転生厄ネタ男はガンダムSEEDで幸せに(※当社比)暮らしたい 作:ノリと勢いと少しの狂気で生きている変人
転生してから数日。
俺は筋トレやグラハム節、フラッグカスタムやキャリー・ベースにあったMSの習熟運転などをしながらゆっくりと地球に向かっている。
本来なら整備や補給の問題が出てきそうなものだが、M.A.I.とキャリー・ベースが思ったよりも――というかオーバーテクノロジーなレベルで優秀だった事もあり、未だにそういった問題は無く、存分にフラッグカスタム達を乗り回せている。
驚くべきことにキャリー・ベースには材料さえあればMSを製造可能な設備があり、M.A.I.はそれを十全に使う事が出来る。
先日はその設備を使って作った猫耳が付いているハロを作っていた。
量子通信でどんなに離れていようともキャリー・ベースとの通信やMS操縦のサポートからハッキングまで出来るらしい。
・・・・・量子通信?
まあ、M.A.I.が意味不明なレベルで優秀――優秀という言葉で収まるレベルかは別として――というだけの話だ。
そうして今日もフラッグカスタムに乗ってキャリー・ベースから離れ過ぎないようにしながら
「人呼んで、グラハムスペシャル!!」
結構はっちゃけてる自覚はある。
が、楽しんだりはっちゃけてないとやってられないのも事実だ。
というかはっちゃけてても少し考え出すと・・・・・胃が痛くなってきそうだな。
理由は幾つかあって、その一つはこの世界の年号が分からないことだ。
フラッグカスタムは機動戦士ガンダムOOに登場したMSだが、今モニターに映る地球に軌道エレベーターが確認できない事から、この世界は機動戦士ガンダムOOの世界ではない――もしくは軌道エレベーター建設前――と考えられる。
と、言うことはこのカスタムフラッグはオーバーテクノロジーの可能性が高いと言う事になる。
この世界が別のガンダム作品の世界でも、ガンダムが無い普通の現代でも、正直ろくな事にならないだろうと思う。
序にグラハムスペシャルをキメても吐血しない身体というのにも不安が残る。
ガンダム作品には人造人間改造人間ビックリドッキリ人間は多々登場するため、俺もその一種になってしまったのではないかと思うと・・・・・・・・・・せめてデメリットが無いやつが良いなあ。
そんな事を考えながら、曲芸飛行の練習をしていると、何か違和感を覚えた。
「うん?あれは・・・・・」
機体に急制動をかけ、Uターン。
すると前方に白い点が見える。
ゆっくりと近づいていくと、それが所々黒ずんでいる白と青の物体なのだとわかった。
宇宙デブリではあまり汚れていないのは珍しい。
なにがあったのだろうか?
『スキャン完了。形状より、損壊したMSの胴体だと推定。内部に生体反応を確認』
コックピットに増設された台座に固定されていた
M.A.I.がキャリー・ベースからスキャンをかけたのだろう。
「生きてる人間が入ってるって事か?」
『はい。我々に救助義務は存在しません。どうなされますか?』
生きている人間・・・・・もしくはもうすぐ死ぬ人間。
M.A.Iの言う通り俺が助ける理由は無い。
だが、助けるとなったらその命に責任を持たなくてはいけない。
ハロの明滅するライトが俺に問い掛けている様に感じた。
「・・・・・よし、決めた。コレを持って急いで帰艦する。M.A.I.は受け入れの用意をしておいてくれ」
『了解しました』
悩んだ末、俺はMSの胴体をキャリー・ベースに持ち帰る事にした。
もしかしたらこの世界の情報を入手できるかもしれないというのは後付の理由に過ぎない。
助けたいから助ける。
理由なんて、それで良い筈なんだから。
・・・・・回収した時に見えた永久機関っぽいユニットの事は後で考えるとする。
明らかに厄ネタだからだ。
『格納庫内部の気密完了。指示する通りに装甲を剥がして下さい。コックピットブロックを露出させます』
「了解」
そうしてM.A.I.の指示に従って慎重に装甲を剥がしていく。
一分ほどでコックピットブロック――コア・ファイタータイプのもの――が露出する。
コア・ファイタータイプと言うと・・・・・ガンダムプルトーネか?
確か、プルトーネの搭乗者は
・・・・・助けると言った手前アレだが、コックピットを開くのが少し怖くなって来たな。
『コックピット、開きます』
そうして少し緊張しながらフラッグカスタムのコックピットの中から成り行きを見守る。
暫くしてコア・ファイターの側にハロ達がコックピットから――
「マジかよ」
俺が持ち帰ったのは、とんでもない厄ネタだった様だ。
》☓《
「う、うん・・・・・ここは?」
医務室のベッドに寝かされていた少女が声を発する。
M.A.I.曰く、GN粒子による被爆のような症状があったので
それはそうと隣に座っているのだから答えないのもどうかと思うので、答えることにする。
「医務室だ」
「?!」
驚いた様に少女は飛び起きてこちらを向いた。
飛び起きれるなら充分だろう。
「起きたみたいだな」
「あ、貴方は?」
「俺はジン。この艦の艦長みたいなもんをやってる。お前さんは?」
「えっと、私はシャル・ヴィルゴって言います?」
俺は彼女に「少し待ってろ」と言い、こういう時には甘い物の方が良いだろうと医務室に備え付けの給湯器でココアを入れて彼女に渡した。
彼女は小さく「ありがとうございます」と言って受け取ったが、ココアを飲むでもなくカップを見つめていた。
「すまん、ココア苦手だったか?」
「あっ、いえ。何ていうか・・・・・私、わからないんです」
「ほう?」
「名前以外
そう言う彼女の顔には不安が浮かんでいた。
記憶喪失・・・・・GN粒子によるもの、か?
厄ネタがさらにややこし・・・・・いや、今はどうでも良いなそれは。
「なあ、シャル・ヴィルゴ。海って見た事あるか?」
カウンセリングとかは俺には無理だ。
だから、当たって砕けるしかねえ。
「えっと・・・・・わかんないです」
「ああ。俺もだ」
「?」
「俺はこの世界の海を見たことが無い。だから見に行こうとしてる最中なんだ。この艦――キャリー・ベースでな」
シャル・ヴィルゴが「何を言いたいんだろうかこの人」と言いたげな顔をしている――被害妄想かもしれんが――ので言い直す。
やっぱ向いてないわ。
「あー・・・・・わかりやすく言うとだな。地球に着いたら色々と旅をしてみようと思ってるんだが、記憶を思い出すまでで良い。アクスティカも一緒に来ないか?」
俺の言葉を聞いて、ぱちくりと彼女は驚いた表情をした。
暫くして。
「えっと・・・・・私、何にも役に立たないと思いますけど良いんですか?」
俺は頷く。
「ああ。一人より二人の方がきっと楽しいだろ?」
「・・・・・ふふっ、そうですね」
こうして、旅の同行者が増えた。
考えないようにしていた厄ネタと共に。
判明している厄ネタ(主人公の主観)
・GN粒子の永久機関なユニット
・シャル・ヴィルゴの記憶喪失
・M.A.I.がオーバーテクノロジー(量子通信とか諸々)
・自分自身