ゾンビ世界のスローライフ物が好きだから、書いた。シリアスはなし   作:☆☆☆宮☆☆☆太郎

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道具の仕舞えるリコーダー

トランペット銃と宇宙船を手に入れたことで探索範囲が広がった。

 広がったのだが、俺と同じように生き残り、今も逞しく生きている人類は一人も見つからなかった。

 人類は既に滅んでしまったのかもしれない。

 

 俺は機能を失ったコンビニから食料などを拝借しながら、感傷に耽った。

 流石に母さんや父さんは無事だと思いたい。

 人の少ない片田舎だし、大丈夫だよな。

 

 確証のない言葉を自分に言い聞かせることしか、今の俺には出来ない。

 せめて、あの宇宙船を動かせれば、そう思い、色々と弄っては見たもののうんともすんとも言わないのだ。

 

「はぁ」

 

 道中、大量のゾンビに襲われたものの、トランペット銃の第二バルブを押し、拡散弾モードで敵を蹴散らしていく。

 探索範囲は広がったものの、あくまでも歩いて行ける範囲の話、この際宇宙船で無くても移動できる道具はないだろうか?

 帰ったら一度、道具を漁ってみよう。

 

 □□□

 

 宇宙船に帰ってきた俺は楽器が乱雑に置かれた部屋へと向かった。

 オンプニウムやトランペット銃のことを考えるに、恐らくこの部屋に置いている楽器たちも何らかの秘密道具の可能性が高い。

 

 何が何だか分からないが。

 

 念のため、タブレットにも聞いてみる。

 

「へい!ミュー子!この部屋にある道具の使い方教えて!」

「この部屋にある道具の使い方を知りたい場合は、道具のシリアル番号、パスワード及び、船員証をご提示ください。それと私はミュー子ではありません。」

「はぁ、やっぱり駄目か」

 

 異星人が落としたタブレット。それで知れた情報は意外と少ない。

 この船の動かし方は勿論、部屋にある物品や道具の使い方は一切教えてくれない。

 前回教えてくれた内容は船員の日記であるため、保護優先度が低かったそうだ。

 

「ふむ、となると、自分で道具の使い方を学ばなければだな。」

 

 とは言っても、見た目が楽器と大差ないため、使い方がイマイチ分からない。武器なら武器っぽい形をして欲しいし、乗り物なら座席をつけて欲しいものだ。

 

「このカスタネットが地雷って可能性もあるしなぁ」

 

 俺は足元に落ちているカスタネットを指で摘まむ。

 取り合えず安全そうなものから触ってみるか。トランペットが銃なら、トロンボーンも似たようなものだろう。

 トランペット銃を紐で背中に括りつけてトロンボーンに持ち変える。

 外は危険が多い。日に日にゾンビが増しているような気もする。仮にトロンボーンが武器でないのなら、トランペット銃に持ち返れるようにしなければならない。

 

 外に誰もいないことを確認した俺は地に降り立ち、トロンボーンに息を吹き込んだ。

 瞬間、光線がベルから放たれる。

 ゆっくりとスライドブレーズを手で操作する。光線の太さが変わる。デフォルトでは細く、管を伸ばしていくと段々と太くなる。

 威力は細い方があるようで、近くの建物が豆腐のように、或いは熱したスプーンをアイスに突き刺した時のように簡単に溶断できた。

 

「なるほど」

 

 あまり使い道はなさそうだ。トランペット銃で事足りる。

 

 楽器置き場に戻った俺は次にトライアングルを手に持って外に出た。

 流石にトライアングルが爆発することは無いだろう。

 

 外に出て斜辺を叩いてみる。

 体が浮く。

 

「おお!」

 

 これは移動の道具かもしれない。

 辺の部分を叩く。

 地面に足がついた。

 

「ん?」

 

 暫く色々なところを叩く。

 上に上昇したり、下降したりした。

 

 うん。

 

「上にある物を取りたい時とかは有用だな。」

 

 後は逃げる時にも使える。

 問題はトランペット銃があれば、態々逃げる必要がないことだが、持ち運びはそこまで大変でないし、常時身に着けててもいい。

 

「移動は宇宙船だけで、他の移動手段はないのか?」

 

 次に持ち出したのはリコーダー。他の楽器と違い一応馴染はあるから持ってきた。これも銃とかだろうか?

 そう思いながら息を吹きこみ、音孔を塞ぐ。何も起きない。次にラビュームを塞ぐと、背中に背負っていたトランペット銃が吸い込まれた。

 

「おお!」

 

 息を吹き込み、一番手前の音孔を塞ぐ。トランペット銃がリコーダーから出てきた。

 

「凄い!」

 

 楽器を適当に選びリコーダーで仕舞っていく。

 仕舞った順番がそのまま音孔の順番になっているようだ。

 

 最初にトランペット銃を仕舞い、次にトロンボーン銃を仕舞った場合は一つ目の音孔を塞げばトランペット銃が出てきて、二つ目の音孔を塞げばトロンボーン銃が出てくる。両方塞げば両方出てくる。

 滅茶苦茶便利だ。

 

 問題は近くにある楽器から順に仕舞っていくことと、仕舞った順番を忘れてしまうと取り出すために全ての穴を塞ぐ必要があることだろう。

 これがあれば複数の道具を使い、より広域を探索することが出来る。

 

「そうだ。移動用の道具を探していたんだった!」

 

 一通り、検証が終わったところで、当初の目的を思い出す。

 リコーダーの検証に夢中になってしまい、この日は移動用の道具を見つけることは出来なかったが、明日も頑張ろう!

 

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