試験を受けてから4月の入学式までの間は色んなことがあった。
まずは幼稚園の皆への挨拶。皆が、とくに防衛隊の皆が不安そうな顔をしたが休みの時は会えると聞いて安堵し、そのまま4月を迎えた。
そして、今日。IS学園の入学式があり。しんのすけは初めてクラスの生徒たちと顔を合わせるのだった。
「皆さん、入学おめでとう。私が1年4組の担任になったエドワース・フランシィよ。よろしくね」
「「「「「「「よろしくお願いしまーす」」」」」」」
「それじゃあさっそくなんだけど、皆に自己紹介をしてもらおうかしら」
そう先生が言うと、名前順に自己紹介が始まり、周りはあいうえお順で席についるのだがしんのすけは例外で真ん中の席の1番前の席でチャイルドシートが着いてちょうどいい高さになるようになっている。
「じゃあ、次、野原君ね」
「ほーい、オラ野原しんのすけ。5歳、ネギは嫌いだけど納豆にはネギ入れるタイプ。好きな物はチョコビとアクション仮面。みんなよろしくね!」
「元気があってよろしい」
特に緊張もしていなかった様子で自己紹介を済ませるしんのすけ。その姿にクラス一同は可愛いなと思いながらニコニコしていた。隣の席の1名を除いて。
一方その頃
バシィィン!!
「痛って!?」
「満足に自己紹介も出来んのかお前は」
1年1組ではしんのすけより前にISを動かした所謂1人目こと織斑一夏が自己紹介をしたのだが名前以外特に何も言わなかったせいで今まさにやって来た人に出席簿で殴られたところだ。
「げっ、関羽!?」
バシィィン!!
「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」
織斑一夏を殴ったのは実の姉である織斑千冬だった。今のは恐らく弟の情けない姿を見てつい手がでてしまったのだろう。
「織斑先生。会議おわったんですか?」
「あぁ、山田先生。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」
「いえ、副担任ですから。これくらいはしないと・・・・」
少し恥ずかしがりながら答える摩耶。
すると千冬は生徒たちに向き直り。
「諸君、私が織斑千冬だ。君達新人を1年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠15歳を16歳までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
と若干昭和の教師か軍隊の鬼教官の様な事を言った。が、普通こんな話を聞いてしまったら多少ざわつきが起こるはずなのだが、今教室を埋め尽くすのはざわめきでは無く────
『きゃぁぁぁぁ!!』
黄色い声援だった。
「千冬様、本物の千冬様よ!」
「ずっとファンでした!」
「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」
しかしそんな声援を千冬は鬱陶しそうな顔をしながら
「・・・・毎年毎年、良くもこれだけの馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か、私のクラスにだけ馬鹿者を集中させているのか?」
と、言う。がそれは悪手であったとこの時の一夏と千冬は気が付かなかった。
「きゃぁぁぁぁ!!お姉様!もっと叱って!罵って!」
「でも時には優しくして!」
「そしてつけあがらないように躾て〜!」
「・・・・・まだもう1人の方を相手にしてた方が楽だったかもな」ボソッ
千冬は周りに聞こえないくらい小さな声でそうつぶやくのだった。
1組で色々やっている頃。4組ではホームルームも終わり、授業が開始されていた。
そもそもしんのすけに高校生の、それもIS専門の授業に着いてこれるのかと思うだろう。が、しんのすけにはIS学園が用意した特別な絵本があり、滅茶苦茶簡単に分かるようにされている。それに加えて担任のもしんのすけに教えられるよう指導を受けている。
授業の流れは先ず他の生徒達に一通り説明し、それからしんのすけに絵本を使いながら色々噛み砕いて説明する。というものなのだがその噛み砕いたり別のもので例えたりするのはエドワース先生のセンス次第なのだ。
「しんのすけ君、ここはね。ISを使うにはこういうルールがあるって意味なの」
「どうゆこと?」
「つまりね、悪いことには使わない、どういうふうに使ったかを報告する、ISを扱える人を育てるためにこの学校を作りなさい。って言うのがこのルールなの」
「ほうほう、大変そうですな」
「そうね、そのせいで上から色々言われたり無茶ぶりされたりするのよ」(Ⅲ-ω-)ズーン
しんのすけはなんかとこかで見たことある光景だなぁなんて考えつつ授業は進んでいき休み時間となった。
終わった〜なんて考えているとふと廊下の方から視線を感じた。なんだと思いながら見てみると何故か廊下のガラス越しで沢山の女子生徒がこちらを覗き込んでいたのだ。
(((( ;`ω´)))(`ω´;((`ω´; )))ザワザワ
「おっ?どうしたんだろう」
「多分しんちゃんを見に来たんだと思うよ」
後ろの席から声をかけられた。彼女はしんのすけの次出席番号で名前は橘珠里という。
「オラを?なんで?」
「この学校、男の子がしんちゃんともう一人しか居ないでしょ?それが珍いしから皆気になって見に来ただよ」
「おぉ!オラモテモテ〜!」
「はは、そうだね〜手でも振ってみたら?」
「ほっほーい!」フリフリ
「あ、こっちに手降ってくれてる可愛い〜」
「よろしくね〜」
廊下にいる生徒達の黄色い声を聞いて気分良くしていた。
─── 一夏の方は
(き、気まずい・・・・)
しんのすけとは対照的に一夏はゲンナリしている。クラスの人間だけでも気まづかったのに他のクラスや学年からも見にこられまるで動物園のパンダにでもなったかのような気分であった。誰かこの状況をどうにかしてくれとねがっているとそこに救いの手が
「・・・・ちょっといいか」
目付きの鋭いポニーテールの女子が一夏に話かけてきたのだ。
彼女は篠ノ之箒、一夏の幼馴染で小学生の頃に一夏が通っていた道場の娘なのだ。しかし3年生の時に突然引越しがあってそれ以来会って居なかったので彼女とは6年振りに再開したのだ。
「箒?」
「廊下でいいか?」
教室では話しにくいのか廊下にでて少し離れた場所へ向かって行った。
話の内容は久しぶりに会えたので仲良く話をしたかった。と言う感じではなかったが多少話をすることが出来て箒も満更でもなかったようだ。
その後チャイムが鳴って次の授業が始まったのだが一夏は内容を全く把握出来ていないどころか入学前に渡された資料さえ目を通していなかった。と言うより捨ててしまっており千冬から「再発行するから1週間で覚えてこい」と無茶ぶりを言われ落胆する。
その授業が終わり、休み時間に入ると今度は金髪の縦ロール髪のクラスメイトが話しかけてきた。名前はセシリア・オルコット。イギリスの代表候補生なのだが、少し話をして見ると典型的な女尊男卑思想の持ち主で常に上から目線で一夏に色々言い、次の授業ではクラス代表(一夏はなる気はなかったが)の座をかけて決闘をすることになった。
ワタクシノデバンハ?!
(出番は)ナイデス
戻って4組
「そう言えば、クラス代表を決めていなかったわね」
エドワース先生が思い出したように言った。
「クラス大名?なにそれ」
「クラス代表よ、まあこのクラスのリーダーみたいなものよ」
「おぉ!オラやりたいやりたい!」
「えぇ?!」
幼稚園児を相手にしてこなかったからかエドワース先生は子供の『なんかカッコイイ役』に反応してしまう事を知らなかった。それ故にどう扱えばいいのか分からないでいる。
「ど、どうしましょう・・・・」
「し、しんちゃんにはまだ早いんじゃないかな〜・・・・」
「えぇ!オラやりたいやりたい!」
「うむ、困った・・・・」
どうしようかとクラスが考え出すと1人の生徒が『形はクラス代表をしんのすけにして難しい仕事は副代表に任せればいいんじゃないか』という案を出して全員がそれで納得した。
「それで、その副代表は誰かやりたい人いる?」
『・・・・・』
もちろんそんな面倒な事をしたがる人間は多くないだろう。
「・・・・こうなったら、更識さんお願い出来ない?」
「・・・・・・・えっ、わ、私、ですか?」
「お願い!クラス代表は時々やるISの大会があるんだけどそれに出るのは基本的にクラス代表なの」
「は、はぁ・・・・」
「その大会に勝てるのはこのクラスで唯一の代表候補生の更識さんだけなの!だから、受けてくれない?!」
「で、でも私、やらなきゃいけないことがあるし・・・・」
「お願い!」
「せ、先生、流石にそれは・・・・」
この状況を何とかしたい先生は更識と言う生徒に必死に頼み込むも本人的にはやりたくないよう。流石にやりすぎなのではと他の生徒が止めようとする。
が先生は奥の手を出してきた。
「その大会には優勝賞品があるの!学食のデザート食べ放題とか!」
『更識さん!お願いします!!』
「み、皆まで?!」
見事なまでの手のひら返しである。
「うぅぅ・・・・わ、分かりました。やりますよぉ・・・・」
と渋々受けることになったのだった。
一方、1組では
「決闘ですわ!!」
「あぁいいぜやってやろうじゃねぇか!!」
こちらはこちらでカオスである。
「私の出番が何故こんなにも少ないのです?!」
いやだってこれしんちゃん主役ですし・・・・ちゃんと次回出しますから