暗黒錬金術師伝説3 暗黒!ロロナのアトリエ   作:dwwyakata@2024

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アトリエシリーズでは自動兵器系の道具が時々登場します。

ロロナのアトリエに登場する大砲もそうですが、黄昏シリーズには空間を転移しながらホーミング攻撃する爆弾なんてものまであります。

とりあえず今回ロロナが作るのは。

アーランドでも実用的な大砲です。





1、来るべき日

徹夜の連続で疲弊していたロロナは、その課題を見せられて、何度か目を擦った。

 

そして、ついに来てしまったかと、ため息を何度も零したのだった。

 

大砲の作成。

 

それも、既存の大砲の、大幅改良が目的だ。

 

ついに来た。

 

勿論、これが抑止力としての兵器だと言うことは分かっている。アーランド戦士の中には、大砲の弾くらい避ける者は珍しくない。モンスターの中にも、それくらいはする者がいる。

 

他の国の人達を、牽制するための兵器。

 

今のアーランドの大砲では力不足だから、実戦に使える物を作れ。それが、今回の課題の意図だ。

 

しばらく、言葉が出なかった。

 

元々ロロナだって、他人を殺傷できる武器類は作ってきている。最近採取で必ず持ち込む小型の発破などは、大量虐殺にもってこいの武器だ。モンスターを殺せるのだし、人間だって同じように出来る。

 

アーランド人で無ければ、もっと効率よく殺せる。

 

それが、事実だ。

 

ロロナだって、アーランド人なのだ。

 

戦士として立脚してきた一族。教えも受けている。だから、殺す事は出来る。出来るけれど。

 

しかし、大砲か。

 

頭を振って、雑念を追い払う。

 

ロロナだって、戦う覚悟は出来ている。多くのモンスターを殺してきたし、いざとなったら、人間だって。

 

それなのに、気が進まないのは、どうしてなのだろう。

 

資料を、引っ張り出す。

 

知っている。歴代の錬金術師は、火薬について散々研究してきた。その中には、大砲もある。

 

大砲の研究が進んでいないのは、人間の方が強いから、だけれど。

 

たとえば、飛距離を伸ばす。

 

火力を上げる。

 

そういった研究自体は、存在している。

 

クーデリアはしばらくその様子を見ていた。ロロナが手助けを求めない限り、介入はしないつもりなのだろう。

 

「ねえ、くーちゃん」

 

「どうしたの」

 

「戦争が、起きるのかな」

 

「戦争を起こさないためよ」

 

それは、そうなのだけれど。

 

正直な話、アーランドにおいて大砲という存在は、もう兵器としては考えられていないように思うのだ。

 

たまに祝祭などで撃たれるけれど、それくらい。

 

現在使われている大砲について、見つかった。それによると、現在の大砲は、飛距離がだいたい千歩ほど。

 

なるほど、それならば、一応それなりに飛ぶ。

 

ロロナの母であるロアナが使う魔術の中で、遠距離攻撃系のものは、確か五千歩四方程度まで届くと聞いているけれど。これは熟練者が使っても、当てるのが難しい。大砲も多分それは同じ。

 

駆け出しの魔術師になると、多分そんな遠距離には飛ばせないし。何よりも、当てるのが無理だろう。

 

少なくとも、射程距離だけは、駆け出しの魔術師に勝っている。

 

ただし威力と速度が問題だ。

 

どちらも、そこそこの腕の戦士なら、どうにでも出来る程度の代物。強い戦士になってくると、至近距離で発砲しても、真っ二つに弾を切り裂くという。

 

「大砲をはじめとして、銃火器はもうこの世界では実用性が無いって聞いていたけれど、スペックに起こしてみると、それも頷けるわね」

 

「くーちゃんがやってるような方法は無理かな」

 

「要するに弾に魔術を乗せるって事? 難しいと思うわよ」

 

クーデリアが使っているのは、かなり特殊な術で、個人の素養に影響するところが大きいのだとか。

 

確かに、銃火器を使う人が殆どいない事からも、それは明らかだ。

 

剣に魔力を纏わせて、燃やしたりびりびりさせたりする方が強い。ステルクを見ていても、よく分かる。

 

結局、調べはじめてみると。

 

ロロナも、研究することで、何かを作り出す事が楽しいのだと、自覚してしまう。

 

「改良するとしたら、まずは飛距離だね」

 

一通り読み終わった後、そう結論する。

 

確かに他の国の人が相手なら。大砲は、威力も速度も、それなりにあるのだ。問題は飛距離だ。

 

まず飛距離。

 

次に正確性。

 

最後に破壊力。

 

それらについて、順番に調べていく。そうすると、だんだんと、大砲について分かってきた。

 

まず砲身。昔は非常に脆くて、二発も撃つと壊れてしまった。そして今でも、古代の技術を応用してどうにか強度を上げている、という状態で。頑強だとはとても言いがたいのだとか。

 

撃てて、五発。

 

このもろさが、最大のネックだ。

 

たとえば射程距離を伸ばすには、火薬の量を増やすことだろうという事くらいは、大砲がどうやって弾を飛ばしているかを見れば、一発で分かる。しかし砲身がこのもろさでは、火薬を増やせば爆発してしまう。

 

ただでさえ役に立たないのに、爆発までするようでは、話にならない。

 

それでは、味方には危険で、敵には脅威にさえならないという、問題外兵器となってしまう。

 

更に正確性だけれど。

 

現在、弾は丸形のものから、先をとがらせた筒状に変わっている。これは古代の技術で復元した大砲で、そういう形状の弾を使っていたから、らしい。原理については、よく分からないけれど。

 

確かにこの方が飛ぶそうだ。

 

ただしこれについては、文字通りの未解明技術。何故この方が飛ぶのかはよく分からない。調べて見れば、正確性を上げる方法は、色々と見つかりそうである。ただし、弾の加工については、工場に頼まないと無理だろう。それだけ、難しい技術が、使われているようなのだ。

 

破壊力に関しても、これに準ずる。

 

現在の大砲の弾は、中に爆薬を詰めていて、敵の近くで炸裂するようになっているようなのだけれど。

 

それでも、決定打にならない。

 

詰め込める爆薬が、少なすぎるからだ。大砲のサイズからしても、非常に少量。ロロナが使っている小型の発破に比べても、著しく少ない。

 

そもそも、現在の大砲は、ロロナでも携帯できる程度のサイズだ。この場合、弾の大きさも限られている。

 

今の人間は。

 

これに詰め込める程度の爆薬では、死なない。

 

解決策は、今の時点では、思いつかなかった。

 

 

 

クーデリアと一緒に、大砲についての研究資料をまとめていく。

 

問題が一つや二つなら、まだ解決の余地はある。

 

しかし、である。

 

大砲という兵器が、どれだけの問題を抱えているのか。調べれば調べるほど、分からなくなってくる。

 

しかし、今回課題に出ているという事は、王宮では大砲に大きなポテンシャルがあると考えている、という事だ。

 

ロロナに抗議する権利は無い。

 

アトリエを守るためにも。クーデリアの社会的地位を少しでも改善するためにも。頑張らなければならないのだ。

 

弾について、解析している本があった。

 

調べて見ると、弾を縦に割った図が載せられている。なるほど、非常に複雑で、ロロナが自作できるようなものではない。

 

大砲の構造についても、載せられていた。

 

現在、大砲は車輪を付けた筒状のものが主流となっている。車輪がついているのは、反動を殺すのにも、移動するのにも、便利だからだ。

 

この研究はかなりの力作で、火薬がどのようにして弾を飛ばすのか、爆風の流れなども図つきで説明されていた。

 

これはかなり助かる。

 

ただし、この研究にかなり力を割いた錬金術師は、こう締めくくっている。

 

大砲は旧時代の兵器。

 

旧時代の兵器の中でも、時代遅れとされていた存在だと。

 

何でも、旧時代には。それこそ、大砲など問題にもならないほど長距離を飛んで敵を襲う武器や、もっと小さくて威力も凄いものもあった可能性が高い、という。

 

その証拠に、旧時代の人類は、大砲を重視していない。

 

しかしながら、旧時代を代表する、それら超兵器は、発掘さえされていない。或いは発掘されているのかも知れないけれど、技術が凄まじすぎて、解明にまで到っていない。結局の所、まず大砲を解明するしか無い。

 

この資料は、重要だ。

 

現在ある大砲を改良するには、必須の存在になる。

 

かといって、他の資料はいらないかというと。それはノーだ。

 

そもそも、現状の大砲が使い物にならないから、こんな課題が来ているのだ。

 

アーランドは戦士の国。

 

である以上、戦術についても、戦略についても、他国より研究にずっと大きな力を割いている。

 

勿論現在は、最強の存在であるアーランド戦士をどう生かすか、が主流だが。

 

もしも大砲などを著しく強化することが出来れば。労働者階級の中から技術者を募って、戦力化することが可能になるかも知れない。

 

それは、アーランドの貧弱な人口と国力を補うための、大きな一歩になる。

 

その程度の事は、ロロナにだって分かる事だ。

 

クーデリアが、良さそうな資料を見つけてくれた。大砲の弾が、どのように飛ぶのか解析している。

 

やはりというか何というか。

 

大砲の弾は、まっすぐではなくて、放物線を描いて飛んでいる。

 

最初の内はまっすぐ飛んでいるのだけれど。放物線は徐々にはっきりしていって、やがて確実に落ちていく。

 

敵と接触すると爆発するようだから。別にまっすぐ飛んで、突き刺さる必要は無いのだろうけれど。

 

これを解析するのは、魔術師に協力を頼んで、色々準備もして。目の良い戦士にも、助力を仰いだかも知れない。

 

どちらにしても、頭が下がる労作だ。

 

勿論、これも重要資料として、ストックしておく。

 

研究が一段落したところで、クーデリアにパイを出す。

 

少し珍しいドライフルーツが手に入ったので、それをふんだんに使ったパイだ。ドライフルーツの味を引き出すのに、中和剤を用いている。全体的にクリームの甘みを生かした、おやつとして最適のパイだ。

 

ホムにもあげるけれど。

 

どうも最近、ホムの好みが分かってきた。

 

「ホムちゃんは、やっぱりお肉の入ったパイがいい?」

 

「此方も美味しいのですが、どちらかといえば」

 

「我が儘者」

 

「いいよ、くーちゃん。 みんな、好き嫌いがあるのは、当然なんだから」

 

パイを食べて、研究を一段落したところで、一旦休憩に入る。

 

課題達成で、かなりのお金を援助してもらったので、どうにか一息付けたけれど。今回も、出来るだけ早めに終わらせたい。それには、事前の念入りな調査と、研究が不可欠なのだ。

 

それには、時間を無駄遣いしている余裕は無い。

 

食後は、クーデリアにも手伝ってもらって、黙々と調査を続ける。

 

自分の事ながら、以前とは比べものにならないほど、集中力が上がっていることに、今更ながら気付かされた。








過酷な毎日で確実に成長しているロロナ。

それはクーデリアと同じ事です。

二人の人生は過酷すぎるものですが、それに負けじと体も心も成長しているのです。

それがジオ王の思うつぼでなければどれほど良かった事でしょうか。







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