ようこそ理系女子と行く教室へ   作:絶対零度

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5月1日は簡単に書きます。






戦略

 

 

Aクラス 940cp

 

Bクラス 660cp

 

Cクラス 870cp

 

Dクラス  0cp

 

 

Cクラスは全員、黒板に張り出された数値を見ていた。

 

坂上先生はSシステムの仕組みとAクラスから優秀な順にクラス分けがされてる事を説明した。

 

クラスメイトは龍園の仮説が正しかった事に驚きながらも、旧Bクラスを追い抜いた事を喜んでいた。

同時にDクラスの0と言う数値に困惑していた。

 

しかし進路の話になると皆の顔が曇った。何せAクラスでないと希望の進路に就けないのだ。このまま行けば結局は自分達もDクラスと同じ運命へと向かう事になる。だが自分達よりも明らかに優秀らしいAクラスに勝つのは至難の技だと感じていた。

 

 

坂上先生は俺達の反応を見て、何かを思い出したように口を開いた。

 

 

「そうそう、クラスポイントについてですが、皆さんの本来のポイントは残念ですが770cpでした」

 

「坂上、だったら何で100ポイント追加されてるんだ?」

 

 

龍園の当然の質問にCクラス全員が坂上先生を見る。

 

 

「それは課外活動です。先月そこにいる蒼空野君と長谷部さんが、とある病院からのリクエストで新しい薬を作成しました。その事が評価されBクラスのクラスポイントが100上がったのです」

 

「「「「おお〜」」」」

 

 

クラスメイトが俺と波瑠加の方を見た。悪い気はしなかった。

 

 

「部活動に入っている生徒も大会の結果次第では何かが増えるかもしれません。私の話はここまでです。次に小テストの結果ですが…」

 

 

坂上先生は黒板に厚手の紙を張り付ける。

 

 

首位は勿論俺。2位が椎名。3位が金田。そして何と波瑠加は7位だった。

 

 

「平均点は76.4点ですね。今回のテストでは38点以下が赤点になります。次以降赤点を取った生徒は退学になるので頑張ってください」

 

 

そう言うと坂上先生は退出した。

同時に龍園が前に出てくる。

 

 

「お前等、この1ヶ月間よく頑張った。Bクラスになれたのは全員のお陰だ」

 

 

龍園は成果を出したクラスメイトを褒めた。これは俺が事前に龍園に助言した事だった。

 

 

「Aクラスへの道のりは遠い。だが俺は必ずお前等をAクラスに上げてやる。だから全員で俺に力を貸せ」

 

「「「うおおおっ、龍園!!」」」

 

 

龍園の力強い言葉にCクラス、否Bクラスは湧いた。クラスメイトからは誰よりも早くSシステムを見抜きクラスの窮地を救った男だった。この1ヶ月で龍園はそれだけの信頼を勝ち取って来た。

 

 

「それで、早速だが、お前等にやって貰う事がある」

 

 

Bクラスは静かに龍園の次の言葉を待つ。

 

 

「俺から言う事はただ1つ。迷わず勉強しろ。放課後勉強会を開くから全員強制で残れ」

 

 

龍園の意外な言葉にクラスメイトは拍子抜けした状態になる。

 

 

「話は以上だ。後は好きにしろ。そうだ最後に1つ言う事がある」

 

 

声のトーンが下がる。重要な話だ。

 

 

「今後他クラスに何を言われても一切気にするな。今の870のクラスポイントはお前等の努力で稼いだものだ。絶対に荒事は避けろ。暴力を振るった奴には俺が制裁を加える」

 

 

それだけ言うと席に戻る龍園。

 

俺と一瞬目が合う。

 

 

クラスメイトを横目で見ながら昨日の事を思い出した。

 

 

 

 

 

 

「Bクラスを攻撃する?」

 

 

俺の部屋で寛ぐ龍園に俺は聞き返した。

 

 

「明日になってみねえと分からねえが、恐らく俺達のクラスポイントはBクラスを超えている。本来格下の俺達に追い抜かれてBクラスの雑魚共は阿鼻叫喚だろ。そこに俺達が介入する」

 

「…Bクラスに嫌がらせをして奴らを崩しにかかる。もしくはBクラスの実力者を炙り出すといった所か」

 

「くくくっ…そうだ。ついでに学校のルールを探る。何処までがグレーゾーンで何処からがアウトなのかが分かればそれで良い」

 

 

恐らく原作とほぼ同じタイミングで龍園はBクラスを攻撃するつもりのようだ。

 

原作をある程度知ってる転生者の俺としてはBクラスに攻撃するメリットは殆ど無い。Bクラスに嫌悪感を持たれ、交渉でそっぽを向かれる可能性が高い。ついでに2カ月後にはDクラスと組んで俺達を挟撃してくるのが原作だった。

 

 

「俺個人の意見を言うならその作戦には反対だ」

 

「ほう?何故だ」

 

 

ギロリと俺を睨む。逆らうつもりなら潰してやると目が言っている

 

 

「確かに俺達Cクラスは4月始めからSシステムを見抜き、クラスポイントを多く残す事が出来た。だが、所詮はそれだけだ。皆中身は下位クラスの実力しかない。そんな中、格上の相手に喧嘩を売るなんて論外だ。今は静かに地力を高める事に専念した方が良いと思う」

 

「はっ、びびってやがるのか?」

 

 

龍園は俺を鼻で笑った。だが俺の話には続きがある。

 

 

「それにだ。俺達から喧嘩を売らなくても俺達に追い抜かれたBクラスと、後は同列のDクラスの奴らがきっと黙っていない。ポイントをどうやって残せたのかと絡まれるのは当然、反則技を使ったんじゃ無いかといちゃもんを付けてくる奴らもいるだろう」

 

「…そいつ等が攻撃してくるのを録音して学校に提出し、ルールを見ようって算段か?」

 

「ああ、わざわざ此方からやる理由は無い。きっと何か仕掛けてくる。彼らにとって俺達は格下、あるいは同列の癖に何らかのやり方でポイントを稼いだ気に入らないクラスと言った所だろう。少なくとも俺達を自分達よりも優秀なクラスとは見ないはずだ。」

 

「成る程な、お前の考えも一考の余地がある」

 

 

龍園は考え込んだ。

 

 

「だが、奴らが何もしない可能性もあるだろ。その時はどうするんだ?」

 

「それなら学校の掲示板を利用する。そこに俺達、いや、俺の悪い噂を投稿する。

《蒼空野陽斗は不正にクラスポイントを稼いでる》と言った感じでな」

 

「くくくっ…成る程なあ、確かにそうすれば雑魚共は飛び付く訳だあ」

 

「後は噂が過激化するのを待ってBクラスに接触する。そうすれば奴らは俺を確実に叩いて来るだろう」

 

「そこを録音して学校に提出し、反応を見るか。面白え事考えるなあ?」

 

 

龍園は笑った。どうやら作戦に乗ってくれそうだ。

 

 

「その間クラスの奴らには一生懸命勉強して貰う。少しでも地力の差を縮めるんだ」

 

「くくくっ…悪くねえ作戦だ。だが1つ修正だ。お前ではなく俺が標的になってやる。お前はクラスに隠れてろ」

 

「…俺を隠しても意味は無い。俺の実力なんてたかが知れてる。ここは言い出しっぺの俺がやる。」

 

「馬鹿げた事を言うな、俺よりも早くSシステムに気付いた奴が使えねえ訳ねえだろ。良いから隠れてろ」

 

「龍園、このクラスの切り札は間違いなくお前だ。だからお前は最後まで残らなければならない」

 

「はっ、テメエに言われても嬉しくねえよ。良いから隠れてろ」

 

 

俺達はどっちが被弾するか議論していた。

 

するとガチャリと玄関のドアが開く音がした。

 

そこには携帯を持った波瑠加がいた。隣には石崎が申し訳なさそうな顔をしている。

 

 

「陽斗、それに龍園君。全部聞かせて貰ったよ」

 

「波瑠加…」

 

「ああん?てめえどうやって盗み聞きした」

 

 

波瑠加は腰に片手を当てたまま、ベッドを指差す。

 

 

「陽斗のベッドの下に盗聴器入れて置いたよ」

 

「龍園さん、すみません、全部聞いてました」

 

 

迂闊だった。彼女は俺の部屋を出入りしており、合鍵も持っている。こんな事に気付かないなんて俺はやはり中身は凡人以下なのだろう。

 

 

「クラスの為に身を切って誹謗中傷の的になる気?」

 

「てめえに関係無いだろう。さっさと女子階に戻れ」

 

「……波瑠加、これは必要な事なんだ」

 

「たかが学校のルールを知るためにそこまでやるの?陽斗、それを見ている私の身にもなってよ」

 

「龍園さん、俺も辛いっす」

 

 

2人は引かなかった。波瑠加と視線が合う。勝手な行動は許さないと目が言ってる。

 

 

「折角、皆でクラスポイント残したんだよ。それだけで喜べないの?」

 

「そうっすよ、龍園さん。俺、これからは本気で勉強します。そしてBクラスの奴らを超えて見せますって」

 

 

波瑠加の言う事、石崎の熱意、どちらも真摯なものだった。

 

 

「クラスの人達が聞いたらがっかりすると思うよ。自分達を頼らずに2人だけで危険な目にあって自分達には何も教えてくれない。そんな自己犠牲のリーダーなんて続かないよ」

 

「龍園さん、せめて俺が標的になるっす。ですから作戦を変更してください」

 

 

何処までも真剣に俺達を見据える2人。俺と龍園は顔を見合わせた。

 

 

「…作戦を中止する。学力でBクラスに勝つことを当分の計画にする。他クラスの戦力は別の方法で探る事にする」

 

「…ちっ、今回は辞めといてやる」

 

「りゅ、龍園さんっ」

 

「来るんじゃねえ石崎、ったく…」

 

 

石崎が龍園に抱きつきそうになり龍園が手で制している。

 

波瑠加が俺の隣に座った。

 

 

「陽斗、それで良いと思うよ」

 

「…波瑠加がそう言うなら」

 

「なあにそれ、しっかりしてよ」

 

 

バンと俺の背中を叩いた。

それだけで全てがどうにでもなる気がした。

不思議だ。

 

 

「俺の力が必要になった時に本気出すよ」

 

「そうして」

 

 

波瑠加がその頭を俺の肩に乗せる。

そのまま寄りかかって来た。きっと勇気付けてくれてるのだろう。事実、俺は心が穏やかになってきた。

 

龍園が呆れたような目で俺達を見ていた。

 

 

「けっ、イチャイチャしやがって俺はもう帰る。だが明日からは覚悟しておけ。BクラスとDクラスの奴らが黙ってる訳ねえからな」

 

「違いない」

 

「行くぞ石崎、邪魔は出来ねえ」

 

「ハイっす。蒼空野さん、また明日っ」

 

「おう、気をつけて帰れよ」

 

 

石崎と龍園は帰ってしまった。残されたのは俺達2人。

 

 

「陽斗…」

 

「何?」

 

 

波瑠加の腰に腕を回す。彼女は俺の耳元に口を近づけると囁いた。

 

 

「もっと自分の身を大事にして」

 

 

その言葉は俺の脳に響いた。一度聞いたら忘れられない響きだった。

 

 

 

 

 

そして、数日経った。

 

 

5月1日から1週間後。

 

 

 

俺達Bクラスは誹謗中傷の雨に晒されるのだった。

 

 

 

 

 

 






小説って難しいですね。

思いっきり黄色バーになってる。

結構自信無くしますね。
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