ここだけレグルスに弟がいて、幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線   作:ねえ、おなまえは?

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短編 名前の話

 

そういやさ、とスバルくんがボクを見て切り出す。

 

どうしたの、スバルくん?と聴き返すと、それ、と言われて、ん〜?どれぇ?と考える。

くん、だよ、くん!スバルくんって何だかむず痒いんだよな、もう仲間、なんだから呼び捨てで良いよと背中をバシッと叩かれて、よろりとたたらを踏んで、レグルスがスバルくんに文句を言っている。

 

エミリアさんも、私の事はエミリア、ただのエミリアで良いのよ、と笑われて、そう、かぁと思って、分かったよ〜スバルくん、エミリアさん!とにぱ〜っと言うと、あ!ほら、さんは無し!くん、禁止!とぺしぺし叩かれて、つい、と苦笑する。

 

 

レグルスはさぁ、普段、兄さんって呼ばれているから、名前呼び羨ましいだろ〜?ほらほら、羨ましいって言っちゃいなよ、レグルスにはその権利があるよ〜?とスバルが揶揄うとレグルスは、そんな様子を見て、ハッと馬鹿にした様な、見下した様な笑みを浮かべて自信満々に宣言しだした。

 

 

君たちは可哀想にねぇ、所詮どこまで行っても"他人"だから"家族"の僕とは待遇がまぁ根本から違って当然だ。

僕はレグルスって呼んでもらった事だって数え切れないほどあるし、なんならレグルス兄さんって、そう、"兄さん"ってずっと、産まれてからずっと呼ばれているんだ、家族だから。

これは家族の特権なんだ、ふふん、君たちとは弟からすれば僕は格も違えば、大切さも段違いなんだ、これは僕にだけ与えられた権利なんだ、と得意げに胸を張って話す。

 

 

 

いや、家族にくん、とか、さんとか付けている方がおかしいだろ、ってか"兄さん"も同じ様なものじゃねぇかと冷静に返すスバル…慣れないなぁ、何だか、友達が出来たみたいで照れ臭いな、と思いながら、スバルに、まぁ、その通りだねぇ、と同意する。

 

 

レグルス兄さんは不貞腐れて、僕の背中に寄りかかってきて、そんな奴の言う事に同意する義務なんて無い、とか僕は特別だろう?と言ってくるから、勿論レグルス兄さんは特別だよ、当たり前じゃない、と返すと満足そうにそうだろう、そうに決まっていると機嫌を戻した様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば、とエミリア、がおずおずと口を開く。

 

弟さんは、なんていう名前なの?レグルスの弟さん、とか、花嫁さんたちも弟さまって呼んでいて、この機会だから教えて欲しいの、と言われて、ピタリとボクの動きは止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん、と…?

 

なまえ…ボクの、名前…?

 

 

考えた事も無かった。

そういえば両親からも兄弟からも、誰からも呼ばれた事が無いという事実に今更気付いた。

だってボクには兄さんが居て、レグルスの双子の弟、という肩書きだけで十分だったからだ。

 

 

きっと忌み子だから名前なんて付けたら呪われるとか、付ける価値すら無いとか思われていたんだろうねぇ、だからボクに名前は無いよぉ、ボクはそれで満足しているし、別に名前が無くたって生きていく上で何ら支障無いから、と、けろりと言うと、今度は周りの空気がピタリと静止した。

 

 

そして、一気に騒がしくなった。

 

みんな元気だねぇ、何てのんびり言っていたら、おま、それがどういう事か分かってないのか!?とスバルに肩を掴まれて真剣な顔をされた。

 

エミリアも名前が無いなんて、そんなのって悲しいわ、と心苦しそうに言うし、レグルス兄さんに至っては、僕とした事が、何で今までこんな簡単な事に気付けなかったんだ、あのクソ両親、子供に名前を付けるなんて必ずしなくてはならない重大な義務を果たしていないなんて、やっぱり殺して正解だった、いや、でもいくら大切に思っていたとしても僕も気付けなかった事は弟に対する非常に重篤な権利の…と頭を抱えている。

 

 

ふはっ、おもしろ〜い。

 

ねぇ、ヨグちゃん。

人は名前が無いだけでこんなに動揺するんだよと虚空に声を掛ける。

 

スバルたちにはめちゃくちゃ怒られた。

 

 

で、名前を考えてくれる事になった。わ〜い!

 

 

 

 

レグルスの双子だろ、うーん、とスバルが考え込んで、獅子座、獅子座なあ、双子だからそれも考慮したい、とぶつぶつ独り言を言って、ボクはそんなに考え込む必要無いよ〜と返すけど、名前はそんなに考えも無しに付けるもんじゃねえよ、と言われて、もしも同じ境遇の他の人に同じ事を言えるかと考えたら、確かに出来ないなぁ、と思って、ぐうの音も出なかった。

 

獅子座と言えば?レグルス…そうだ、獅子座流星群、そうじゃねぇか、有名どころだ、たしか獅子座流星群は…と何だか納得が言ったみたいで、え〜なになに?どうなったの〜?と興味津々に身を乗り出す。

 

 

レグルズってどうだ?レグルズ、コルニアス。

レグルスと似ているだろ?

 

流星群って星屑が沢山落ちる現象があるんだ、お前は流星群と繋がりがあるし、何よりレグルスの双子としてなかなかピッタリじゃないか?と聞かれて、なんだかストンとボクの中の欠けたピースがそろった気がして、すっごい気に入ったよ!!スバル!ボクの魔法と掛かっているのも、兄さんと似ているのも、全部気に入った、うわぁ、名前を付けてもらうってこんな感覚で、こんな感情が湧くんだねぇ、識れて良かったとはしゃいでいると、レグルスもお気に召した様で、間男…んんっ…スバル、君にしては中々良い名前を考えたじゃないか、と言ってくれた。

 

エミリアも、うん、仲良しな双子って感じだし、良い由来ね、と優しく笑いかけてくれて、えへへ、これからはレグルズって気軽に呼んで欲しいな、ありがとね、スバル!とスバルに抱きつく。

 

レグルスがわあわあ言っているけれど、まぁ、置いておいて、ボクの名前が決まった、そんなある日の出来事のお話。

 

 

 




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