君の隣に俺は……   作:腐ったメガネ

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はじめて投稿します。書くことは得意ではないので1週間に1話投稿できるようにしたいです。なろうにも投稿しています。


1話 登校

 今日は平日の水曜日。現役高校生である俺はこれから学校に登校しなければならない。

 

 鞄を持ち、リビングを出る俺に対して母さんが「気をつけるのよ」と声をかける。俺はそれに軽く相槌しながら玄関に向かった。俺は忘れ物がないか鞄の中を確認しながら靴を履いた。

 

「いってきます」

 

 家族に聞こえるかわからないほどの声量で呟き、扉を開けた。

 

 外に出ると、まだ五月とは思えないほど暑い空気を全身に感じた。これから学校だというのに気力がガンガン削られていく。

 

 まぁ、原因は暑さのせいだけではないけど。

 

 隣の家を見ながらそんなことを思いながら学校へ向かった。

 

 学校に辿り着くまでの道のり、片耳にイヤホンをつけ、最近ハマっている歌手の新曲を再生する。これで少しでも削られた気力を回復させたい。

 

 この曲は何度聴いてもいいね。映画で流れた時もかっこよすぎて言葉が出なかったし。

 

 この前見た映画のことを思い出しながら、俺は歩いた。

 

 学校に近づくにつれて少しずつ同じ学校の生徒の姿が増えてきた。みんなスマホを触っていたり、友人と話したりしている。

 

 …そろそろイヤホン外すか。

 

 万が一のことを考え、スマホとイヤホンを鞄の中に入れる。

 

 一般的な高校では校内での電子機器の使用が原則禁止となっている。それはもちろん俺の高校も同じである。多くの先生はスマホを持ってきている生徒を見かけても黙認してくれるが、校則に厳しい先生がいつも校門に立っている。バレればスマホを没収されるため大体の生徒が学校に着く前にスマホを鞄にいれる。

 

 学校に着くと、活気のある声と音が響いてくる。いくつかの部活が朝練に励んでいた。

 

 俺はグラウンドの方を見た。グラウンドではサッカー部が練習をしている。

 

 うちの高校のサッカー部は県内だと強豪校らしく、部員は次の全国大会に向けて熱心に練習している。

 

 俺は、自分の下駄箱に向かいながら見知った顔に目が止まった。

 

「…………」

「朝から元気だねぇ。お前の幼馴染」

「 ! 」

 

 突然、耳元から聞こえた声に俺は驚き、彼から距離をとった。

 

「ハハハハ。驚きすぎだろ」

 

 そんな俺の様子に彼は笑った。

 

「はぁ、鈴宮か」

「おはよう黒川」

 

 彼は俺を驚かせたことに悪びれもせず挨拶をしてきた。ちょっと腹立つ。

 

 彼は俺と同じ一年三組の鈴宮奏汰(そうた)。この高校に入学してからできた友達だ。明るい性格で基本的に誰とでも仲良くなれる。現在彼女募集中らしい。

 

「おはよう鈴宮。次やったらもう漫画貸さないぞ」

「ごめんて」

 

 こいつ絶対次もやるな。

 

 特に反省したそぶりを見せず、鈴宮は続けた。

 

「昨日借りた漫画返すわ。めちゃめちゃいいところで終わったんだけどお前絶対わざと気になるところまでしか貸さなかっただろ」

「何のことかわかんねー」

「やっぱりそうか」

 

 わざとらしく言う俺を鈴宮がじっと見てくる。さっき鈴宮に注意したばかりだけど、俺も大概だね。もちろん反省などしない。

 

「ほら、お前が気になってる続きだ。バレるなよ」

「サンキュ。お礼に今度宿題見せてやるよ」

「学力俺とほとんど変わらないだろうが」

 

 なんてことを言いながらお互いが持っている漫画を交換する。鈴宮は俺が新しく貸した漫画を鞄にしまいながら続けた。

 

「最初に言ったけど、元気だね星野。一年なのにもうレギュラー入りするって聞いたぞ」

 

 俺達はサッカー部のいるグラウンドを見た。サッカー部は部員が四十人近くいるが、その中で特に目立っているやつがいる。

 

 星野正輝(まさき)、一年四組の同級生。サッカー部に入ったばかりだが、すでにエース候補とか言われている。なかなかのルックスと運動神経の良さからクラスの女子から大人気だ。

 

「中学の時から、他のやつよりずば抜けて上手かったからな。マサは『まだまだだ』とか言ってたけど」

「流石幼馴染、詳しいな」

「…うるせ」

 

 俺には小さい頃から一緒にいる三人の幼馴染がいる。星野正輝はその一人だ。長年一緒にいるため、俺達はお互いのことは大体わかる。

 

 俺たちは靴を履き替え、教室に向かいながら話した。

 

「人気者の星野と幼馴染とか、女の子とお近づきになれるんじゃないか」

「そうだな。マサが試合で活躍した次の日は女の子に囲まれたな。まぁ、みんなマサに関わりたかっただけで誰一人俺に興味なかったけどハッハッハッ」

「そ、そうか。大変だなお前も」

 

 あの頃は大変だったなー、と遠い目をする俺に鈴宮は哀れみの目を向ける。その目やめて悲しくなるから。

 

「実際そこまで大変ではないな。みんな俺に興味ないなら罪悪感なく雑に振り払えるから。嫉妬とかもないからな。全然大変じゃないよ。()()()はな」

「あー、そうだな。あれに比べたら可愛い方か」

 

そう、本当に大変なのはマサに集まる女子達ではない!本当に大変なのは…

 

「月見さんかぁ」

「ああ」

「呼んだ?」

「うわぁ!」

 

 ひょこっと目の前に現れた美少女に鈴宮は大声を出し、さっきの俺のように飛び退いた。

 

「あはは、鈴宮君驚きすぎたよ」

「いや今のは月見さんが悪いよ。なぁ」

 

 賛同を得ようと鈴宮が俺の方を見る。だが、俺はそれに答えなかった。答えたくなかった。答えれば話すことになるからだ。

 

 ああ、また気力が削られるな。

 

 これから起こることを考え、今にも出そうなため息をグッとこらえた。

 




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