ISは人を傷つける為の道具じゃねぇ!俺とISバトルで勝負だ!   作:ホビアニ系主人公VS鈍感系主人公

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ヤット・イエルネン・タイトル

 

 入試及び実技から暫くして……諸々の手続きを済ませた大神阿良田は、今遂にIS学園の教室に居た!結局保護者の叔父たちは迎えにも会いにも来なかったが、そんな事はこの際阿良田にとってはどうだって良い!!

 

 憧れに憧れたISの聖地へ、今自分は正式に座っていられるのだから……!!

 

 ……しかし、阿良田としては喜び難い事実がそこにはあった。

 

『『『ジーーーーッ』』』

(……ストレスで吐きそうだぜ!!)

 

 凄い見られているのだ、周りの女子から……自身の右隣に座っているIS男性装着者の一人目(ファーストマン)……織斑一夏共々!!視線で人を殺せそうなくらい!!正直流石の能天気阿良田でもこの視線の山はキツイ!お腹痛くなる!

 

 ……まぁそりゃそうだと言う話でもある。本来女しか入学できない、する必要のないIS学園に、場違いな男が2人もいるのだ。そりゃ見られるってものだろう。

 

 多分、阿良田の隣にいる織斑一夏もそう思ってるに違いない。だって、目の雰囲気が完全に阿良田と一緒だ。据わっている、完全に。

 

 思わず阿良田は一夏の方に助けの目線を向けてしまう……ハッキリと目が合った。それは良い……だが、それ以上は何もできない。ただ目線で会話するだけだ。

 

(助けてくれ……これ結構きついぜ……)

(俺もキツイ……ただ、もうすぐ先生が来るはずだろ?それまで耐えるんだ……!!)

(くっ……お腹痛い……)

(分かる……!!)

 

 こんなやり取りを続けてしばらく……まだ会って小一時間経過していないのに、二人は馴染んだ友人のような会話を()()()行えるようになっていた。

 

 しかし、旗から見れば女所帯の中見つめ合う男二人組な訳で……中には邪な考えに出る者もいる。

 

(えっ?あの二人あんなに見つめ合って……!!まさか!?)

(やりますねぇ!)

(もうわっかんねぇなこれ。)

 

 大惨事である。因みに、阿良田は完全にノーマルだ。男の趣味なんてない。ちゃんと女の子が好きだ。

 

 因みに好きなタイプは()()()()()()()()()()()()らしい。何故かアニメや漫画でもそういった人を好きになることが多かった。ウサ耳がついてるとなお良いそうな。

 

 まぁそんな話はさておいて……二人が目線会話を続けると事数分後……漸く扉を開いて先生が入室してくる。緑髪をした女性……山田真耶だ。

 

「みなさん!おはようございます!」

 

(っ!よっしゃ!先生来た!)

(山田真耶さんか……!この人も教員だって話聞いてたけど、まさかこのクラスだとは……!!)

((兎に角、これで視線も少しはマシになる……!!)

 

 真耶が来て思うことは二人とも変わらない。この地獄のように視線と言う針でぶっ刺される地獄絵図から、早く抜け出したい……それだけだ。

 

 それに安堵して、阿良田はとあるミスを犯す……真耶は入室時挨拶をした。ならば、こちらも返すのが礼儀だ、少なくとも彼はそう思っている。故に返してしまうのだ……挨拶を、体育会系特有のデカい声で。

 

「おはようございま……えっ?」

 

 静寂な教室に、阿良田の無駄に元気と勢いの良い返事がから回る。静かだから、一言一句逃さずに……だ。皆が静まり返っている教室でそんなことになれば、どんな気持ちになるかは想像に難くない。

 

 阿良田は意識を失いそうになり顔を俯ける。

 

(やらかしたぜ……)

(二人目ェェッッ!!!)

 

 一夏は咄嗟に慰めるつもりで阿良田の肩に手を乗せる。

 コイツはよく頑張った。ちょっとフォローする勇気は出なかったが、先生がきっと良いフォローをしてくれるだろう!そうお待ったからだ。

 

 因みに二人はまだお互いの名前を知らなかったので、阿良田は一夏を『一人目』。一夏は阿良田を『二人目』と呼んでいた……目線会話で。

 

 さて、挨拶を返された山田先生こと真耶はキチンと挨拶をされたことで少し喜びを感じてしまった。故に。なんとかフォローしようとする。

 

(あ、挨拶返してくれた……!!えっと、フォローしなきゃ!)

「え、えとっ!良い挨拶をありがとうございます!大神さん!」

「み゜」

 

(((辞めてあげて先生!!逆効果だから!!)))

 

 奇しくも入学当日、一夏を含めた多くもクラスメイトが同じ事を思ったと言う。

 

 このフォロー、逆効果である。名指しでなければまだよかっただろう。名指しなのが余計になんというか……気まずさを加速させている。

 

 そのせいで阿良田も潰されたカエルみたいな声を上げて机に突っ伏してしまったではないか。

 

(わ、わ、わ……大神さんが倒れて……!!と、兎に角今話題を振るのは危険ですね!)

「教員の山田真耶です!早速ですが、簡単な自己紹介をしてもらいます!」

 

 そこから始まる簡単な自己紹介……と言うか、ほぼ名前をいうだけである。だが、早くに問題の二人の出席番号に当たってしまう。名前的に。

 

(しゅ、出席番号的には大神さんの方が先なんですが……!この状況で振るのは可哀想ですよね……!)

「で、では貴方、お願い致します!」

「えっ!?は、はい!」

 

 一夏はまさかここで振られるとは思ってなかった……確かに、自分の前の出席番号番号のやつが恥ずかしさのあまり死にかけているのだから、気を回す人ならこうなってもおかしくない。しかし……!

 

(二人目のコイツは、圧倒的なアウェイな空間で挨拶を返すって芸当をやってのけた!……俺もやれるはずだ。)

「えっっっと……織斑一夏……です。よろしくお願い致します。」

 

(織斑……あぁ、千冬さんの弟さんか!)

 

 阿良田も織斑千冬に弟が居るという情報は知っていたが、まさか噂に聞く一人目の男性IS装着者だったとは。おかげでチャンスをつかめたと後でお礼を言っておかなくては。

 

 …………しかし、静寂は続く。何かないのかという期待の眼差しが一夏に向けられているのだ。だが、当人は引き出しはないようで……

 

「以上です……」

 

 とか細く呟く。周りの女子は肩透かしを食らったような評定をするが……阿良田は目線で労いの言葉をかける。

 

(良くやったな、一人目!頑張ったよお前!)

(二人目……!ありがとう、お前も頑張れよ!)

(応!)

 

 二人としてはここ少しの間でやり慣れたやりとりだ。だが、周りにとっては自己紹介を終えた一夏が、何故か隣の阿良田を見つめお互い満足そうにしているという事実だけが残る。

 

(な、何故見つめ合ってるでしょう……?まさか……!?)

(今年のコミケは決まったわね。)

(ワンブースいけるな……)

(やりますねぇ!)

(もう許せるぞオイ)

 

 大惨事である(二回目)

 

 しかし、次の瞬間響く乾いた音で更に大惨事となってしまう。

 

「いつまで突っ立っている気だ馬鹿者。」

 

 そうして現れるこのクラスの担任、織斑千冬。阿良田もIS学園に来る以上いつか相まみえると思っていたが、まさかクラス担任とは……!!

 

 次の瞬間教室は黄色い声で埋め尽くされる……流石にブリュンヒルデ。IS乗りを目指す全女子の憧れの的なだけはある。つんざく声に阿良田は耳をふさぎそうになったが……内心はラッキーの気持ちが強かった。

 

(よっしゃ!これで流れでやりやすくなった……!!)

 

 これほどに黄色い悲鳴が流れた後だ。みんな千冬さんの方に夢中で自分のことなんか気にかけまい……!流れでなあなあで終わらせてやる!……と、阿良田は考えていた。

 

「えっと……では自己紹介の続きを……飛ばしてしまった貴方、お願いします!」

「ッ!はい!」

 

 次に阿良田が返事と共に立ち上がる……もはや怖いものはない。普通に自己紹介してやる!そう意気込んでいた……しかし、一つだけ阿良田は自分の性質を忘れていた……テンション高くなると声がでかくなるという性質を。

 

「俺、大神阿良田って言います!好きな物はIS!嫌いな物はISの兵器利用!よろしくおにゃしゃっす!!!」

 

 ……クソデカボイスからの思想強め自己紹介からの体育会系特有のなまった挨拶。再びクラスに静寂が訪れる。

 

(声大きいんだな二人目)

(声大きいなこの人)

(相変わらず声大っきいなあ……)

(ふっ、堂々とISの兵器利用への反対声明を出す……か、相当本気なのだな。大神阿良田。)

 

 一人妙な深読みをしてる以外は、大凡大神阿良田と言う人間を印象付けた。『声のデカい人』だと。

 

 

 

 

 

 

 その後は、基礎的な知識を頭に叩き込まれた。ISを勉強するに応じて学んできたことばかりだが、良い復習になるしより深い所も聞けた。

 

 隣の一夏はちんぷんかんぷんだったようだが……まあ、いきなりIS学園に連れてこられてきちんとついていけるほうが凄いだろう。阿良田だってここ十年の勉強の積み重ねあってなのだ。

 

 やがて休み時間になると、外には学生の人だかり……見世物小屋かと気が滅入ってしまう。それは、隣の一夏も同じようだ、…ようやく声を出せん環境になって、初めて阿良田と一夏はちゃんと会話をする。

 

「えっと……大神阿良田、だよな?」

「そう言う君は、織斑一夏か。」

 

 2人は顔を突き合わせて話す。

 

「……本当に、なんでこんな事になっちまったのかなあ……」

「俺は結構楽しみだけどな。IS、動かすの楽しいしな!」

「そう言えば自己紹介で言ってたよな。ISが好きって……あと兵器利用が嫌いとか。」

「よく覚えてたな!……ISは素晴らしい発明だ。あの基礎概念だけでどれだけ技術が進歩できるか!宇宙進出だって夢じゃない!共に戦う遊び(スポーツ)としての面も期待大だ!……それなのに、どいつもこいつも兵器利用の事しか考えてない。どんな法で縛っても、結局戦争になればどいつもこいつもISを持ち出してくるんだ。それが、我慢ならねぇ。」

 

 語る度に燃え上がる阿良田……そんな阿良田を見て、一夏は呟く。

 

「お前、本当にIS好きなのが言葉だけで伝わってくるよ。」

「逆にお前はISにそこまで興味なさそうだよな。」

「ハハっ。言えてるかも。」

 

 まるで気の知れた友人のような会話だ……本当に今日出会ったばかりだろうか?やはりアウェイな空間での仲間は、心強く感じるのだろう。

 

「なんか、アレだな。まだ出会って少ししか経ってないのに……すげぇ仲深まった感じしないか?」

「ん、確かにそうだな!ずっと目線会話してたもんな……目線会話ってなんだよ……!」

 

 流石の阿良田も言ってる途中で何言ってんのかわけ分かんなくなる……それだけの異常事態だったということだろう。

 

「しかし、俺は好きだから良いけど興味あんまないのに大変だなあ……あぁっと…………苗字だと織斑先生と区別つかねぇから一夏って呼んでいいか?」

「勿論良いぜ!んじゃあ、折角だし俺も阿良田って呼びたいんだけど大丈夫か?」

「応!」

「よっしゃ!んじゃ改めて、数少ない男同士、よろしく頼むな!」

 

 そう言って阿良田は一夏とガシッと腕をぶつけ合う………その後も男同士で駄弁ろうとしたのだが、篠ノ之箒と言う女性に一夏を連れて行かれた……なにやら訳ありのようだが、まぁ阿良田がわざわざ首を突っ込むような話ではあるまい。

 

『『『『『『ジーーーーッ』』』』』』

 

 さっきの数倍の視線とアウェイな空気に、もはや阿良田の身体はボドボドである。やめようかな、学校。

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

 その後の昼休み時間……取り敢えず二人で談笑していた一夏と阿良田。

 

 話題は……あの篠ノ之箒と言う少女についてだ。阿良田も苗字から察してはいたが、ISの開発者篠ノ之束の妹らしい。一夏とは幼い頃の幼なじみだとか。

 

 そんな話をしていると、横から金髪の青目の少女が話しかけてくる……一夏はイマイチ誰か分かっていないようで、小首を傾げていた。阿良田はその青い瞳をみた瞬間唖然とする。

 

 一夏は小首を傾げたまま、静かに問いかける。

 

「えっと……誰だ?」

「まぁ!?私を存じていないなんて……これだから男性は……良いでしょう。私の寛大な心により自己紹介をして差し上げますわ!私は……「知らねぇのか一夏!!セシリア・オルコット!イギリスの代表候補生だよ!使用機体は第三世代ISのブルー・ティアーズ!!その独立兵装によるオールレンジ攻撃は正に青い涙!まさかこんな所で会えるなんて……!!感激だぜ!!」…………そう!私がそのセシリア・オルコットでしてよ!」

 

 言いたい台詞をほぼ全部取られて少し悔しいが、ここまで純粋に、真っ直ぐに尊敬の眼差しを向けてこられるのを心地よく感じるセシリア・オルコット。ここまで純然な尊敬は久方ぶりだ。しかし、自慢し足りないのか更に無理に付け加える。

 

「因みに、実技入試の教官も私は撃破いたしましてよ!」

「俺も倒したぞ、教官。」

「うぇ……!?」

 

 一夏の言葉に驚くセシリア……阿良田としては「みんなすげぇな!!」位の感想だ。

 

「倒したのは私だけというお話では……!?」

「女子では……ってオチじゃないのか?」

「そんな……!?」

「阿良田はどうだ?」

「瞬殺だぜ!!」

「しゅ、瞬殺!?」

「マジかよ!?すげぇな阿良田!!」

「あぁ、瞬殺されたぜ!!」

「されたんかい。」

 

 相手があのブリュンヒルデだと言う点と、瞬殺(4分)である事を知らない二人……その場の全員は何とも言えない目を向ける。

 

 その後、セシリアは長々と台詞を喋っていた、エリートとか同じクラスがとか奇跡とか男の癖にとか。

 

 しかし、阿良田は全くもって聞く耳を持たなかった……完全に受け流し体制だ。IS絡みの話じゃないし、ただの自慢話ほど聞いててつまらないものはない。これが多少なりとも、IS絡みなら耳を貸したのだが。

 

 その後午後の授業の時間が来て、セシリアはプリプリしながら席に戻る……結局序盤しかロクに話は聞かず後半ほぼ相槌打つマシーンになっていた阿良田。

 

「あ、阿良田……お前、ほとんど話聞いてなかったろ?」

「!?なんでわかったんだ!?エスパー!?」

「分かるわ!!セシリアも気付いて話しかけてたけどお前とんでもない勢いでスルー決め込んでたからな!?」

 

 話しかけられていたのか、気がつかなかった……話が聞こえていたのか、セシリアはまたプルプルと震えている。……やがて始まる午後の授業、そこで決めることになるのは……

 

「今日は最後に、クラス代表を決めてもらう……基本的な仕事は普通の学校の委員長と変わりはないが、対抗戦などに出てもらう。文字通りクラスの顔になる存在だ……自薦他薦問わん、誰か居ないか?」

 

「はいッ!自薦します!」

「っ!!??私も自薦しますわ!」

 

 話が出て速攻手を挙げるのは……大神阿良田その人だ。千冬は「ほぉ」と阿良田とセシリアを見る……他に自薦で手を挙げているものは……居ない。

 

「……ならば、他薦はどうだ?誰かいないか?」

 

 すると、1人の女子が手を挙げて推薦するを

 

「わ、私は折角なので男の織斑君を推薦します!」

「俺ぇっ!?」

「ほお、大神も男だが、彼じゃない理由は?」

「……大神君。実技試験瞬殺されたって話してた人にはちょっと任せたくない……っていうか……」

「ごふっ!!」

「阿良田ぁ!!??」

 

 図星に次ぐ図星を刺されて阿良田は吐血して机に伏せる。さすがの光景に一夏も何とも言えない顔だ。その後、暫く推薦を見守っていたが……興味本位かどうか、多くの者が一夏に票を入れていた。

 

「成る程、織斑一夏、オルコット、大神の順か。」

「順ってなんですか、票数ですか!?票数の多さ順ですか!?」

「それ以外あるか馬鹿者。」

「げふぉ!?」

「阿良田ぁっ!?」

 

 阿良田は大ダメージを受けた。

 

「くっ……!!納得できませんわ!男が代表だなんてクラスの恥も良い所!どうせ物珍しさだけでの選択でしょう!?これだから極東の猿は……!!」

「おい、お前流石に……!!」

「良いでしょう!であれば決闘ですわ!イギリス代表の権威にかけて、貴方方を叩きのめします!男がISに乗るなど、女に逆らうなどと烏滸がましいと。その身体に分からせて痛めつけてあげますわ!」

「上等だ……!受けて立ってやる……!……阿良田!お前もなんか……」

「おい。」

 

 すっと立ち上がる阿良田……その目はほんの一瞬、何事も映さぬ濁った水晶のように据わって見えた。と言うよりも、何の感情も入らない虚無の表情だ。

 

 もっとも、直ぐに元の表情筋からわかる暑苦しい瞳にシフトチェンジするのだが……その瞳の冷たさは、一瞬でセシリアの心に深くえぐり込んだ。

 

「な……なんですの!?」

 

「……黙って聞いてれば、凄ぇ実力持ってる癖に……男の癖にだの痛めつけるだの権威だのと……ISを力の誇示と周りへの威圧の脅しにだけに使いやがって……!!!」

 

 どうやら、この数言だけでセシリアは阿良田の地雷の三つを踏み抜いたようである。阿良田はセシリアを、指さして叫ぶ。

 

「ISは人を傷つける為の道具じゃねぇ!俺とISバトルで勝負だ!」

 

(何言ってますのこの男は!?)

(何言ってんだよ阿良田!?)

(何言いだすんだこの男!?)

(何言ってんだコイツ。)

 

 かくして、一日目にして完璧にクラス全員が全く同じ気持ちを持ったのである。




別にここのワンサマーは今流行りのホモとかではありません。
ちゃんとした鈍感難聴ワンサマーです。
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