ゾンビ世界のスローライフ物が好きだから、書いた。シリアスはなし 作:☆☆☆宮☆☆☆太郎
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遂に見つけた!移動に適した道具!
「ヒャッホー!」
俺は地面を飛び跳ねながら町を縦横無尽に駆け回る。
今俺が使っている道具はタンバリン。
これを叩くと足元がトランポリンのような材質に変わる。社会の崩壊した世界で某有名配管工のようなアクロバティックな動きが出来るようになる。
注意点は自分の足元からだいたい半径1.5メートル程をトランポリンのような材質に変えてしまうので、近くにゾンビがいるとゾンビも飛び跳ねながら襲ってきてしまう。
トランポリンのような材質に変わるのも一瞬であるため、遠くにいる場合は問題はないのだが。
注意点はあっても便利は便利だ。
一歩で三メートルくらい進むうえ、壁なども飛び跳ねながら移動出来る。
今までは精々近くのスーパーやコンビニに向かうのがやっとだったが、タンバリンのおかげで今は二駅先まで移動できるようになった。
「でも、生き残りの人は見当たらないなぁ」
ゾンビたちに見つからないように密閉された場所に隠れているのだろうか?例えば、ショッピングモールの地下やホテルの中にバリケードを組んでいるとか。
そうなると、幾ら俺でも合流するのは困難だ。
確かに、異星人の道具のおかげでゾンビは蹴散らせるようになったが、噛まれればゾンビになってしまうのは以前と同じ。
屋内で死角が出来てしまうような場所は危険過ぎる。
異星人が残した防護服もあるにはあったが、使い方が分からないし、何よりも――、
「サイズが合わないんだよなぁ」
当たり前と言えば当たり前だ。
背丈云々以前に生物としての規格が違うのだ。
「防御壁とか張れる装置もあるのかなぁ?」
もしそうであれば、もう少し踏み込んで生き残りの人間を探してもいいかもしれない。
以前まではそんな気がする。程度だったが今は明らかに違いが分かる。ゾンビの違いだ。身体能力が以前よりも上がっている。前までは歩く程度の速度だったにも関わらず今は、走り出す奴がいる。しかも結構早い。
いずれはバイク位の速度で走り出すかもしれないし、ステルス迷彩にも気が付くかもしれない。
悠長にしている時間はないのかもしれない。
「ま、取り合えず今日も食料調達して、ビール飲んで寝よ。」
「ちょっと、待って。助けてください!」
下から突然、声が聞こえる。
よく見ると小柄な少年がアパートの一棟、二階のベランダから手を振っている。
いるじゃん!第一村人!
俺はベランダに降り立つ。中は普通の生活空間。
ただし、暫く外に出れていないのか、ゴミ袋が溜まっている。
「大丈夫かい?」
「は、はい。なんとか、ゾンビが出てから一週間外に出ていなかったので。
そのせいで食料が尽きて死ぬかと思いましたが…」
なるほど、俺は早い段階で外に逃げ出し、運よく宇宙船を見つけたが、普通部屋から出ないことを選ぶよな。そっちの方が生存率が高そうだ。
「そうか、他の生存者はいないのか?」
「いえ、恐らく僕だけかと、他の人は部屋から出て行ったり、部屋の扉をこじ開けられてゾンビに侵入されたんだと思います。凄い悲鳴が聞こえてきたので…僕も入り口をゴミで塞いでバリケードを作っていなかったら、危なかったと思います。」
「そうか」
生存者は他にはいないのか…。
それにしてもゴミはバリケードの役割もあったのか、そこまで考えているなんて凄いな。
「取り合えずここから出よう。」
「でも、どうやって?僕にあなたのような身体能力はありませんが…」
「ああ、大丈夫。これ道具の力だから」
「道具」
「そう、これさ」
「タン、バリン?」
「一見そう思うよな」
俺は少年に今まで俺が体験したことについて話していった。少年は信じられないといった表情を浮かべていたものの、俺がリコーダーから道具を出したり、トライアングルで宙に浮いた姿を見て納得してくれた。
「分かりました。行きましょう!」
「うん、そんな気張らなくていいよ?」
俺と少年はアパートのベランダから隣のビルに移動し、また別のビルに移動する、という動きを繰り返していく。
配管工の兄と弟みたいだ。
「ははは!これ楽しいですね!」
「だろ?スーパーマンとかもこんな気分なのかね」
少年は楽しそうに飛び跳ねる。先程までは暗い表情を浮かべていたし、楽しそうにしてくれてよかった。
二人で、宇宙船まで帰った後はお湯を沸かし、カップ麺を食べた。
因みに、宇宙船のキッチンがどれか分からなかったため、火は以前スーパーから拝借したカセットガスコンロを使った。