ようこそ理系女子と行く教室へ 作:絶対零度
頑張れ龍園君。
入学して2日目になった。
授業が始まった。1限目は皆真面目に受けていた。
しかし、授業中に指されることがなく、2限目には緊張感が無くなり、3限目、4限目になると明らかに上の空になってる人が出て来た。
まだ居眠りする人は居ないが、入学して早々これはヤバかった。休み時間に龍園にメールを送る。波瑠加にも一通送っておいた。
原作のCクラスのポイントは確か5月段階で490cp。悪いポイントじゃないが、もう少し高く持って行っても良いだろう。何せDクラスにはあのチート野郎の如く綾小路がいるからな。初期のDクラスが幾ら酷くても彼の手に掛かればこんな差は簡単に埋まってしまう。
700cpは欲しい所だ。
3日目の放課後、帰ろうとする皆を俺は止めた。
「皆、少し待って貰えるか、龍園から大事な話があるんだ」
「話って?」
「あん?」
「何だよ、俺達帰りてえんだけど」
Cクラスの大半は取り敢えず足を止めてくれたが、不良っぽい人達には俺の声は届かなかった。
石崎と小宮が不機嫌そうに俺を睨む。教壇に登った龍園が笑った。
「くくくっ…、お前等、帰るのは構わねえが聞いておいた方が良いぜ」
「あ?どういう事だよ」
「帰りてえなら帰れ、だが俺はお前等の来月貰えるポイントが無くなっても知らねえぞ」
龍園の言葉に石崎達は足を止める。もう一押しだな。
波瑠加が席を立った。
「皆、少しだけだから、ねっ、聞いておいて損はさせないよ」
「……」
波瑠加の言葉に石崎達は渋々といった様子で席に戻った。外に漏れないように前後の扉を閉める。
龍園はそれを見て話し始めた。
「早速だが、お前等に1つ質問がある。お前等、来月俺達は何ポイント貰えると思う?」
「そんなの10万ポイントに決まってるだろ」
「先生の話聞いて無かったの〜?」
クラスの大半は来月も10万ポイント貰えると信じて疑わないようだ。
「くくくっ…テメエ等の言ったことも正解の1つだ」
「あん?意味分からねえよ」
龍園に石崎が噛み付いた。上下関係が無い最初はこんな関係だったのか。
「だがな、そうなる為にはお前等全員の頑張りが必要だ。まずはこれを聞け」
龍園はボイスレコーダーを取り出した。
『なあ見たか?今年のCクラスとDクラスの奴らの頭の悪そうな事と来たら』
『多分4月の授業中居眠りやら私語やらを重ねるんだろうな。後ろの監視カメラで撮られてるのも知らねえでよ〜』
『来月は大幅にポイント減ってるだろうな〜俺の予想ではCクラスは2万、Dクラスは1万くらいしか振り込まれないと思うぜ』
『加えて希望の進路で卒業出来るのはAクラスだけなんてよ〜、本当詐欺だぜこの学校』
『おい、Cクラスに頭が良さそうな女子がいるぞ、あの娘がクラスを引っ張っていけばAクラスより多いポイントを残せるんじゃ無いか?』
『いや〜無理だろ、9万以上残せたら俺は笑うわ』
『だよな〜、けど偶には下剋上が見たいぜ毎年A、BクラスだけがAクラスの座を争ってるんだからよ〜』
『Cクラス以下は踏み台だもんな〜哀れだぜ全く』
『〜〜〜〜』
『〜〜〜〜』
龍園は一通り俺が作った偽の音声によるボイスレコーダーを流した。Cクラスはそれを聞いて騒然となった。教室の後ろに付いている監視カメラを見て驚く者も多数いる。虐め防止だけでは無く授業態度を監視されてるとは誰も思わないだろう。
「つう訳だ、このままだと俺達は来月ポイントを大して貰えねえばかりか希望の進路を叶える事が出来ねえわけだ」
「はあっ!?」
「おいおい、まじかよ…」
ボイスレコーダーと龍園の話でCクラスは荒れる。
「だが、早い段階で気付いた俺達は対策出来る。来月も高額なポイントを貰い、尚且つAクラス争いに参加する為にはお前等全員の力が必要だ。ここにいる全員で4月中、真面目に授業を受け無いとならねえ。遅刻・欠席は論外だ。そうすれば俺達はスタートラインに立てる」
龍園がそう言うと教室は静まる。
まだ自分達は負けた訳じゃないと気付いたようだ。
「全員で進路を叶える為にはお前等の努力が必要だ。だから先ずはこの1ヶ月間、俺の言う通りにしろ。他クラスには絶対に漏らすな。そいつには俺が制裁を加える。俺の指示に文句がある奴はこの後校舎裏に来い」
龍園はそれだけ言うと教壇を降りた。そのまま校舎裏に向かうのか荷物を持って出て行った。
何人か不満がありそうな不良達が彼の後を追う。
やはり初期のCクラスはCクラスなようだ。
「ねえ、今言った事本当なの?」
波瑠加が俺の所に来て耳打ちする。
俺は頷いた。
「そうなんだ〜、けど、あの音声は陽斗が作ったんでしょ」
小声でそう囁いた。彼女にはバレバレだった。
「他には言うなよ」
「うん、分かった。けど、龍園君だっけ?あれ、放っておいて大丈夫なの?」
「心配ないさ、計画通りだ。昨日ちょっと確かめたが彼はかなり強い。あの実力ならその辺の相手に負けるわけが無い。俺が出るまでもない」
「陽斗がそう言うなら安心だね」
そのまま2人で帰る。きっと今頃監視カメラの死角である校舎裏では龍園が石崎達をボコボコにしているのだろう。
彼は容赦無いから石崎達が不憫である。
翌日、案の定、顔を腫らした石崎や小宮達がいた。
龍園は無傷だった。流石だな。もしこれで勝てなかったら俺が代わりにやろうと思ったんだがその心配は不要だった。
流石Cクラスの王はその辺のチンピラとは格が違った。
『蒼空野陽斗君、職員室に来てください』
ある日の放課後、俺は坂上先生に呼び出されていた。
先生は俺に一封の封筒を渡して来た。
「本来なら外部とのやり取りは禁じられてますが、君は色んな企業から必要とされてます。よって特例が与えられました」
封筒を受け取る。
寮に帰って空けて見ると中から出てきたのは…
「新型ウイルス対策のワクチンの生成?」
とある病院からの薬の作成のリクエストだった。最近になって外国から日本に移り始めたウイルス用のワクチンが作れないらしい。そこで大至急、俺に作って欲しいようだ。
その日の夜はポイントで実験室を借りて徹夜で頑張った。
事情を聞いた波瑠加が駆けつけて一緒に手伝ってくれた。彼女は俺の家に時々来る為か、少し詳しくなっていた。将来薬剤師辺りにならなれそうだった。
1秒でも早く薬を作る。そして人の命を救い出す。そんな思いで白衣を着て、薬を調合した。
そして…
「完成した」
明け方薬を完成させた。
早速戦果を学校に持っていき坂上先生に提出する。
坂上先生は驚いていたが、病院への提出を約束してくれた。
あれから10日経った。再び俺は職員室に呼び出された。
「蒼空野君、長谷部さん、企業からのお礼が来てますよ」
俺の元に病院からのお礼が来ていた。無事、適合したとの報告があった。
「ポイントの管理にはくれぐれも気をつけてください」
坂上先生はご機嫌そうに笑いながら俺達にプライベートポイントを送った。
「ねえ、報酬ヤバくない」
「他には内緒にしておけよ。バレると面倒だから」
俺達は報酬としてそれぞれ4000万、300万ポイントを手に入れた。今回波瑠加にも手伝い料が入ってる。加えて俺にはプロテクトポイントが付与された。一度だけ退学を無効に出来る良いポイントだった。
坂上先生曰くこれでも少ないくらいだそうだ。それだけ今回の薬には価値があったと言う事だ。未だに発生源の外国でも生成されて無かった重要品らしい。
帰ろうとしたら坂上先生にまた呼び止められた。
今度は航空会社からだった。
とある航空機の部品を設計、作成して欲しいとの事だ。
おい、どれだけ当てにされてるんだよ俺。坂上先生に次は全てプライベートポイントに換算するように頼むと2つ返事で了承してくれた。良い先生だな。
よし、プライベートポイントが手に入った。これで他クラスの買収とか買収とか買収とかで龍園の支援が出来るぞ。
材料を買って、機械工学部で航空機の部品を作りながら俺はこれからの展開を楽しみにするのだった。
間もなく航空機部品も製造完了した。
作成方法と設計図面を坂上先生に提出し、企業に送って貰う。
恐らく来月にお礼のプライベートポイントが来るだろう。
水泳の授業があった。
波瑠加は見学だった。やはり異性に身体を見られるのはまだ抵抗があるようだ。
俺は競泳で1位を取った。
見学席から波瑠加と後は椎名が応援してくれた。
小テストがあった。俺は高校生の範囲くらい余裕でマスターしていたので簡単に解けた。
前の席では椎名が恐らくラスト3問の内のどれかに苦戦している。
他の奴らも最後の3問で筆が止まってる様子。高1の範囲じゃないから仕方無い。
そして、遂に5月1日を迎えた。
Aクラス 940cp
Bクラス 660cp
Cクラス 870cp
Dクラス 0cp
「おめでとうございます。君達は今日からBクラスです」
今回の5月1日の旧Cクラスのプライベートポイントには単純なCクラスの努力の結果だけでは無く、主人公の活躍分が含まれてます。