A memory for 42days   作:ラコ
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思い出を熱いレモネードで流し込み。

 

 

奉仕部の3人と紅茶を飲んで団欒している風景が広がる。

 

先輩に軽い冗談を言いながら構ってもらうと、2人の目が少し苛立ったように私を睨む。

私は軽く受け流しながら先輩にちょっかいを出し続けた。

 

どうして私に振り向かないんだろう。

 

そりゃ、これだけ美人で可愛い奉仕部の先輩達が近くに居たら、目が肥えてしまうかもしれない。

 

でも、私だって負けていないはず。

 

 

ねぇ、せんぱい。

 

もっと私を見てください。

 

せんぱいだけなんですよ?

 

本当の私を見てくれるのは…。

 

……

.

 

 

 

「…………。ほぇ?」

 

重い瞼を開けると知らない天井。

 

私が寝ていたであろう部屋を見渡すが、何も心当たりがない。

 

 

「……頭痛い。ここどこよ…」

 

「……俺ん家だよ。バカ後輩」

 

 

夢の続きが始まった。

 

6年前に終わってしまったあの続きが。

 

手を伸ばせばそこに彼が居た。

 

 

「な、なんだよ。ほら、まだ寝てろ。おまえひどい熱でぶっ倒れたんだぞ。覚えてないか?」

 

 

私の手を鬱陶しいそうに払いのけ、ベットの近く置いてあった椅子に座った。

 

先輩の冷たい手が私のおでこに触れる。

 

 

「……ぁぅ」

 

「んー、39度くらい?」

 

 

離れていく先輩の手を名残惜しく見つめる。

 

冷たくて気持ちよかったなぁ。

 

 

「ほら、これ食って薬飲め」

 

「……はい」

 

 

先輩におかゆを手渡され、私はスプーンを握り少し固まる。

少し、ほんの少しだけ我儘を言ってみようと。

 

 

「……食べさせてください」

 

「……、今日だけだぞ。普段は小町にしかやらないんだからな?」

 

 

いやいや、その年齢でシスコンとか……。

 

相変わらずですね、先輩。

ちょっと引きます。

 

なんて……。

 

そうゆう変わらない先輩を見ていると落ち着いてしまう。

 

先輩がスプーンに載せたおかゆを私の口前に運ぶと、私は何も言わずにそれを食べた。

 

 

「……ん。おいしいです。普通に」

 

「……なら、もっと旨そうに食えよ」

 

「すみません」

 

 

いつもの調子が出ない。

やっぱり先輩の前だから?

 

違う。

 

現在の私と過去の私がこんがらがっちゃってるんだ。

 

 

「……すみません」

 

 

何度も謝って、何度も泣いて、やっぱり今の私は先輩の知ってる私じゃありませんか?

 

 

「……はは。本当に変わらねぇな」

 

「……っ!?」

 

「で?どうするよ、おまえ。帰れるか?」

 

「…え、あ、あぁ。すみません。迷惑でしたよね」

 

「んー、迷惑じゃねぇけど。まぁ、好きにしろよ。俺は下の喫茶店に居るから」

 

 

先輩は私の食べ終わった食器を片手に扉を開ける。

どうやらここは喫茶店の2階だったらしい。

下に続く階段が見えた。

 

私は重い身体を起こし先輩の後を追う。

 

自分の服装がダボダボなワイシャツだったことに少し照れながら、私は喫茶店の扉を開けた。

 

 

「寝てなくていいのか?」

 

「……いえ、まだ頭が痛いですけど」

 

「ここ、俺の喫茶店なんだわ。いろいろ聞きたいことがあるかもしれんが今は寝とけ」

 

「……あ、はい」

 

 

喫茶店にはチラホラとお客さんが居たが、特に先輩が積極的に接客をしている様子はない。

 

 

「これ、レモネード。喉が痛くなる前に飲んどけば予防になるぞ」

 

「……ありがとうございます」

 

「暖かくして寝ろよ?……、まぁ、落ち着くまで居ていいから」

 

 

ぶっきらぼうな優しさが懐かしい。

 

私の本当を知っても態度を変えなかったあの頃と同じ。

 

今も先輩は私をちゃんと見ていてくれるんですか?

 

 

そんなことを考えながら、私は暖かいレモネードを飲んでベットに潜り込んだ。

 

 

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