ドリフターズに迷い込むもの リメイク   作:四国の探索人

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第3話 ユウスケの荷物

三人は米を求め、草の根を分けてユウスケの荷物を探していた。

風が木々を揺らし、鳥の声が時折響く。夕陽は森の奥に沈みかけている。

 

「ユウスケどの。これですか?」

与一の声にユウスケが駆け寄る。

 

そこには、焦げた岩肌のそばに散乱した荷物。

バックパック、転倒した原付、スマホ。

雷の爪痕のような焦げ跡が、そこかしこに残っていた。

 

「おおっ! 荷物が全部ある! 米も……ありますねぇ!」

ユウスケの声が弾む。

与一も笑みを浮かべ、袋の中の米粒を覗き込む。

 

「おぉぉ“米”ですか。久しぶりに見ました。敬わないと。」

 

しかし、信長だけは腕を組み、じっと沈黙していた。

「……」

 

与一が首をかしげる。

「一番米を食べたがっていたのに、どうしたんですかノブ?」

 

信長は静かに指をさした。

「いや、嬉しいぞ。だがな……未来の道具が気になってな。その布の持ち手があるのは荷物として分かるが……そこにある“からくり”は何ぞを」

 

指の先には、転がる原付バイク。

夕陽を受けて、金属のフレームが赤く光る。

 

「原付ですか? 未来の移動手段です。戦国時代的に言うと、馬よりは機動力が下で……まあ、“一人で乗る荷車”みたいなもんですかね」

 

与一が目を丸くする。

「へぇ……これが未来の乗り物。馬ではない……私には見当もつきません」

 

信長が顎をさする。

「見たところ損傷しておるが、動くのか?」

 

ユウスケは原付を起こし、傷を確認する。

「凹んでるだけですね。ガソリンは……まだ残ってる。HONDAのエンジンを信じましょう」

 

彼がキーを回すと、

キュルキュル……ブオオオンッ!

エンジンがうなりを上げた。

 

「おお、ついた……まだ動くのか。こう、またがってですね——」

 

ユウスケは原付に跨り、軽くその場を一周する。

 

「おい、後ろに乗せろ!」

信長がニヤリと笑う。

 

「法律で一人乗りなんですけど」

「うっせぇ、ここは日本じゃねぇ!」

信長はずかずかと後ろにまたがる。

 

「僕も!」

与一までが軽やかに飛び乗った。

 

「三人はさすがに定員オーバーですよ……!」

「詰めてくださいよ。私も乗りたいです!」

「よし、出陣じゃあ!」

信長の豪快な声が森に響いた。

 

仕方なく、ユウスケは原付を走らせた。

だが三人乗りではバランスが危うく、慎重に進むしかない。

 

「おい! もっとスピード出せんのか!」

「うるさいっ! 一人用なんです!」

「そこを回せば動くんだろ!」

 

信長が身を乗り出し、アクセルを強引に捻る。

「やめ——っ!」

 

ブオオオオオオッ!!!

原付は悲鳴のような音を上げ、三人まとめて吹き飛んだ。

 

ドンッ! 草むらに転がる三人。

 

「バカッ!! 信長のバカッ!!」

ユウスケが怒鳴る。

「全力でアクセル回す奴がどこにいますか!」

 

信長はゲラゲラと笑いながら立ち上がった。

「ユウスケ、お前は歩け。運転の仕方はもう見て覚えた。荷物は持ってやるから、走ってこい、ばーか!」

 

「なに言ってるんですか!? おい、待て信長!!」

 

信長はアクセルを回し、

原付は再び唸りを上げて廃城の方へ走り去った。

 

与一は小さく息を吐き、苦笑した。

「……ノブどのは、こういう方なんですよ。お付き合いして数か月になりますが、いつもああでして」

 

ユウスケは額を押さえ、ため息をつく。

「数か月でよく我慢できましたね……」

 

「慣れたというより、諦めですね」

与一は柔らかく笑い、森の奥を見つめた。

「でも、不思議と退屈はしません」

 

ユウスケは少しだけ笑みを返す。

「……わかります。それだけは、すごく」

 

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