Challenger【特殊戦闘大隊】 作:NIGHTMARE⭐︎
カレット小隊は迷宮会の施設へ突入した。多くの高揚した信者が入口の方を向く。『明滅』が大きく喜帝軍の決まりとなっている敵組織突入時の台詞を言う。
「全員床に伏せろ!命令を無視した場合…」
その瞬間、信者のうち2人が手にしたハンマーを振り上げて襲いかかってきた。『カザリ』がそのうちの1人に刀を素早く振り下ろし切り裂く。同時にミアーシャがもう1人を渦潮のように回転させた蒼い導力で吹き飛ばした。
「…こうなるぞ、と言ってももう無駄か」
『明滅』が舌打ちする。他の信者もなだれ込むように6人に襲いかかってくる。全員が多種多様な凶器を持っている。
「おいおい…こんなにいるとは思わなかったなぁ」
『感電』が帯電した双剣で自分に近づく信者を素早く処理しながら呟いた。『明滅』は戦場を天井付近から大量の熱弾丸で爆撃している。
「何やってる!私の護衛をしろ!」
黒い神父服を着た司教が足を引き摺りながら部屋の奥へ逃げていく。信者たちは興奮しきっているのか彼の言葉など耳に入らない様子だ。司教は苦々しげに顔を歪めると、ドアを開いて奥の部屋へ姿を消した。
「カスが逃げるぞ!」
『明滅』が叫んだ。彼は全員の動きに着目して戦場を見ることができるらしい。
「っ…!」
咄嗟に動いたのは『晴姫』とミアーシャだった。ミアーシャは近くにいる信者を次々に薙ぎ払い部屋の奥へ走っていく。『晴姫』が自分に並行して低空飛行しているのが見える。
まさか初の作戦でここまでの乱戦になるとは予想していなかった。これが軍、なのか。すでに心拍数は高まり、信者たちとは違う興奮が頭を占めていた。
「『潮風』ちゃん、私がそこのドアぶっ飛ばすからそのまま突っ込んでいいよ〜」
『晴姫』が自分に向かって言う声が聞こえた。ミアーシャは大きく頷き、部屋の奥の閉ざされた扉に向かって疾走した。そしてドアに衝突するかと思うほど接近した瞬間、周囲の壁がバコンと削り取られた。ドアのついた壁は大きくくり抜かれたように吹き飛び、ミアーシャはそのまま部屋に突入していた。
「あ…!?」
そこでミアーシャが目にしたのはあまりに異様な光景だった。例の司教が祭壇の真下に立ち、祈りを捧げている。そして祭壇の上には、禍々しい導力と威圧を感じさせる死霊が鎮座していた。
これは間違いなく私の手に負える存在ではない。一目で理解した。
次の瞬間、『晴姫』が部屋に駆け込むと同時に死霊がミアーシャを見る。
「くるよ〜」
『晴姫』の声が耳に入った途端、死霊の血管のような翼から大量の赤い液体がまるで噴水かのように上に噴き出した。ミアーシャは即座に自身の導力を使って渦潮を展開し、頭上に浮かべて傘のようにする。死霊の血の雨はあたりを真っ赤に染め上げるが、ミアーシャの周囲に入った瞬間渦潮で弾き飛ばされていった。
「私の奇跡を拒絶するのですか」
死霊が気味の悪い声でミアーシャに言った。抑揚はなく重なっているが妙に人間的だ。
「どこが奇跡なんだ!」
ミアーシャが強い口調で死霊に叫んだ。死霊は金の仮面に隠れた顔を司教の方へ向ける。まるで「あなたがやりなさい」とでも言っているようだ。
その瞬間司教が松明を持って駆け出した。『晴姫』が両腕から青い刃を出して近接戦に適した型になっている。
「教祖様の言葉を軽んじるな!この異教徒どもが!」
司教が松明をミアーシャに叩きつけるが勝てるはずもなく、ミアーシャの槍で即座に防がれた。
「発言を取り消せ…」
そう言ったのも束の間、司教は『晴姫』の足に蹴飛ばされて床に転がった。気絶している。
「同族を傷つけましたね、重罪ですよ」
死霊が声を発した。
「お前が差し向けたくせに!」
ミアーシャが声を荒げると、死霊はそれを遮るように部屋中に反響するような声を出す。
「よくも私にそんな口を!!あなたたちを救済してやるための言葉なのですよ!!!!」
空気が激しく振動するような威圧感と狂気。その声に信者すらも凍りついた。ミアーシャはそれでも気にも留めない。
その発言が間違いだと確信しているのだから。
「お前の言ってること全部違う!今すぐ倒してやる!」
ミアーシャが死霊に宣戦布告をするように宣言した。