ドラゴン娘とハリー・ポッター   作:ゴールドルナ

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第20話 ドラゴン娘と秘密の部屋

どうも皆さん、こんにちは。お久しぶりのラシアンナです。ちゃんと生きてますよ、心配してました?してませんね、知ってました。

 

で、早速なんですけど。

 

皆さんって…………無能ですよね。基本的に。

 

いや、怒らないでくださいよ事実じゃないですか。レポートの相談してもふわっとしたことしか言わないし、授業の復習に付き合ってくれるわけでもないし、なんというか、友達としての有用性が低いというか。いや、いいんですよ?真の友に損得を求めないっていうのは分かってますし、あなたたちの存在価値を否定しているわけではないんですけど。

 

ただですね。

 

比較対象ができてしまうと、どうしても。

 

こうねえ?

 

そう。私が最近仲良くしている友達こそが。

トムくんです。

 

いやいいでしょう?名前からして優秀そうじゃないですか。自称優秀な生徒って言ってるんですけど、これがですね、本当に優秀なんですよ。皆さんとは比較にならないくらい。授業の内容でもレポートでも、ちょっと問題文を書いたら、もうそのまま答えが返ってくるんです。ほぼ即答ですよ。便利すぎません?ねえ、羨ましいでしょう?

 

……ほら、悔しそうな顔してる。

 

悔しかったら勉強でもしておいてください。

 

でですね、このトム。前も言ったかもですけど、日記の中に住んでるんですよ。ええ、日記です。

 

なんかこう、真っ白なページに書き込むと返事してくれるやつ。あれの中にいるんです。外に出る気配が一切ないので、まあニートみたいなものですね。でも働きはいいです。ものすごく。

 

で、私が魔力を流し込むとですね。喜ぶんですよ。

……ねえ、これどこかで見た構図じゃないですか?

 

そうそう、あなたたちです。

 

似てますよね、この辺。反応がある分だけトムの方がまだ分かりやすいですけど。

 

でもすごいのはそこからで。

なんとですね。魔力を使って、実体化みたいなことができるんですよ。

 

いやちょっと待ってくださいよ、これすごくないですか?日記の中にいる存在が、外に出てくるんですよ?理屈はよく分からないですけど、とにかく出てくるんです。

 

で、試しにですね。

一回、ちょっと多めに魔力を流し込んでみたんですよ。

ええ、ちょっとです。

 

その結果、なんと強制的に日記からトムが出てきて実体化したんです。心なしか金色に光ってたり、所々私っぽい姿になってて面白かったんですよ。

 

トム、めちゃくちゃ怒ってました。

 

ちなみに、実体化したトムは体が爆発しそうだとか吐きそうだとかいって、挙句の果てに私に向かってなんか呪文まで打ち込んできましたからね。笑った私も悪かったけど、そんなに怒ることないと思うんですけどね。

 

ちなみにですね、トム、最近また秘密の部屋について気にしてるみたいなんですよ。ほら、あの話。ハロウィンのときと、あとハリーが蛇語しゃべったときにちょっと盛り上がって、それからもう半年くらい経ってますよね。今は誰も話題にしてません。みんなクィディッチの話ばっかりですし。まあ私はやらかしてからあんまり聞きたくもないんですけど。

 

それなのにトムだけ、やたら引っかかってるみたいで。なんでもですね、秘密の部屋から怪物が逃げ出したままになっている、らしいんですよ。いや、それ前にも言ってましたよね?って感じなんですけど。そのあと別に何も起きてないですし。だから私は勘違いなんじゃないかなって思ってるんですけど、トムは妙に確信してるんですよね。見たの?って聞きたくなるくらい。

 

で、ここからがちょっと問題でして。

 

なんかですね、私に向かって、秘密の部屋に行きたくなるような感じに仕向けてくるんですよ。言葉の選び方とか、話の持っていき方とか、こう、じわじわと。あれ多分、洗脳しようとしてますよね。いや怖くないですか?ねえ怖いですよね。私は嫌です。だって、今でさえ継承者とか言われてるのに、実際に行ったら完全に確定じゃないですか。遠巻きにされるどころか隔離されますよたぶん。

 

てか、ときによっては強制的に脳に何か送ってきたりとやりたい放題です。友達を利用しようとするなんて酷いやつです。

 

なのでですね。

 

ちょっとキレました。

 

いや、だって勝手に人の行動を誘導しようとするのよくないじゃないですか。ねえ?友達としてどうなんですかそれは。

 

ということで。

 

思いっきり魔力を日記に流し込みました。

 

ええ、全力です。

 

するとですね、トムくんが実体化してくるんですけど、そのまま形が安定しないまま、ぐにゃっと変わっていくんですよ。顔とか輪郭とか、さっきまで整ってたのに崩れて、戻ろうとして、また崩れて、みたいな感じで。で、そのたびにすごく苦しそうにするんですよね。声はあんまり出ないんですけど、動きで分かります。

 

……いや、ちょっとやりすぎましたかね。

 

でもほら、先に仕掛けてきたのあっちですし。

 

で、面白いのがですね。

 

流し込む量を調整すると、変化の仕方も変わるんですよ。ちょっと弱めると形が戻りかけて、強めるとまた崩れて、で、そのときに髪の色とかが変わるんです。私に似てたやつが元に戻ったり、また似てきたりして。あれなんなんですかね。元の姿と私の影響が混ざってる感じなんですかね。

 

ちょっと面白くて、しばらくやってました。

いや分かってますって。ちょっと、あれですよね。

私が邪悪な何かに見えてきますよね。

 

 

 

まあ、しょうがないので秘密の部屋に行ってあげることにしました。友達ですしね。

いやだって、あそこまでしつこく言われるとちょっと気になるじゃないですか。ねえ、あなたたちもそう思いますよね?

 

しかも条件もちゃんとつけましたよ。試験勉強を全部教えること、これです。ほら、大事でしょう?現実的な利益。トムもあっさり了承しましたし。やっぱり話が分かる相手っていいですね。

 

で、場所なんですけど。

 

三階の女子トイレらしいです。

 

……いや、ちょっと待ってください。

 

なんで?

 

いやまあいいです、秘密ってそういうところにあるものですし。人気がない場所って大事ですし。そう自分に言い聞かせて行きました。ええ、ちゃんと女子トイレに。人がいないタイミングを見計らって。いやまあ、私はいいですけど、トムはどういう気持ちでトイレにいきたがってるんですかね。

 

で、トイレに入って、トムの言う通りにやるんですよ。具体的には蛇語で「開け」って。いやだから私は嫌だって言ったじゃないですか蛇語。でも必要だって言うから仕方なく。こう、喉の奥を絞る感じで、シュルシュルって。やっぱり気持ち悪いです。自分で言ってて背中ぞわっとしますもん。

 

そしたらですね。洗面台が開いたんですよ。で、その下に。穴がぽっかりと。

……ここから入るんですか?これ下水道じゃないですよね。いやですよ、肥溜めに落ちるのは…………

 

いやちょっと待ってくださいよ、階段とかないんですか?普通こういうのってもうちょっと配慮ありますよね?ねえ、ありますよね?落ちるしかないじゃないですかこれ。

まあ、落ちましたけど。

 

ええ。

 

で、気づいたらなんか変な部屋の中にいまして。ほへー、ここが秘密の部屋か…………

暗いんですよ、やっぱり。湿ってて、空気が重くて、石の匂いがして。壁も床も全部同じ色で、どこまで続いてるのか分からなくて。ああいう場所って独特ですよね。ねえ、分かります?ちょっとしたダンジョン感があります。探検してるみたいでちょっと楽しいです。ちょっとだけですけど。

 

で、進んでいくとですね。トム曰く、ここに、バジリスクがいたらしいんですよ。

へー、バジリスク。バジリスクってなんでしたっけ。

 

あ、蛇。でっかい。

 

……いや、そこまででもない?

 

さっきの管、通れるくらい。えーっと、なんか…………。

 

見たことあるな。何だっけな。

あ、ちょっと待ってください。

 

今、なんか嫌な感じで思い出してきたんですけど。そうです。だいぶ前に廊下で見たやつ。

 

あの、妙に太くて、床にぺたりって張り付いてて、目がやたらはっきりしてて、見られると皮膚がかゆくなる蛇。

 

で、近づいてきたから焼いて…………そのあと、証拠隠滅で食べたやつ。

 

……あれ。

 

サイズ、ちょうどこれくらいじゃなかったですか?いや、ちょっと待ってくださいよ。え、まさか。いやでも。

 

ここにいたはずの怪物がいなくて。トムは逃げたって言ってて。で、私の記憶にある蛇がそのタイミングで現れて。しかも、普通の蛇じゃない感じで。

 

……うん。食べてますね。完全にあれです。

 

へー、あれってバジリスクなんだ。秘密の部屋の怪物なんだ。なるほど、そりゃ普通の蛇と違うわけですよね。なんか妙に食感が変だったのも納得です。固かったし、ピリピリしたし…………いや納得していいのか分かりませんけど。

 

トムちょっと。そんな眼で私を見ないでくださいよ。

 

いや違いますって。私は怪物じゃないですよ?……ですよね? 怪物かも…………

 






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