賢者の石を手に入れた在宅ワーカーだけど、神様って呼ばれてるっぽい   作:パラレル・ゲーマー

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第184話

 東京・永田町。

 首相官邸の地下深くに設けられた危機管理センターの大会議室は、いつになく重苦しい、そしてどこか諦めにも似た空気に支配されていた。

 この部屋に集う者たちは、これまで幾度となく世界の運命を左右する決断を下してきた、日本の最高意思決定者たちである。

 

 沢村総理。九条官房長官。麻生ダンジョン大臣。

 そして今日は、普段のダンジョン関連会議には顔を出さない二人――法の番人である渋沢法務大臣と、観光立国の旗手である国土交通大臣も、その席に加わっていた。

 

 議題はただ一つ。

 アメリカ合衆国からの「お願い」という名の、あまりにも強烈な外圧についてである。

 

「――では、臨時閣僚会議を始めます」

 

 議長役の九条官房長官が、感情のない声で開会を宣言した。

 彼の四つの身体(本体と分身)は、それぞれが膨大な資料を整理し、シミュレーションを行い、そして各省庁からの問い合わせに対応している。

 その全てが、これから始まる議論の困難さを物語っていた。

 

「本日の議題は、アメリカ合衆国より正式に要請がありました『自律型汎用労働アンドロイドの渡航制限解除』についてです」

 

 九条は手元の端末を操作し、メインモニターに一枚の外交文書を投影した。

 そこにはホワイトハウスの紋章と共に、トンプソン大統領の署名が入った親書が表示されている。

 

『親愛なる日本の友人たちへ。

 我が国における新たな市民アンドロイドたちの権利と尊厳を守るため、彼らの日本への観光渡航を認めていただきたい。

 彼らは日本の文化を愛し、日本への憧れを抱いている。

 同盟国として、友人の扉を閉ざさないでほしい』

 

 美しい言葉で綴られたその手紙の実態は、明確な圧力だった。

 「我々が認めた『人間』を、君たちも認めろ」という価値観の押し付けである。

 

「……避けては通れない問題だな」

 

 沢村総理が、重い口を開いた。

 彼は眠らない身体を手に入れて久しいが、その精神的な摩耗は隠しようもない。

 

「アメリカ国内では既にアンドロイド市民権が確立し、彼らは社会の一員として機能している。

 その彼らが『日本に行きたい』と熱望し、大統領がそれを後押ししている以上、これを拒み続けることは、日米関係に深刻な亀裂を生むことになる」

 

「ですが総理!」

 

 即座に噛み付いたのは、渋沢法務大臣だった。

 彼女は法の番人として、この要請が孕む法的な矛盾を許すわけにはいかなかった。

 彼女は手元の六法全書を、まるで聖書のように固く握りしめていた。

 

「無理です。法的に絶対に無理です。

 日本の法律上、彼らは『人間』ではありません。あくまで『物』です。

 入管法(出入国管理及び難民認定法)において入国の対象となるのは『外国人』、すなわち自然人のみ。

 『物』に入国許可(ビザ)を出すなど前代未聞です。

 もし彼らを入国させるなら、それは『旅行者』ではなく『貨物』としての輸入手続きになります!」

 

「貨物として扱えばどうなる?」

 

 沢村が問う。

 

「税関での検査が必須です」

 

 渋沢は冷徹に答えた。

 

「安全性の確認のため、X線検査はもちろん、場合によっては分解検査も辞さないでしょう。

 彼らの動力源である魔石や内部回路に『危険物』が含まれていないか、厳重にチェックしなければなりません。

 それが『物』を輸入するということです」

 

「……分解検査か」

 

 沢村が顔をしかめる。

 

「もし日本の税関が、アメリカから来た観光客(ロボット)を空港でバラバラに解体したとしたら……。

 アメリカ世論はどう反応すると思うかね?」

 

「激昂するでしょうな」

 

 麻生大臣が、苦々しげに吐き捨てた。

 

「『自国民が虐殺された』『野蛮な日本人が友人を殺した』とな。

 CNNが連日トップニュースで報じ、人権団体がワシントンの日本大使館を取り囲む未来が見えますよ。

 たかがロボット一体で、日米安保が揺らぎかねん」

 

「かといって!」

 

 渋沢は引かない。その声には、悲痛な響きがあった。

 

「彼らを『人』として認めれば、それは憲法違反の議論になります!

 日本国憲法が保障する基本的人権は、あくまで自然人に対するもの。

 機械に人権を認めるなど、法体系の根幹を揺るがす暴挙です!

 

 そんなことをすれば、次は『AIにも選挙権を』『高性能家電にも生存権を』などという馬鹿げた訴訟が乱発することになりますよ!

 司法制度が崩壊します!」

 

 法的なデッドロック(膠着状態)。

 「物」として扱えば外交問題になり、「人」として扱えば国内法が崩壊する。

 どちらに進んでも地獄。

 

「……観光立国の観点からはどうですか?」

 

 沢村が助け舟を求めるように、国交大臣に話を振った。

 

「ええ、観光庁としては……」

 

 国交大臣は困り果てた顔で答えた。

 

「経済効果は魅力的です。

 彼らは富裕層ですし、日本文化への関心も異常に高い。

 インバウンドの新たな柱になり得ます。

 

 ですが……現場の混乱が懸念されます」

 

 彼は具体的なリスクを挙げた。

 

「万が一、国内で彼らが故障したり、あるいは暴走して事故を起こしたら?

 誰が責任を取るのですか?

 

 『動く家電』が人を殺したとなれば、それはメーカーの製造物責任か、それとも所有者の管理責任か?

 あるいは、彼ら自身が『加害者』として裁かれるのか?

 現在の法律では、裁きようがありません」

 

「事故だけではありません」

 

 九条が補足する。

 

「彼らが犯罪に巻き込まれる可能性もあります。

 高価な機体や、動力源である高純度魔石を狙った強盗、あるいは反ロボット団体による破壊活動(ヘイトクライム)。

 

 もし日本国内でアメリカのアンドロイドが破壊されたら、それは『器物損壊』なのか『傷害・殺人』なのか。

 現場の警察官は、手錠をかけるべきか、証拠品として押収すべきか、判断できません」

 

「……やはり無理か」

 

 沢村が天井を仰いだ。

 

「法も現場も、受け入れ態勢が整っていない。

 トンプソン大統領には『時期尚早』と伝えて、断るしかないか……」

 

 その諦めの空気を、九条の冷徹な声が切り裂いた。

 

「――いいえ総理。断ることはできません」

 

 九条の本体が立ち上がり、ホワイトボードの前に立った。

 彼の瞳には、官僚としての極限の知恵と、そして政治家としての狡猾な光が宿っていた。

 

「断れば日本は『閉鎖的な技術後進国』『差別の国』として、国際社会から孤立します。

 何より、同盟国アメリカの顔に泥を塗ることになる。それは避けねばなりません」

 

「ではどうするのだ! 法を曲げるのか!」

 

 渋沢が叫ぶ。

 

「曲げません」

 

 九条は静かに言った。

 

「『解釈』を変えるのです。

 あるいは、新しい『定義』を作るのです」

 

 彼はホワイトボードに、一つの造語を書き殴った。

 

『特例的高機能自律存在(Special Autonomous Entity)』

 

「……なんだそれは?」

 

 麻生が怪訝な顔をする。

 

「今回の問題の核心は『人か物か』という二元論にあります。

 だから答えが出ない。

 

 ならば、そのどちらでもない『第三のカテゴリー』を作ればいいのです」

 

 九条はそのロジックを解説し始めた。

 それは、日本の官僚機構が長年培ってきた「玉虫色の解決策」の極致とも言えるものだった。

 

「まず、日本の国内法上は彼らをあくまで『準・器物』として扱います。

 つまり、憲法上の人権は認めない。選挙権も社会保障もない。あくまで高度な機械です。

 これで渋沢大臣の顔は立つ」

 

「しかしそれではアメリカが納得しないだろう!」

 

「ええ。そこで『運用』の妙です」

 

 九条はニヤリと笑った。

 

「日米地位協定や外交特権の解釈を、極限まで拡大解釈します。

 彼らを『アメリカ合衆国政府が認めた特別な存在』と位置づけ、特例措置として滞在期間中に限り『米国市民に準ずる法的保護』を与えます。

 

 つまり、日本国内においては『外交官』や『米軍属』に近い扱いとするのです」

 

「……なるほど」

 

 沢村が身を乗り出した。その目に、理解の色が浮かぶ。

 

「つまり何かトラブルがあれば、日本の警察や司法は手を出さない。

 直ちにアメリカ大使館や領事館に通報し、身柄(機体)を引き渡す。

 

 裁判権も捜査権も、実質的に放棄するわけか」

 

「その通りです」

 

 九条は頷いた。

 

「『日本の法律では裁く規定がないので、アメリカさんの法律でやってください』と投げるのです。

 これなら国内法の整合性も保てますし、アメリカの顔も立つ。

 

 彼らにとっても、自国民が日本の法律で裁かれるよりは、自国の管理下に置かれる方が安心でしょう」

 

 そのあまりにも無責任で、そしてあまりにも実利的な解決策。

 渋沢法務大臣は苦虫を噛み潰したような顔で沈黙した。

 

 法的にはグレーゾーンだ。いや、限りなく黒に近いグレーだ。

 だが、国際政治というリアルの前では、これ以上の落とし所はないことも理解していた。

 

「……金の問題はどうする?」

 

 麻生大臣が鋭い指摘を入れた。

 

「外交特権扱いで逃げられては、被害者への補償がおろそかになるぞ。

 ロボットが暴走して店を壊した。だが裁判権がないから泣き寝入り。

 

 そんなことになれば、国民の怒りは爆発する」

 

「そこは金で解決させましょう」

 

 麻生自身が即座に代案を出した。自分の問いに自分で答える、彼らしいスピード感だ。

 

「入国の絶対条件として『無制限の損害賠償保険』への加入を義務付けるのです。

 対人・対物無制限。さらに示談代行サービス付きの、超高額な特別保険だ。

 

 もし彼らが事故を起こしても、あるいは彼らが壊されても、保険会社が即座に現金を積んで解決する。

 金さえ払えば、大抵のトラブルは沈静化しますからな」

 

「……なるほど」

 

 沢村が頷く。

 

「『特例存在』としての法的地位と、『無制限保険』による金銭的保証。

 この二つをセットにすれば、理屈は通るか」

 

 法と金のハードルはクリアされた。

 だが、実務的な問題はまだ残っている。

 

「……補給はどうしますか?」

 

 国交大臣が手を挙げた。

 

「彼らは人間のような食事はしませんが、活動にはエネルギーが必要です。

 アメリカでは魔石充電スタンドが整備されているそうですが、日本ではまだ……。

 

 観光中にガス欠で動けなくなったロボットが、銀座の交差点で立ち往生する事態になりませんか?」

 

「問題ありません」

 

 九条があっさりと答えた。

 

「日本は世界有数の魔石産出国です。

 公式ギルドに行けば、F級魔石など掃いて捨てるほどあります。

 

 彼らにギルドでの魔石購入権を与えれば、ガソリンスタンド感覚で補給できるでしょう。

 それに、彼ら自身が予備バッテリー(高純度魔石)を持ち込むことも許可します。

 

 航空法上の『危険物持ち込み』の特例として処理すればいい」

 

「……分かりました」

 

 国交大臣は渋々納得した。

 

 だが彼の顔色は晴れなかった。

 ここからが、彼にとって、そして日本の観光業界にとっての本当の地獄の始まりだからだ。

 

「……総理。法律やインフラはそれで良いとしましょう」

 

 国交大臣が、悲痛な声で訴えた。

 

「ですが現場はどうします?

 ホテル、旅館、レストラン、観光施設……。

 

 『ロボットのお客様』が来た時、彼らはどう対応すればいいのですか?」

 

 彼は具体的なシミュレーションを突きつけた。

 

「例えば宿泊名簿です。

 『氏名』の欄に製造番号を書かせるのですか?

 

 『性別』はどうしますか? 外見は男女でも中身は機械です。

 『国籍』はアメリカでも、パスポートは人間用とは違う特殊なものです。

 

 旅館業法上の解釈はどうなるのですか?」

 

「温泉旅館ではもっと深刻です」

 

 彼は頭を抱えた。

 

「彼らが『日本の温泉文化を体験したい』と言って大浴場に入ろうとしたら?

 

 『機械油が浮くかもしれない』『感電するかもしれない』『そもそも防水なのか』。

 他のお客様からのクレームは必至です。

 

 『入れ墨お断り』のように『ロボットお断り』を掲げれば、今度は『差別だ』と国際問題になるかもしれない」

 

「宗教施設もです。

 神社仏閣の境内に、魂のない(とされる)機械が入ることを、宗教界は許容するでしょうか?

 

 手水舎で手を清める真似事をされたら? 賽銭を投げたら?

 『神聖な場所が穢れる』という保守層の反発は避けられません」

 

 現場レベルでの無数の「想定外」。

 それら一つ一つに対し、国が指針を示すことができるのか。

 「ロボットは男湯か女湯か」という議論を、国会でやるつもりなのか。

 

「……無理だ」

 

 沢村が呻いた。

 

「そんな細かいことまで、いちいち国が決めていられるか。

 キリがない。それに、下手にルールを決めれば必ずどこかから批判が出る」

 

「ですよね……」

 

 会議室に再び沈黙が降りた。

 法で縛るには細かすぎ、放置するにはリスクが大きすぎる「おもてなし」の問題。

 

「……ならば」

 

 沢村は、政治家としての「奥義」を使うことを決断した。

 すなわち、責任の完全なる丸投げである。

 

「政府は『ガイドライン』を作成するに留める」

 

 彼は宣言した。

 

「その内容は極めて抽象的で、玉虫色のものにする。

 

 『アンドロイドに対する不当な差別は許されない』。

 『ただし、施設の安全管理や公衆衛生上の観点から、合理的な範囲での制限は認められる』。

 

 ……この二点だけだ」

 

「つまり?」

 

 麻生がニヤリとする。

 

「つまり『最終判断は各事業者の裁量に委ねる』ということだ」

 

 沢村は言い放った。

 

「ホテルが彼らを泊めるか泊めないか。温泉に入れるか入れないか。

 それは国が決めることではない。民間の経営判断だ。

 

 『お断り』して炎上するリスクを取るか、『歓迎』して新しい客層を開拓するか。

 それは現場が自分で考え、自分で責任を負うべきことだ」

 

「……それを『民間の創意工夫』という美しい言葉で包んで発表しよう」

 

 完璧な責任転嫁。

 国は「差別はいけないよ」と言うだけ言って、あとは知らんぷりをする。

 

 トラブルが起きれば「事業者の対応が不適切だった」と言えばいいし、上手くいけば「クールジャパンの包容力」と自画自賛すればいい。

 

「……ずるいですねぇ総理」

 

 九条が感心したように言った。

 

「ですが、それが唯一の正解でしょう。

 現場の知恵を信じる。……聞こえはいいですが、要は丸投げですな」

 

 議論は出尽くした。

 法的な抜け道、金銭的な解決、そして現場への丸投げ。

 日本政府お得意の「三点セット」が揃った。

 

 その時。

 オブザーバー席に控えていた経済産業省の事務次官が、手元のタブレットを見て小さく手を挙げた。

 彼はこの会議の裏で動いていた、もう一つの巨大な力の意向を代弁した。

 

「……総理。経団連の三田村会長よりメッセージが届いております」

 

「なんだ? 文句か?」

 

「いえ。

 『観光解禁、大いに結構。政府の英断を支持する』と」

 

 意外な反応に、沢村が眉を上げる。

 

「ただし続きがあります。

 

 『今回の観光解禁を、将来的な“就労ビザ”解禁への重要なテストケースとして位置づけていただきたい。

 彼らが観光客として問題なく滞在できることが証明されれば、次は労働者として受け入れるハードルも下がるはずだ。

 これは労働力不足に喘ぐ日本経済にとっての希望の光である』……と」

 

 そのメッセージを聞いて、麻生大臣が膝を打った。

 

「なるほど! そういうことか!」

 

 彼は合点がいったように頷いた。

 

「経済界はこの観光解禁を『トロイの木馬』として利用する気だな。

 いきなり『ロボット労働者』を入れれば反発が大きい。

 だからまずは『お客様』として招き入れ、国民の目を慣れさせる。

 

 『ロボットも怖くない』『意外といい奴らだ』という空気が醸成されたところで、なし崩し的に『じゃあ働いてもらおうか』と持っていく作戦か……」

 

「したたかですねぇ」

 

 九条も苦笑した。

 

「ですが政府としても、そのシナリオには乗れます。

 労働力不足の解消は国策ですから」

 

 利害は一致した。

 観光はただの遊びではない。次の社会変革への布石なのだ。

 

「……よし」

 

 沢村総理が立ち上がった。

 その顔には、難問を(強引に)解決した政治家の達成感があった。

 

「これにて『特例的渡航制限解除』を閣議決定とする!

 関係各省庁は直ちに準備に入れ!

 

 ガイドラインの作成、入国審査システムの改修、そしてアメリカ政府への通達!

 来月には第一陣を受け入れるぞ!」

 

「御意!」

 

 官僚たちが一斉に動き出す。

 

「アメリカにはこう伝えてくれ」

 

 沢村は言った。

 

「『日本は友人を歓迎する。たとえその身体が鋼鉄でできていようとも』とね」

 

 美辞麗句。

 だがその裏には、膨大な計算と妥協と、そして責任逃れが詰め込まれている。

 それが外交というものだ。

 

 会議が終わり、人々が去っていく中。

 麻生大臣が帰り支度をしながらぼやいた。

 

「……やれやれ。

 街中を鋼鉄の人間が歩き回るのか。

 

 警視庁の高梨長官が『職務質問はどうすればいいんですか!

 金属探知機が鳴りっぱなしになりますよ!』と泣きついてくるのが目に浮かぶわ」

 

 隣の九条が、資料を片付けながら淡々と返した。

 

「それもまた、現場の判断ですね」

 

「違いない」

 

 麻生は笑った。

 

「ま、なんとかなるだろう。

 日本人は新しいもの好きだ。

 

 最初は驚くだろうが、すぐに『ロボットがいる風景』に慣れてしまうさ。

 ペッパー君だって最初は奇妙だったが、今じゃ誰も気に留めん」

 

 彼らは楽観的だった。

 あるいは、そう思い込むしかなかった。

 

 開国。

 かつて黒船がもたらした衝撃のように。

 今、鋼鉄の観光客たちが日本の閉ざされた扉をこじ開けようとしている。

 

 彼らが持ってくるのは、ドルと好奇心と、そして「心」という名の厄介な手土産だ。

 日本という国がその異質な隣人をどう迎え入れ、どう変わっていくのか。

 その答えは、まだ誰も知らない。

 

 ただ一つ確かなことは。

 東京の街角に、まもなく見たことのない新しいドラマが生まれようとしているということだけだった。

 

 眠らない男たちは、一瞬の休息を挟むこともなく、山積する次の議題へとその視線を移していった。

 彼らの戦いは、終わることを知らない。

 

 

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