鬱病無職の私、スーパーロボットでヒーローになる ―デプレション・オペレーション―   作:さぐものK

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10話:怪獣「アカバチ」!そして『自律誘導爆炎弾』!!

 怪獣は頭部と、丸い胸部、長くて1番大きい胴体部の3パーツで主に構成されている。

 胸部から6本の細い足が伸びていた。

 身体は赤銅色の薄い殻で覆われている。

 体毛は無い。

 とび出ている目は赤1色で、テラテラと輝いている。

 4枚の羽は高速で動いているが、透明なのはわかる。

 円状に開いた口がケツの穴のようにヒクヒクとうごめき、その奥には鋭く長い牙が見えた。

 

 

 個々の大きさはタカマガモリの1/10ほど。

 いや、1体だけ、他より大きな個体がいた。

 女王蜂のように、リーダーがいるタイプなのだろうか。

 数は……女王を除けば8~10匹ほどだろうか?

 

 その群体型の怪獣が、周囲を旋回している。

 間合いは、タカマガモリの歩幅にして6歩分ほどだろうか。

 こちらは機体の向きを変え、群体を視界におさめている。

 

 ウゾウゾと、リーダーを中心にしながら乱れ飛んでいる。

 まるでこのカタマリ、群体そのものが1匹の虫であるかのようだ。

 ビビビビビビビという不快な羽ばたきもまた、不気味さに拍車をかけている。

 

「赤い……蜂?」

 

「じゃあ名前は『アカハチ』だね。いや『アカバチ』かな?」

 

「よし、識別名『アカバチ』との交戦を開始する!いくぞ!」

 

「うん!」

 

 きゅっと口を結んでツバを飲み、気合を入れる。

 

「まずは牽制(けんせい)だな、黒点(ブラックポイント)!」

 

「よし!」

 

 タカマガモリの腕を振りかぶり、発射の準備をする。

 旋回するアカバチ群に上手く当たるようにタイミングを合わせて……。

 !

 アカバチが急に進路を変え、正面からこちらに向かってくる!

 その口は激しくヒクつき、牙がワシャワシャと不揃いに動き出す!

 避けるか!?撃つか!?

 ええい、撃つ!!

 突き出した拳の甲から、黒点を発射した!

 

 しかし、アカバチ群は散開して黒点を避ける!

 速い!というほどではない。

 しかし飛んでいるぶん、動きの自由度が、前の怪獣とは違う!

 

 散開したアカバチたちは、また1つのカタマリに戻り、向かってくる!

 アカバチ群の赤い眼が妖しく光った。

 ピクピクと震えながら、こちらを睨んでいる!

 

「かわせ!」

 

「わかってる!」

 

 アカバチ群が近づいてきた!

 

 私はとっさにタカマガモリの身体を右にひねる!

 地面がヒビ割れるほど強く蹴り、両手をのばして低く鋭く飛び込む!

 巨体が素早く動くことで起きる風圧。

 それがウオオオンと、唸り声のように耳に届く。

 

 

 ブウウウウゥーー(バシャシャシャシャシャ!!)ーーーゥン!

 

 アカバチ群は頭上を通り抜け、機体の後方へと飛んで抜ける。

 

 飛び込み回避したタカマガモリ。

 ズガン!と伸ばした両手を地面につけた。

 グオン!と、その巨大な機体を転がして前回りする。

 いわゆる『飛び込み前転』だ。

 その衝撃で建物や木々がガクガクと震えた。

 

 ……よし!

 なんとか敵の衝突を避けた!

 しかし、すれ違いざまに……水音が?

 

 

「機体に損傷!強酸性の溶解液だ!」

 

 なにいっ!?

 

 モニターの端にタカマガモリの全身が映し出される。

 左脚部に黄色の液がひっかけられていた。

 液からジュージューと音がして、煙が昇る。

 まるで胃液のようだ。

 口の中が酸っぱくなった気がした。

 

「むうう!Hy()(安定性)(合金)が腐食するほどか!」

 

「まだ機体性能に影響が出るほどじゃないよ!」

 

 私はタカマガモリを振り向かせ、後方にいたアカバチ群を見る。

 奴らの口からも黄色い液体が漏れている。

 さっき近づいてきたのは体当たりじゃない。

 

「酸を上から浴びせるためだったんだ!」

 

「よく考えればそれもそうだな!あんな小さい怪獣が格闘戦を挑むわけもない!」

 

「前回の闘いで、怪獣はこちらの格闘能力を把握してたんだったね……!」

 

 そういや以前『怪獣は死の間際に、他の怪獣へ情報を送る』って言ってた。

 まさに学習の成果ってことか!

 

 

 くうう、結果的に、『構わず黒点を撃つ』判断は失敗だったじゃないか!

 避ける判断が出来ていれば……!

 

 頭ではダメだと分かっている。

 それでも、心に重い空気がズーンとのしかかるのを感じる。

 

「ザクちゃん……!?」

 

 私の心の重さ。

 イナバくんはそれをテラス因子の出力量から感じ取ったようだ。

 

「弱気になるな!ザクロ!」

 

 !?

 

「テラス因子さえ出せれば、打開策はあるッ!イナバくん、頼む!」

 

「う、うん!オッケー!」

 

「ザクロ!タカマガモリの腕を胸元でクロスさせるんだ!」

 

 ミタマの一喝に驚き、心の重さが一瞬消えた。

 よく分かんないけど、とりあえ指示通りに!

 

 腕に力をいれ、強く念じる!

 

 タカマガモリの腕を胸元で、クロス!

 コクピット内に甲高い電子音が響く。

 不思議と不快ではない。

 イナバくんは目を閉じ、全体像は消えそうなほどに透明になっている。

 これはつまり、機体内のコンピューターが何かを高速で処理している?

 

 タカマガモリがググウーン!とエネルギーを出力する音を出し、軽く震える。

 同時に、イナバくんが目を開き、叫ぶ!

 

「『自律誘導爆炎弾』!行っけえぇっ!!」

 

 ズドドドドドドドド!!

 

 その叫びと共に、タカマガモリの肩から連続で放たれる、光の、玉?

 8発ほどのオレンジの光玉が、周囲に浮く。

 それらが光の尾をひきながら、アカバチ群に向かって飛んでいく!

 避けようと散開するアカバチ!

 しかし、光玉はその個体1匹1匹を追いかけ、衝突する!

 炎をあげながら爆発し、アカバチの殻が地面に弾け落ちた!

 

「よしっ!」

 

 イナバくんが嬉しそうにガッツポーズをきめる。

 

 あの光の玉は個々に敵を設定し、誘導ができるようだ。

 複数の誘導弾を個別かつ同時に制御。

 AIのイナバくんにしかできない芸当だろう。

 

 アカバチのように空中を飛び回る複数の敵にはうってつけの攻撃だ。

 

「怪獣が学習することは承知の上だ、だがそれでも、俺達の方が上手(うわて)だぞ!」

 

 おお……!

 

 しかし、アカバチたちは1発で撃墜できたわけじゃない。

 羽に傷をつけた個体もいる。

 だが、飛べなくなった個体はいない。

 

「イナバくん!もう一回やれる!?」

 

「やれる!けど次弾装填(リロード)にちょっと時間が……!」

 

 くっ、それまで耐久か!

 とはいえ、ちょっとと言うからにはそこまでの時間は……。

 

 

 などと考えていると、アカバチのリーダー……女王(クイーン)が、身体を大きく震わせる。

 

 

「なんだ、あの震えは!?」

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