A memory for 42days   作:ラコ
<< 前の話 次の話 >>

2 / 46
思い出を熱いレモネードで流し込み。



奉仕部の3人と紅茶を飲んで団欒している風景が広がる。

先輩に軽い冗談を言いながら構ってもらうと、2人の目が少し苛立ったように私を睨む。
私は軽く受け流しながら先輩にちょっかいを出し続けた。

どうして私に振り向かないんだろう。

そりゃ、これだけ美人で可愛い奉仕部の先輩達が近くに居たら、目が肥えてしまうかもしれない。

でも、私だって負けていないはず。


ねぇ、せんぱい。

もっと私を見てください。

せんぱいだけなんですよ?

本当の私を見てくれるのは…。

……

.



「…………。ほぇ?」

重い瞼を開けると知らない天井。

私が寝ていたであろう部屋を見渡すが、何も心当たりがない。


「……頭痛い。ここどこよ…」

「……俺ん家だよ。バカ後輩」


夢の続きが始まった。

6年前に終わってしまったあの続きが。

手を伸ばせばそこに彼が居た。


「な、なんだよ。ほら、まだ寝てろ。おまえひどい熱でぶっ倒れたんだぞ。覚えてないか?」


私の手を鬱陶しいそうに払いのけ、ベットの近く置いてあった椅子に座った。

先輩の冷たい手が私のおでこに触れる。


「……ぁぅ」

「んー、39度くらい?」


離れていく先輩の手を名残惜しく見つめる。

冷たくて気持ちよかったなぁ。


「ほら、これ食って薬飲め」

「……はい」


先輩におかゆを手渡され、私はスプーンを握り少し固まる。
少し、ほんの少しだけ我儘を言ってみようと。


「……食べさせてください」

「……、今日だけだぞ。普段は小町にしかやらないんだからな?」


いやいや、その年齢でシスコンとか……。

相変わらずですね、先輩。
ちょっと引きます。

なんて……。

そうゆう変わらない先輩を見ていると落ち着いてしまう。

先輩がスプーンに載せたおかゆを私の口前に運ぶと、私は何も言わずにそれを食べた。


「……ん。おいしいです。普通に」

「……なら、もっと旨そうに食えよ」

「すみません」


いつもの調子が出ない。
やっぱり先輩の前だから?

違う。

現在の私と過去の私がこんがらがっちゃってるんだ。


「……すみません」


何度も謝って、何度も泣いて、やっぱり今の私は先輩の知ってる私じゃありませんか?


「……はは。本当に変わらねぇな」

「……っ!?」

「で?どうするよ、おまえ。帰れるか?」

「…え、あ、あぁ。すみません。迷惑でしたよね」

「んー、迷惑じゃねぇけど。まぁ、好きにしろよ。俺は下の喫茶店に居るから」


先輩は私の食べ終わった食器を片手に扉を開ける。
どうやらここは喫茶店の2階だったらしい。
下に続く階段が見えた。

私は重い身体を起こし先輩の後を追う。

自分の服装がダボダボなワイシャツだったことに少し照れながら、私は喫茶店の扉を開けた。


「寝てなくていいのか?」

「……いえ、まだ頭が痛いですけど」

「ここ、俺の喫茶店なんだわ。いろいろ聞きたいことがあるかもしれんが今は寝とけ」

「……あ、はい」


喫茶店にはチラホラとお客さんが居たが、特に先輩が積極的に接客をしている様子はない。


「これ、レモネード。喉が痛くなる前に飲んどけば予防になるぞ」

「……ありがとうございます」

「暖かくして寝ろよ?……、まぁ、落ち着くまで居ていいから」


ぶっきらぼうな優しさが懐かしい。

私の本当を知っても態度を変えなかったあの頃と同じ。

今も先輩は私をちゃんと見ていてくれるんですか?


そんなことを考えながら、私は暖かいレモネードを飲んでベットに潜り込んだ。


2/42days








※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。