ガンダムビルドダイバーズ外伝 Re:LOADED_DESTINY   作:A-Kye[アキ]

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第四話

 深々とした森林地帯を抜けると、そこは大きく開けた空間の広がる遺跡となっていた。

 

 遺跡の中ではすでに何組かのチームが戦闘しており、混戦状態となっていた。

 

「やれやれ…レイドミッションと言うには、些か詐欺だな」 

 

 本来レイドミッションとは、強大なボスを多人数で協力して討つものである。

 

 しかし現状ボスへの挑戦権をかけたバトルロワイヤルにしか見えない。

 

「ニシシシシ、まるで蟲毒だね」

 

「言い得て妙だな」

 

 ボス戦に備えて消耗は避けるべきだが、既に温まっていた彼らにはそんなことは微塵も頭にないのだろう。

 

 リード達を見るやいなや、新たな獲物が来たと言わんばかりに襲い掛かってくる。

 

 多額のポイントを望む者。

 

 クリアの名声を求める者

 

 単純な強者との戦いを望む者。

 

 このミッションに参加している理由は三者三葉だ。

 

「……こいつらミッションの目的ちゃんと分かってんのか?」

 

 躊躇なく全力で攻撃を仕掛けてくる彼らに、思わず呆れ果てる。

 

 そして、血の気が多い割には稚拙な攻撃しかしてこない。

 

「ニシシシ、思ったより雑魚だねぇ」

 

「これならまだその辺のNPCの方が骨があるな」

 

 ミッション自体の難易度設定が低いせいで、参加者が多いわりに目立った実力者はいないようだ。

 

 結局その場にいた他のプレイヤーはリード達に殲滅された。

 

「戦闘構成に難あり、だな。殲滅戦なレイドバトルとか聞いたことねぇよ」

 

「星1確定だね」

 

 この後書くレビューの内容を考えていると、ボス出現のアラーと共に最奥の扉が開かれ、中から巨大な三つ首のMAが現れた。

 

「へぇ…スナイバル・ドラゴ・ギラか。ボス選出のセンスはあり、だな」

 

 スナイバル・ドラゴ・ギラ。ビルドファイターズトライに登場する3つのSDガンダムが合体した形態。オリジナルは緑色だったが、この個体はよりボスらしく赤と黒を基調とし、各所も禍々しい改造がされていた。

 

「やっぱボスはこうでなくっちゃね。ニシシシシ!」

 

 やっと力を存分に振るえる相手を前に、気合を入れ直す。

 

 空間を揺るがす咆哮と共に、ドラゴ・ギラが攻撃を始め、それに合わせるようにリードもフルバーストを叩き込む。

 

 雨のように降り注ぐ弾幕に乗ってカルパッチョもビームジャベリンでの突撃を敢行する。

 

 ドラゴ・ギラはその場を動かず攻撃が直撃し、大きく爆炎が広がる。

 

 しかし次の瞬間、巻き起こった土煙もろともドローレスを弾き飛ばし、再び吠える。

 

「カルパッチョ!」

 

「大丈夫だよ」

 

 決して低くない火力を叩き込んだはずだが、傷一つ付かない。

 

 それどころかドラゴ・ギラは、その巨体に似合わず俊敏な動きで反撃してくる。

 

 三つ首から放たれる高威力のビーム。

 

 鋭い爪や尻尾による薙ぎ払い。

 

 どれも即死級だ。

 

 ドローレスが変形を繰り返しドラゴ・ギラの周囲を飛び、その隙にGセイバーが火力を叩き込む。

 

 この連携でやっと”戦えている”と言える状況だ。

 

 これが参加条件が1チーム2人となっている理由なのだろ。

 

「流石にキツくない?」

 

「仕方ないだろう。元々”多人数で協力して倒す”ことを想定されたボス。高水準のステータスなのは当たり前だ」

 

 このミッションが”レイド”であることを改めて思い出させる。

 

「大技来るぞ」

 

 再びドラゴ・ギラがチャージ態勢に入る。

 

 しかし突如として降り注いだビームにより、その攻撃は二度と放たれることは無かった。

 

「なぁんだ、レイドボスがこんなよわよわだなんて、期待外れ」

 

 無念な嘆きにも似た唸り声をあげながら崩れ落ちるドラゴ・ギラの頭上に、いかにも高貴な雰囲気を漂わせながら1機のMSが舞い降りてきた。

 

「ピンク色の…カルラ?」

 

 さしずめ、桃騎士と言ったところか。操縦しているのは、騎士とはかけ離れすぎているようだが。

 

「乱入してくるとは、とんでもない奴だな。誰だ」

 

「宇宙一可愛いみんなの妹系G-TUBER、リリムちゃんを知らないなんて。おじさん遅れてる~☆」

 

「 G-TUBER のリリム……あーっ!」

 

 彼女の名前に憶えがあるのか、カルパッチョは過去一張り上げた大声を出し、カルラを指さした。

 

「アンタね!最近炎上行為を繰り返してるG-TUBERは!」

 

「えー?もしかして同業者?リリムの可愛さに妬んでるの?」

 

「妬みならどれほどよかったか。あんたのせいで他のG-TUBER皆メイワクしてるのよ」

 

 リリムと言えば、ミッションへ乱入しての荒らし行為や不正ツールを使った攻略など、話題に事欠かないことで有名な配信者だ。

 

 おそらく今回も何かしら不正手段で侵入してきたに違いない。

 

「………そんなやつがいるのか」

 

「この前ガイキが言ってたじゃない…」

 

「そうだったか?悪い。お前と推し以外は見ないし、興味なくてな」

 

「アンタねぇ…」

 

「ちょっと!このリリムを置いてイチャついてんじゃないわよ!」

 

 目の前で繰り広げられる漫才にしびれを切らし、リリムは攻撃を仕掛ける。 

 

「おっと、人が話をしている所に不意打ちとは。らしいことするじゃないか」

 

「その余裕、ムカつく~ッ !」

 

 リリムは対モビルスーツ強化刀をもう一本構えて二刀流に切り替えG-セイバーに猛攻をかけるが、世界トップレベルの二刀流を知っているリードには避けてくださいと言っているようなものだった。

 

「もう許さない!リリムを怒らせると怖いんだからね」

 

 そういうとリリムはカルラのウイングユニットを展開する。その瞬間、機体が消えた。

 

「消えた?」

 

 カルパッチョがレーダーを確認するが反応が無い。

 

 ジャミングやミラージュコロイド等ステルス性を発揮するものはいくつかあるが、目の前で起こったことはもはや機体スペック云々で語れる現象ではない。

 

 それこそSD世界に代表されるようなファンタジーの領域だ。

 

 無論、そういった意匠を組み込んであるガンプラも存在するだろうが、それを加味しても説明に苦しむ。

 

「はぁーい、こっちだよ!」

 

 リリムの声と同時に、カルラがGセイバーの背後に出現しビ対モビルスーツ強化刀

 

を振り下ろす。

 

 しかし、その刃がGセイバーの右腕ガトリングの砲身を斬るにとどまった。

 

 まさに肉を切らせて骨を断つ。

 

 カルラが出現した時点で、リードは既にカルラを補足していたのだ。

 

「舐められたものだな」

 

 Gセイバーは斬られた武装をパージし、その爆風を隠れ蓑にカルラを蹴り飛ばす。

 

「キャアッ!」

 

 桃色の騎士は自ら葬った竜の亡骸に叩きつけられた。

 

「いててて…おじさんたち、ちょっと生意気。こうなったら、まとめて"闇に堕ちちゃえ!"」

 

 リリムがそう言い放った瞬間、突如機体の動きが鈍くなった。

 

「なんだこれ…」

「機体が重い…」

 

 まるで重力が何倍にもなったかのように押さえつけられている。

 

 それでも、何とか立ち上がろうとするが、機体の関節が悲鳴を上げている。

 

「あれぇ?なんで動けるのかなぁ」

 

 カルラはゆっくりと近づいてくると、お返しと言わんばかりにGセイバーを踏みにじる。

 

「でも所詮は強がりね。どんなガンプラでもこれには抗えないよ」

 

「くっ…」

 

 リードは再度体勢を立て直そうと試みるが、過負荷のアラートが止めど無くなり続ける。動作の一つ一つが全て機体へのダメージとなっている。

 

「自分のやってることが迷惑行為だという自覚はあるのか?」

 

「さぁね。リリムちゃんが楽しければ他はどーでもいい」

 

「…ッ」 

 ふとカルパッチョは、リリムのその言葉で過去の記憶がフラッシュバックする。

 

 世間がまだGPデュエルに熱狂的だった時代。

 

 とある町で彼女は八百長等が横行していた、所謂アンダーグラウンドな環境でガンプラバトルをしていた。

 

 今のリリムのように、自分さえよければ他人がどうなろうとどうでもよかった。

 

 全てが重なる。あの頃の、幼稚で浅はかな、愚かな自分の姿に。

 

 とっくに決別したはずの過去の亡霊が、ここぞとばかりに囁いてくる。”お前も同類だ”と。

 

「っと、ムカつく…」

 

 リリムが現れてから心の奥で沸々と煮えたぎっていた嫌悪感。同族嫌悪、そんな軽い言葉では片づけられないだろう。

 

 この怒りは、いまだ過去に囚われていたことを自覚してしまった自分に対するものなのかもしれない。

 

 ただ今は、とにかく目の前にある醜い鏡をぶっ壊したい。その意思が、ドローレスを突き動かしていた。

 

「いい加減に…しろ!」

 

 Gーセイバーに振り下ろされた凶刃をビームジャベリンで受け止める。

 

「な、どうして」

 

「人は自分を見るのが嫌というが、それがよく分かったよ…」

 

「何わけわかんないことを」

 

「分からなくていい。今はただ…」

 

 先ほどまでとはまるで違う軽快な動きで、カルラの腕を斬り落とす。

 

「うそ!リリムのカルラが、こんな雑魚に傷付けられるはずが」

 

 リリムは予想外の反撃に動揺し、思わずその場で姿を消し上空へ退避する。

 

「覚えてないさい!次は絶対ぶったおす!」

 

 そう吐き捨てるとカルラは再び姿を消し、二度と現れることは無かった。

 

「アンタのことなんかむしろ忘れたいわよ。それはそうと…」

 

 無我夢中で気にする余裕が無かったが、カルラの能力を打ち破ったあの力はいったい何だったのだろうか。

 

 ドローレスに備わっている力ではないのは確かだが、当然リリムの様な不正行為をしているわけでもない。

 

 レイドという特殊環境におけるイレギュラーでは、とリードは推測していたが、その答えは意外にもすぐ見つかるのだった。




と言うわけで、満を持して真莉藻先生(ID:317249)の「ガンダムビルドダイバーズ 〜お狐メイド長のGBNライフ〜」より、炎上系(?)有名美少女G-TUBER リリムちゃんの登場です。

最近仕事が忙しいのと、やりたいゲームや他作品の小説執筆に時間を取られていたせいでかなり遅れてしまいましたが、構想自体は既に終盤までできているので、またデータが吹き飛ぶとか言う地獄な目に遭わない限りは未完打ち切りすることはないですのでご安心を

牛歩どころかナメクジ歩ですが、気長に待っていただけたら幸いです
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