ようこそ理系女子と行く教室へ   作:絶対零度

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中学生編です。



中学の日々

 

 

中学に入った俺だったが、学校では容姿やら何やらで注目こそ浴びていたものの次第と一人になっていった。元々中身が社会人の俺は中学生の会話に乗って行けなかったのだ。

 

それだけでは無く、既にこの世界でも俺は社会に脚をどっぷりと突っ込んでいた。平日でもあの病院やこの航空関連企業に呼ばれて学校への出席日数はギリギリだった。

 

 

最初こそテレビに出ていたと注目されたが、やがて部活動以外では俺はほぼ1人で過ごすようになった。

 

 

そして中学2年生になった。

 

相変わらず学校では殆ど話さない俺だが、そんな俺でも話す相手がいる。

 

その娘は…

 

 

「ねえねえ、昨日はどの病院に行ってたの?」

 

「千葉の方。新型ウイルス対策の薬の作成。結構苦戦した」

 

 

新たに流行りだしたウイルス対策で薬を作成した日の翌日、俺は屋上で彼女に話し掛けられていた。彼女は小学生の頃から俺がテレビに出ているのを観ており、俺に興味を持ってくれたようだ。

 

 

「そうなの〜、でもそれでお金稼いだ訳でしょ〜。何かズルいな〜。同じ中学生なのにハルだけガンガン稼ぎまくりじゃん」

 

 

すっかり馴れ馴れしくなった。心を許した相手には比較的距離が近い。

 

 

「それでテストはいつも満点何だもん。授業出てないのにおかしくない?カンニングとかしてないよね〜?」

 

「ちゃんと実力で取ってる」

 

「ふふっ、冗談だよ。この前のテスト、勉強教えて貰ったし。お陰で文系で80点取れたよ〜」

 

 

1ヶ月前、中間テスト対策に友達になった彼女の勉強を見たことがある。長谷部は国語と英語が苦手だったのでそこを重点的に講師役をやった。

 

 

「それに、色んな部活の大会出てるよね〜、ハルが出るといつも1位なんだもん」

 

 

彼女の言う通り俺は色んな運動部を兼部していた。それぞれの大会に出て1位を取り、毎年何かで優勝していた。

 

長谷部は笑いながら並んで手摺に掴まる。風で靡く青ロングの髪がとても美しい。

 

 

「ねえ」

 

「ん?」

 

 

彼女の方を向く。長谷部はじっと俺の顔を覗き込んでいた。

 

 

「ハルって私の事特別視してるよね」

 

「そう見えるか?」

 

「うん、絶対普通じゃないよ」

 

 

俺の眼をじっと見詰めた。硬直した。内心を見透かされたようだった。

 

確かに俺は彼女を特別視している。

 

原作キャラである事は大きいが、彼女の性格や会話、そして何よりその笑顔に惹かれた。

 

 

「私もハルの事気に入ってるよ」

 

「えっ…」

 

「嘘じゃないよ。何か一緒にいて嫌じゃないって言うか寧ろ安心するって言うか、自分でも分からないの」

 

 

俺の事を嫌っては居ないようだ。原作で言う綾小路グループへ向ける感情とか同レベルかな?

 

 

「だから私、ハルと一緒にいるの。結構気に入ってるから」

 

「俺もだ」

 

 

どうやら彼女のお眼鏡に叶ったようだ。俺はひとまず安心した。

 

 

「期末もまた勉強教えてね」

 

「おう、次は理系で90後半狙いだな」

 

「…ハルなら何とかしちゃいそうな気がする」

 

 

彼女の言葉には確かな信頼が込められていた。

 

不思議と心が躍った。これが原作キャラの魅力なんだと思った。

 

 

中学2年生まではあっと言う間に過ぎて行った。

 

 

 

スキー体験の宿泊学習があった。

 

 

俺は持ち前の身体能力で上手く滑り、学校の皆に注目された。女子達が歓声を上げてくれた。

 

 

「ねえ、私にも滑り方教えて」

 

 

現地のインストラクターの説明だけでは1日目中々滑れなかった長谷部が俺の所に来た。

スキーに関しては長谷部は素人だった。

 

自由時間に彼女と一緒に滑り、講師役をやった。

 

 

「身体の重心の扱いが滑り方のコツだ。斜面を斜めに滑るには…」

 

 

俺は彼女の滑りを見てあげた。

 

 

「ねえ、出来たっ」

 

 

1日目の自由時間が終わる頃には彼女は雪山を美しいフォームで滑れるようになっていた。男子がそれを見て見惚れていた。

 

 

その数日後、スキー場の寒さが原因で彼女は風邪をひいていた。

 

俺は彼女の家まで通い、ノートを渡しに行った。長谷部は凄く喜んでいた。少し長谷部の家に行って分かったが、彼女は実の親との関係も何かあるようだった。

 

ある日、長谷部が休みの間だった。

 

 

「蒼空野君、ちょっと良いかな?」

 

 

女子の1人が俺を体育館裏に呼び出した。

 

俺は約束の時間通りにそこに行った。その女子はクラスではカーストトップにいる結構美人な娘だ。

 

 

「どうした?」

 

「えっと、急だけど言うね。私、蒼空野君が好きです。付き合ってくださいっ」

 

 

そう言って手を出す彼女。

 

俺は生前含めて初めての告白に戸惑った。

加えて結構美人の女子だった。

 

心が揺るがない理由が無かった。

 

だが俺には想い人がいる。だからこう答えた。

 

 

「ごめん、気持ちは嬉しいけど、応えられないかな」

 

「っ…やっぱり長谷部さん?」

 

「…彼女は友達だ…」

 

「そっか…」

 

「うん、ごめん…」

 

「ううん、大丈夫…それじゃ…」

 

 

長谷部にヘイトが掛からないように答えたつもりだった。

その女子は泣きながら去って行った。

 

また次の日。

俺は別の女子に呼び出されていた。

 

その娘の用事も同じだった。

 

俺は胸が張り裂けるような思いで断った。 

 

その女子も泣いていた。

 

こう言った経験が初めての俺にはどうすれば良いか分からなかった。

 

 

 

数日後、長谷部は回復した。

 

俺は彼女と一緒に登校した。

下駄箱に来た。

 

 

「何…これ…」

 

 

長谷部が何かを両手で掴み見ていた。

 

 

俺は後ろから覗き込んだ。1枚の紙切れだった。

 

 

『陽斗君から離れろブス』

 

 

俺は怒った。こんな事をする人がいるとは思わなかった。

長谷部からそれを取った。彼女は慌てていた。

 

 

「ハル、私は大丈夫」

 

「俺が駄目なんだよ」

 

 

紙切れを回収する。

翌日、俺は下駄箱の近くにある物を仕掛けた。

 

 

体育の授業があった。女子の方を見ると長谷部は見学していた。彼女の方にわざとらしいボールが飛んで行った。

 

即座に走り、そのボールをキャッチする。

彼女の顔に当てられそうだった。

 

 

これは…複数人でやってるな。

 

 

数日後、

俺達が登校する。違和感に直ぐに気付いた。

 

長谷部の下駄箱がゴミだらけになっていた。

 

 

更に紙切れが入っていた。

 

 

『放課後、学校裏に来い』

 

 

放課後、俺は長谷部の後をつけていた。

 

学校裏を見ると6人ぐらいの女子に彼女は囲まれていた。

 

 

何やら言い争いをしていた。全てペン型カメラで撮影する

 

1人がバケツを手にした。

 

俺は駆け出した。

彼女を押さえつけようとしている女子達の手を全て払い除けて彼女を抱きかかえて横に飛び、バケツの水を躱した。

 

 

「蒼空野君…何でそいつを庇うの。そんな奴の何処が良いんだよっ」

 

「お前達に関係無い。2度とお前等とは喋らない」

 

 

長谷部を連れて離れる。

俺は下駄箱に仕掛けておいたとある物を回収した。その映像を確認する。そして彼女を連れて職員室へ向かった。

 

 

数日後、長谷部を攻撃していた女子達は退学処分になった。

 

以降、学校はいじめに対して厳重になり誰も彼女に手を出せないようになった。

 

 

その日から長谷部、否、改め波瑠加と俺の距離は縮まった。彼女の信頼を得る事に成功したようだ。

 

時は流れ、中学3年になった。

 

 

「陽斗、何処受験するの?」

 

 

図書館での勉強中に隣から波瑠加が話し掛けて来た。

俺は迷ったが、やはり興味が失せる事は無かった。

 

 

危険だと分かっていても行きたくなってしまう。

それが原作知識持ち、そして原作ファンの心と言うものだ。

 

 

「東京都高度育成学校」

 

「…私も受験する」

 

 

こうして俺達2人は高度育成学校を受験した。

 

結果は2人共合格だった。

 

 

 

4月になった。

 

 

桜の咲くこの時期に俺は彼女と共に高度育成学校の門を潜った。

 

クラス分けが貼ってある掲示板の前に立つ。

 

 

「あっ…あったよ。また同じクラスだね」

 

「…何処だ」

 

 

Dクラスを見たが俺の名前どころか彼女の名前も無い。

 

 

「そっちじゃなくて隣」

 

 

波瑠加が指差す場所を見る。そこには…

 

 

「Cクラスだと…!?」

 

 

俺は戦慄した。

 

掲示板を見る。

 

伊吹澪、金田悟、椎名ひより、山田アルベルト、そして…龍園翔…

 

 

その中に俺達の名前も入っていた。

 

 

ということはつまり俺は原作主人公の序盤敵?

 

 

「…燃えて来たぜ」

 

 

俺の心に闘志が燃え上がった。

 

良いだろう。全力で相手をしてやる。

 

俺は高鳴る胸の鼓動を抑えながら波瑠加と共に教室へ向かった。

 

 

 






と言うわけで本編開始。

主人公はCクラスに配属されましたね。

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