ドラゴン娘とハリー・ポッター   作:ゴールドルナ

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第10話 ドラゴン娘の聖夜

あー、テステス。

皆さんどうも、ラシアンナですーー!

ようやく、スリザリンの同級生の子たちの顔と名前が一致してきました。

いやー、本当に時間かかりました。最初のころは「誰だっけこの子」って心の中で何回もつぶやいてましたからね。人数が少ないのが救いです。千里の道も一歩から、人を覚えるのも魔法みたいなもんです。これができないと会話すら成立しませんから。

うん。上級生の顔はまだまだですが、そこはもう諦めてください。あの人数は無理です。生徒名簿、分厚すぎです。

 

最近、なんとかザビニって男の子に話しかけられることが多いような気がします。えっ、名前覚えてないのかって?そんなことないですよ。

えーっと……いま思い出すんでちょっと待ってくださいね。

 

あー、うん、やっぱり調子悪そうです。名前なんて大事じゃないですよ。重要なのは心のつながり。名前を超えた心のハーモニーです。たぶん。

 

 

で、そのザビニって子。ドラコとは仲が悪いのか微妙な関係らしくて、どうもスリザリンの中でも距離感が違うんですよね。だからドラコの「ラシアンナはちょっと怖い」みたいな噂が伝播したゴイルたちとは違って、わりと普通に話してくれます。

まあ、要するにハブられ同盟ってやつです。

 

 

しかも、ザビニの家もうちと同じで、あんまり評判が良くないらしいです。なんでもお母さんが七人もの男を食べたとか。うちのお母さんも気性は荒いですけど、さすがに人食いはしてません。いやぁ、世の中広いですね。

 

でも、こういう話ってだいたい誤解とか偏見の産物なんですよ。たぶん、誰かが見間違えたんです。トロールでも退治したところを「食べた!」とか騒いだんでしょう。本人に聞く勇気はないですが、きっと真相はそんなとこです。

 

それはともかく、そのザビニくん、私のことをけっこう褒めてくれるんです。髪がきれいだとか、目がどうだとか、いやいや、恥ずかしいですよね。でも、悪い気はしません。

 

ただ……ちょっと言葉の選び方が独特というか、いきなり距離詰めてくるときがあるんですよ。あれは不思議です。顔を覗き込んでくるとか、肩を軽く触ってくるとか。

 

びっくりして尻尾が出そうになります。あの感じ、ドラコのときの悪夢が再来しそうでちょっとヒヤヒヤします。うまく断る魔法を教えてほしいくらいです。

 

 

 

まあ、そんなこんなで季節は冬。

ホグワーツの石造りの廊下は寒くて寒くて、息が白いです。しかも、例の“燃やした部屋”――校長先生いわく「必要の部屋」事件のあと、火の使用が全面禁止になりました。

おかげで私はずっと凍えています。火が禁止とか、なんか理不尽ですよね。悪霊の火がちょっと暴走したくらいで。

 

ちなみにハーマイオニーにもこの間悪霊の火について調べてほしいと念押しされたのですが、本当に実演してあげようかと思ったくらいですからね。

 

 

 

 

そして、やってきました、クリスマス!!!

ホグワーツ中がキラキラして、ツリーのオーナメントも魔法で動いてます。なんといっても、ついに!ついに!実家に帰れるんです!

 

あったかいお城、燃える暖炉、家族みんなで火祭りパーティー! ユニコーン狩りもできる! 冬のユニコーンは本当に最高なんですよ。お肉も血も、寒い季節の旨味が凝縮されてて。うちでは年に一度のご馳走です。みんな知らないだろうなあ。

なんて、浮かれてたんですけどね。

まさかの、まさかですよ。

今朝届いた手紙に「城は補強工事中につき立入禁止」と書かれてました。

……え?何それ。

 

かわいい娘を雪のホグワーツに置き去りってどういう了見ですか。お父さんお母さん。文句を言ったら、「代わりに欲しがってた本を送ってあげるから」とか言われました。いや、そうじゃない。そうじゃないんですよ。

 

でも、まあいいです。こういうのも、意外と悪くない。

スリザリンのほとんどは実家に帰っちゃったので、今は寮ががらんとしてて静かです。

人がいないホグワーツって、ちょっと怖くて、ちょっと幻想的。

寂しいけど、これはこれで“異世界留守番ごっこ”みたいな気分です。

――で、寂しくクリスマスを迎えた皆さんに朗報です!

なんと私、クリスマスを「男性」と過ごすことになりました!!!

しかも、あったかい部屋で二人きり。どうです、青春でしょ? うらやましいでしょ?

しかもそこには、可愛い可愛いドラゴンの卵まであるんです!

あっ、誤解しないでくださいね。私が産んだわけじゃないです。さすがに。

そう、私は今――ハグリッドの小屋にいます。

これがまた居心地いいんですよ。

最初、変な匂いがして「なんだろ?」って辿っていったら、ハグリッドが卵を温めてたんです。

ドラゴンの卵。

その光景を見た瞬間、胸がじーんとしました。

お母さんドラゴンのことを思うと切ないけど、ハグリッドはちゃんとわかってる人です。暖炉を大きくして、外気が入らないように対策して、温度まで測ってる。

私もそれを手伝って、ついでに暖まらせてもらってるわけです。

外は吹雪なのに、小屋の中はぽかぽか。

ハグリッドは動物の話をたくさんしてくれます。知らない生き物の話ばっかり。でもそれがすごく楽しいんですよ。グルメ話ってできないからね。

ケンタロスっていう馬っぽい人がいるらしいんですけど、これは人間に近いんで食べちゃだめとか。まあ確かに、あの構造は味のバランスが悪そうですし、食べなくて正解です。それから、あんまり美味しくなさそうな蜘蛛の話とかしてましたね。

 

ハグリッドみたいな人がもっと早く近くにいたら、私はきっと、もっと早く友達ができてたんじゃないかな。

ハグリッドに飼われるドラゴンがうらやましいです。ほんとに、ハグリッドに飼われたいくらいです。

いや、半分本気で。

 

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