ドラゴン娘とハリー・ポッター   作:ゴールドルナ

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第2話 ドラゴン娘とホグワーツ特急

皆さんどうもこんにちは。

ドラゴン娘のラシアンナです!!

 

いやー、聞いてくださいよ。皆さん最近呼び出しが減って寂しかったんじゃないかなって思うんですけど、それがこれ、この杖のせいなんですよ。

 

あー、杖でおしゃべり魔法が使えるようになったわけではないです。おしゃべり魔法は挑戦したけど、ぜんぶ失敗しました。代わりに、魔法を使うときの詠唱をちょっとだけ短くできるようになったんです。

……これ、悪化してる気がしません? でもまあ、一応進歩ではあるはずです。折角クソでかい杖なんでまあ、いろいろ試してみたいです。

 

それはおいといて。杖ってね、ほんとすごいんです。

正直これまでは「デカいし邪魔だなあ、ただの飾りじゃないの?」って思ってたんですけど、いざ使ってみたら魔力の流れをまとめてくれる感じがあって、呪文の制御がめちゃくちゃ楽になるんですよ。

 

いままで素手だとブレブレだった力が、杖を通すと一本の水流みたいにすっと収まる。初めて使ったときは、あまりの扱いやすさにちょっと感動しました。……まあ、肝心の変身まわりの制御は相変わらずダメっぽいんですが。そこは残念ポイント。

 

でも、これのおかげでうちの書庫の奥に眠っていた、昔から憧れていた難しい呪文がついに試せるようになったんです!

 

うちの書庫って、いろいろ“やばめ”な本が混ざってるらしくて、お母さんからも「本当に危なそうなのは絶対触っちゃダメ」と釘を刺されているんですけどね。とりあえず合法(?)かつ自己防衛寄りのものだけを選んで使えそうなのを適当に使ってます。

……あれもこれもやってみたい気持ちはあるんですけど、怒られそうなので。

 

で、気を取り直して――

最近のお気に入り呪文をひとつご紹介します!

 

その名も――守護霊の呪文!!

 

説明を、記憶の中の本からそのまま読み上げますね。

 

『守護霊の呪文とは、魔法族の中でも最も有名かつ強力な防衛呪文のひとつ。この呪文はとても複雑で、幸福感をもとに「守護霊」と呼ばれる半ば実体を持つ便利なエネルギー体を呼び出す。』

 

……いやー、分かります!? このお得感。

 

だって必要なのは幸福感だけなんですよ。将来の幸せを思い浮かべれば、守護霊ちゃんが無料で召喚できるわけです。タダ働きの従者を幸福感で雇えるんですよ!?

 

私はそれに気づいたときの“お得だ!”という幸福感で、さらに守護霊ちゃんを呼び出せちゃいました。幸せが幸せを呼ぶ無限ループ。なんという僥倖、なんという幸運。

 

出てきた守護霊ちゃんは――はい、予想通りドラゴンでした。でも思ったより小さくて、人間の時の私より少し小さいくらい。だからすごく便利なんです。お母さんに伝言を届けてもらったり、外を偵察してもらったり、お話し相手になってもらったり。しゃべれないので身振り手振りですが、それでもかなり意思疎通できます。

 

……おしゃべりしてくれれば、私がしゃべらなくてもいいのになあ。おしゃべり魔法の代わりになるのに。これは私の努力次第ですかね。

 

でもまあ、この杖と守護霊ちゃんがいればホグワーツ生活もきっと安泰。友達が3人くらいはできると信じています。魔法族の世界って思ったより狭そうなので、入学してから友達を増やすのは難しいのかなって思っていたけれど、こないだのハリーくんみたいにマグル出身の子もいるみたいですし。新参勢をねらえばいけるかも。

 

……というわけで、皆さん。ホグワーツに入ったら私が忙しくなって、きっとあなたたちの出番は減ります。恨みっこなしですよ? 今から悔しがる顔が目に浮かびます。ふふふ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも皆さんこんにちは!!

これから、あの有名なホグワーツ特急に乗ってきます!

 

どうです? すごいでしょ。私もつい最近まで存在を知りませんでした。魔法族ってもっと飛行とか転移を使うのかと思いきや、まさかの鉄道利用。ちょっと意外ですよね。ていうか、私がドラゴン形態で飛んで行っちゃダメなんですかね? 絶対早いと思うんですけど。

 

まあ何はともあれ、ロンドンのあの有名な駅で、9と10番線の間を通り抜けるという不思議な体験をして、無事にホームに到着しました。これ、年に数回だけの専用ホームらしいですね。絶対予算の使い方がおかしい学校だと思うんですけど、魔法界的には普通なのかな?

 

お母さんに連れられて、ロンドンのマグルの人混みをかき分けながらホームを目指したんですけど……いやー、あれは大変でした。人が多いというか、うねるような波。マグルってどうしてあんなに荷物を持って歩けるんですかね? まるで移動する山脈の中を抜けていく気分でした。

 

で、その中で私の杖がまあ、目立つ目立つ。だって誰も抱えるサイズの杖なんてもってないんですよ! 周りの子たちはせいぜい傘くらいの長さなのに、私は一人だけ竜の飾り付きの巨大サイズ。すれ違うたびに二度見されました。もう、恥ずかしいやら誇らしいやら……。

 

ちなみに動物は意外と普通にいました。フクロウ、カエル、時々ネコ。動物そのものは珍しくないらしいですね。でも守護霊っぽい存在は一切見かけませんでした。もしかしてホームでは出すの禁止なんでしょうか? あの混雑の中で守護霊を飛ばしたら確かに危なそうではありますけど……少しだけ呼んでみたかったな。

 

 

そして、ホームに着いた瞬間。

お母さんは「じゃ、あとは行ってらっしゃい」と片手をひらひら振って――あっさり帰っていきました。……いや、あっさりしてる!! せめてもう少しドラマチックに送り出してくれてもいいじゃないですか。こっちは初めてのホグワーツなんですよ!?

 

でもまあ、列車に乗れば着くというのは分かってるので……大丈夫なはず。たぶん。うん。きっと。

 

 

それにしてもホームはとんでもない混雑ぶり。別れを惜しむ親子があちこちでハグしたり泣いたり写真を撮ったり。トランクやカゴや鳥かごがひしめいていて、まるで市場みたいです。

 

私はというと、片手で持てる大きめのトランクひとつに荷物をきっちり詰めてきました。これ、もっと褒められていいと思うんですよ。スマートでしょ? コンパクトでしょ?

 

……まあ、もう片方の手は例の馬鹿でかい杖で完全に塞がってるんですけどね。これのおかげで軽快さゼロ。どう思います、これ。私って賢いのかバカなのか分からなくなってきました。

 

 

 

さあさあ、これがホグワーツ特急だ!

 

見た目は……豪華そう。多分。私こういう列車乗ったことないからよく分かんないですけど、とりあえずテンション上がります。

 

少し早めに乗り込んだので、まだ席は空いていました。客車の中に個室(コンパートメント)が並んでいて、これ友達作りのための仕組みなんでしょうけど、逆に言えば当たり外れが怖すぎませんか? 仲良しグループに囲まれたら地獄ですよね。延々と気まずい空気のまま数時間……考えるだけで震える。

 

あと意外なことに、みんな制服じゃないんです。私だけ浮かれてフル装備感が否めない。え、別に悪くないよね? 制服って。……ねえ皆さん、悪くないよね?(圧)

なんとか空いている部屋を見つけて転がり込みましたが、この扉って鍵とかないんですかね。心の平穏のために荷物でバリケードを作りたい。つっかえ棒みたいな魔法グッズってないんでしょうか。皆さん、知りません?

 

――あっ、扉が叩かれた。

 

まずい、脳内でイマジナリーフレンドと会話しているのがバレる!

 

一旦この辺で切り上げますね。

 





あっ、お気に入り登録してくれますよね。高評価とか。
あと感想もあればお願いします!!
じゃあまた。
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