ロンの活躍によって、今日のクィディッチのスリザリン戦に勝利したグリフィンドール。
談話室では、寮生たちがロンに向かって喝采を浴びせ、ある生徒はウィーズリーは我が王者を歌い、彼を称えた。
「ロン!さすが私のロン!!すごい活躍だったわ!」
談話室の真ん中では、ラベンダー・ブラウンがロンの顔中に、雨を降らせるかのようにキスを連発していた。
ロンもそれに、照れながらもまんざらでもない表情を浮かべていた。
寮生たちの熱気溢れる人混みを躱しながら、ハーマイオニーはロンとラベンダーへの嫉妬により、瞳からこぼれ落ちそうなものを抑えて、1人になれる場所を探しに談話室を抜け出した。
談話室を抜けて、暗闇の中歩き続け女子寮へ続く階段の前に、彼女は壁に背中をつき、崩れるように座り込んだ。
ハリーは、パーティーを抜け出していったハーマイオニーに気づき、彼女を追いかけるように談話室から抜け出した。
談話室を抜けてパーティーの喧騒から離れると、聞き覚えのある声がすすり泣いているような声が聞こえた。
その声に向かって歩いていくと、女子寮への階段の前でハーマイオニーがうずくまり、魔法で小鳥を作り、円を作らせていた。
「きれいだ…」
ハリーは、うずくまるハーマイオニーの傍に腰掛けながら声をかけた。
「鳥を作る練習をしていたの」
ハーマイオニーは、震えた声で返した。
その目は涙に濡れていた。
「ジニーのこと、わかるわ… 親友だもの…」
「ジニーはもういいんだ…」
そう口にした瞬間、ハリーの胸の奥で、何かが静かに、しかし確かに崩れ落ちていくのを感じた。
ジニーへの想いは、確かにあった。でも、それは“誰かに恋をしていたい”という焦がれる気持ちの延長でしかなかったのかもしれない。
それよりも、今目の前で肩を震わせているこの人を……
自分が本当に守りたいと思っている人を、見失っていたんじゃないか。
君が泣くと、僕の心が痛む。
君が傷つくと、僕はどうしようもなく焦る。
それが何よりの証拠だった。
「きれいだ…」
その言葉の裏に隠したのは、“君がきれいだ”という想い。
ハリーは、何も言わずにそっとハーマイオニーの肩を引き寄せた。
ただ黙って、彼女のぬくもりを感じながら、胸の中でこう誓った。
君を泣かせる誰かになるくらいなら、ずっと君の隣にいたい。
君を泣かせたのが誰であれ、許すわけにはいかない。
それが、ロンであったとしても……
その夜、ハーマイオニーが静かに涙を止めるまで、ハリーは決して彼女の肩から手を離さなかった。