ISは人を傷つける為の道具じゃねぇ!俺とISバトルで勝負だ! 作:ホビアニ系主人公VS鈍感系主人公
「やぁ~ケーキ美味しい〜」
「のほほん、食べ方!」
「口元がサンタのヒゲみたいに……」
本音と相川と出会った後……阿良田が連れてこられたのは寮の休憩スペースだ。購買でデザートのケーキを購入し、今はカウンターのようなスペースで3人並んで食べている。
因みに、阿良田はプリン、本音はショートケーキ、相川はチーズケーキを注文して食している……本音の食べ方も中々で、口元にクリームをべったり付けている。悪食と言う奴だろう。
すると、相川が何処か申し訳なさそうに阿良田を見て問いかける。
「でも良いの?奢ってもらっちゃって……」
「別にデザート2人分なら良いよ。結構助けられたしな。」
「えへへ~手伝ったから〜」
「のほほん、お前は先ず口元拭け。」
ニンマリと笑顔を浮かべる本音……美味しそうに食べるのは結構だが、流石にクリームくらいは拭いて欲しい。阿良田はそんな風に呟いて、プリンを一口掬って食す。
「いやぁ〜でもセッシーとの戦いは惜しかったねぇ〜」
「もぉ、のほほんさんってば今日一日そんな話ばっかり……」
「そっか、二人は同じ部屋だったな。」
と言うよりも、その話ばかり……?どう言う事だろうか?
「のほほん、寮に帰ってからもあの試合惜しかったぁ〜って悔しそうにしてたんだよ?まるで自分の事みたいに……」
「えぇ〜あーきも似たような物だったじゃ〜ん……と言うか、あの試合見てた人みんなそんな感じだよ〜」
本音の言う通り……今日あの試合を見た者は、皆口々に感想戦を言い合っていた。
セシリアが優勢、阿良田が優勢、機体の相性、次の勝者……様々な話題で議論されているが、そのどれもに「楽しそうな試合だった」とつくのは間違いないだろう。
裏を返して「実戦的じゃない」「遊びのようなもの」という感想を見受けられるが……ISは現代ではスポーツの側面が強いのだから、それもまたよしだろう。
「ま、そんな人の心に残る試合ができたら……心残りはねぇかな!」
「でもさぁ……良いの?」
「ま、負けてクラス代表になれないのは悔しいけど……まだ学園も始まったばかりだ。直ぐに挽回して……」
「そうじゃなくて……もし負けたら桜の木の下に埋めてもらって構いません…〜みたいなこと言ってなかった?」
「……あっ。」
相川に言われて、阿良田は自分の話した言葉を思い出す……確かにあの日あの瞬間、そんなようなことは言った。……だ、まがまぁしかし……
「さ、流石にオルコットもそんなマネはしない……よな?」
「どーだろ、あの子だいぶ男の子嫌ってる様子だったし……もしかしたらってことも……」
「ヤな事言うのやめろよぉ!プリン食えなくなる!」
「じゃ〜私がもらう〜!」
「もう口つけたから俺のだ!」
「気にするな〜!私は気にしない!」
「気にしろ!」
隙あらばプリンを奪い取ろうとする本音を、阿良田は必死に皿を避けて防ぐ。全く、油断も隙もない奴だ。
「ケチだね〜モテないよ?」
「良いんだよ別に。」
「嘘つけ〜」
「嘘だよモテてぇよ。」
「煩悩だぁ……」
ここ1週間経過したが……なぜだろうか、学年全体で見てみると人気と言うか、話題にされる回数は阿良田よりも一夏の方が遥かに上だ。
何故なのかと聞かれれば……そこにあるのは煩悩の差なのだろうと察せられる。唯我独尊を貫く阿良田も、聞き耳立てれば「織斑君と大神君なら織斑君だよね〜」みたいな話をされるのは……結構来る物があるのだ。
……すると、阿良田が相川の手元の皿に指をさしていう。
「……相川、チーズケーキ一口のほほんに齧られてる。」
「んなっ!?」
「うまし〜」
いつの間にか一口チーズケーキを頬張っていた本音……あまりの早業に2人とも見逃してしまった。
「ったく……」
「まぁ良いよ一口くらい!……今度倍にして返してもらうし」
「んえっ?」
「それより前から気になってたんだけど、何でのほほんさんはのほほん呼びで私は苗字なの?」
相川はそう言ってジトっとした目で阿良田を見る……共に訓練をするようになって1週間、そろそろ苗字呼びなんて、よそよそしい感じにも違和感を感じてきた。本音を2人とものほほんと呼んでるから余計にだ。すると、阿良田は答える。
「嫌ならあだ名とかつける?きよきよとか?」
「あだ名つけるのはのほほんさんだけで十分……清香で良いよ。」
「んじゃ俺も阿良田で良いよ。」
「ふふっ、それじゃあこれからも訓練の付き合いよろしく!阿良田!」
「応、宜しく……っと。」
「ん〜?なんか良い雰囲気〜?」
すると、本音がそんな茶々を入れてきた。やはり人間とは年頃性別に関わらずそういう話が好きなのだろうか。流石に阿良田も苦言を呈する。
「のほほん、何でもかんでもそうやって直ぐにカップリングさせんなよ。あとデリカシー。」
「そーそー!私もソッチ方面なら正直織斑君のほうが……あっ」
「やめろお前!!チクチク言葉ぁっ!」
何故告白すらしてないのに振られなければならないのだろう。正直阿良田もキレそうである……話を耳にしてか、その場の目が阿良田への憐れみの視線となった降り注ぐ。
マジでいつかデリカシー放棄罪とかで捕まんないだろうか全員……なんて事を阿良田は思ったりもする。
「のほほん……お前からもなんか言ってやれや……何処見てんのお前。」
阿良田が本音にも意見を問おうとしてみると、当の本人は少し遠くの方をぼぉっと見つめていた。すると、突然席から立ち上がり……先程見ていた場所まで駆けて行くのだ。
「あっ何処行って………戻ってきた?」
「あれ、あの子……」
すると、本音は先ほど見つめていた場所の建物の影から一人の少女を引っ張り出してくる……水色髪で、眼鏡をかけた大人しそうな少女……どうやら半ば強引につれてこられたようで、若干困惑気味だ。
「えっえっ……本音、なんで……」
「良いから良いから〜!あーき、おーあら!紹介するね〜、私の昔からの友達のかんちゃんです!」
「えっかんちゃん?」
思わず相川の素っ頓狂な声が響く……いつものことのようで、かんちゃんと呼ばれた少女は、目元を押さえて呟く。
「本音、それじゃあ名前分からないでしょ…………はぁ、私は……」
「も、もしかして……更識簪……さん……ですか?」
そして。その少女が名乗る前に身を乗り出してその名を答えるのは……阿良田だ。またもや妙に目をキラキラさせている。二人は1週間の付き合いだが、この男がこんな目をする時の大抵のパターンは分かっている……デカい声を出す前触れだ。思わず2人は耳を塞ぐ。
「えっ!?そ、そうですけど……」
「っしゃァッ!!そんな気はしてたけどやっぱ居たか!今期日本の代表候補生ぇ!一度お会いしてみたかったんすよ!」
「っひ!?」
突然興奮しだす阿良田、その叫びに少女……簪は驚き慄いてしまう。その場の多くの視線が、こんどは道場から冷やかな視線へと変わる。相川と本音は耳をふさいでいたのでダメージは軽い。
「うぅ……び、びっくりしたぁ……」
「だ、大丈夫?あの大音量をいきなりはキツイよね。鼓膜破れてない?気分は?」
「な、なんであの声量で本人ケロッとしてるんですか?」
「当たり前でしょ、フグは自分の毒じゃ死なないから。」
「人の感嘆の声をジャイアンリサイタルみたいに言うのやめてくれる?」
「はいはぁい、おーあらもいきなり叫ばないの〜」
「それは悪ィ……つい興奮して……」
多分、一夏の方が良いと言われる理由はこういうところにもあるのだろう。まぁそれはさておき……簪は少し驚いた様子で阿良田に問いかける。
「……まさか、知ってる人がいるとは思いませんでした。男性の人、余りISの事詳しい人いないと思ってましたから。」
「俺はIS大好きだからな、そりゃブランドや女が好きって奴も多かろうが……俺が好きなのはIS本体だ、その可能性だ!!」
「は……はい……?」
「気にしないでいいよかんちゃん。おーあら良くこうなるから。」
阿良田がスイッチが入るとやかましく何かを語りだすのはここ1週間で2人ともよく知っている。ここ1週間で26回はあのクソデカボイス語りを食らっているのだ。……2人としてはいい加減にしてほしい所だ。
しかし、阿良田が簪の事を知っているといえば……彼女は思わず言葉を口にする。自身の優秀で優秀でたまらない……姉の事を。
「でも、私のことを知ってるってことは当然姉さんの事も……」
「更識楯無さんだろ?ロシアの代表候補生、機体はミステリアス・レディ!アクア・ナノマシンでの水を操る戦闘を得意とする!!……えっでもなん」
「はいはい、阿良田。またスイッチ入ってる。」
「ぐぇ」
そう言って相川は阿良田の襟を引っ張るのだ。すると、そこで相川は気がつく楯無の話をした時の簪は何とも言えない顔をして俯いて、本音もそんな、簪を心配そうな目で眺めていることに。
「……かんちゃ「御免、本音。私先に部屋に戻るね。」ちょ……!」
「ちょっと待ったァッ!」
(阿良田が待ちなよ!?)
無理矢理相川を引き離して阿良田は声を上げる。いつも通りデカい声だ。簪も驚いて体をはねさせているではないか。
何故ここでそんな引き止め方をするのだろう……明らかに簪がセンチメンタルな気分になっているではないか。ここで止めても気を損ねるだけだ。
「……何?」
実際、輪をかけて機嫌が悪そうである。阿良田は少し頭を掻くとなんてこと無いように問いかける。
「……あの、なんでさっき急に楯無さんの話題出したんだ……?可笑しくね?俺は今簪さんと話してたんだけど……」
「えっ……?」
「……?」
「姉さんの事は存じてるんですよね?」
「勿論。」
「私がその妹だということも?」
「完全に。」
「……じゃあ尚更姉さんの話を聞きたいんじゃ?」
「なんでそーなるって!?俺が話してるのは更識簪さんだろ!?なんで楯無さんの話が出るんだよ?」
「でも……!あの人は私の姉で!」
「……?そうだな、知ってるよ。それが何故にお前の前で姉さんの話をする理由になるんだよ。」
「?」
「?」
「「二人とも待って。」」
さっきから恐ろしいほど同じ話の繰り返しだ。おまけに全く噛み合ってない……阿良田は真っ直ぐ過ぎるし簪は卑屈になりすぎている。何をどうしたらこんな地獄が出来あがるのか。
「いや、びっくりしたよ。ループ映像見せられてるのかと……」
「ほんとだよ〜何事?」
「本音が引っ張り出してきたんじゃない!!」
「そっだっけぇ〜?」
そう言ってとぼける本音……彼女と分け合って長い付き合いをしている簪にはわかる。少しでも周りと打ち解けさせて友人を作らせようとしているのだ。
クラスの違う現状では、こんなふうに無理をしてでもチャンスを見つけなければ、簪が人と関わらないことは分かっていたのだろう。しかし、基本よほど酷いことにならない限りこういったことに口を挟まない本音がこんな事をするなんて……とも思う。
裏を返せば、そんな本音が口を出すくらい……今の簪の状況はマズイということなのかもしれない。
「……でもかんちゃん、おーあらに聞きたいことあるんじゃないかな?」
「あっ?俺に……?」
「……貴方から見て、白式。どうだった?」
「どうって……」
「直接戦った貴方の、屈託のない意見が聞きたい。」
「んあー。」
そういう話かと阿良田は少し顎に手を添えて考える素振りを見せる。ある程度話したいことがまとまれば、またつらつらと言葉をつづる。
「さすがにピーキー過ぎるかね、一撃必殺用の機体にしろ何にしろ、牽制武装何も積んでないのは痛いかな。基礎スペックは高いから、何かしらの軽めの遠距離武装積めたら良いんだろうが……いっそあの剣を銃剣にしちまってもいいかも。あとスピードが足りない、なぁにが零落白夜だよ。シールド削っての大幅攻撃力強化?あくまで現状のISはスポーツだろうが、削って火力出すにしても過剰火力ってもんがあるだろ。半ば軍用兵器の実験機にしてんじゃねぇよマジで。クソがよ。」
「後半口悪くない?」
「ほぼ私怨だぁ〜」
「成る程……それじゃあ、あれを受け取った織斑一夏についても聞かせて。」
「ISへの理解がまだ浅いな。仕方ないところはあるとは言え、自分の機体の最低限のワンオフアビリティの特性も知らなかったし……操縦スキルに関しては、上からの物言いだが
「……そう、ですか。」
簪は少し驚いた顔をして阿良田をみる……阿良田はこの表情をよく知っている。(コイツここまで物事考えられたのか)って感じの驚きの顔だ。
「期待した答えは出せたか?俺は。」
「……参考になります。」
「参考、ね。」
……なにか訳アリのようだが、そこに突っ込むのが早いことくらいは阿良田にもわかる。とりあえず、簪が求めた情報は提供したのだから……自分はここまでだ。
「簪さん。折角だ、なんか奢ろうか?」
「ナンパみたいな真似しますね。」
「俺ぁ結構俗物なでな、女の子とスイーツ食べんのは男の夢なもんで……」
そう言って阿良田が食べんのを止めていたプリンを見てみると……そこには何もない。皿とスプーン以外は、何も……ただ、食べあとが自分のものよりも汚いのは、わかる。
「……のほほん。俺のプリンは?」
「……てへっ?」
「可愛いな、でも駄目だ。お前は此処で殺る……!!」
「えーん怖いよ〜かんちゃ〜ん!」
「ちょっ、本音……!」
「ほぉ、更識簪ともあろう方が盗人を庇うおつもりで……!!」
「ちょっ!?」
「ま、まぁ落ち着きなよ阿良田……!」
「清香。お前のケーキも食われてる。」
「本音、アンタの罪を数えろ。」
こうして、夜の少し楽しいスイーツタイムは騒がしく過ぎていくのだった……因みにこの後騒ぎを起こした阿良田と本音はこっぴどく千冬先生にしばかれたらしい……
阿良田「つかもう夜遅いけど部屋戻っていいのか?…………けど、良い雰囲気だったら嫌だな……………どうしよ、ノープランすぎた」
その頃、寮部屋では……
箒「この……!!一夏の馬鹿者がッ!!」
一夏「なんでっ!?」
何時ものである。