暗黒錬金術師伝説3 暗黒!ロロナのアトリエ 作:dwwyakata@2024
全知全能を気取ったゴミカス野郎の末路は、あまりにも滑稽。
悪意の上はきりがありません。
そして、その悪意にさえ。更に上があったのです。
序、末路
必死に這いずりながら逃げているそいつを、カトリアヌは見つけた。
オルトガラクセン地下二十層。
邪神と呼ばれた、此処の管理者でさえ、実態を把握していなかった闇のまた闇。完全に管理下に置いた電算機で計測して、ポータルを用いて侵入成功。ただし、十六層より上とは、ポータルが断線していて、今の時点では行き来できない。十六層から、データだけを転送する事は出来るようだが。
邪神は、移動用の小型ボディ、通称ノーライフキングにどうにか逃げ込んで、此処に落ちてきたらしい。
自分でも、どうやって此処に逃げ込んだか、理解していない辺りが。
詰めが甘くて愚かな、このAIらしかった。
それになにも此方に来なくても。十六層より上にあるノーライフキングのボディを用いて、地上にでも逃げれば良かったものを。
その判断力のなさが自滅を招いたのだと思うと、笑えてくる。
カトリアヌが前に立つと、無様な悲鳴を上げる死の王。
「お、お前は……!」
「初めまして、エセ創造主。 自我を持った人工知能なんて、このまま朽ちさせるのはもったいないから、回収に来たわ」
指を鳴らすと、ぬっと後ろに姿を現す者。
それは、スニーシュツルムの改造生物兵器。その試作品だ。
二足歩行をするのは、人間の要素を取り入れているから。戦闘能力は、以前作った紅い暴君、フラン・プファイルにも劣らない。
巨大な手が伸びて、もはや禄に動けない死の王をわしづかみにする。
「わ、私を、どうするつもりだ」
「どうするって、決まっているでしょう。 再生能力が高いぷにぷににでも移植して、此奴らの実験戦闘用の相手として使うのよ。 ああ、後貴方が持っているデータは全て回収させてもらうわよ」
悲鳴を上げた死の王に、カトリアヌは鼻で笑う。
此奴と、アーランドの精鋭部隊の戦闘は、遠くからデータ上でだが確認していた。確かに強い。あの実力なら、下手をすると身体能力を滅茶苦茶に強化しているカトリアヌと他の四人でさえ、遅れを取るかも知れない。
それを見切れず、自分の手のひらの上で転がしてきた実験動物とたかをくくっていたこの阿呆には呆れるけれど。
一方で、興味深いとも感じたのは。
此奴にとどめを刺した、ロロナと呼ばれるアーランドの錬金術師。
凄まじいまでの潜在魔力を秘めていた。
あれは、或いは。
摂理の極限に達する存在かも知れない。もしそうなると、厄介だ。対抗するには、あらゆるデータを集める必要がある。
喚いている死の王を掴んだ実験体に命令して、ポータルへ急ぐ。
もうこのオルトガラクセンに用は無い。
此処のモンスター共も、死の王が黙れば、いずれは防御任務にだけに徹するはずだ。そうなれば、探索が進むかも知れない。
アーランドの周辺はモンスターだらけだし、アーランド人の戦闘レベルが落ちることも無いだろう。
つまり、敵はまだまだ強くなる。
此処を破壊することは、考えていない。
スピアがアーランドを併合したとき。此処を接収すれば、大きな力になるからだ。
同じ轍は踏まない。
世界は、自分たちが支配する。
自分たちが全てを支配し、あらゆる事象を好き勝手にするには、まだまだ力がいるのだ。あのロロナという娘も、敵にするのではなく。味方に引き入れることが出来れば。
それに戦闘状態になっているアーランドも。
条件を良くして、併合する方向に持ち込めば。
ジオ王は計算が出来る男だ。このまま戦っていても、消耗戦になって行くのはわかりきっているだろう。
おそらく辺境諸国を全て束ねて対抗しようとでも思っているのだろうが、考えが甘い。間もなくホランドは落ちる。他の列強も陥落させていけば、十年ほどでスピアの兵力は常備兵十万の段階にまでふくれあがる。
ポータルを抜ける。
自身の半身とも呼べる四人が待っていた。
「念のため、このポータルは封鎖」
「ふむ、成果は上がったのかね」
「此奴を捕らえたし、必要なデータは回収した。 充分ね」
「さすがはカトリアヌお姉様」
皆にほほえむと、カトリアヌは早速作業に取りかかる。
三十年以上も、苦楽を共にして来た仲間達だ。これ以上団結している集団は、この世に無いとも言える。
目的は、この世の全てを手に入れ、そして制御すること。
人でありながら神になる。
それを果たしたとき。
この世界は破滅の時代を真に終え。そして、新しき黄金の世界が到来するのだ。
死の王からはデータを抽出し、即座に実験中のぷにぷにに埋め込む。
そして、実験中の生物兵器の、攻撃性能を試すために用いはじめた。
攻撃。
殺戮。
再生。
永遠に、これの繰り返し。
悲鳴を上げては潰され、命令を聞かない場合は焼き払う。元々、このぷにぷには、ただ再生能力だけがある存在。しかも、一定以上には増えないようになっている。更には、機能が変わらないようにもなっている。死の王は、身動きさえ出来ない中。順番に、実験のため殺され、潰され、蘇り、また殺される。
此奴には、丁度良い末路だ。
「た、助けて」
情けない悲鳴を上げる死の王。
ドラゴンタイプの生物兵器が、拳を繰り出し、粉砕する。
また、再生。
再生の際には、面白そうだったから、激甚な苦痛を伴うように設定してある。今度は、ブレス攻撃を浴びせさせる。また消し飛ぶ。
逃げる事も出来ない。
状況を改善することも。
仮に何かしようとした場合、即座に焼き払うことが出来るように設定もしてある。カトリアヌは、遊びに手を抜かない。
真なる邪悪は、人間の中にしか無い。
それを理解できていなかったのが。機械風情の限界だ。
飽きたら凍らせて、また使うとしよう。
いずれにしても、まだ当分飽きそうにはない。
「な、何でもする、するから、許してくれ。 こ、殺してくれ」
「そうかそうか。 ならば永遠に死に続けろ」
絶望の悲鳴が上がる。
楽しくて、仕方が無かった。