ISは人を傷つける為の道具じゃねぇ!俺とISバトルで勝負だ! 作:ホビアニ系主人公VS鈍感系主人公
阿良田と千冬の邂逅から暫くして……数週間、阿良田は勉強と飯と風呂とトイレの生活をしていた。娯楽もある程度は用意されていたが……それよりも阿良田はISの勉強についての勉強を選んだ。
憧れたISの聖地たるIS学園に向かうんだ。憧れを目の前にして、自分が磨くのを怠っていたら憧れに失礼だ。磨ける限り自分を磨く……それが、阿良田の想いだった。
その甲斐あってか、その後行われるIS学園での筆記試験では自己採点ではあれど平均以上の点数を取れたと言える。法律云々はまだ少し引っかかったが……なにせ発表され浸透してから言うてもされて十年だからろくな法整備がされてないのだ。後先考えず目新しい技術に飛びついて使うからこうなる……
とまぁ、そんな事はさておいて……そんなある日、阿良田に外出命令が下った。理由は……IS学園入学への実技試験の為。またISに触れられる喜びに阿良田はテンションを上げながら、黒服たちの手厚い保護観察の元、試験会場へと向かった。
いざ試験会場へ付けば……山奥の方だと言うのに途中で降ろされるは、連れてきた黒服からは「規則だからここから先は送れない」だとか言われて山道を歩かされる羽目目になった。阿良田曰く「ちくせう。」だそうな。
しかし、そうして苦労してついた試験会場には、その苦労に見合う光景があった。
「久し振り……と言った所か。」
「えっと……貴方が大神阿良田さんですね!確認してあります!」
そこに立っていたのは、ブリュンヒルデ……文字通り最強の名を冠する織斑千冬と、緑髪の眼鏡をかけた一人の女性だ……当然、この女性を阿良田は知っているのだが……それよりも先に目が行くのは千冬だ。
「えっ!?ち、千冬さん!?」
「あぁ、故有ってな。お前の力を見る為に試験に同行させてもらうことになった。」
相手は将来有望なモルモット……オマケにIS学園の教師であることも考えれば、妥当な判断だ。こんな人に見てもらえるなんて自分は本当に幸福物だなの思える。それに、今回は彼女だけではない……
阿良田はギギギと錆びた機械のように緑髪の女性の方を向く。
「そ、そ、そ、それに……」
「はいぃ?」
「や……山田真耶さん……ですよね!?日本代表候補生だった!!」
「えっ!?は、はい!そうですよ?」
山田真耶……日本の代表候補生だった人。同期に織斑千冬と言う規格外がいたからこそその座は逃したが、彼女の実力は阿良田も映像で数度だが見たことがある。これが縁のない外国の候補生なら怪しいが……流石に母国の日本の候補生なら、阿良田もしっかりと覚えていた。
「ヒャッフォウ!!!!IS黎明期の日本ツートップ(阿良田調べ)に出会えたゼェェェェェェ!!!!マジ捕まってよかったぁ!!!!」
「「言い方。」」
しかし、これには真耶や千冬も驚く。まさか随分前の日本の代表候補生ですら把握しているとは……確かに上辺だけの勉強ではない事は確かな様だ。
「ふふっ。」
「嬉しそうだな。」
「あぁ、いえ……すみません……まさか私と会って此処まで喜ぶとは思っても見なくて……」
「いやったゼェェェェェェ!!!!!」
過去の栄華に縋る気はないが、自分を知るものと出会いここまで喜ばれた嬉しくない訳がない。IS学園でも、真耶の素性を知らない者はザラにいる。近くに千冬と言う規格外がいるせいで甘く見られたりもするが……山田真耶と言う彼女も、確実に超上澄みの実力者だ。
千冬がコホンと息を吸うと、まさに燃え上がる勢いだった阿良田も流石に少し落ち着く……すると、
「そんな事より……試験の前に吉報だ。お前に専用機の受諾の許可が降りた。」
「専用……機だとッ!?」
専用機、なんで甘美な響き。専用機、なんて素晴らしい言葉。なんかもう色々上の空…………だが、突然阿良田の頭にハテナが浮かぶ。
「専用機……?時期的に受け取るならIS学園に入学してからじゃないんですか?今からテストするのにこんな言い方するのもアレっすけど。」
「そうなんだが……まぁ、気にするな。」
「気になるんですけど。」
「気にしなくて良いんだよ……」
まさか千冬は言えまい……この専用機を送ったら人物から『入学テストも兼ねて専用機の試験テストもお願い!断ったら……ふふふふふ。』なんてメールが送られてきたことは。……本当に、依頼主は身勝手しか言わない。もはや千冬には慣れたことだが…………まぁ、阿良田も深くは気にしていない様子で、辺りを見回して専用機を探す。
「で!?で!?で!?その専用機は何処に!?」
「これから届く……らしいですよ?」
真耶から飛び出す言葉に阿良田は小首を傾げる。なんでこんなにも疑問符が多いんだ。
「ん?……ん?今日のテストって打鉄あたりでやるんですか?」
「教官が使用するのは打鉄だな。お前は専用機でやってもらう。」
「ん……?届いてないんスよね?」
「これから届く…………大神。もう一歩二歩前に出ろ。」
千冬はふと眉を動かして、阿良田にそう告げる。阿良田的には理由のわからない言葉だが……
「えっ?何故に……」
「早く!」
「は、はい!」
阿良田は言われるがまま数歩前へと足を進める……とそれと同時に、上空から突如謎の巨大カプセルが落下してきた!!阿良田との差、ほんの数センチメートル!前に出ていなければ確実に押しつぶされていた!
「へぶしっ!!??」
阿良田は落下の衝撃で思いっきり吹き飛ばされ数メートルゲインの後、尻もちをつく。そこに落ちたのは、まるで人参のような形状をした巨大なカプセル……すると、白い靄を上げながら花びらのように展開していく。すると、千冬がその光景を見ながら静かにつぶやく。
「大神阿良田専用機……全身装甲式のISだ。名称は『
その言葉とともに現れるISは、確かにほぼ全身装甲だ。機能上必要ない胴体や頭部にも装甲が付けられている。一見すると、ISを通り越して唯のロボットにも見える。
全体的なカラーリングはネイビー。ラインのように走るホワイトを基調とした色合いだ。背中に付けられたスラスターが羽のようにも見える。……少し気になるのは、走行の間間にスリットが備え付けられていることだ。まるでここから何かが出るみたいな……
いや、それよりも……何故だろう。阿良田にはこの機体に既視感がある。まるで、ずっと昔に出会っていたような……何処で見たんだったか?
(……あっ、昔読んだロボット漫画の機体だ。)
有名ロボット作品、モビルフォースガンガル。その漫画の一つである『エックスガンガルスカル スペクター』の主人公機にと若干……若干?似てるのだ。たぶん違和感はそれだろう……まだ少し引っかかるが、気の所為だろう。それよりも気になることがある。
「千冬さん、これ武器は?」
「サーベル状の特殊機構実体剣が二本ついている。あとは取り回しの良い小型種のビームライフルが2丁……終わりだ。」
「ちょっと武装少なすぎませんか?接近戦主体のインファイター機なのは何となく分かりますけど。」
「だな……しかし、基本性能は高めに設定されている。取り敢えず乗ってみろ、フィッティングとパーソナライズを終わらせなければいかんしな。」
「は、はい!」
阿良田はそう返事をして、陽炎に触れて念じる……すると、その思いを受け取ったかのように次の瞬間、阿良田は陽炎を身に纏っていた。頭部は何故か収納され、され顔が剥き出しになるが……おそらく戦闘時に再び装着する仕様なのだろう。
しかし、装着してまず最初に思う事は、違和感だった。陽炎が悪いのではない……いや、むしろ陽炎は今の阿良田とよく馴染んでいた。まだ最適化を何一つ行っていないのにもかかわらず……だ。多少ガタつく所はあるのでそこは直しておくが……者の三分足らずでその設定も終えられる。
(なんか、妙に……いや、かなりしっくりくるな。)
初めて打鉄を纏った時も軽かったが……流石にここまで身に馴染む感覚はなかった。何処か楔を打ち込まれる感覚は持っていた。……正にパーフェクトフィット。違和感がないのが違和感だ。
「……終わりました。」
「早すぎないか?確りとやったのか?」
「はい……っていうか、元々最適化の必要無いくらいにはぴったりでした。」
「……な、に……?そう、か。」
一瞬千冬が難しそうな顔をする……当然だ。この開発者は、束は一度も大神阿良田には出会ったことがないはずだ。何をどうして一度も出会ったことがない人間のISを最適化できる?
千冬は目の前の少年の存在が、その機体……その一瞬でなぜかとんでもなく半透明に見えた。存在そのものがチグハグであやふや……まさか、その束の差し金なのではないか?
そんな風な可能性が脳を大半を占める……しかし、何故かな。千冬と人間としての感情を司る部分が、それはないのではないかと疑いにかかる。
「いやっふぉう!!!専用機!!!実によく馴染むゼ!!!最高にハイッッッて奴だァァァァァ!!!!」
ISを纏い、その喜びであんな屈託のない表裏の何も無いような笑顔を向けられるやつが……あの女の差し金とは到底思えなかった。
だが、どうにも確証がほしい……千冬は一つ間をおいて考えると、近くにおいておいた試験用の打鉄に触れて……次の瞬間、打鉄を身に纏う。
今回、本来の試験官は山田真耶であったはずだ……その役割を取られた真耶はぽかんと口をあんぐりさせる……だが、千冬はそんなことには一切構わず、千冬がISを纏ったのに気付きギョッとする阿良田を観る。
「さぁ、最適化が完了したなら……実技試験だ。私が相手をしてやろう。」
「あのっ!わ、私が試験官の予定だったはずでは……!?」
「なら、この場で私が代打として出る。」
「えぇ……」
真耶の抗議は一蹴された。可哀想に。
肝心の阿良田は心底困惑した様子で、何故どうして……って言いたげな感じだ。当たり前だ
「大神。貴様自分のIS適正はどの程度が知ってるか?」
「ん?……Cくらいですか?」
「Aだ。」
「A゛ェ゛ェ゛ッッ!?!?!?」
IS適正Aなんて世界中探してもそう簡単に見つかるもんじゃあない。それが自分だというのだから……本当に脳がこんがらがってくる。
(そのくらいでなきゃ、あの場で初めてISを纏ったお前があの狭いテスト会場で
そう……千冬には気がかりだったことがある。男性へのIS適正の審査があったあの日、阿良田は興奮を抑えられずあの場で打鉄を扱い飛んでみせた……しかし、初めて使用するISに対して、彼はほぼ完璧に打鉄を使いこなしてみせた。普通なら空を飛ぶにしてもよろけたりで会場や周囲の人間に激突するはずだ。
それを、目の前の大神阿良田と言う男は1時間も粘って飛び続けてみせた。何処にも、誰にも傷をつけることなく。ただの偶然?そんなもので片付けられるほどISは甘くない。
「……だから、千冬さんが出る……と?」
「嗚呼。」
「でも俺はISについて勉強していても、戦闘なんかしたことがありませんよ?動かすのだって2回目……陽炎についてはこれが初めてだ。」
「関係あるか?他のIS学園の受験者だって大方似たような物だ。」
正直、阿良田としてはあまり目の前のブリュンヒルデとは戦いたくない。どうしようもない実力と経験差がそこにあるのは分かりきってるからだ……表向きには、だが。
分かっている、目の前の強い相手に対して……
だが、千冬は何てことないように言い放つ。
「来い、大神阿良田。胸を貸してやる。全力で来い。」
ああ、駄目だ。我慢ができない……不意に闘志が湧き上がる。少しの懸念点の実力差なんて部分も消え去る……十中八九負ける?実力差がありすぎる?それがどうした。
「……負けちまうかも……なんて、そんな心構えで戦うのは失礼ですよね。」
目の前のブリュンヒルデは何と答えた?
「憧れの存在が胸を貸してくれるって言ってんだ……憧れを前に、俺が怖気づいて止まってちゃ失礼だ。」
次の瞬間、阿良田の顔がフルフェイスのアーマーに覆われる。すると、黄色のモノアイがギロリと光り、まるで辺りを見回すすように左右に動く。そして、目の前の織斑千冬に眼光を向ける。
「胸を借りてぶっ倒しに行きます!!」
「ほぉ……?本気でやれると思ってるのか?」
「思ってないです!!!!」
思わず千冬は肩透かしをくらい、真耶はずっこけそうになる……
「けど、その位の覚悟がなきゃ、相手をしてくれる貴方に失礼だ。」
「……良いだろう、やって見せろ!!大神阿良田!!」
陽炎を身にまとう阿良田は、腰部からサーベルを取り出して向ける……そして、本来ISには必要ないはずの背部のスラスターを吹かせて……並のISでは出せないスピードを上げながらサーベルを振りかざす。
それに対して千冬も打鉄の剣を用いて迎え撃つのだった!!
約4分後……
「5分持たなかったよ(遺言)」
そこには全身ズタボロにされ、高熱化した機体から名の通りの陽炎を揺らめかせる陽炎の姿があった……四つん這いになり、ぜぇはぁと息を切らす阿良田。肝心の千冬はと言えば……
「ふむ、操作系に関しては目を見張る物があるが、やはり戦闘面に関しては素人以下か。」
(此奴の話を聞くに、ISの兵器としての側面にはあまり触れずに来たのだろうな。)
目の前の大神阿良田と言う男がISに精通しているのは間違いない。だが、それはISを一つの便利な道具として見た場合……現在、その仕様の主流にもなっている兵器としての扱いについて深く知ることはなかったのだろう。そんな感じの戦闘力の低さだ。
だが、千冬も言うように扱い方自体に関しては悪くなかった。じゃじゃ馬に乗るような訳でもなく、確りと御してみせた……正直、千冬と真耶は始めに陽炎の加速を見たときは驚いたたが、それを完璧に制御した阿良田にもゾッとした物だ。
阿良田は自身が使いこなせなかった陽炎に対して詫びを入れる。
「うぅ……ごめんなぁ陽炎。俺が弱いばっかりに。」
「ですけど、途中の
「あぁ
「
暫くして、千冬が目の前の阿良田に対して語りかける。
「大神阿良田、吉報だ、貴様はIS学園での入学試験に受かった。」
「まだ試験終わって数分なんスけど……!?」
「どうせ上の事だ、無理くり理由をつけても入学させるだろう?私の目からしても貴様なら悪くない。」
「うおおおおおおお!!!!!あのブリュンヒルデにここまで言ってもらえるなんて………!!!!」
阿良田は先程までのボロボロだったろうに、千冬に少し褒められただけで感嘆の声を上げる。チョロいやつである。
……かくして、大神阿良田のIS学園入学が決定したのだった。
えっ?エックススカルガンガルスペクターってどんな作品?
ガンガルが(物理的に)正義の怒りに燃えて核弾頭を叩き切る漫画です。最後にはヒロインとコールドスリープします。
感の良い方ならこの作品の主人公機に似てるって所で陽炎の