グランツーリスモ・オンライン ~もしもGTがVRMMOの世界に参入したら~   作:Honpreza

1 / 1
プロローグ

 

 夜の森に鳴り響く、エキゾーストノート。

 夜の森を照らす、白のヘッドライトと赤のテールランプ。

 そんな夜のサーキット、ニュルブルクリンクで、二台のクルマが争っていた。

 しかも、そのニュルブルクリンクにはその二台しか存在しない。

 もちろんこれは現実ではあり得ない光景だ。

 そう、「現実」ではーーー

 

 

「追いつけない・・・なぜだ・・・!」

 

2025年8月1日22:00、「トップ・オブ・スピード」決勝戦。

この俺、スバルはここまで無敗で勝ち進んできた。

プロのドライバーまでもが参戦するこの大会で、だ。

俺は長年GTで培ってきた技術と戦術で相手を次々と打破していき、

気がつくと俺はオンライン内で周りから「期待の星」と将来を嘱望されていた。

俺は有頂天になっていた。

それ故に、俺が相手のクルマに煽られているという現実を見ているのが悔しくて仕方がなかった。

 

・・・どこで差がつく? 何が違う・・・?

 

相手のクルマは後期型NSX。GTにおける日本車クラス最強レベルのクルマの一つだ。

対して俺のは初期型インプレッサ。

馬力はほぼ互角、車体重量では僅かながらこちらが有利だ。

だが、「有利」というのはその二点だけに視点をおいた場合だ。

カギとなるのは駆動方式。

インプレッサは四駆、対してNSXはミッドシップだ。

つまり、二台はそれぞれ別の目的を持って生まれてきたということだ。

それでも俺はインプレッサに乗り続ける理由がある。

それはーー

 

「ーーッ!」

 

一瞬バランスを崩す。

・・・そろそろフロントタイヤのグリップが甘くなってきたな・・・。

相手との距離は・・・クソッ、15m・・・さっきよりも離れてる!

ちくしょう、このままじゃ、終われないっ・・・!

 

「!!!」

 

しかしその願いは、届かず消える。

無理な運転をつづけてタレたタイヤが悲鳴をあげてスピンし、

コントロールを失った車体が眼前のガードレールにーーー

 

ゴガッシャアアァァッッ!!

 

ーーー派手な効果音とともに突っ込んだ。

・・・・・・・・・・・・

「・・・何なんだ、あのNSX」

躊躇のない突っ込み、軽快なアクセルワーク、バランスの良いセッティング・・・

何もかもが高次元で構成されていた。

今の自分じゃ、勝てないーーー

そう実感させられた。

だが、完全に降参したわけではない。

今回がダメならば、次回優勝するのみだ・・・!

「・・・倒してやる」

NSXにリベンジを果たすと決意した俺は、そのドライバーのユーザー名を調べることにした。

そして、俺の矜持《プライド》はバラバラに砕け散った。

俺はてっきり現役ドライバーのオヤジ辺りを予想していた。

だが、その画面には、

                  

Serika

Female

 

「ふぃ・・・Femaleって・・・女・・・!!?」

・・・・・・・・・

そんな・・・そんな!

俺は女に負けたのかっ・・・!!

 

「・・・・・・くっそおおおおおおおおおおおおっっっ!!」

 

俺は叫んだ。悔しさと情けなさを織り混ぜながら。

そしてこの醜態はおそらく日本中、いや世界中に放映されていたことだろう。

今思うと顔から火が出そうなほど恥ずかしい。

こうしてスバル、三浦スバルは、その「セリカ」という名のドライバーにリベンジを果たすことを固く誓ったのだった。

 

 

そして、物語は一年後に移る。

2026年7月1日、

グランツーリスモ・オンライン主催、スピードの祭典「トップ・オブ・スピード」予選が幕を開けるーーー!

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。