産婦人科を退院して少し経過する頃には、私は立ち上がって歩けるようになっていた。
発声に関してはまだ上手くできないが、ポケモンの様な異形型の個性持ちの人間として生まれている以上、そのうち言葉を発する事はできるようになるだろう。
じゃあ鳴き声で会話しているかと言うとそうではなく、サイコパワーが使えるので念話を使って母親と会話を行なっていた。
母親の容姿がサーナイト擬きで、ちゃんとエスパーらしく、私が念話で話しかけてもちゃんと答えてくれるし、両親揃ってもう言葉を理解していることで、天才だと大はしゃぎ。
実に騒がしい家族である。
『お母さん、お父さんはヒーローって職業の人なの?』
「ええ、そうよ。お父さんはこの街のヒーローなの」
色々聞くと父親はブレードヒーローソードマンという両腕を刀にできるヒーローで、エルレイドみたいだなと思ってしまった。
まぁ私の場合性別が女なのでエルレイドにはなれないのだけど……。
父親は母親の婿養子として織田家に入籍したらしく、母親の方が家柄的には上で、母親の一族は大きなヒーロー事務所を運営していて、父親はヒーロー免許を持っているが、サイドキックとして母親方のヒーロー事務所に所属している……というのが正しいらしい。
本家とか分家とかの古い仕来たりもあるらしく、もう少ししたらお披露目として本家に顔を出すことになっているらしい。
テレビではオールマイトが取り立たされているから原作前の世界かつ、恐らくアルセウスが言っていた巨悪とはオールフォーワンの事だろう。
ヒロアカは一時狂ったように読んでいたからある程度は流れを覚えているけど、あくまで時系列が中心で、地名なんかは覚えてないから、最終決戦の場所やドクターと呼ばれていた殻木球大とかそんな名前の人がどこで働いているかとかはわからない。
まぁオールマイトの実年齢は非公表だから何歳かはわからないが、雄英高校の教師をやる頃よりは若く見えるので、原作は始まってないだろう。
とりあえず現状で調べられることはこんなもんか……。
赤ん坊でできることも少ないな。
特訓しようにも親が許してくれるとは思わないし、少しの間は情報収集しながら母親の乳を吸うのが仕事かな。
ある日、今年産まれた子供達のお目見えがあるから本家に招集がかかり、本家に行くことになった。
本家は武家屋敷の様な広い家であるが、ちゃんと電線が通っていて、家電も普通に置いてあり、なんなら道場みたいなのまで存在した。
『広いなぁ……』
ちなみに私の家はそこまで広くは無く、5LDKの一軒家って感じ。
婿養子の際にヒーロー事務所側から支援金が貰えたらしく、そのお金を頭金に使って、残り12年ローンで家を建てたらしい。
とと、私の家の話は良くて、私が大広間に母親に連れられていくと、そこにはポリゴン、ヒバニー、ケロマツ、リオルがそれぞれ女性に抱きかかえられていた。
近くに居るって言っていたが同じ一族かよ……。
とりあえず念話で彼女らにパスを繋ぎ会話を行う。
『脳にパス繋いだから念話で会話できるぞ』
『おお、助かる』
『ミニリュウだけ居ないが誰か知らないか?』
『ミニリュウは本家の娘らしいから本家の控室にいるらしいぞ』
『じゃあこの場に転生者6人全員居るって事か?』
『そうなるな』
そんな事を喋っていると本家の人達も現れて、着物を着た女性の腕の中にミニリュウがちゃんと居た。
ヒソヒソと他の人達が話し始めるが、竜っぽいことより手足が無い事に注目していそう。
とりあえずミニリュウにもパスを繋いでみると
『選択ミスりましたわ! ヤバいですの!』
めっちゃ慌てている。
『どしたん話聞こか』
『おじさん構文辞めろや』
ケロマツがおじさん構文使い始めたのでリオルが止めに入る。
とりあえず全員自己紹介をしようという流れに持ち込んで、自己紹介をしていく。
『じゃあ私から……織田早苗(おだ さなえ)です。見ての通りラルトスに転生しました。元々女性でしたので性自認に変化はありません。よろしく』
『じゃあ僕いくね! 僕の名前は野利祝(のり はじめ)ちょっと男の子っぽい名前だけど元から女性なのでね。前世では女子サッカーチームに所属していました。エースバーンになれるよう頑張ります!』
『俺は木戸電子(きど でんし)……まぁデンコって呼んでや。前世は男でプログラマやってました。ラルトス取られたんでポリゴンにしたんですが、パソコンに侵入して情報収集できるっぽいんで期待してくだーさい!』
『ケロケロっと、ケロマツこと楽多月光(らた げっこう)。どう見ても女の子に付ける名前じゃないとおじさん思うんだけど……まぁ前世男だったから別に良いかと諦めてます。ヒロアカだと梅雨ちゃんとキャラ被りしていることにそことなく不安を感じています。まぁよろしく』
『リオルやってます七竈瑠香(ななかまど るか)です。前世でも女で、格闘技習ってました。正直ヒロアカって月光さんが言ってますけど、よく知らないので教えてくれると幸いです』
『最後に私デスわね。ミニリュウしています木戸竜子(きど りゅうこ)でございますわ! 前世でも女でしたが、この口調で配信者をやっておりました。前世は肉体クソ雑魚でございましたが、今世では強くありたいと600族で使用率が滅茶苦茶良かったカイリューを選択したのですが、ポケモン世界じゃないので私手足が無い障害児扱いですの……マジでヤバいですわ! 早くカイリューに進化してぇですわ!』
ミニリュウの竜子だけやばい感じか……。
とりあえず全員自己紹介を終えたので、リオルの瑠香さんがヒロアカ知らないというので簡単に世界観を説明する。
週間少年ジャンプで連載していた漫画で、アニメや映画、ゲームにもなった人気作品で、無個性の主人公がとある事件に巻き込まれ、その時にナンバーワンヒーローオールマイトに認められ、彼の個性を継承し、雄英高校というヒーロー育成学校でヒーローとして成長していく物語……と教えた。
私達の目的である巨悪は恐らくこの物語のラスボスであるオールフォーワンもしくは死柄木弔という青年のどちらかであり、オールフォーワンは最初はオールマイトに敗れた後遺症から弱体化しているが、それでも強力な力を有していて、死柄木弔はオールフォーワンの弟子として主人公達と戦いを経て成長していくボス。
最終決戦ではオールフォーワンと共に巨悪として主人公に立ち向かった存在と説明した。
『正味、ポケモンの力をもってしても彼らを倒せるかと言えば微妙と言わざる得ない。主人公が勝ったのも結構綱渡りだったし』
『まぁ正史では死んでしまった人達を助けられたら最良、次点でこの場の全員生き残るが良いんじゃないか』
『となると僕達ヒーローになった方がいい感じ?』
『というかヒロアカ民度終わってるからヒーローで武力持ってないと作中で世紀末みたいになった時に吊るし上げられて詰む。特に俺らヒーローを排出する家に生まれたから、家にヴィランが襲撃してくる可能性もあるからなるべく早く自衛できないと不味い』
『ヒーローになること確定か……』
『まぁ一度失った命、世界の為にもう一度輝かせるってのなら私別にいいけど』
色々言い合ったが、とりあえずある程度自由に動けるようになったら、ポケモンらしくレベル上げをして、特訓したり、情報の共有をしていこうということを決めたのだった。