ようこそ理系女子と行く教室へ   作:絶対零度

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オレンジバーになってる!
勇気付けてくれた方々に感謝です。

それはそうとして今までがふわふわした展開だったからこの文章はどうなんだろう。

Dクラス、元Bクラスが…

展開が少し重たいかもしれません。







苦境

 

 

先入観というものがある。

 

それは、特定の物事に対して前もって持っている固定的な観念や考えであり、誰しもが持ち併せているものである。

 

そして、先入観に囚われると言う事はそれに縛られ、自由な思考や判断ができなくなる状態だ。その結果、可能性や客観的な視点を受け入れにくくなり、視野が狭まり、誤った判断を人は犯す。

 

例えば知り合いに対して「あの人は数学が苦手であり、高得点は取れない」といった先入観に囚われ、相手の能力や性格をあるがままに評価出来ず、結果予測が違ったとしてもそれを受け入れられない場合がある。

 

まあ何が言いたいかと言うと俺達のクラスは元Cクラスであり、低レベルのレッテルを貼られてる訳だ。

 

例え素行を改善し、放課後クラス全員で勉学に励む姿を見たとしてもそれは簡単には払拭出来ない。

 

ましてや学校から並以下のクラスとして入学させられてるのは紛れもない事実であり、実際に5月1日に全クラスがそう説明されているのだ。

 

元Bクラスは本来格下のクラスに知らないところで追い抜かれ、Dクラスは本来同列程度のクラスに気付いたら引き離されていた。

 

それを担任から説明された彼らの気分は如何なものだろうか。驚愕・焦りは勿論、受け入れ難い、信じられないと言う感情が彼らの心中に渦巻いただろう。自分達の方が優秀な筈なのに追い抜かれている。自分達と同列な筈なのにいざ結果を見れば届かない程上に行っている。

 

この結果を公平なジャッジの元出された結果であると受け入れる者が何割、否、何人いるだろうか。

 

彼等の多くはこう思ったに違いない。

「嘘だ。これは間違ってる。何かの不正に決まってる」と。

 

実際、元Cクラスのポイントを見た時に元BクラスからもDクラスからも質問が出ただろう。不正をしてないか、或いは彼らにだけ学校の仕組みを知らせてないかと。

 

それに対し教師達はこう答えた筈だ。

不正は無い。公平な結果だと。

 

教師は嘘をついてはいけない。故に事実を事実として伝えなければならない。彼らは確かにそう伝えられた筈だった。自分達と結果が違うのは紛れもないCクラスの我慢と努力の結果だと。

 

 

そう伝えられている筈だと思う。

 

なのだが彼らが素直に受け入れてるかと言うとそんな筈が無い。

 

実際廊下を歩くと…

 

 

「けっ、成り上がりのつもりか」 

 

「こんな奴らが優秀なわけないって」

 

「絶対ズルしたに決まってる」

 

「きっとCクラスだけSシステムを担任が洩らしたんだ」

 

「汚いよね〜」

 

「不正野郎共が」

 

「絶対あたしらの方が頭良いって」

 

 

この様である。

 

Dクラスの前を俺達のクラスメイトが通るとそう言った容赦無い陰口が飛んでくる。彼らは0ポイントになった自分達の内情を棚に上げて、只ひたすらBクラスを批判していた。主に池と山内、彼らの友人達、そして女子は篠原や軽井沢の女子グループが容赦無くBクラスを批判する。彼、彼女達にとってはBクラスの不正疑惑は丁度良いストレスのはけ口だった。

 

 

 

 

事の始めは食堂でBクラスの女子とDクラスの女子の肩がぶつかったのが発端だった。

 

そのDクラスの女子は平田の周りにいる女子達で気が強く容赦無く、Bクラスの女子に掴みかかってきた。それで口論となったのだ。

 

 

「つうかさ〜、絶対あんた達のクラスポイントおかしいよ。絶対不正したでしょ」

 

「そうだよ、元々Bクラスだったクラスより高いなんてあり得ないし」

 

「これって学校に報告すべきじゃない?」

 

 

それに対してBクラスの女子は怒った。見ていた平田が篠原達の代わりに謝罪に入り、彼女達を止めなかったら暴力沙汰になってたかも知れない。

 

だがこの騒動はその場にいた多くの生徒が見ていた。

 

次の日にはBクラスが不正にクラスポイントを稼いだと言う噂が広まっていた。最初噂を流しているのは主にDクラスの生徒が大半だった為、明らかに彼女等が流したものだろう。一度火がついた噂は消えないどころか過激化する。中には気の弱そうなBクラスとすれ違う度に「不正をしたならポイント寄こせ」と言ってくる奴らもいたらしい。

 

そして話はクラスを跨いで元BクラスやAクラスにまで広がった。

 

そして…

 

 

「ねえ、どうやってクラスポイントを残したの。教えてよ」

 

「どうも納得いかないんだよな。俺達だってそれなりに真面目に授業受けてたんだぜ。元Cクラスのお前等に負けるとは思えないんだが」

 

「ズルしてないよね。あんなにポイント残ってるのなんかおかしくない?」

 

「あの人怪しい…絶対裏で闇取引してそうだよ」

 

「上級生を脅したんじゃない?体格良い人多いし…」

 

 

元Bクラスからも口撃が始まった。元Cクラスの生徒と親交のある者でさえ、彼らの不正を疑ったり、冷たく当たるようになった。

 

他にも陰口を言ってる人が多数いる。龍園やアルベルト、石崎や小宮等、如何にもな風貌の生徒を見て上級生への脅しを疑う人も多かった。

 

一之瀬辺りは悪い噂を抑えようとしているだろうと俺は勝手に予測しているが、あまり効果は無い様子。実際、彼女と親密な白波達ですらBクラスの方を見て何やら話している様子を見た。どう見てもいい話ではない。廊下ですれ違う度に元Bクラスの連中は俺達を見ると密々と陰口を言うようになった。

 

Aクラスだけは静観している。彼らからしてみれば下位2クラスに攻撃されてる俺達を追い込むのにわざわざ自分達が手を汚す必要は無いと内心思っているのだろう。Bクラスが不正をしてようがそうでなかろうが何方にせよ自分達の方が優秀なのだ。

 

坂柳辺りならこの誹謗中傷の嵐に乗ってくるかと思ったが、彼女は静観しているらしい。橋本や神室とすれ違ったが特に何も無かった。葛城は自分の仲間が無闇に悪い噂を吹聴しないように押さえているのだろう。戸塚辺りはやってそうだが。

 

何がともあれBクラスは学校で自クラス以外に居場所が無かった。放課後は自然と教室の扉を閉めて勉強に逃げるようになり、他クラスとの交流は大きく減った。

 

一応、龍園も俺も、Dクラスの暴言は証拠を取っておいたが、これが何処まで有効なのかが分からない。ましてや彼らは0ポイントだった。少し停学になったとしても全く痛くない。加えて今回のテストは大して勉強しなくても乗り切れる代物がある。

 

 

過去問の存在だ。

 

原作でも綾小路が櫛田と共に入手した為、今回も彼は過去問を手に入れ、クラスに配るだろう。

 

これがある限りDクラスは例え勉強をしなくても高得点を取ることが出来る。そして、可能性があるとすれば今自分達と同じようにBクラスを標的にしている元Bクラスにも同士として過去問を共有するかも知れない。そうなればDクラスとCクラスの結束は高まり、2クラスで組んで俺達を徹底的に叩き潰しに来るだろう。

 

俺が龍園にその事を話すと「知ってらあ、だから厄介なんだよ」と呟いた。

 

彼はまさか自分のクラスがここまで防衛に回るとは思ってなかっただろう。

 

 

龍園は荒れ気味のクラスメイト対して「兎に角中間試験で高得点を狙え」とだけ指示した。余りにも分かりやすい目標だったが、今のBクラスにとってはそれで良かった。

 

他にやる事も無いため、自然と皆勉強だけに注力するようになった。

 

 

「蒼空野さん、助けてください」

 

 

石崎が俺の所に来た。彼は1日に何度も俺を呼ぶ。分からない所が多過ぎるが、ある意味それだけ本気になってるとも取れる。まだ応用は利かないが、日毎に順調に彼の学力は伸びて行った。

 

他の生徒も同じだった。龍園の方を見ると彼も真面目に勉強していた。

 

決していい状況では無いが、思わぬ収穫かも知れない。

 

皆地力を高めている。テスト範囲変更の対策として、龍園が過去問を入手してその範囲も全員に勉強させている。Bクラスは今回の試験過去問が無くても赤点は出ないだろう。仮に出たとしても俺がポイントで彼らの点数を買い取れば良い。

 

つまりは赤点回避のみを考慮するなら過去問は必要無いのだ。

 

 

勉強会が終わり、俺達は寮に戻った。

 

 

「今日も終わったね」

 

「ああ、程よく疲れたよ」

 

「陽斗、ずっと教えてたじゃない。部屋に戻ったら一緒に勉強しない?」

 

「そうする。一応確認だけでもしないと不安だからな」

 

「そうなんだ〜、けどそう言ってまた満点取るんでしょ?」

 

「多分な。波瑠加は大丈夫か?文系苦手だったろ?」

 

「それ何時の話?もう平均点くらい取れるよ〜」

 

 

エレベーターを待ちながら雑談していた。7階辺りにあったのが下がって来た。

 

ドアが開いた。同時に中から人が出て来る。

 

 

「あっ、きょーちゃん」

 

「わあっ、波瑠加ちゃん?」

 

 

中から出てきたのは櫛田桔梗だった。波瑠加があだ名で読んでる様子からもう友達になってたのだろうか。

 

 

「久しぶりだね〜元気?」

 

「あはははっ、1週間前に会ったじゃな〜い、波瑠加ちゃんもう忘れちゃったの〜?」

 

「あれ〜、そうだっけ〜」

 

 

表向きには楽しそうに会話している。実際に親密だと思ってるのは波瑠加だけだろうが。

 

櫛田が俺の方を見上げた。

 

 

「あれ、もしかして私、邪魔かな?」

 

「ううん、大丈夫。紹介するね。これは蒼空野陽斗。私の大切な人なの」

 

 

大事な人なのにこれって言われた。櫛田がじっと俺を見た。

 

そして…

 

 

「あはははっ、君知ってるよ〜。蒼空野君だよね。波瑠加ちゃんの男なんだって〜?格好良いってうちの女子達が言ってたよ〜」

 

「どうも、初めてだな櫛田さん。凄く評判良いって聞いてる」

 

「えっ、そうなの?私大した人じゃないよ〜。

て言うか、さん、だなんて、呼び捨てで良いよ。

2人共お似合いだねっ」

 

「そうか?」

 

 

表向きには明るく話し掛けて来る櫛田。明らかにビジネススマイルだが悪い気はしない。

 

 

「Bクラス、大変そうだね。なんかごめんね。うちのクラスの人達が悪い事しちゃったみたいで」

 

「きょーちゃんが謝る事じゃないよ。悪いのは平田って奴の周りにいる女子でしょ、後ヤバそうな男子」

 

「あははは…本当にごめんね。皆、根は良い人だと思うけど、ちょっと色々あってね…」

 

「どうせ0ポイントだから嫉妬してるだけでしょ〜。きょーちゃんも災難だね、真面目なのにクラスメイトの素行の悪さに巻き込まれちゃって〜、ポイント大丈夫?良かったら私の使って?」

 

「だっ、大丈夫だよ、そんな、節約してるから…」

 

「遠慮しなくて良いって、たかがポイント。友達何だから貰って行ってよ〜」

 

「じゃ、じゃあ少しだけ…」

 

 

波瑠加が櫛田にポイントを送ってる。これで評価下がったりしないよな?

 

 

「随分仲が良いんだな」

 

「うん、Dクラスの奴らは嫌いだけど、きょーちゃんだけは別。凄く信頼出来るって感じなの」

 

「そんな…そこまで言ってくれるなんて…」

 

「…櫛田も大変だな。俺はBクラスだから思うんだが、あんなクラスにいたら俺だったら発狂する。

とてもじゃないが彼らの友達になるのは論外、演じるのも無理だ。真面目に勉強している人達が可哀想だと思う。彼らの友達やってるなら尚更だ」

 

「あははは…やっぱりうちのクラスってそう見られてるんだ…」

 

「ああ、だから俺から見て櫛田は凄えよ」

 

「え、えっと…」

 

 

さり気なく櫛田をフォローする。櫛田は困ったふりをする。内心どう思ってるかは分からないが。

 

俺も実際はDクラスの事を何とも思ってない。原作を知ってるから内心こんなもんだろと思っていた。流石にこの状況を楽しめは出来ないかも知れないが。

 

 

「きょーちゃん可哀想なんだよ。折角良い子なのにDクラスなんかに入れられてさ。良い子だからきっと中学辺りで碌でもないクラスに入れられて、何らかの理由でクラスメイトに虐められて反撃したらそれが悪い評価になっちゃったんだよ。多分」

 

「…確かに…そう考えると納得出来るな」

 

「あははは…それは…どうかな…」

 

「絶対そうでしょ、だって…」

 

 

そう言って何故か俺の方を見てる波瑠加。

ていうか櫛田の中学時代の予想、何気にそれなりに合ってるし…

女子の勘は馬鹿に出来ないな。

 

それよりも櫛田からの波瑠加への評価はどんな感じなんだろう。普通の友達コレクションなのかそれともそれよりは上なのか…

 

希望的観測はしない方が良いが…

 

 

今の彼女…もしくはこの状況を上手く利用出来ればもしかしたら…

 

 

 

 

 






前半の勢いで後半も書こうとしたけど難しかったし書けなかった。
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