心配して声をかけているのが何となく伝わって来る。異様な光景だ。
「うん、大丈夫だよ!!皆と一緒に行動してる時は、何かが起こる頻度減るんだよね。皆が助けてくれるからなのかも」
不思議な事に朝陽とB組の生徒達のやりとりは、ここが椚ヶ丘である事、朝陽がE組である事を忘れてしまう程に、本当に普通のやり取りだ。いや、きっと本来あるべき姿はこうなのだろう。クラスが違えど、成績が違えど、それだけでコロッと態度が変わってしまうなど……ましてや、学校全体の空気がそうであるなど、きっとあってはならない事なのだ。
「E組はどう?酷い事とかされてない?私心配…」
「え、大丈夫だよ、皆いい子だよ。寧ろE組は皆仲良いよ、私はE組の皆の事好きだなー」
「流石渡辺ちゃん……エンドのE組をそんな風に言えるなんて心が広い……」
朝陽がE組を擁護──朝陽本人は素直に思った事を言っているだけだが──しても、朝陽に一切のヘイトは向かず、寧ろ『
「皆がE組をどういう風に想像してるかは分かんないけど、本当にいい子達ばっかりだよ?皆が思ってる程、環境も地獄じゃないよ。楽しいよ、E組」
変わらぬ調子で朝陽は言う。
こうやって自分を気にかけてくれる
「私はB組の皆もE組の皆も好きだから、私とだけじゃなくて皆で仲良くしてくれると嬉しいな〜」
そう言ってニコニコと満面の笑みを浮かべている。
「それに私、E組の子達って凄いと思うんだ〜。ほら、E組ってなんか、謎に本校舎の生徒とか先生から悪く言われたりするでしょ?でもさ、だからって自分達よりも下だと思える誰かを探して見下すとかじゃなくて、同じように傷ついた人に寄り添える、誰かに優しく出来る子達なんだよ。それって、私は強さだと思う!」
不運体質な自分の事を「どんな時でも前向きで凄い」と褒めてくれるB組のクラスメイト達。彼等ならきっといつかE組の良さを分かってくれると、朝陽は本気で信じている。そしていつかきっと、それは他の生徒達にも伝わる筈であると。
やがて続々と体育館内に生徒達が集まり、集会が開かれる。朝陽の周りに集まっていた生徒達も、自分の列へと戻って行った。
「百億円獲得出来たら」の「そんなことよりコロッケ食べたい」は、「そんなこと(考える)より(今すぐ)コロッケ食べたい」の意。