カイザー?こちとらフューラーぞ。   作:ベーコンエッグトースト

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唐突に思いついた内容。気が向いたら続くかも...、です。


第1話

『『『隷属の時代は終わり告げ♪』』』

 

『『『総統(フューラー)の旗は靡く♪』』』

 

目の前を更新する黒衣の軍団を目の前に、切に思うことがある。

 

(どうしてこうなった...)

 

思い返して見れば、呆れ返るほどしょうもない理由だったかもしれない。

 

────────────

 

 

「という訳で、ヌシは死んだ」

 

異世界転生用神器(トラック)に跳ねられ、気がつけば目の前に髭の老人。ベタベタのベタとも言うべきテンプレ展開。自分自身も飽きるほどに擦りまくった転生イベといやつだろう。

 

もっとも、実際に自分の身に降りかかるとしたら話は別であるが...。

 

「一つ言っておくがワシのミスでは無いからな?」

 

「...」

 

この手の質問わりと多いのかな?

 

「次が控えておるから手短にいくぞ。転生の対象としているのは主に輪廻転生を行う上での経験値が足りぬものが対象となっておる」

 

経験値って何ぞや?あのドラ〇エ的なやつでスライムとかしばき倒すと貰えるあれか?

 

「簡単に言うと、魂を円環に載せるためのブースターを起動させる燃料のようなものじゃ。ヌシの前世は薄っぺら過ぎてミジンコにすらなれん」

 

悲報、俺の人生。単細胞生物にすら劣るものだった件。

 

「そこでじゃ。今まではそのまま廃棄しておったのじゃが最近は数が多くなり過ぎて少々手が回らなくなってきての。やり直しのための能力をひとつ授けて経験値稼ぎに送り出す方針となった訳じゃ」

 

はぇー、そんな経緯が。てことは俺ワンチャン捨てられてたのか()

 

「ささ、手早く能力を決めてしまえ。あとがつっかえておる」

 

そう言われると結構悩む──俺の右目が...ッ!!定番の邪眼とか左手とか──色々と思いつくが実は特典自体は既に決まっている。

 

(コミュ力をください)

 

「ほう、コミュ力とな?」

 

神が意表をつかれたとばかりに目を見開いている。駄菓子菓子()この案件は俺にとっては重要事項なのだ。思い出したくもないけど。

 

「あいわかった。ヌシの生きていた年代から一番近い人物の中でコミュ力の高い人間をピックアップして、ヌシに特典として与えよう」

 

ありがとうございます。この感謝の言葉を...「ヌシはもう行け。次の者を

 

 

────────────

 

 

頭が割れるように痛い。あのせっかちな神に無理やり叩き出されたせいでは無いだろうか?

 

(もしそうだとしたら、慰謝料をふんだくってやる...。いや、相手が神だと請求先はどこだ?「天界民事裁判所」でもあるのか?)

 

幸い''体調面で言えば''それ以外に大きな問題は無いようだ。

 

四肢はちゃんと動く。呼吸もできる。腹も減っていない。

 

──ただし。

 

さっきから視界の端に何かがチラチラと写り込んでいる。

 

祖父の隔世遺伝で齢30にして禿げ始めたオレを憐れんだ''神''が溢れんばかりの地毛をプレゼントしてくれたのかと思ったがそういう訳でも無さそうだ。

 

(なんか全体的に細くなってないか?)

 

マ○ク、吉○家、す○家。健康の一切を省みない程にファストフードでフルチューンされたハズのまん丸ボディは見る影もないほどスリムになっていた。

 

いや、ただ細くなったというのは表現としては適さないかもしれない。

 

(デケェ...)

 

何がとは言わないがものすごく大きい。頭大のブツが胸にふたつも付いているのだ。ホンモノの頭も合わせれば実質的なケルベロスではないだろうか。

 

色々と言葉を並べ立てて誤魔化してきたが、ここまで来れば何となく想像はつく。

 

(オレ、男を辞めてね...?)

 

なんということだ。文字通り息子と生き別れてしまった。世界を跨いで転生したとなれば''あいむゆあふぁざー''的な再会も望めないだろう。

 

(とりあえず移動するか...)

 

どれだけ悲観しようと現実は変わらない。

 

息子への未練と悲しみを暗い路地にひっそりと残し、オレはその場を去った。

 

█ █ █ █ █ █

 

ハローワールド、物騒な世界。

 

(いや、だってそうも言いたくなるだろ)

 

オレだってこんな落書きだらけで、ところどころ虫が這っているような薄暗い路地に好き好んで長居したくはない。

しかし、路地を抜けた先のより大きな通りに広がる光景がオレの行く手を阻む。

 

友人と思わしき人物と談笑しながら街を練り歩く女子生徒。

 

カフェのテラスで口いっぱいにケーキを頬張る女子生徒。

 

店のショーウィンドウに目を輝かせる女子生徒。

 

なんのこともない極々平穏な光景といえる。

 

タダの一点を除いて。

 

突撃銃、短機関銃、重機関銃、ボルトアクション式小銃、自動式拳銃...。

 

そこら''じゅう''銃、銃、銃。GTAもびっくりな普及率だ。幼稚園程度と思わしき少女でさえ腰から拳銃を下げているその光景に半ば目眩がしてくる。

 

(何がどうなっているんだ...)

 

前世からは到底考えられない光景。明らかな異常...。否、''日常''を目にしたオレはそれ以上その場にいることが出来ずにくるりと踵を返した。

 

 

█ █ █ █ █ █

 

 

あれからどれくらい歩き続けたことだろうか。元々不慣れな土地に来ているという上に、とにかく路地裏は景色が変わらない。

 

建物が影になっているせいで若干薄暗かった路地が、薄暗いを通り越して暗くなり始めている。

 

(日が落ちてきたかぁ...)

 

幸い、暖かそうなグレーのコートを最初から身につけていたので、凍えることは無さそうだが食べるものもの住むところもまともに確保出来ていない現状は非常にまずいとも言える。

 

(いざと言う時は、今履いてるブーツでも食べるか...。ん?何だこのズボン?)

 

ふと足元を見た時に自分の足が目に付いたのだが、中々見ないようなデザインのズボンを身につけていた。

 

今更ながら、自身の今の服装が気になったオレは自分の姿を写すことの出来るものが近くにないか周囲を見渡してみた。

 

幸いなことにそこまで時間はかからず、打ち捨てられた鏡を見つけたのでそれを活用してみたのだが...。

 

鏡に映る自分の姿を見て、思わず固まる。

 

髪は長く背まで流れている。艶やかな黒髪だ。

目に映るガラス越しの自分は鮮やかな碧眼をしていた。

 

(いやいや、待て待て。オレこんなビジュアル系じゃなかっただろ)

 

そしてもうひとつ強烈な違和感。

オレが着ていたのはただのコートではなく、灰色の軍服と軍用コートに、妙に威圧感のある軍帽だった。

 

(なんか妙に既視感のある服装だな...)

 

うん、あんまり考えたくないけどどっかの伍長にそっくりだ。

 

どう見ても現代日本の街並みにはそぐわない服装...。いや、それ以前にこのガンパラダイスが日本かどうかも怪しいんだが。

 

(この世界に''アイツ''の存在を知っている人間が居ないことを祈っとこ...)

 

ため息を吐いたところで、突如背後から声がかけられた。

 

「おいおい、なんだその格好?アンタ、ゲヘナのエラいさんか何かか?」

 

背後から声をかけてきた生徒の方へ振り返ってみると...。

 

いや──────話し方の時点でオレを助けてくれる超いい人という線は捨てていたが、想像の3.14倍はガラの悪さが滲み出ていた。

 

(てか?なんだあのヘルメット?)

 

今のオレがあの台形髭のコスプレだとしたら、アイツらはバイカー(バイク無し)のコスプレ集団かなんかだろうか?

 

「こんなところを護衛も付けずにノコノコ歩いてるマヌケがいるとも思えないけど...」

 

そうはいいつつもコチラのことをちゃっかりと値踏みしているような視線は感じる。

 

というか...。

 

(ゲヘナってなんだ?)

 

「まぁ、どっちでもいいや。手っ取り早く連れ帰れば済む話だし」

 

そういうと、リーダー格と思わしき少女が''ナニか''をこちらに向けてきた。

 

(え...っ?)

 

散々さっき見たはずだ。ここはその辺を歩いている女子生徒ですら銃を持っている異常な世界だって。

 

数時間、裏路地を歩いただけでその事実を忘れるオレの頭は鳥頭だ。

 

おそらく玩具でも、模擬銃でもない。

 

ホンモノの銃だ。

 

「動かないでね〜。別に撃ちたくないけど抵抗されたらやるしかないし」

 

もうダメかと思ったその時──────

 

ブゥン...

 

突如として視界に画面が浮かび上がる。

 

(は?なんだこれ...?)

 

「おい、何キョロキョロしてんだ?」

 

突如として現れた謎の画面に困惑を隠しきれないオレであったが、どうやらこの画面は彼女たちからは見えていないらしい。

 

(もしかして...、これが特典ってやつか...?)

 

画面を覗き込んでみるとそこには選択肢のようなものが書いてある。

 

(①抵抗しない)
(②ゲヘナの要人を騙る)
(③力を示す)

 

おそらく選択肢に応じて何かが起こるのだろう。そして前世において、よく練り上げられたオレのオタ力は至高の領域に近かったことは言うまでもない。説明されるまでもなく理解できる。これはセオリーだ。

 

(キタァアアアっ!!チィイート能力ッ!!これからオレの異世界無双が始まるぜ!!当然③だ!!)

 

「貴様らのように薄汚い愚連隊崩れに臆する私ではない!!」

 

黄金の右拳!!唸れ闘志!!金輪際お前らの顔を見ることはねぇ!!もう会わねぇし!!

 

(ウォオオオオオオッ!!)

 

「お、おい。なんかガチでヤベー奴だぞコイツ」

 

「ビビんな!!撃てば同じだ!!」

 

次の瞬間─────パンッと乾いた銃声が鳴り響く。

 

(効いたか!!オレの黄金の右ストレート!!)

 

ははっ!見ろ!!連中、鳩が豆鉄砲食らったような表情で倒れ込んでいって...?

 

(何かがおかしい?)

 

彼女らと同時に世界まで倒れ込んでいく。もしかしてオレはついに時空をねじ曲げる程のパンチを放てるようになったのか?

 

(寒い...)

 

ドクドクとオレの身体から、何か大切なものが流れ出ていってるような気がする。

 

視界が暗転する前に見た彼女たちの表情は...。まさに顔面蒼白といった有様だった。

 

「は...?え、ちょ。マジ?血...ッ?」

 

「し、死んだのか...?」

 

「バカ言うなそんなハズは...!!なんで血が出てんだよ?!」

 

「に、逃げろッ!!」

 

バタバタとした足音とともに彼女たちが遠ざかっていく音がする。

 

やがて音すらも聞こえなくなり──────

 

 

█ █ █ █ █ █

 

 

「おいおい、なんだその格好?アンタ、ゲヘナのエラいさんか何かか?」

 

(は?)

 

オレは戻ってきていた。何を言っているのか分からないと思うが、オレも分からない。頭がどうにかなってしまいそうだ。

 

バカのオレでも流石に分かる。オレはあの時撃たれて死んだ。

 

なのに、意識を失った次の瞬間にはこうして今ここにたっている。

 

「おい、話聞いてんのか?」

 

どうやらオレの心ここに在らずと言った様子を不審に思ったらしい。

 

赤ジャン、ミニスカ、シルバーネックレス...。うん、さっきの3人組だ。また会ったね。

 

「おい!!だからこっち見ろって!!」

 

そう怒鳴り付けながらオレの特大ビーチボールに銃を突きつけてくる彼女。

 

とりあえず返事はしとくか。

 

あくまで。あくまで普通に返事をしようとしただけだ。当たり障りのないごく普通の返答を心がけていた。その、ハズだった。

 

「聞いているとも。続けたまえ」

 

「なッ?!コイツ!!自分の状況わかってんのかッ!!」

 

さっき、③の選択肢を選んだ時にも感じた違和感だったが、いまハッキリとわかったことがある。

 

この身体、喋る言葉一言一句に補正がかかる。

 

(訳が分からない。意味自体はあまり変わってないけど、喋り自体まるまるおかしい...)

 

そこまで考えたあたりで思い出した。オレが転生特典として神に求めたものを。

 

『コミュ力をください』

 

(まさか...。まさかこれがコミュ力だとでも言うのかッぁ?!!)

 

█ █ █ █ █ █

 

「まぁ、どっちでもいいや。手っ取り早く連れ帰れば済む話だし」

 

「動かないでね〜。別に撃ちたくないけど抵抗されたらやるしかないし」

 

ブゥン...

 

(①抵抗しない)
(②ゲヘナの要人を騙る)
(③力を示す)

 

何とかさっきのところまで戻ってこれた。

撃たれたことでひとつわかったことがある。オレの身体は文字通り貧弱極まっている...。というより極々平均的な耐久値のようだ。転生特典による身体強化系も特になし。

 

(であれば、抵抗は得策ではないか...)

 

苦渋の決断の末、今回オレが選んだのは...①だ。

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