暗黒錬金術師伝説3 暗黒!ロロナのアトリエ   作:dwwyakata@2024

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原作だと酔っ払って本音が出たりするメリオダス大臣。

まあロロナに対する強権発動はちょっと擁護しづらいですが、それでもただの悪人ではない辺り、アトリエシリーズらしい采配ですね。最近ではどうしようもないゲス外道も普通にいるケースがありますが。

本作のメリオダス大臣は、悪人のふりをするだけの人です。それが必要だからやっているだけ。

普通に苦労人なのです。






2、大臣の苦悩

プロジェクトの会議は、淡々と終わった。クーデリアは無言で、自分の肩を揉んでいた。

 

現在は、ロロナが全く問題なく課題をこなせているため、会議でわざわざ話し合う事が無いのだ。むしろスピア連邦にどう対処するかに、今は会議の比重が移りはじめている。ロロナには言っていないけれど。

 

場合によっては、スピアの首都を、火の海にするかも知れない。

 

その場合は、万を超す死者が出るだろう。

 

だが、そうでもしないと、今のスピアは止められない。それほど世界そのものにとって危険な存在になりつつあるのだ。

 

クーデリアはフォイエルバッハ卿とは口も聞かない。視線も合わせない。

 

同じように、タントリスことトリスタンとメリオダスも、最近は目だって間が冷え切っていた。

 

話によると、タントリスはスピアへの攻撃計画について、参加を希望しているのだという。

 

今回の作戦は、王を一として、アーランドの重鎮があらかた出るほどの大規模なものだ。当然スピアも総力で反撃してくるだろう。彼らが作っている生物兵器の性能は、クーデリアも嫌と言うほど知っている。

 

命の保証など無い。

 

罪滅ぼしを望むというタントリスと、可能な限り平穏に暮らしたいと考えているらしいメリオダスでは、意見に対立が生じて当然かも知れない。

 

いずれにしても、クーデリアには関係無い。

 

というよりも、だ。

 

思春期の一番大事な時期に、父と激しい確執があったクーデリアには。父と子の関係というのが、よく分からないのだ。

 

クーデリアにとって、父は対立している相手であり、最終的に叩き潰す敵でもある。会話するどころか、同じ空気を吸うのでさえ嫌だ。

 

タントリスは、父と意見を対立させてはいるが、喋るときは冷静に応じているし、会話だって理性的に行っている。クーデリアと父に比べれば、全然マシだ。

 

とりあえず、クーデリアには関係無い。

 

今のところ、ロロナに直接危険があるような議題は上がっていない。それだけがクーデリアの興味の対象だから、どうでも良いと言ってしまっても構わなかった。

 

地下を出て、地上に。

 

会議はすぐに終わったけれど、既に時刻は夕方だ。中には、酒を飲みに行く者もいる様子である。

 

メリオダス大臣がその一人だったのは驚いた。

 

クーデリアはまだ酒を出しては貰えない年なので、ロロナのアトリエに向かう事にする。どんどん鋭くなっているから、或いはクーデリアが会議に出ていたことも気付くかも知れないけれど。

 

もう、それさえ、どうでも良かった。

 

「クーデリア君」

 

振り向くと、ステルクだ。

 

聞くまでも無く、用件を言ってくる。雷鳴が呼んでいるという。

 

何故、わざわざステルクがそのような事をいうのか。理由は推察できる。恐らくは、今回のスピア首都攻撃作戦に、クーデリアを加える可能性があるのだろう。だから、今は少しでも鍛えておく必要がある、と。

 

別に驚きはしない。

 

以前から、その可能性については、あり得ると思っていたからだ。

 

言われるまま、雷鳴の所に向かう。

 

実は少し前に、会議で明確に言われたのだけれど。クーデリアは、今後この国の公務員に据えるという。

 

ポストを提示されたと言うわけだ。

 

おそらく所属は騎士団になる。

 

騎士団は近々解体されるという噂もあるけれど、その後継組織は残る。軍となるのか、或いは別の名前になるのかはわからないけれど。とにかく、この国にとって重要なポストを任されるのは確定だ。

 

ロロナのためにも、今は余計な波風を立てるわけにはいかない。

 

雷鳴の所に出向いたときには、既に日が地平に沈もうとしていた。

 

 

 

ひとしきり、雷鳴の所で修行する。

 

最近は、基礎訓練だけではなく、様々なスキルや戦いでの心得も、直接教えてもらうようになった。

 

雷鳴は、自分の後継者を作ろうとしているのかも知れない。

 

勿論、雷鳴も引退時に、己のスキルを文書化して、王宮の図書館に残している。それにも目は通したけれど。

 

記憶力に自信があるクーデリアがこういうのは変かも知れないが。直接教わると、やはり違うものがあるのだ。

 

雷鳴には子孫もいるはずなのだけれど。彼らに技は伝えなかったのだろうか。

 

聞いてみようかと思ったが、最近の修練はかなり激しくて、そんな余裕は無かった。組み手にしても、死ぬ気で掛かってこいと言わんばかりの気迫で、向かってくるのである。余計な事を喋る余裕は無い。下手をすれば、舌を噛む。

 

何度もたたきのめされて。

 

地面に這いつくばっては立ち上がる。

 

その度に、今は何が悪かったのかを、懇切丁寧に説明された。

 

元々クーデリアは記憶力が良い。だからそれらを全て覚えるのは、難しい作業では無い。

 

一方で、戦闘の才能そのものはあまりない。

 

だからわかっていても、一発で出来るとは限らない。

 

それでも雷鳴は、丁寧に教え込んでくれた。

 

すっかり日が暮れた頃に、今日の修行を終える。帰りにロロナのアトリエに寄ろうと思ったのは、銭湯へ行くつもりだからだ。

 

今ではフォイエルバッハの風呂も使えるようになったのだけれど。

 

やっぱり、風呂でロロナと一緒に過ごすと、だいぶ気分もいい。

 

雷鳴の老妻は、お土産と言って、小さなケーキを焼いてくれた。この人もいっぱしの戦士だったはずなのだけれど。今では雷鳴とクーデリアの訓練を見守る、優しいおばあさんとなっている。

 

若い頃は獰猛さで怖れられた戦士だったと言うから、人は変わるものだと驚かされる。

 

「また来ます」

 

「うむ。 出来るだけ早く来なさい」

 

訓練の時の容赦なさと裏腹に、雷鳴はとても優しい声で、そう言ってくれる。クーデリアが一番好きな老人は、この夫婦かも知れない。

 

一礼すると、雷鳴の屋敷を出る。

 

後は、ロロナのアトリエに寄るだけだ。

 

その途中、サンライズ食堂を通りかかったのだが。意外な人物が、其処で飲んだくれているのを見かけた。

 

メリオダス大臣である。

 

その時は、放っておくことにした。

 

メリオダスは戦士階級との軋轢を避ける事天才的と言われているけれど。それでストレスが溜まらないはずもない。

 

大人には色々あって当然だ。

 

変に深入りするのは、却って失礼に当たるだろう。

 

ただ、相当に落ち込んでいるようだった。

 

あれほど「出来る」人でも、落ち込むのか。それは、そうだろう。完全な人間などいない以上、当然のことだ。

 

ロロナのアトリエに到着。実験の正否を見せてもらう。どうやら、マリンナイザーは問題なく完成したようだった。

 

これで一安心である。

 

お土産のケーキを開く。

 

クリームを殆ど使っていない、少し大人向けの造りだ。丁度来ていたリオネラとロロナと、ホムと一緒に四人で食べる。丁度四つあったので、問題ない。

 

あまり美味しくは無いけれど。

 

安心できる味だ。

 

お茶を淹れてから、しばらく無言になる。

 

クーデリアも、こんな両親がいたら良かったのに。こういうとき、つくづくそう感じてしまう。

 

何故、クーデリアの父は、ああも薄情なのだろう。今でも、家では冷戦が続いていて、ろくに口もきかない。

 

エージェント達はクーデリアに味方はしてくれるけれど。フォイエルバッハ卿は名ばかりの貴族達とは違って、国政にも発言権を持つ大物だ。きっと内心では、ひやひやのし通しなのだろう。

 

それから、連れだって銭湯に行く。

 

ホムは全く成長しないのかと思ったのだけれど。ロロナの話では、少しずつ確実に背が伸びているという。

 

元々クーデリアより背が高かった上に、これ以上伸びるというのか。口惜しい事だ。

 

背中をロロナに流してもらいながら、聞いてみる。

 

或いは、ホムンクルスへの対抗心から、かも知れない。

 

「ねえ、ロロナ。 あたしってば、怪我減った?」

 

「うん! 受け身も上手になったんだよ、きっと。 背中も、前よりずっと綺麗だよ」

 

「そう……」

 

成長は、しているのか。

 

雷鳴が手加減してくれているとは思えない。

 

ステルクが太鼓判を押してくれている。クーデリアの実力は、充分にベテラン戦士達に並ぶものだと。

 

ロロナと一緒にアホみたいな格上のモンスターと死闘を続け。必死に鍛錬を続けた成果だ。

 

少しだけ、気が楽になった。

 

ちらりと隣を見る。ロロナが、今度はリオネラの背中を流していた。此方はと言うと、本職の暗殺者だった時代から随分時間が経っているからか、とても綺麗な背中である。

 

リオネラは相変わらずの美しいプロポーションだ。

 

最近は殆ど、以前の薄着での人形劇をしない。クーデリアがリオネラと一緒にいるところを見ていたおっさん達から、リオネラは人形劇をしないのかと、たまに聞かれる事がある。

 

本人次第だろうと応えるようにしているのだけれど。

 

今のリオネラは、憑き物が落ちたようなものだ。きっと、薄着を来て、小銭を稼ぐための人形劇をする事は無いだろう。

 

それに、最近では、アラーニャとホロホロを連れていないことさえある。

 

恐らくは、近いうちに、人格が統合すると見て良い。

 

体を綺麗に洗った後は、湯船でくつろぐ。

 

風呂に入ってきた人がいる。

 

エスティだ。

 

「あらこんばんわ。 貴方たち、仲良くお風呂?」

 

「こんばんわー」

 

ご機嫌の様子でロロナが言うので、クーデリアとリオネラも吊られて返事する。

 

それにしても、エスティは大変魅惑的な体つきだ。これで男が出来ないのだから、余程性格が悪いのだろう。

 

エスティと入れ替わるようにして、風呂を出る。

 

少し体を冷やしてから、帰ることにした。休息所で牛乳を呷ってから、少し椅子に座ってゆっくりする。他愛も無い事を少し喋って、それからアトリエに戻るべく、銭湯を出る。

 

つれだって、サンライズ食堂の前を通りかかったとき。トラブルが起きる。

 

店から出てきたメリオダスが、真っ赤になって壁に崩れ落ちるところに遭遇したのだ。余程痛飲したのだろう。

 

ロロナが、即座に介抱をはじめる。

 

「放っておきなさい。 巡回が見つけるわよ」

 

「でも、この人、大臣だよ」

 

知っていたのか。

 

ひょっとすると、王が顔合わせをさせたのかも知れない。もしそうだとすると、アーランドの柱石として、ロロナを据えるつもりなのか。

 

あり得ることだ。

 

リオネラが、すぐに回復の魔術をかけ始めた。傷を治すものではなくて、体調を整える、より繊細で難しい術だ。こんな技術も身につけたのか。本格的にリオネラが勉強をしているのだとわかって、少し焦燥さえ感じる。完全にろれつが回っていなかったメリオダスは、誰が自分を介抱しているのかもわからないようだった。

 

仕方が無いので、クーデリアも水を汲んでくる。

 

ロロナはアトリエにひとっ走りして、酔い止めの薬をとってきた。どうしてこんなものがあるかというと、単純に調合したのである。

 

時間がある時に、少しでもスキルを付けようと、ロロナはいろいろなものを作っている。その中の一つだ。

 

水をまず最初に飲ませて、次に酔い止めを。

 

真っ赤に血走った目を、メリオダスはロロナに向ける。

 

「なんだ、老人扱いするな。 わしは、この国の大臣なんだぞ。 まだ若い、若いんだ」

 

「大丈夫、これを飲んで」

 

「み、みんなわしを馬鹿にしおって! この程度の酒、わしにとっては、なんでもないわい!」

 

しかし、明らかにクーデリアから見ても、この状態は許容量を超えている。

 

メリオダスは凄まじい酒臭を、口から吐き散らしている。それに、喋っていることも、支離滅裂。

 

アーランドの中でも、殆どいない労働者階級の高官が、このような姿をさらしていると知れば、多くの民は嘆くだろう。

 

頭を掻きながら、サンライズ食堂から、イクセルが出てきた。流石に、騒ぎを聞きつけたのだろう。

 

「イクセくん、どうしてこんなに飲ませたの!?」

 

「そんなこと言われてもなあ」

 

「うるさい! 放せ! わしは、家に帰る!」

 

立ち上がろうとしたメリオダスが、顔面から地面に倒れそうになったので、慌ててリオネラが支えた。

 

メリオダスはぶつぶつと、何か恨み言を言っている。

 

内容は、逐一聞こえてしまう。

 

息子達が、跡を継いでくれない。

 

みんな言うことを聞いてくれない。

 

元々メリオダスは、この様子では、スピアとの会戦には反対だったのだろう。クーデリアだって、国力が何倍か知れない上に、強力な錬金術師を五人も抱えているスピアと戦うのは不安だ。

 

だが、今なら勝てる可能性が高い。

 

スピアを好き勝手させれば、この大陸どころか、人類が致命打を受ける可能性が大きい以上、やるしか無いのだ。

 

確かにスピアのやり方なら、ある程度豊かな生活を享受できるかも知れない。モンスターに襲われる怖れも無くなり、民は平穏に生きられる。しかし、その先に待っているのは、資源を完全に使い果たした荒廃だけだ。

 

今、荒野が世界中に広がっている状況で、これ以上自分たちだけ贅沢をするなんて、考えられない。

 

「ほら、此処に寝てください」

 

「年寄り扱いするなと、いっているだろう! そもそもわしは」

 

「大臣ですよね。 メリオダスさん」

 

ロロナが耳元でささやくと、一瞬だけメリオダスは正気になったようだった。

 

嘆息すると、クーデリアは、無言でその場を離れた。

 

ある単語が、聞こえたからである。

 

 

 

タントリスがどこにいるかは知っている。

 

あの男は、色宿を転々とし、ガールフレンドをとっかえひっかえしながら、毎日を過ごしている。

 

それだけモテると言う事だ。

 

ただし、その分金遣いが激しくて、すかんぴんも同様だという。諜報員としての給金も、殆ど女遊びに使ってしまっているそうだった。

 

問題にならない理由は二つ。

 

一つは、アーランド人以外の恋人を作らないこと。

 

これは諜報員になった時に申請されていて、もし破ると文字通り首が飛ぶという。当然、ハニートラップを避けるための工夫だ。

 

もう一つは、居場所をしっかり諜報部隊に申請していること。

 

これも、ハニートラップを防ぐための工夫である。

 

色宿にクーデリアが足を運ぶと、店長が不思議そうな目で見た。小さな宿であり、壁は隙間だらけ。一階建ての木造はくたびれていて、隙間から漏れたあえぎが、此処まで聞こえてきている。

 

部屋はどこも、夜の営みの真っ最中というわけだ。

 

タントリスは、一番奥の部屋だと、店主は言う。廊下まで安っぽくて、歩いていると木の床を踏んで、いちいちぎしぎし音が鳴った。

 

戸をノックすると、半裸のタントリスが出てくる。奥のベッドには事を終えて、満足そうな女性戦士が、全裸のままいる。

 

確か最近ようやくベテラン入りした戦士だ。クーデリアとも、何度か顔を合わせたことがあった。

 

性交の後だからか、タントリスの声は、いつもより艶があるように思えた。

 

「おや、どうしたんだい、クーデリア君。 僕の所に来てくれるなんて、光栄だというべきなのだろうけれど。 君ではまだ艶事には早いように思えるな」

 

「あいにくだけど、これでももう成人扱いされる年になってるわよ。 ……あんたの親父さんが、路上で酔いつぶれているのよ。 対応は任せるわ」

 

面倒だと思いながらも、更に付け加える。

 

「あたしだって、こんな所に来たくないわよ。 てか、あんたに抱かれるくらいだったら、ドラゴンに踏みつぶされた方がマシね」

 

「まあ、君はロロナくんにしか興味が無いようだし、それもそうか」

 

残念だが、それもノーだ。

 

ロロナは誰よりも大事な存在だ。あの子のためなら死んでも良いと、クーデリアは本気で思っている。

 

しかし、ロロナ本人に性的な興奮を覚えた事は一度も無い。抱きたいとも抱かれたいとも思わない。

 

クーデリアは男性にも女性にも、そもそも性的な魅力というのを殆ど感じない。ロロナでさえ時々格好いい男の人がどうこう、という話をするのに。まるでそういった事に、興味が湧かないのだ。

 

体が未成熟なまま止まってしまっているのが原因の一つだろう。正直、今後結婚したり、子供を産んだりすることは、半ば諦めてもいる。

 

これも、一度死んで、無理矢理蘇生させられたことの弊害の一つ。

 

口に出さなくても、それはわかりきっていた。

 

女性戦士とタントリスがなにやら話している。濃厚なキスをした後、部屋を出てきた。

 

「意外ね。 あんな親父知るかって言うかと思ったのだけれど」

 

「あの人は、寂しい人なんだよ。 僕も外で色々と活動して、人の業に触れてきて、ようやくそれがわかってきたのさ」

 

「あんたの下半身も、その業かしら」

 

「それは否定しないよ。 何しろ外では、女性断ちをしているも同じでね」

 

ただ、そろそろかも知れないと、タントリスは言う。

 

アーランドでは、身を固めてからの浮気は好ましい事とはされない。戦士としての業績を上げれば複数の配偶者を持つ事が許される国ではあるが、それ以外の異性との関係は戦士として最大の恥とされる。

 

現地に着く。

 

まだ、ロロナとリオネラが、酔いつぶれた大臣の手当をしていた。サンライズ食堂の前で酔っ払いが騒ぐのは珍しくもないし、通行人は気にもしていない。

 

そのまま、クーデリアは距離を置いた。

 

タントリスは、酔いつぶれてしまっている父に歩み寄ると、抱え上げる。そして、器用に背負って見せた。

 

ロロナは、タントリスがどうして来たのか。すぐに悟ったようだった。

 

「すまないね、父が迷惑を掛けた」

 

「タントリスさん……」

 

「僕が父の泥酔の原因を作ったも同然だ。 それに、散々迷惑を掛けた君に、これ以上迷惑を掛けようとは思わない。 父は、僕が連れて行くよ」

 

無言のまま、タントリスが行く。

 

呼びに来てくれて有り難うと、隣を通るときに、クーデリアに言い残していった。

 

歩みからして、相当にメリオダスは軽くなっていたらしい。

 

いつのまにか、隣にロロナが来ていた。

 

「有り難う、くーちゃん」

 

「別に、どうって事も無いわよ」

 

リオネラが、はいこれと、手渡してくれる。

 

どうやらタントリスが置いていったらしい。恐らくは、あの恋人の一人にでももらった、お菓子か何かだろう。

 

ひょっとしてあの男。

 

性的な話以外では、女性との接し方が、案外下手なのでは無いのか。

 

顔を見合わせて、苦笑する。

 

少しだけ、タントリスのことが、分かったような気がした。

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