Challenger【特殊戦闘大隊】 作:NIGHTMARE⭐︎
「『晴姫』、『潮風』、無事か!?」
『明滅』がプロペラの回るブーンという音を立てながら部屋へ舞い込んだ。部屋では床で眠りについているミアーシャと、その横に座る『晴姫』の姿があった。無事に死霊を討伐し肩の重荷が降りたのか、急に眠気が襲ってきたのだ。
「しー。お休み中だよ〜」
『晴姫』が人差し指を口元で振りながら言った。『明滅』の後に続いて他の隊員も駆け込んできた。
「全く気を抜くのが早すぎるだろうが…任務完了だな」
『明滅』が珍しく静かなトーンで言った。それが彼女なりの労りなのだろう。『スナイパー』は少し微笑んで頷いた。
ミアーシャが目を覚ました時、すでにそこは喜帝軍本部の医療室だった。黒い布がかかったような天井がぼんやりと見える。目だけを動かして周囲を見てみると、今自分が寝ているらしいベッドのすぐ横に置かれた椅子に『晴姫』と『スナイパー』が座っていた。
「おはようございます…任務は無事完了しましたよ…」
『スナイパー』がほとんど囁くような優しい口調で言った。『晴姫』は無言でニコニコしている。いつも通りの柔らかな雰囲気だ。
「おはようございます…!任務完了したんですね…よかった…」
ミアーシャはわずかに上体を起こしながら少し掠れた声で言った。少なくとも丸一日は眠っていたらしい口の乾き方を感じる。
「あの後組織の構成員は全員BLUELINEに送られたそうです。隊長と『カザリ』さんはそちらで情報の聞き出しをしてますよ」
ミアーシャは『スナイパー』の言葉を脳内で何度も反芻した。頭がなかなか回らない。
「そうなんですね…情報っていうのは…」
「迷宮会の目的とかを色々聞き出して、もう同じような組織が生まれないようにするためだよ〜。」
『晴姫』がミアーシャの手をそっと握りながら言った。傀儡ゆえ血は巡っていないはずだが、『晴姫』の手はほんのりと温かい。
「再発防止ですか…確かに重要かも」
ミアーシャは起こしていた上体を再びベッドに倒しながら言った。もう少しだけ休みたい…。その心を読んだかのように、『スナイパー』が「体が万全になるまでは休んでいてくださいね」と言った。
同時刻、BLUELINE本部にて。
「さっさと吐け。どうせもう捕まったんだから企みは終わりだ!」
『明滅』が捕縛された迷宮会の信者に機械音声を轟かせた。
「お前たちの最終目標は何だ?」
信者は板ガラス越しに『明滅』を無言で睨んでいる。その体はガッチリと椅子に縛り付けられているらしく、身動き一つ取らない。やがて信者が口を開いた。
「…お前たちのような救いなき者どもにはわかるまい…この世界の腐り切った真実を露わにしたかったのだ」
「わかりたくもないな。何のためにだ」
『明滅』が声を荒げる。『カザリ』は無言で相手の返答を待った。
「…知りたくはないのか?5年前の真実を」
信者が不意に言った瞬間、『明滅』はその場で硬直した。『カザリ』には何の話なのかが全くわからなかった。
「…お前が何を知っているというんだ」
『明滅』が沈黙を破った。機械音声がわずかに揺れている。
「5年前何かあったんですね…?」
『カザリ』は確信した。『明滅』の姿は今までのどの彼女とも違う。浮遊装置の体にはあまりに重すぎる過去。信者がその隙をつくかのように言った。
「教えてやろうか。お前を死に追いやった命令を下した、あの大隊長の情報を」