ISは人を傷つける為の道具じゃねぇ!俺とISバトルで勝負だ!   作:ホビアニ系主人公VS鈍感系主人公

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本当に開幕するだけ(ネタバレ)


開幕だぜ!セシリアVS阿良田!

 

 

 IS学園の整備室……そこに佇む一機の全身装甲タイプのIS.ネイビーカラーとホワイトラインが特徴の機体『陽炎』だ。デバイスを用いて軽く状態を見る阿良田と、陽炎を眺める相川と本音。

 

「おぉ〜これがおーあらの専用機かぁ〜」

「全身装甲タイプ……第一世代型の特徴だけど、これ何世代目なの?」

 

 相川の問に、阿良田はデバイスを見て目を細めながら答える。

 

「……2.5世代辺りか?」

「.5?」

 

 2.5とはまた中途半端な……しかし、阿良田としてはそう表現するのが一番納得できる。2世代型と言うには高性能だが、三世代型と言うにはまだ少し足りない……そんな機体だ。

 

「コイツ本体の性能は第三世代にも並べるんだけど、特殊兵装がなぁ……」

「ないの?」

「あるけどピーキー……つか、ほぼ未完成品。」

 

 第二世代と第三世代の目に見える差といえば、イメージ・インターフェイスを用いた特殊兵器搭載の有無だ。この陽炎と言うISにも、その特徴兵装が積まれているのだが……

 

「どんな兵装なの?」

「んあ〜。」

 

 別に答えるのは良いんだが、まだ周りには他にもISを整備している人たちがいる……しかも、男の専用機持ちと言うことでかなり見られてもいる。

 

 聞かれたからといってどーこーなる物でもないが、明らかに聞き耳をたてられているのに話すのは気が乗らない。阿良田は相川と本音の耳元で、その特徴兵装について告げる。

 

「ごにょごにょごーにょにょ…………ってな感じだな。」

「ふむふ〜むふ〜ふむ。成る程〜そう言う感じかぁ〜」

「確かに未完成品ね、それは……(今の言語何?)」

「本体の使い勝手は良いんだけどな。」

 

 因みにIS学園に入学するまでに阿良田は軟禁中に許可をとって、専用機のデータ収集の為に陽炎を纏って操作している。お陰で、ある程度の機体の癖も把握できている……もっとも、他の代表候補生よりかはやれないが。

 

「そう言えば、整備ってさぁ、その子壊れてるの〜?」

「確かに、入学初日だもんね。故障?」

「故障って訳じゃなぇが……改めて道具がそろった状態でバラして構造把握しときたいんだ。実際に触ってみないと、データだけじゃ分かんねぇ事もある。」

 

 「セシリア戦のヒントも見えるようになるかもだしな」と、そう言って阿良田は工具を持って簡単な点検を始める。若干拙い手付きだが、阿良田は

 

「ヒントかぁ……そう言えば、武装は?」

「サーベル二本と小型ビームガン2丁……だけだな。」

「うぅん、決定打にかけるね〜」

 

 本音の正直な感想だ。正直、ビットと狙撃を回避しながらISのシールドを削り切れるほどの火力はないように感じる。

 

 時間をかければいけるかもだが……少なくとも、オールレンジ攻撃相手に時間をかける戦法は得策とは言えない。

 

 エネルギー切れを狙えるなら兎も角、それがないのだから時間をかければかけるだけ根気を削られるだけの戦闘になってしまうだろう。

 

「だから、ど〜するか悩んでるんだぜこっちは〜!」

「う〜ん、どうしても火力は上げられないの?」

()()()()()()()()()()を発動すれば火力かなり上がるんだけど、それで仕留められなかった時がな〜!」

「悲惨になるね。」

 

 相川も事態を理解してウーンと唸る……そんな中、本音は何か意外なものを見るように阿良田をじっと見つめていた。

 

「んあ、どーした?」

「おーあらはイケイケドンドンタイプかと思ったら意外と後先考えるんだねぇ〜。」

「やっぱ馬鹿にされてるよな俺ェッ!?」

 

 初日だと言うのになんという有様だ。一夏は結構黄色い悲鳴が上げられたし、なんかちょっと一目置かれてるのに……阿良田だけなんか、こう……男だからとか、そんな理由関係なしに別ベクトルで舐められている気がする。

 

「つーか誰だよおーあらって!?」

「君だよ〜。おおがみあらただからおーあら〜。」

「えぇ……」

「因みに織斑君はおりむーと名付けた!」

「名付けたて……」

 

 何故かえっへんと胸をはる本音。おーあらこと阿良田は、パーツを点検しながら呟く。

 

「押す時は押して下がれる時は下がる。どんな事でもそれは鉄則だろうが。」

「なんか少女漫画みたいな事言ってる!?」

「男前〜モテ男だねぇ〜」

「やっぱ馬鹿にしてんだろ!?」

「だからそんなんじゃないよ〜」

 

 嘘だ。なんか二人ともニヤケ面してる……阿良田は全くと一息ついて、レンチを肩にかける。セシリアと言いコイツラと言い何故にあって初日の奴にこんな舐められた態度取られりゃならんのだ。

 

 すると、本音がまた何でもないようなことを問いかけるようにつぶやいた。

 

「でも、そんな感じなら彼女も居るんじゃないの〜?もしかして結構遊んでたり〜?」

「なぁ相川。IS学園の生徒ってデリカシー投げ捨てた奴しかいないのか?」

「そうかな……そうかも……」

 

 そこは否定して欲しかった。と言うか流石にグイグイ来すぎだろ!……ほかの奴等も大概だったけど!一夏めっっっっちゃ群がられてたけど!……俺の所にはほぼ人来なかったなあ……なんて事を阿良田は考えたりもする。

 

 すると相川はそれはそれとして問いかける。

 

「で居るの?居ないの?」

お前もかよ!?……はぁ、居ねえよ、彼女居ない歴=年齢って奴だ。言わせんじゃねぜ馬鹿!」

「興味は〜?」

「無い訳じゃねぇけど、今はIS優先だ。」

 

 そりゃ阿良田も一介の男であるからして、彼女が欲しかったり踏み込んだ事もしてみたいとは思っている。しかし、今の彼に重要なのはISについてより深く学ぶ事だ……それを考えれば、恋愛事に現を抜かしている時間はない。

 

「へぇ……」

「それって結局30手前くらいまで趣味に走りすぎて彼女できなっオチじゃな〜い〜?」

「がふぁっ!!」

「大神君!!??」

 

 流石に火力が高すぎやしないだろうか。阿良田のライフはもうゼロである……今日だけで何度メンタルをやられれば良いのか。阿良田は何とか

 

「のほほんさん……!さすがに火力高すぎだからやめてあげて!?」

「ごめんごめん……お詫びにだけどさ、おーあらの機体……君の陽炎……だっけ?私にも整備手伝わせてほしいな〜って。」

「マジか!……正直俺も文献でしか情報を入られてねぇから整備系得意な奴に教われるのはかなり助かる!」

「私もまだそんな大したものじゃ無いけどね。ISに触らせてもらった事もあるから少しは力に成れると思うよ〜?」

 

 正直阿良田としては有難い。こういうのはある程度実物を知ってさわれる人に教えを請うのが一番良い……であれば、お言葉に甘えて整備系は手伝ってもらおう。

 

「でも、いいのか?思いっきり甘えるぜ?」

「んはぁ〜、いいよいいよ。専用機をイジれる機会も中々ないしねぇ〜こっちも勉強させてもらうから〜」

 

 成る程、双方に理があると言う訳か。であれば、持ちつ持たれつと行こう。

 

「んじゃ、お互い利用するって事で。」

「言い方がアレだな〜けど、良いよ!」

(っし……あとは肝心のIS操作だ。)

 

 機体についての問題はこれである程度クリアできるとして……操縦系ばかりはなれるしかないが、せめて教えをこえる人間が欲しい。

 

(でもそんな都合の良い話ゃねぇよなあ〜。皆自分の訓練したいだろうし。)

 

 そもそも専用機持ちの阿良田は兎も角、訓練機には使用許可もいる。使用期限もあるわけだし、そこでどこの馬の骨かも分からぬ男の面倒を見たいやつなんて居ないだろう……居ないはずだ。

 

「……取り敢えずトレーニングか……」

「トレーニング!?」

 

 ここで相川が目を光らせて阿良田へ声を掛ける。

 

「なら、先ずはランニングが一番かな?……良かったら、運動見たげよっか?」

「マジか!?」

 

 都合の良い事も起こるものである。渡りに船が2隻も来るとは……なりふりは構わない、手を貸してもらおう。

 

「それじゃあ、良かったら教えてくれねぇか?ありえないと思ってたからIS乗るためのトレーニングについては割とノーマークでなー。」

「オッケイ!任せてよ!!……いや、むしろ助かるかな?私もトレーニングしたいんだけど、なんか1人だと気が乗らなくてさ!」

 

 相川はそう言ってアハハと笑ってみせる……阿良田はてっきりこういうトレーニングは普通は一人の方が捗る物かと思っていたが……やはり、人によると言うことか。

 

 すると、相川は少し意外そうな顔で阿良田を見る。

 

「でも、意外。結構鍛えてるのかなって思ってた。」

「スポーツしたり武道したり鍛えたりとかも昔はしてんだけどな……大抵一ヶ月足らずで飽きて辞めちまう。」

「一ヶ月!?」

「堪え性〜」

「あんま言うな、結構気にしてんだ。」

 

 そう言って阿良田は肩を窄める。

 

「俺かなり飽き性なんだよ……インドアアウトドア限らずに色々な趣味をやってきたけど、何一つ長く続きしなかったんだわ。」

 

 飽き性と言うか堪え性が無いというか、熱しやすく冷めやすいともまた違うと言うか……阿良田も色んな趣味に手を出した。

 

 音楽やゲーム、スポーツ、手芸に料理や模型作り、読書に勉強……数え切れないほど色々やってみたは良いものの、どれも長続きはしなかった……出来ないからとか楽しくないからとかでは無い。まるで穴の開いた器に水を注ぐように、満たされる感覚がしないのだ。

 

「ま、そんな俺が唯一続けられたのがISと宇宙開拓の勉強なんだよ…………って、どーでも良い自語りだったな、悪い。」

 

 阿良田は気不味そうに頭を掻く。どうにも、こういう自語りをするのは良い気がしない。

 

「まぁ〜まぁ〜」

「でも、大神君って本当にIS好きなの分かるし納得だよ!」

「ISが好きに見える……か、そうだよな。そうだと良いな。」

 

 そう言って、阿良田は隣に立つ自分の愛機を……陽炎を、じっと眺めていた。陽炎はそんな阿良田の視線に応えるわけでもなく、鈍く光を反射するのだった。

 

―――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 それから暫くして、次の月曜日……遂に、セシリア・オルコットと織斑一夏、大神阿良田のISバトルによる決闘が行われる日となった!

 

 事はアリーナへのハッチにて、陽炎をフェイスオフ状態で装備して最終チェックをしている阿良田が、目の前の千冬に語りかける。

 

「えっ?俺が先鋒ですか?」

「あぁ、織斑の機体はまだ完全にセットアップが終わっていない。お前の専用機は諸々済ませてあるからな、先ずはお前からオルコットと戦え。」

 

 そっと後ろを向けば……確かに、特徴的なISを身に纏った一夏と真耶がフィッティングを続けていた……あの分だとまだまだ掛かるだらう。

 

「今日届いたんでしたっけか?」

「ああ、白式と言う。」

 

 千冬はそう言うと軽く笑って呟く。

 

「お前の陽炎に勝るとも劣らない曲者だ。」

「そりゃ、次が楽しみだ。」

「へへっ!阿良田!お互い気合入れていこうぜ!」

「応ッ!!」

 

 一夏からの激励に、そう言って阿良田は嬉しそうに笑う……すると、後方から声が聞こえる。そっと振り向くと、そこには本音と相川の姿があった。

 

 思えばここまで、2人にはかなり助けられた。二人もまた、阿良田に激励の言葉を送る。

 

「頑張れよ〜おーあらー!」

「瞬殺されちゃ駄目だよ!」

「瞬殺って言うなつーっの!……ったく。ありがとよ!」

 

 阿良田は嬉しそうに口角を上げると、頭部アーマーを装着してフルフェイスの状態となる。すると、顔に取り付けられた1つ目のモノアイがグポンと起動し、ぐるりとモノアイだけ動かして辺りを見渡す。

 

 阿良田の視線には様々な情報がモニターのように映し出されていた。腕をぐーぱーさせたりしてみても、動きにコンマ1秒の遅れもない。

 

「……よし、調整は布仏さんが付き合ってくれたおかげで完璧……あとは俺の腕次第、か。トレーニング手伝ってくれたり相川さんの為にも、やって見せなくちゃあな。」

 

 阿良田がカタパルトデッキに移動すると、ハッチが開きアリーナへの道筋が開かれる。淡い陽の光が差し込むカタパルトに、ネイビーカラーの機体が鈍く光る。

 

 アリーナの観客席は人だらけだろうか?それともガラガラだろうか……?いや、この歓声を聞けばわかる、きっと多くの人が見に来たのだろう。

 

 後ろでは、本音と相川と一夏。真耶や真冬も何かを期待するような目で阿良田を観ていた。壁に着けられた巨大な立体映像には、アリーナ内に浮かぶセシリアの姿も見える。

 

 阿良田は背部……バックパックのスラスターを吹かせ、声を上げる。

 

「っしゃッ!!大神阿良田、ISは陽炎で出るッ!」

 

 次の瞬間、紺色の機体はハイスピードでアリーナへと飛び立つのだった。

 

 

 

 

 阿良田がアリーナへと降り立つと、そこには青いIS……ブルー・ティアーズを纏ったセシリアが、巨大なレーザー狙撃銃スターライト-mk.IIIを傍らに立って……いや、浮いて、阿良田を見下ろしてきていた。

 

「あら、全身装甲のフルスキンスタイル……第一世代のISでも使用してますの?」

「安心しな、ちゃんと2.5世代型だ。」

 

 遠回しな罵倒だ。古臭いISと言えばよいだろうに……阿良田の返しにも「それは良かった」とニヒルに笑うだけだ。そして、心底見下すような口調で話す。

 

「先ずは逃げずに現れた事、褒めて差し上げますわ。そしてそれに免じて戦う前に一つだけ……」

 

 スターライトの銃口を向けて、スコープ越しに阿良田を捕らえながら言い放つ。

 

「むざむざとやられて恥を晒すのが嫌なのであれば、棄権しなさい。貴方とも私で経験値から機体から才能まで……何もかもが隔絶していますわ。このまま戦っても勝ち目は無いですわよ?」

 

 勝ち目は無い……か、確かに阿良田とセシリアの間には壁があるのだろう。IS戦の経験だって向こうが上だ…………だが、それは辞める理由にはならない。

 

 セシリアは黙りこくる阿良田へ声を上げる。

 

「どうしますの?返事は!」

「返事?」

 

 阿良田はフルフェイスのIS越しにセシリアへと冷たく言い放つ。

 

「返事って?いやだか?NOか?それともごめんこうむるぜべーーーっか?どれでも好きなので答えてやるよ!」

「ッッッ!!愚か者ッ!!」

 

 セシリアは煽りに悔しげに歯を食いしばると、スタート合図が響く。

 

『それでは、セシリア・オルコット対大神阿良田のIS戦を開始する!…………スタートッ!!』

 

 アリーナに響く開幕のゴング……いち早く動くのはセシリアだ。

 

「ならば掌で踊りなさい!私、セシリア・オルコットとブルーティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!」

 

 次の瞬間、セシリアのブルー・ティアーズのビットが展開され、その照準を阿良田へと向けるのだった。

 




本当は特殊兵装発動シーンまでやりたかったです(遺言)
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