ここだけレグルスに弟がいて、幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線   作:ねえ、おなまえは?

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10話 ごめんなさい、より、ありがとうを

 

 

なぁんだ、国って案外あっけなく落ちるんだな、と瓦礫を避けて歩きながら思った。

 

 

兄さんとお姉さまに挟まれて、片手ずつ手を繋がれて歩いていく。

あれ、ボクの位置これであってる?

 

2人とも、ボクのことまだ子供だと思っていない?

 

まぁ、実際ヨグちゃんに精神をごちゃ混ぜに弄られていることを除いても、色んなことに興味があって、危なっかしいし、前世でもよくぼんやり、というかぽやぽやしてると言われてきたし子供っぽいのは否定できないなぁ。

 

 

 

 

兄さんとお姉さまには色々聴きたいことがあったけど、とりあえず落ち着いて過ごせる場所を見つけるまで静かに、おとなしく2人に着いていった。

 

 

 

少し離れた場所にあった家を、当面の間使うことになった。ほとんどそのまま放置された家だった。

 

冷め切ったお茶がテーブルの上に置いてあって、きっと内戦でも起きたと思って逃げ出して、それで多分、巻き込まれて死んじゃったんだろうなぁと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、何から聴こうか、話そうか。

 

 

 

 

「さぁ、ゆっくりお話ししましょう?」

お姉さまが優しく微笑みながら気を遣って言ってくれた。

 

 

 

ボクは、ボクに起きたことを簡潔に伝えた。

 

奴隷商に売り飛ばされたこととか、村に戻ったら村がすごい有様だったから、兄さんとお姉さまを探して村々を、町を周って、それで2人に会えたんだよ、とか。

 

 

 

 

 

 

頭の中ではいつも色々考えて喋っていたんだけど、声を出すのが久しぶり、というかほぼ初めてに近いから、休み休み、ゆっくり話をした。

2人はそれをじっと待って聴いてくれた。優しいなぁ。

 

 

 

 

 

 

じゃあ、次はボクが質問する番だね。

 

 

「あのね、色々、聴きたいんだけれど、まず兄さんと、お姉さまは結婚したの?さっき、ほら、兄さん、お姉さまのこと、妻って言っていたでしょう?」

 

 

 

あぁ、クソみたいな母親のせいで売り飛ばされていたから、お前は知らなくて当然かと言いながら兄さんはそうだ、と、教えてくれた。

 

 

 

お姉さまもレグルスとあなたと家族になれて、本当にうれしいのよ、とくすりと笑いながら言ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……じゃあ、じゃあさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクみたいな"忌み子"の居る家族との結婚なんて、きっと、とっても、とっても、反対されちゃったと思う。2人の幸せな生活を始めるのに、ボクはすごく、邪魔だったと思う。ごめんなさい」

 

 

 

 

悲しみの感情は殆どヨグちゃんが持っていっちゃったから、涙は出なかったけれど、それでも申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うつむくボクの頭に兄さんの怒った様な、呆れた様な声があびせられる。

 

 

 

 

 

「お前ねぇ、はぁ……。あのさぁ。まず、勝手に自分のことをその"忌み子"とかいうクソみたいな呼び方で、あの馬鹿な村人共がするのと同じ呼び方で、自分の価値を下げる様な自分勝手な自傷行為をしないでもらえるかなぁ。ソレ、さっきも言っていたよね?あの馬鹿共を思い出して気分が悪くなったよ、そんなことを言われる家族の、兄の気持ちも彼女の気持ちも考えられないのかなぁ?これは気分良く弟と再会できた僕たちの気持ちを踏み躙る悪逆非道な行為だ、僕たちの想いをこれっぽっちも考えていないひどい言葉だ。お前は自分を卑下する気持ちが強くあるのは分かった。でもそのせいで間接的に僕たちも気分が悪くなるから次から絶対に使うな、お前はその言葉を使うべきでないという義務があるし、僕たちはその言葉を聴かないで穏やかに過ごす権利がある。だから、絶対やめろ。分かった?そう。分かったならいい。それで?結婚を反対されたかって?あぁ、反対されたさ。だから殺した。愚図でクズでどうしようもなくて救いようもない様な他の奴らも、お前や僕を見下して、あまつさえ無視して、存在しないかの様に振る舞っていたクソみたいな家族もみんな僕が殺してやった。完璧で、完全で、揺るぎない存在となった僕に殺してもらえるのに、醜く命乞いしたり、ギャーギャー騒ぐ奴らばかりで聞くに耐えなかったよ。最期の時くらい感謝してほしいものだよ、まったく。彼女もそれに賛成してくれてね、お前を思って、彼女は、自分の家族に、そんなことばかりずっと言って恥ずかしくないのか、あの子は優しくて普通の子なんだって、怒ってくれたんだ。そしたら、何て言ったと思う?忌み子とその家族に関わったから頭がおかしくなったんだ、だよ!馬鹿らしい、頭の出来が違いすぎて話にならないよね、まったく。彼女もそれで深く傷付いたんだ。お前と3人で過ごした時間はそれだけ僕たちにとって、特別で、かけがえのないものだったんだ、それを土足でズカズカ入り込んできて、めちゃくちゃに壊そうとするなんて万死に値する行為だ。およそ人の心を持っているとは思い難いね。僕たちへの権利の侵害だ。いくら僕が平和主義者だからと言って、はい、そうですかって見過ごせる様な状況じゃなかった。だから殺したんだ。彼女も見守ってくれる中、あいつら最期まで"忌み子"が"忌み子"がってうるさく騒いでいたから、そんなに喋りたいならと寛容な僕は気持ちを慮って、特別に口を切り裂いて殺してやったよ」

 

 

 

 

「あのね、弟くん、レグルスの言うとおりよ、どうか自分のことをもっと大切にしてあげてね。私たちもうんと優しくしてあげるから、ね。あなたにひどいことをずっと言い続けて、自分たちが正しい、正義だって主張してきた村の人たちや、私の家族は間違えていたの。話せば分かりあえると思っていた私が馬鹿だった。どうしようもない人たちだったの。存在する価値すらないと思ってしまうくらい、頭のおかしい人たちの集まりだったの。だから、こうなったのはごくごく自然なことなのよ、あなたが気にする様なことじゃないわ、どうか悲しまないで。あなたに辛い想いをさせて、魔法が上手だからって美味しいところだけ自分たちに都合よく利用して、そんなのってあんまりだわ。非人道的な行いだから、私も怒ったし、赦せなかった。レグルスはもっと怒ってくれたの。これでよかったのよ。これが1番いい結果だったのよ。もう誰からも酷いことをされたり、言われたりする必要はないわ。3人で暮らしましょう。3人で過ごした、あの時のように、穏やかにね」

 

 

 

 

 

兄さんとお姉さまは、ボクのことを思って、ボクを叱ってくれた。

 

 

 

村の人たちからボクのことを優しく庇ってくれた。

 

 

 

ボクの代わりに怒ってくれた。

 

 

 

それだけで、救われた気がした。

 

 

 

 

あ、と思う間もなくポロリと涙が出てきて、それを優しい手つきでお姉さまが拭いてくれた。

 

ヨグちゃん、色々"識れて"機嫌がよかったのかな、ちょっとだけ"悲しい"を、返してくれたんだね。

 

この気持ちも、感覚も大切に記憶しておこう。

 

 

 

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