「ここが童守小学校か……」
コエンマから新しい霊界探偵の任務を受けた星徒は次の日、目的の人物が勤めている童守小学校の校門まで来ていた。
「実家の近くにあったけど、ここに来たのは初めてだな。……ん?」
星徒が童守小学校の様子を観察していると、少し離れた所で童守小学校の生徒と思われる三人の子供が星徒の方を見て何かを話しているのに気づいた。
「お、おい……。あれ、皿屋敷中学の制服だぜ……」
「皿屋敷中学? どこだよ?」
「知らないのかよ? 隣町にある中学で、そこにはとんでもなく強い不良が二人いて、皿屋敷中学の生徒は全員その二人の不良の舎弟だって噂なんだよ」
「うわぁ……。こ、怖いのだ……」
星徒の方を見て帽子を被った子供が言うと半袖と短パンの子供が聞き返し、二人の会話を聞いていた小柄な子供が恐ろしそうな目を星徒を向け、三人の子供達の会話に星徒は心の中で苦笑を浮かべる。
(相変わらずウチの学校は印象が悪いな……)
星徒が通っている学校、皿屋敷中学校にはとんでもなく喧嘩が強い不良が二人いて、その二人のせいで周囲からの印象が悪かったりする。
とにかく自分の学校の評判を嘆いても仕方がないと思うことにした星徒は、自分の方を見て話していた三人の子供達の元へ近づくと彼らに話しかけることにした。
「君達、ちょっといいかな」
「ひっ!? な、なんですか……?」
星徒が話しかけると帽子を被った子供が明らかに怯えた表情となって恐る恐る返事をする。
「この学校に鵺野鳴介先生って人がいると聞いたんだけど、君達は知らないか?」
「え? ぬ〜べ〜の知り合い?」
「ぬ〜べ〜?」
「僕達の先生、鵺野先生のあだ名なのだ」
星徒の言葉に半袖と短パンの子供が意外そうな表情で口を開き、聞き覚えのない名前に星徒が首を傾げると小柄の子供が説明をする。
「へぇ? 君達は鵺野先生の生徒なんだ? それで鵺野先生はまだ学校にいるのか?」
「あ〜……。それなんですけど、ぬ〜べ〜だったら今日学校に泊まり込みなんですよ」
目的の人物、鵺野鳴介がまだ学校にいるのかと星徒が聞くと帽子を被った子供が答え、それに半袖と短パンの子供と小柄な子供も続けて言う。
「そうそう晶……クラスメイトが今日学校に泊まり込んで今度の美術コンクールに出す作品を作っていて、その監督ってことでぬ〜べ〜も泊まることになったんだ」
「僕達も一度家に帰ってから晶の応援でまた学校に来るつもりなのだ」
「そうなんだ」
「あの……? ぬ〜べ〜に何か用事があるんでしたら呼んできましょうか?」
「……いや、鵺野先生にはまた別の時に会うことにするよ。ありがとう」
鵺野鳴介を呼んでこようかと言ってくれる帽子を被った子供の言葉に星徒は少し考えてからそう答え、星徒は童守小学校を後にした。
★
「さて、どうやって鵺野先生に会いに行こうかな?」
童守小学校を後にした星徒は、童守小学校の近くにあるベンチに座ると鵺野鳴介と会う方法を考える。
とりあえず小腹が空いていた星徒は、公園に来る前に買ったカレーパンを自分の隣に置くと、同じく買ったアンパンを口にする。すると彼の隣から男の声が聞こえてきた。
「ありがとう。いただくよ」
星徒が隣を見ると、それまで誰も座っていなかったベンチにマントを羽織った長髪の男が座っており、星徒がベンチに置いたカレーパンを食べていた。
「うん、美味しい。僕がカレーとパンが好きだって覚えてくれていたんだね?」
「まあね。それで今日は何の用? また俺を仲間にスカウトしにきたのか?」
星徒が聞くと長髪の男は首を横に振って答える。
「いや、違うよ? 何やら面白そうな予感がしてね。見物に来たら君の姿が見えたから挨拶にきただけさ。それに確かに君は仲間にしたいけど、強引にするつもりはないから安心してよ? ……そんなことをしたら君の『奥さん』が怖いからね」
長髪の男は苦笑を浮かべてそう言うとベンチから立ち上がって星徒に話しかける。
「それじゃあ、カレーパンごちそうさま。せいぜい『あのチビ助』のお仕事、頑張ってね」
「ああ、またね。『ハオ』」
星徒が長髪の男、ハオにそう言うとハオは一瞬でまるで風のようにその場から姿を消し、星徒はベンチから立ち上がると童守小学校の方へと向かって歩み始めた。
………続く?